むかし野菜の四季ーPART2

2022.5.22(日)晴れ、最高温度26度、最低温度16度

           農業体験会のじゃがいも堀り

最初は怖々土を掘り返していましたが、10分もするともう熱中し始め、

楽しい!の声があちこちから・・・

 

                一本葱の植え付け

葱の植え方を教えると、小さな子供さん達も一生懸命に黙々と植え込んでいました。

未来の農業者になってくださいね。

 

今日は3年ぶりの農業体験会を開催。

以前は200人を超えるご家族が集まり収拾不能な状態に陥り、その反省を踏まえて

コロナ下と言うこともあり、50~60人(15家族程度)に絞り収穫だけでは無く

葱の植え込み作業なども組み込み、半日農家になったつもりで頑張ってもらいました。

今までは子供さんが楽しいといっておりましたが、今回は大人も楽しんでいただいた

ようで、「今度何時します」と聞いてこられる方も多数いらっしゃいました。

まずまずの成功でした。

有機・無機を問わず、肥料栽培では無く、草木堆肥による土作りを行い、土を育てる

農業を広く皆様へ知っていただき、その大切さを理解していただきたいと始めた農業

ですので、この農業体験会は今後も年に数回は継続してやっていきたいと考えており

ます。

 

         農園マルシェと農業体験会の同時開催

 

 

 

「農業マーケティング

(欲求とニーズは異なる)

生産者が品質の高い健全な野菜を生産し、それを求めている消費者へ届けたいと欲しても現在の大量流通の仕組みの中では、その能力も機能もありません。流通システムがそれを求めてもいないし、消費者のニーズも乏しいのです。

流通が求めている農産物は均一で見栄えの良い流通に扱い易い商品であり、いちいち説明をしなければならない商品はノーサンキュウです。

その扱いに慣らされている消費者も均一で見栄えの良い立派に見える商品が良い野菜であり、美味しく栄養価の高い安全な野菜はあくまでも消費者にとっては欲求であって、必ずしもニーズでは無いのです。このように考えていくのがマーケティングです。

欲求とニーズは大きく異なります。

現在アンケート調査をすると、有機野菜を欲している消費者は実に80%以上います。

それなのに、実際に有機野菜を購入する人は3%程度しかおられません。

日常的に有機野菜を食べている消費者はさらに減って1~2%程度しか居ません。

 

欲求はただ欲しいと思っているだけで、購買者はやや高い金銭支払いと言う痛みを伴っても野菜を購入しようとすることをニーズと言います。マーケティングにおける購買行動を促すには消費者の欲求をニーズまで高めるための商品開発・コミュニケーション戦略・戦術が重要になるのです。

そして、なにより重要となるのは健全な野菜を求めている消費者層を特定してその特定消費者層に向けて商品開発を行いコミュニケーションを図っていくのがターゲット戦略です。

 

             草木堆肥の切り返し作業

集まったちびっ子さん達の歓声が、もしかして恐怖の叫びでしょうか、

おそらくは最初にして最後のタイヤショベルの試乗体験です。

 

 

「特定商品(健全な野菜)を販売するとなると、その消費者はどのような欲求とニーズを持ってているのか、どのような商品であれば買ってもらえるのか、その特定商品は、どのような価値観を持っている人達が購買者となるのか、そして、その購買者をどのような手段で探し、どのようにしてコミュニケーション(伝える)を図っていけば良いのか」

 

市場啓発啓蒙活動を続けながら消費者層を育てていくしか無いのが、この自然栽培

と言う農業です。その際、避けられないのがこの農業マーケティングの考え方です。

 

※農業マーケティングの手順

  • 現状分析

(現有マーケットにおける欲求とニーズの違いを明確にする)

  • ターゲット層を設定

(品質を求めている消費者層の購買行動を分析)

  • 商品開発

(特定ターゲット層の購買行動を細分化し、そのニーズに合わせた商品を開発)

(開発した商品を如何にして特定ターゲット層に伝えるか)

 

           ブロッコリーの摘み取り作業

 

採りながら口に入れてむしゃむしゃと、生ブロッコリーでおなかが一杯になった

子供さんも・・・

 

むかし野菜の四季ーPART2

2022.4.27(水)曇りのち晴れ、最高温度24度、最低温度14度

               由布市狭間町の麦畑

 

左端は日本の古代麦(一粒小麦の原生種)、右側は裸麦。

麦作りを始めて8年目。当初の2年間は収穫0でした。

草木堆肥による土作りが進んできた3年間にようやく慣行栽培の1/3程度の収穫が

ありました。

麦は肥料喰いの農産物です。そのため、低窒素である草木堆肥だけでは育たない

との農業振興局や農業試験場の提言に反して敢えて低窒素・ノン除草剤の栽培に

チャレンジしてきました。

これは何とか小麦アレルギーの出ない低グルテン仕様の小麦粉を作りたかった

からでした。

今ではむかし野菜の邑の菓子類・惣菜に使われてお、圧倒的な存在感があります。

 

       弥富麦(日本古来からの原生種である一粒小麦)

               裸麦(大麦)

 

農園では麦ご飯セット・麦茶などに使われております。

麦畑を見ていると日本の原風景が目の前に浮かんでいるようです。

日本人の主食はお米と皆様は思っておられると思いますが、むかしからそれは武士や

貴族達の主食であって、農民は麦・粟・稗をもっぱら主食としてきたのです。

当時はハイグルテン仕様の麦などありませんでしたしアレルギーなど無かったのです。

 

農業マーケティング

有機農産物の現状と消費者動向」

 日本の有機JAS野菜はオーガニックの認定を受けていない。つまりは信用されていない。有機JAS認定は取得するのにも大変な労力と費用を要するほど細かく規程が盛り込まれている。それほど厳格なのに、何故なのか?

