農園日誌Ⅱー「活きること」PART31

2019.8.28(水曜日)雨後曇り、最高温度30度、最低温度24度

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                     黒大豆の花

ちなみに白大豆の花は白、黒大豆の花は薄紫色となる。

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黒大豆の畝

もう何年になっただろうか?
枝豆を作ろうと、最初は白大豆の枝豆を
育てていたが、若しかして、黒大豆の枝豆
の方が美味しいのでは?と思い立って、
やり始めた。
今では初秋の味覚の
一番手となるほどの
人気がある。

処が、これがまた難しい。種蒔きからして発芽状況が著しく悪い。
そこで行ったのが、予備のポット蒔きを並行して行うようになってからは、何とか
畝に空きが無く、育つようになってきた。
次に課題となったのが、例年7月10日~20日頃種蒔きを行うが、実が入る年と入らない年が交互にやってくる。
堆肥の量が多いと葉ばかり茂り、一向に実が育たない。畑によってやや異なるが、
通常の堆肥量の半分から1/3程度が丁度良いことが分かる。但し、焼き灰などは多目に施肥する。
これで栽培方法が分かったとしても、やはり、出来不出来に大きく差が出てくる。
つまりは、近年の気候変動が大きく影響しているということになる。
そうなると、最早、農業者の勘しかなくなる。
と言うことで、今年はどうやら当たり年のようだ。葉の茂り具合からみて、なんとかなりそうだと、ほっとしている。


{活きること」PART31

2019年8月  先行きの見えない社会経済に冷え込む消費マインド
 
大企業は販路を求めて世界進出を加速し、グローバル経済化が進み、国内では、社会構造が階層社会から富める者と貧しき者に分かれる階級社会へと変化しており、各国の国民・大衆のフラストレーションや不満が高まり始めている。
その不満を抑えるために、自由貿易を標榜しながらも政治は自国主義に偏り始めている。
各国の利害と民族主義の台頭、それに加えて国内の貧富の差の拡大により、国同士、国民同士の利害対立起こり始める。
冨を求めるのが当たり前の資本主義経済原理では当たり前のことではあるが、明らかに社会経済構造は不透明さを増し、政治への不信感、諦め、そして無関心が国民の間に拡がり始めている。
 
経済の陰りや政治への失望感が見え始め、先行き不透明な世相になって、各家庭では節約に走り始めている。日本では平和が長く続き、贅沢に慣れており、生活レベルを落とすことは難しくなってきている。
そんな中、先ず起きてくる現象は、生活レベルは維持しながらも食の支出を落とすことから始める。
わずか8年前の原発ショックの際には、一時的に食の安全に対する関心が高まり、少しでも健全な食を求めて動き始めた。
処が、その関心も薄らぎ、経済の先行きの不安が見え始めると、少しプレミュアムな健全な農産物へのニーズは急速に落ち込んでいる。明らかに消費マインドの冷え込みである。
消費者の多くは少しでも安い野菜を買い求めようとする。
如何に安全で栄養価があり、美味しくとも、そんな消費者にとっては、野菜は野菜でしかない。
となれば、健全で品質の高い農産物生産販売だけでは、それに共感してくれる消費者の数は減り続けることになる。今回の宅配料金の一斉値上げは、偶々、一つのきっかけに過ぎないのかもしれない。

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今年諦めかけていた茄子が努力の結果、何とか復活し始めている。
剪定作業を終えた茄子の畝の風景。

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葉が茂り過ぎると、太陽が当たらず、
風通しが悪くなり、ミツバチによる受粉
もし難くなる。

そこで小まめに
剪定・誘引作業を
行い続けることになる。
これがまた大変な
作業。根気と繊細さが要求される。


AIを駆使した農業経験も農業ノウハウが乏しくともできるであろう施設栽培
とは異なり、露地栽培・自然循環農業は、少なくとも10年以上の経験が
必要となり、そこで培われた技術と勘の世界である。
如何に、安全で、栄養価に富んだ、美味しい野菜を育てるか?に命を掛けて取り組む姿は、やはり美しいと思うのだが・・・・!


かと言って、自然循環農業、安全かつ品質の高い農産物生産のコンセプトを変えていこうとも思わない。
癌・アトピー・アレルギーなどの現代病に苦しんでいる方もおられる。
家族の健康を考えて食べるものに注意し、わざわざむかし野菜を取り続けてくれるお客様もおられる。
そんな方々からの様々なメッセージが送られてくる。
「いつも送られてくる箱を開けるのを楽しみにしている」「風邪を引かなくなった。虚弱体質が治った」「不妊症治療が辛かったです。むかし野菜のお陰で子供を授かりました」
「台風被害は無かったですか?畑は無事でしたか?無理しないでください。野菜はいつまでも待っています」「冷蔵庫が空です。むかし野菜で毎日が回っております」
「頑張ってください。この農業を残してください」などなどの励ましのお便りによって、私達は支えられている。
 
ここは、踏ん張り時です。一時、シャットアウトされていたホームページも
何とか回復してきた。
それに伴って、少しですが、お客様のお問い合わせのメールも届くように
なってきた。
若手スタッフの自立に腐心しなければならない。販売チャネル(販売方法や
販売先)を増やしていく工夫や努力もしなければならない。むかし野菜の
取組をより多くの消費者に知ってもらわねばならない。
体調は思わしくは無いが、自分で始めた事だ。最後まで活ききろうとしている。

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降り続く夏の長雨の中、出荷作業が終わった若い二人のスタッフにビーツの種蒔きを強行させた。
この二人は未だ20代前半。この後、長い農業者としての歴史が待っている
それだけに、責任の重さが農園主の方に乗し掛かる。
そして、むかし野菜の邑の将来は、かれらの未来は、如何に消費マインドが冷え込もうとも、全て全国の消費者の思いの強さに掛かっている。