問題は五つあります。一つは一度取得してしまえば、後はフリーパスとなっており(

毎年日誌と書面の申請は必要ですが)形式基準が厳しい割には実態と遊離しているということで、世界には信頼されていない訳です。

 

二つ目は、「有機物なら何でも良い」と言うことにあります。

例えば、あれほど化学合成された物を嫌っている規程には、薬品・抗生物質・農薬などが大量に含まれている(家畜飼料)配合飼料を餌として食べた畜糞には触れておらず、結果として、その畜糞主体の有機肥料が畑に大量に投下されることになり、土壌の微生物や菌類を駆逐しており、有機本来の自然循環する土壌を汚染させているのです

 

三つ目は、この規程は緯度にして北海道に該当する寒冷地である欧州で作られたものを踏襲しており、日本の農地の95%以上が温暖地にあり、さらに温暖化が進む日本の気候では害虫が多発しており、「化学合成した農薬を使ってはならない」と言う規程が実態にはそぐわないことです。

たとえ有機農家であっても特に春から秋にかけての野菜の生育期に旺盛に繁殖した害虫の餌にされてしまうと農家は生きてはいけないのです。

結果として、有機JAS規定では禁止されている農薬、特に危険な浸透性農薬を使っている有機農家も出てきます。

 

四つ目は、日本の消費者の意識であり、流通の問題です。

本来的な有機野菜は手間が掛かり生産リスクがあり、価格は慣行栽培野菜と比べてやや高くなります。さらには、規格サイズは揃わず、見てくれは悪く、虫食いの痕もあるなど、その健全性や品質の割には日本の消費者からは評価されず、売れにくいのです。

また、不揃いで虫食いの痕の見える有機野菜は大量流通に取っては扱い難い農産物であり、敬遠されております。欧州のように露天マルシェで販売されていることもありません。

 

五つ目は、厳しい規制の対象となる有機野菜生産農家への補助金などの助成処置はほぼ無いと言ってよいのです。

有機農家から見ても、費用を掛けて煩わしい書面申請をしても、その見返りはほとんど無く、申請費用や煩わしい報告書の作成や一品当たり50銭のシールを貼らねばならない有機JAS野菜を申請する農家が減って行くのも当然の結果でしょう。

 

それならということで、実際に有機野菜であっても敢えて有機JAS申請をしない農家も多いのです。結果として、有機野菜は農産物の0.2%以下しか無い。

これは政府の公表数値ですが、これすらも妖しいほど、実態は少ないようです。

除草を兼ねてじゃがいもやブロッコリーの土寄せ作業を行っているところです。

両サイドは南瓜が植わっております。

 

農協は有機野菜に取り組むと収益源である化学肥料や農薬の販売が減り、有機野菜には消極的であり、むしろ敵視している感さえあります。

農協と一体となっている日本の農政も当然に有機野菜を増やそうとは思ってもおりません。

有機農産物生産に対して厳しい法規制は加えて、補助金や支援はほぼゼロです。行政もメディアも農協を、結果としては、農家を敵に回すかもしれないことはしないのです。

それなのに、何故か日本のマーケットには有機野菜が溢れており、東京駅周辺では有機野菜と表示した野菜が溢れているし、有機野菜使用と表示した飲食店も多数あります。

消費者は何を信じて良いのか分かりませんし、当然に消費者の信頼も薄れています。

これが日本の有機野菜を取り巻く現状です。

 

消費者も有機野菜が体に良さそうなどと、有機農産物への欲求度は80%と高い。

処が、ニーズ(金銭と言う痛みを伴って購入する)はどうかというと、価格が高いと言う理由で購入者は増えてきません。有機JAS認定を取得していない有機野菜を加えても1%にも満たない程しか無いと言うのが実態に近いのです。

例えば、スーパーマーケットなどで、一本100円のきれいな大根がある横で、線虫が這った痕のある一本150円の大根が並べられているとしますと、貴方はどちらを選びますか?虫食いだらけとなった露地物の有機葉野菜と、慣行農業のハウスで育った立派な葉野菜があったとしたら、どちらを選ぶでしょうか?

見た目きれいな野菜が良い野菜と信じている消費者、野菜は本来安いものだと思っている消費者が大半を占めている日本では、有機野菜のマーケットは拡がらない。

このような理由で実際には、有機専門の通販にしか有機野菜は集まらず、宅配中心の流通しかないというのが実情かも知れません。

大地の会(有機野菜を標榜)では、有機JAS野菜の代わりに大地の会独自の基準で作られた有機野菜(法律上有機野菜と呼べない)を宅配しております。

しかしながら、この有機野菜専門の卸売業で販売されている野菜も何故か規格野菜となっております。

自然栽培や有機野菜は本来規格が揃うはずは無いのですが・・・。

まだ国立系の大学生なのですが、当農園で研修を行っているところです。

彼はコロナ下でリモートによる授業を受けてきたようで、すでに単位は取り終えた

とのこと。大学には一年間しか通っていないそうで、この時代の学生は大変です。

大手企業の実態を見てしまったようで、夢が持てないということで就活もせず、

当農園に興味を抱き、当農園での研修となりました。期待の新人です。

 

欧州ではどうかというと、オーガニックのマーケットは15%以上に、有機野菜生産農家は10%にも膨れあがっており、今でも増え続けております。日本では中国よりも有機農産物の耕地面積は少ないのです。

フランス・スイス・オーストリア・ドイツなどでは、国が有機栽培を奨励し、手厚く保護助成しております。

この違いはどこから来ているのでしょう。

欧州には自然環境を守る、食糧を国内で確保する、露地栽培は環境保全に大きく寄与しているなどの意識が高く、安全な食と言うよりも持続可能な農業として有機野菜を支持する国民が多く、その意識が高くなっているのです。国民の支持が高ければ、国も当然に補助金や支援を厚くしております。

環境問題に関心の薄い日本の消費者と正比例して国も露地栽培や有機野菜に対しては実に消極的な態度を取っているのも当然かもしれません。

 

一つの有機農家に100家族以上の消費者が居り、日本のように宅配の仕組みが備わっていない欧州では、週末になると家族連れでその農家に集まり、一緒に農業を手伝ったり、昼食を皆で作ったりして楽しんでいるようです。しかも野菜代金は前払いが多く(年間予約性)有機農家は市民の尊敬を集めており、社会的地位も高いのです。

欧州では脱炭素社会という取組も日本などと比べて多くの国民の支持を得ております。

結論として、国民の意識が変わらなければ健全な食を求める有機農業は日本では広まりが薄いと言うしか無いのです。

 

 

 

むかし野菜の四季ーPART2

2022.3.18(金)雨後曇り、最高温度14度、最低温度9度

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              農園の杏の花は満開

 

今日、およそ三ヶ月ぶりに本格的な雨が降った。

今までが余りにも少雨であったため、野菜は嬉しそうです。

大根・人参・キャベツ・白菜などは葉っぱを広げられず、根菜は細長くなり

いびつな成長をしていました。

これからは野菜不足も解消へと向かうことでしょう。

ただ、一部の野菜はすでに莟立ちが始まっており、出荷できないまま花が咲こうと

しております。

ウクライナへのロシア侵攻、プーチン独裁政権の暴走、東北地方の何度目かの

地震、コロナまん延など、不幸な出来事が同時に起こっております。

国はこんな時何をしてくれるのか、私たちは国という形を改めて考えて見るべきな

のでは無いかと思います。

 

それでも九州にはようやく遅い春が来ました。農園も日常の営みに戻れそうです。

今農園は種蒔き・ポット揚げ・定植作業に追われております。

今日は、雨降り直後でもあり、スタッフ全員珍しく5時過ぎに帰宅しました。

雨が一農夫の数百倍の良い仕事をしてくれましたので・・

 

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有機農産物の商品化とマーケティング

「農産物の流通」―現状分析―

皆様は農産物がどのようなルートを経て消費者のもとへ届いているのかをご存じですか?

農産物流通は実に複雑で農協・市場・仲卸・スーパー直などのルートを通っている。

 

全国農協や経済連が最も大きな流通組織です。官僚達の天下り先となっている何重もの

上部構造になっており、その組織を維持するために下部組織である農協と組合員(農業者)が居る。組合員が生産した農産物の75%がこの農協ルートを通る。他は市場や

仲卸を通して小売店へ流れる。

生産者と消費者との農産物の直接取引となると全生産量の数%も無いため、生産者の

作りたい野菜と消費者が欲しい野菜は繋がらないことになる。

農協の下部組織に「野菜生産部会」なるものがあります。

ほとんどの農産物は生産者が作った茄子部会とか、ピーマン部会とかが各地域に必ず

あります。その部会に属さないと農協へは出荷できません。つまりは、流通市場には

出せません。

かって、ある運送会社から電話が入りました。「○○野菜は無いでしょうか。

今、神戸の漬物製造会社から頼まれて探しているのです」

私はこう答えた。「うちの野菜は全て全国消費者へ直接お届けしており、生産量が

限られお出しできません。珍しい野菜では無いのでどこにもあるでしょう」と・・

「いえ!全てが農協に抑えられており、販売してくれる生産者がいないのです」と・・

もし、農協以外へと販売した場合は、部会から閉め出され、次は農協へは出荷できなくなりますから野菜が集まらないのです。ただ、農協はその事実を認めておらず、

○○生産部会は農協の下部組織では無いと主張しているようですが・・・?

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野菜等は農協及び青果市場や仲卸を経由して小売店へ送られる。

例えば、大根一本100円としたら、流通過程でおよそ60円が消えていき、生産者

に渡されるのは40円となり、その内、生産原価はおよそ24円であり粗利益16円

だけとなる。

 

流通では、農産物の品質(安全性・栄養価・美味しさなど)は評価の対象外となり、

規格サイズや見栄えが重視されている。規格サイズ(流通のし易さ)と見栄え(消費者のニーズ)は、農産物の品質とは本来は一切関係ない。

生産者が工夫を凝らし美味しく栄養価の高い安全な農産物を生産しても「流通」から

評価されず、農協及び流通が求める規格野菜(消費者が求めている?)を作るしか無

いのです。

 

近時は、生産者がグループを組み、価格を抑えて、スーパーなどの産地直売コーナー

などに持ち込み並べているケースも増えている。

スーパーへの手数料として20~25%を納めているが、これは買い取りでは無く、

余った野菜は引き取り処分するしか無い。

値引きされた一本80円の産直大根は商品ロスや運送コストなどを考慮すると、

80円―16円(手数料)―12円(運送手間)―12円(商品ロス15%)=40円

となり、結果として手間だけ掛けたということになってしまう。

日本の農産物流通の経路は複雑であり、生産者と消費者の接点はほぼ無いに等しいの

です。

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むかし野菜には新たな開墾地が加わりました。約3反です。

ここにはこれから大豆・麦類・さつまいもなどを植えながら土作りを始めていきます。

むかし野菜の野菜畑になるにはこれから3年を待たねば成りません。

 

生産者が農協離れを起こしていると言われてはいるが、現在の農産物の流通(販売)

の流れは農協抜きでは出来ないのです。

農産物の生産は気候の変動が激しく生産リスクの塊となっており、販売価格も生産者

に決定権が無く、品質志向の考えを持ったとしてもそれを実現できる(正当の評価を

受ける)だけの販売ルートを確保できないのが現実であり、さらに農家の農業離れを

加速させている。

地域の長閑な田園には、重い体を引きづるようにして80歳に近い農夫が畔塗りを

行っている。彼らには後継者はおらず、皆、都会に勤めに出ている。その農夫も子供

達にこの農業を続けてほしいとは願っていない。一見豊かな田園では子供の声は聞こ

えてこない。

 

2022.3.4(金)晴れ、最高温度13度、最低温度0度

 

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                    空豆

 

5月出荷予定の空豆の花が咲き始めていると言うのに、気温が上がらない日々が続いている。

コロナウィルスの感染は、より低年齢化してきており、学級閉鎖が多く出始めている。

おそらくはこのウィルスの自由自在の変異はだれも止められない。

ロシアはさながら専制君主となってしまったプーチンを止められない。

日本国民の多くは勿論ロシア国内でもウクライナへの侵略戦争の始まりにまさかと言う思いを抱いていた。

専制主義国家である中国やロシアの経済をも含めた資本主義経済の行き着く先が見えてこない、混沌とした時代へと入っている。

権力者のあせりと焦燥感を感じるときに、第三次世界大戦のリスクは次第に高まりつつある。

ある著名人が言った言葉、「自由は与えられたものではなく、勝ち取ったものである」

と言う言葉が重く感じられる。自己中心的な考え方から他を慮ることに少しでも価値観を変えて行くことが大切なのではと思わざるを得ない。

 

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2月の異常な寒さの後に来た暖かさに、トンネルは剥がれたものの、また、ぶり返してきたこの寒さに野菜達も戸惑っている。

 

むかし野菜の四季ーPART2

(持続可能な農業とは)

 

持続可能な社会とは一体どのようなものなのでしょうか?

例えば、資本(自由)主義の行き着く先は、一部の企業や人に富が集中し貧富の差が拡大する。その富は株や投機などのマネーゲームに流れていき、投資に回されて社会経済を動かし新たな雇用の場を作ることも無い。そして、益々、富は一部の大企業や富裕層に偏り、中産階層は次第に消えて行き社会は階級社会に移っていく。

さらに、そうした社会ではより楽な流通サービス業に人が集まり、物作り(生産製造)産業が敬遠され、物作り技術や技能を支えている職人の気風が失われていく。

社会経済は産業が偏り活力を失い、多種多様な物を生み出す産業の芽生えは生まれ難い。

社会から生み出される沢山の商品はそれを購う人(消費者)にお金の余裕が無くなり、物は売れず購買力が落ち込んでいく。景気は上向かず、デフレ状態が続き社会経済は活力を失い、

人は内向きとなり社会経済の矛盾に対しても無気力・無関心になる。

経済が、社会が回転・再生産しなくなってしまえば、その社会は持続不能な社会ということになります。このようにして今の日本は全ての産業を適度の配分で再生させようとするエネルギーに欠けているようです。

結論から言うと、持続可能な社会とは、全ての産業がイノベーションを起し易く再生可能なことを指しているのです。

 

技術者・職人・農業者などは紋切り型のマニュアルとは異なり、専門的な経験と勘を持っております。かれらは一朝一夕には育ちません。

私が銀行員時代、不動産詐欺に遭い掛けていた会社員を助けたことがありました。それ以来懇意にさせて頂き、私の仕事上の相談にも応じて頂きました。

その方は、新日鉄の製造部長兼工学博士でした。彼がある時、私にこう言いました。

「佐藤さん、鉄は様々な触媒を使って作っているのです。勿論精密なマニュアルはありますが、その触媒を何時、どのような分量で高炉に入れるかは全て気候変化を見て職人が決めているのです。言わば永年の経験と勘なのです。それは私にも分かりません」

私は唖然としましたが、これが物作り日本を支えていたのですね。

今では、かれら優秀な職人達が定年退職によって退職し、中国・韓国などに引き抜かれていきました。残ったのは所謂マニュアルでした。

政治がセーフティネットを掛けて技術や職人を支援し産業の偏りを無くし、富を生み続ける株や投機を抑え、投資を生み出しやすい環境を整え、社会に於ける富の分配を調整しなければならない筈です。それが政策ですが、今の政治にはそれが見当たりません・・・

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除草剤を使わず、草木堆肥で土を作り、肥料も使わず育てた大豆畑です。
このすさまじい草の中から生き残った大豆を拾いながら脱穀している風景です。

 

では、持続可能な農業とはどのようなものでしょうか?

持続可能な農業のことなどを多くの有識者は語っているが、その方法を知らないため

抽象論を繰り返しており、具体的な方策は示せていない。

園芸業者が河川・道路などから刈り取った草や公園・街路樹・家庭からの剪定枝などは大量な産業廃棄物となっています。それらの木や葉っぱ・草には多様な微生物や菌類が棲んでおります。当農園ではそれらを受け入れ、草木堆肥を作り、畑に施しています。

豊かな大地とは小動物・小虫・微生物・菌類・ウィルスなどの無数の命が生物の連鎖を起こし、自然再生若しくは自然浄化機能を果たしている土地のことを指しているのです。

その自然の浄化機能を果たしているのが微生物や菌類なのです。

持続可能な農業とは自然素材であるそれら草木を堆肥として「自然循環する土」を育てる事です。その農業は膨大な手間と労力を要します。毎年変動する気候にも対処していかねばなりません。

それらの知識はマニュアルでは表せません。永年培った経験と勘が必要です。

農業では、窒素肥料と農薬そして太陽と水さえあれば、取り敢えず農産物はできます。

アメリカ中西部やロシア中央アジアなどの世界の穀倉地帯と言われたところは、永年大量の窒素肥料と農薬を使い続け、地下水をくみ上げてきた。土は砂漠化が進み、生物相は無く、今では瀕死の状態に近づいている。

近代農業では量産や効率を重視し、肥料(窒素)過多の土壌は塩基濃度が上がり、土の表面に塩分が吹き出し、不毛の大地となる。土壌の再生力を奪っている。

窒素過多の土壌・化学物質に汚染されつつある土壌には決して明るい未来は描けないのです。

 

淡路島の玉葱・青森のにんにく・北海道のじゃがいもなどと産地をもてはやし、如何にもその産地の野菜は美味しいと、メディアも含めて伝えております。その産地の野菜はみな美味しいのでしょうか?

確かに種子による美味しい品種特性はありますが、種が良いからと言って美味しい野菜ができる訳ではありません。

野菜の美味しさは「味・香り・旨味・食感」にあります。そして美味しい野菜はすべからく栄養価が高いのです。品質の高い野菜は土作りにその根本があるのです。

 

日本の先人たちは何代にも亘ってひたすら土を育ててきました。その先人たちの叡智を、

肥料栽培となった日本の近代農業では全て捨ててしまいました。

当農園では、雨が降ると畑から突然キノコが顔を出す。古い農業本には「キノコが這える土地は土が出来上がっている証拠」と書かれておりました。菌類等が土壌の再生機能を果たしているからです。

草木堆肥を使ってみて発見したことですが、堆肥を降って畝を立て種を蒔きます。

発芽してからほぼ1カ月間はいらいらするほど成長しないように見えた幼苗が2カ月目に入った頃から目に見えて成長を始めるのです。窒素分を供給し始めるのですね。成長が一段落した頃、窒素分が切れ急に大人になり成長が止まります。完熟期に入ったのです。

この生命のサイクルは化学肥料や畜糞・米糠油粕などの有機肥料ではできませんでした。

最初の1カ月は野菜が成長するための土台として根を張り基部を丈夫にした頃から、窒素分が供給され始め成長を促し、大人になって窒素分の供給が止まり完熟期に至ると言う、この成長のメカニズムは草木堆肥や微生物・菌類が引き起こす生命のドラマなのです。

しかも土は一切汚さず、常に浄化再生機能を持ち続け、美味しい野菜をもたらしてくれます。

この日本古来からの農業こそ、持続可能な本来の自然循環型の有機農業なのです。

 

むかし野菜の四季ーPART2

2022.2.11(金)晴れ、最高温度10度、最低温度3度

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                  開墾作業

 

 新たな畑を借りることになりました。

約3反ですが、その1/3は雑木や竹林です。

先ずは男3人で雑木の幹をチェンソーで切り、枝を落とす作業と並行して

竹林の伐採を行っています。

この後、木や竹を焼いて重機で根の伐根を行い、ならし作業を行ってから、葉っぱ葉っ木や葉っぱの破砕屑を全面に振り、土作りから始めます。

ほぼ一ヶ月は要します。

その後、荒れ地に適したさつまいも・大豆を植えて、3年以上、土を育ててから

始めて野菜が植えられます。

 

「持続可能な農業」

(F1種子と遺伝子組み換え種子の話し)

当農園のホームページに「貴農園はF1を使っていますか?」という質問がよく届きます。どうやら自然栽培と言っているので、在来固定種の野菜を栽培している筈であるとの思いからでしょう。

私はこうお答えします。

「当農園でも何種類かの固定種を栽培してはおりますが、F1の種の方が圧倒的に多いです。現在の農業では掛け合わせによる品種改良や新種子の開発が当たり前のように行われており、F1を外した農業は難しい」

そもそも固定種と言う種子は無く、長い年月を掛けて緩やかに自然交配を繰り返しながら地域の気候に馴染み、遺伝子が固定化し他の品種と交配し難くなった種子のことを在来固定種と呼んでいます。

それに対してF1種は、ある性質が優勢に出る種子同士を交配させて、新たな種子を人為的に作り出したものです。その新たな種子の遺伝子は不安定で、自然界ではすぐに同系統の他の野菜と交配しますので、その種を採取したとしても同じ性質の野菜はできません。

 

自然界では、普通に他の品種と交配を繰り返して今の種子があります。

例えば、人の社会では、古来から近親相姦を忌み嫌っております。それは何故でしょうか。平家の落人部落が次第に滅んで行きました。これは他の社会と交流せず、近親相姦を繰り返したため、奇形児や虚弱体質の子供が多く生まれてきたからです。

当農園でも長らくエシャロットを作っておりました。処が10年近く経過したとき、種子が次第に小さくなりはじめ、ついには死滅してしまいました。

在来を扱っている「野口種苗」の店主も、時々は他の品種と掛け合わせを行わないと育たなくなってしまうため、他の品種と交配を行うとのことです。

在来固定種は種類も乏しく、元来が雑種ですので、形状や育ち方が異なります。

普通の消費者は常に同じ野菜を食べ続けていられるでしょうか?必ず飽いてしまいます。

F1品種が危ないと言って敬遠されておられる消費者もおられますが、危ないという科学的根拠はありません。

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                   焼き灰

有機物を焼くと炭素やミネラルなどの無機物(元素)になります。

凝縮したミネラル分が得られます。

これをむかしは農地に入れて農産物を作っていました。

「枯れ木に花を咲かせましょう」の花咲かじいさんは逸話では無く本当の話だった

のです。

 

種子法の撤廃・種苗法の改定・引いては食品表示方の改正など矢継ぎ早に農業関連の法律を改正(改悪)し始めました。

「日本古来の種子を守る必要性が無くなった」「外国から種子を取られてしまうから自家採取を禁ずる」「自然界でも交配による突然変異は起こるのだから種子のゲノム編集は認める」「産地が混じることも多く食品表示はしなくても良い」と言う。

その裏側には農業大国アメリカ(種苗の独占)の影が常にちらついて見えるのは私だけでしょうか?

「遺伝子組み換え大豆・小麦・とうもろこしなどは安全なのか?」

消費者は染色体遺伝子を組み換えた農産物だから怖いと言うだけでは無く、除草剤を大量に吸い込んだ農産物が何故安全と言えるのでしょうか?と言った疑問を何故抱かないのでしょうか?

遺伝子組み換え作物や除草剤を扱っているアメリカの巨大企業であるモンサント社は種子の独占を狙っているし、この会社の強力な枯れ葉剤(除草剤)を輸入している先進国は日本だけです。ラウンドアップと言う名の除草剤です。

今や国の農業政策は無いに等しく、日本の食の安全性や食糧の確保を考えない国はやがて滅んで行くことを危惧せざるを得ない。

在来固定品種にこだわるのもよいのですが、むしろ遺伝子組み換え作物の輸入解禁や

食品表示義務を無くすなどの法改正の方が問題なのでは無いでしょうか?

 

ただ、種苗会社がF1種の開発にしのぎを削っていると言っても、その目指すべき方向性に問題があります。最近の種子メーカーは見栄え・量産可能・耐病性・育て易さなどを追求しており、味香り・栄養価・美味しさなどの品質を軽視しております。

何故そうなったのか?それは流通に乗せ易さ、あるいは、生産者の作り易さを選択しないとその種子を買ってもらえないからです。流通側のニーズに縛られている生産者も当然に作り易さや見栄えのする野菜を選択します。

 

むかし野菜では、年間10種類程度の新たな種子を試験的に植えてみますが、残るのはその中で1品種程度です。当農園では、見栄えなどより、先ずは美味しさや個性を重視しており、交配した元の原種の遺伝子を多く残している種子しか選びません。

大量流通社会では生産者と消費者とのやりとりが無くなり、真に消費者が望む個性があり美味しい品質の野菜が消えていこうとしております。

 

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                雨を待つ野菜達

冬期には貴重な雨が日曜日に降る予報で、農園のビニールトンネルを一斉に剥ぎます。

しばらくは寒に曝し、ひ弱になった野菜を引き締めます。

冬はこれを繰り返し、野菜を育てているのです。

むかし野菜の四季ーPART2

2022.1.21(金)曇り、最高温度8度、最低温度1度

 

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日曜日からまとまった雨が降るとの予報でビニールトンネルを全開する。

すると隠れていた冬野菜・春野菜が姿を現す。

厳しい冬の間はビニールトンネルを張り、野菜達を凍結から守ってやらねばならない。

ただ、寒いからと言ってトンネルを掛けたままでは、徒長したり、弱々しい野菜しか

育たない。水も足りなくなるし、直接に太陽に当ててやらねばならない。

急に剥いでしまうと、ひ弱に育った野菜達は寒気を受けてそのまま落ちてしまう

かもしれない。

そのため、朝からトンネルを剥ぎ、徐々に寒気に晒し、慣れさせて行かねばショックを

受ける。このトンネルを掛けたり剥いだりのタイミングが実に難しい。

これだけは経験と勘が必要となり、何より物言わぬ野菜の気持ちに添った愛情といたわりが最も重要となる。

 

 

むかし野菜の四季ーPART2

「草木堆肥の使い方」

草木堆肥による土作りがある程度進むと、本格的に多種類の野菜生産に取りかかります。

N/C比の低い草木堆肥であっても3年以上土作りが進んだ土壌は、微生物・菌類などの生物相が出来てきており、野菜の根と共生しながら野菜の生育に絡んできます。

また、有機物残渣も残っており、窒素分が全く無い訳ではありません。

そうした土壌の中に草木堆肥(元肥)を振り、併せてミネラル分補給と酸性土中和のために、草木灰1:蛎殻1:苦土石灰3を混ぜたものを施肥します。

これは酸性雨などによって酸性化が進んだ土壌のペーハー調整と青枯れ病などの病原菌を抑止するためです。

堆肥等を振り終わったら直ちにトラクターで鋤きこみます。

施肥された草木堆肥は完熟一歩手前のものを使うため、未だ増殖中の微生物や菌類が残っており、これらの菌類は太陽には弱いのです。

 

草木堆肥の特質は、以下の通りです。

完熟一歩手前の草木堆肥(元肥)を振り、直ちに種を蒔く、あるいは定植すると、

施肥後約一ヶ月  土中の窒素供給は弱い    野菜はひげ根を伸ばし基部を形成

施肥後二ヶ月目  土中の窒素供給は強い    野菜は急成長する

施肥後三ヶ月目  土中の窒素供給は微弱   野菜の成長は止まる

 

植えられたばかりの野菜は土中の微生物等によって窒素の供給は妨げられ、その間に野菜は窒素分を探して土中に根を張り、約一ヶ月間で十分に基部が育ち、二ヶ月目で微生物の活動が沈静化し始めると土中に窒素分の供給が増え、急速に野菜が生長し始めると言うサイクルが生まれます。不思議ですね。

その2ヶ月半~3ヶ月後に、土中からの窒素分の供給が止まると(窒素を切る)、野菜は内部に蓄えられた糖質(デンプン・炭水化物)を、自らが生き残るために分解し始め、生きるためのエネルギー(糖分やビタミン類)に変える。これを完熟作用と言います。益々不思議な生命のメカニズムですね。

完熟に向かっていく野菜生長のメカニズムを、この草木堆肥によって引き出していたむかしの日本人達の叡智には驚かされます。

 

むかし野菜の邑では、肥料を使わないとは言いましたが、窒素分が少ない草木堆肥の欠点を補い、安定した収量を確保して行くには草木堆肥の使い方に工夫が必要です。

野菜を安定的に育てるには、土を育てる元肥・野菜を育てる先肥・野菜の生長を増長させる追肥があります。むかし野菜の邑ではこれら全てで草木堆肥を使っております。

日本のむかしの農法では、元肥である草木堆肥の他に、人糞・藁・草などを混ぜて醗酵させた肥え(追肥)が使われておりました。

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               生育途上の芽キャベツ

この野菜も元肥・先肥と使います。

芽キャベツは下から徐々に収穫していきます。

枯れた葉っぱは掻いてやり、次第に上へと収穫をしていきます。

食感が命の野菜ですので、食べる際は一端湯がいておき、スープなどへ投入するのは

スープが完成する直後に投入しますと歯切れの良い食感と美味しさが味わえます。

 

 

それでは、むかし野菜の邑での各種野菜に応じた草木堆肥の使い方をご紹介しておきます。

  • キャベツ・白菜などの巻きもの野菜(堆肥量を二倍に)

草木堆肥は肥料ではありませんので、肥料分を欲しがる野菜を栽培する場合は、どうしても堆肥を厚めに撒く必要があります。通常の堆肥の量を二倍にします。

根を張り終わるまでは、土中からの窒素供給はあまり無い方が良いのですが、芯の部位が急成長して巻くキャベツ等については、元肥施肥後、2ヶ月半から3ヶ月で窒素供給がピークに達するようにあらかじめ通常より二倍の堆肥を施肥しておきます。

すると成長期に窒素分が野菜の芯の部位に働きかけ、急速に巻いてくるのです。

窒素供給が少ないと開いてきます。

 

  • ブロッコリー・カリフラワー・セロリ・南瓜などの成長期間が長い野菜(先肥を)

これらの野菜は樹勢が強く、成長期間も長く、多くの窒素分を欲しがります。

そのため、草木堆肥を施肥し耕した後、定植する箇所にスコップ1~2杯分の草木堆肥を施し、野菜を定植します。その際、堆肥は弱酸性のため、苦土石灰と焼き灰を少し足してやります。これを先肥と言っております。

二番果・三番果が次々と出てくるブロッコリーなどの場合は、肥料分が足りないと判断されれば、追肥も行います。

 

実が成る野菜(トマト・茄子・ピーマンなど)は先肥を施し、最初の実を収穫する頃、追肥として堆肥を施します。畑作りのための元肥、植え付けの際の先肥、実成りを良くするための追肥と、三回は草木堆肥を使います。追肥の際は、除草を兼ねて鍬で中耕(畝下をさらう作業)をして堆肥に土を被せます。(畝下を深く掘り下げることによって、根に酸素を供給してやります)

追肥のタイミングは一番・二番果がなり始めた頃です。

茄子などは秋茄子にするため、さらにもう一回堆肥を追肥として施肥することもあります。

こうすると、寒がこなければ11月一杯まで収穫が可能です。

 

※小規模農園や家庭菜園の場合

家庭菜園などでは、草木系の堆肥はそんなに大量には作れません。

元肥をやったとしても急に地力は上がってきませんので、どうしても窒素不足に陥ります。

その場合は、化成肥料やぼかし肥料を追肥として施肥することをお勧めします。

化成肥料だからと言って、土を汚すことにはなりません。要は肥料を過度にやり過ぎなければよいのです。

ぼかし肥料は、家庭の残飯・米糠や油粕や乾燥鶏糞や乾燥牛糞などを混ぜて水をやり、厚めのビニールなどを掛けて、可能ならば、葉っぱなどを加えて約2か月間ほど醗酵させれば、出来上がります。

 

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           巻き始めた春白菜(2月下旬頃)

 

むかし野菜の四季ーPART2

2022.1.15(土)晴れ、最高温度13度、最低温度0度

 

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                  極寒の白菜

 

久しぶりに気温が10度を超えてきたので、日中、お日様に当てるためにトンネルを

剥ぐ。

巻き始めている奴も巻きかねている奴もいる。

白菜やキャベツは芯の部位が急成長して始めて巻きます。この寒い時期には成長が

遅く、ビニールトンネル程度では霜除けにしかなりません。夜間は氷点下に下がります。そのため、個々の野菜の力が強い奴は巻くし、そうでない奴は開きます。

そのため、2月~3月出荷の白菜は「巻かない白菜」として当農園の冬の名物となっております。果して今年はどうか・・・!

 

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白菜の隣は芽キャベツです。

キャベツ系は秋に定植し、真冬の1月~3月頃までの出荷となります。

キャベツ系は冬に強い野菜なのです。

 

毎年のことですが、1月~3月初旬頃、出荷野菜が不足してきます。

中秋から初冬に掛けて、この時季用に野菜の種を蒔き、定植をしてはいるのですが、

野菜の繋ぎが上手くいかず、お客様も増加したことも重なり、今年も相変わらず農園主は頭を悩ませております。

 

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              エンドウ豆系の野菜

 

中秋から晩秋に掛けて種を蒔きます。極寒の間、彼らは根を張り、寒さに耐えて耐えて

育ちます。あまり早くに種を蒔くと感に堪えられない野菜は落ちていきます。

野菜の生命力の強さに驚かされます。

 

 

むかし野菜の四季ーPART2

「草木堆肥の実践」

草木堆肥は肥料ではありませんので、新規の畑に堆肥を振ったからと言って窒素分が少ないため野菜は成長不足となりますし、栄養価の高い美味しい野菜とはなりません。

土が育つまでちょっとだけ我慢してください。それでは実際にどのように草木堆肥を使って土を育て、野菜を育てていくのかを詳述致します。

 

(新規の畑の場合)

草木堆肥を振った畑で何も収穫物が無いと言うのも困りますので、土がある程度育つまでは以下の作物を植えます。

 

土作りの初期には、麦と大豆の二毛作栽培を行いながら土を育てて行きます。

大豆; 初夏6~7月には大豆の種を蒔き、11月頃収穫。

麦類; 大豆収穫後、11~12月には麦類3~4種類の種を蒔き、翌年梅雨入り前に収穫。

夏の雑草は大豆を覆い尽くす勢いで繁茂しますので、管理機で入念な土寄せを行い、畝下の除草と畝に土を被せます。それでも雑草の勢いは強いので草刈り機で畝間を除草します。

このように除草剤を使わない穀類生産(自然栽培)は中々に厳しいものがあります。

 

初期的な畑でのもう一つの方法が窒素分を好まないさつまいも栽培です。

さつまいもはジャガイモ(茎が変化したもの)などと違って根物野菜です。栄養価に富んだ畑ではさつまいもは茎や葉っぱが育つ蔓ぼけと言う現象を起こします。サツマイモは根物ですから上部が育つと根(芋)は育ちにくいのですね。

そのため、土を育てねばならない初期的な畑では有効なのです。

このように初期の畑では、草木堆肥による土作りを行う約三年間は穀類(麦と大豆の二毛作)を生産したり、窒素肥料が不要なさつまいもなどを生産する。ただ、土が出来ていないため収量が少ない(1/3以下)

草木堆肥歴2年を過ぎた頃から、土は数㎝の深さに団粒化(砂状)の兆候が出始める。

 

尚、化学肥料を使っていた畑は化学物質と除草剤や農薬により、微生物が棲める環境ではなくなり土が死んでいます。さらに、化学肥料や畜糞施肥によって窒素過多となり、塩基濃度が高く、酸性化が進んでいる畑などは、pH調整(中和)とミネラル分の補給をしなければなりません。団粒化した土に変わるのには3年以上掛かることもあります。

そのため、ミネラル分豊富なアルカリ性苦土石灰・蛎殻・焼き灰により土壌改良を行う。尚、籾殻・燻炭なども有効です。炭素分の多い有機物を投入した方が良いのです。

逆に、数年以上放置されていた畑の場合は、雑草に覆われていたため微生物層ができており、草木堆肥歴二年目頃からでも美味しい野菜ができる可能性があります。ただ、雑草の種子が多く残され、しつこい雑草も多く2~3年間は除草作業に追われます。

 

以上のように新規の圃場は穀類の二毛作等で、年間二回草木堆肥を振り、最低2年間の土作りから始めます。

但し、水田の跡地の場合は、泥田が固まっており、土壌の表層(10㎝程度)部分は腐食化が進みますが、水捌けが悪く周囲(側溝)を掘り下げ、水を逃がします。

新規の畑は先ずは土木工事から始めなければなりません。

 

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(草木堆肥歴3年未満の畑)赤ラベル

小麦・大豆・さつまいもなどの栽培で1~2年間ほど土を育てた圃場は、2年ほど経過した後、根の浅い葉物野菜や枝豆等の窒素固定化野菜(根粒菌により空気中の窒素を根に取り込む)穀類を育てていきます。

 

※草木堆肥施肥量の目安

施肥量の目安は、長さ80mの畝二ヶ分に軽トラック1台分の草木堆肥を撒く。

同時に、焼き灰2:苦土石灰6:蛎殻2を蒔き土を耕す。酸性雨が多く降る日本では圃場の土をできるだけ中性に近づけるようにしなければならないことと、元々堆肥は弱酸性ですので、弱アルカリ性の石灰等が不可欠となります。

完熟一歩前の草木堆肥には、増殖中の微生物や菌類が活きており、草木などの有機物残渣と草や菜の花などの鋤き込んだ緑肥を餌にして土の中で増殖し続ける。微生物等の増殖作用そのものが、畑を耕してくれていると言う訳です。

草木堆肥施肥によって土は1年間でおよそ深さ3㎝腐食化(団粒化)が進む。3年間土作りをしてきた畑はおよそ10㎝の深さまで腐食が進む。そのため根の浅い葉野菜から生産を始める。歯切れはあまり良くないが、味香りが出てくる。土壌には明確な団粒化の跡はまだ見えないが、鍬の入りが良くなる。

むかし野菜の邑の等級では「赤ラベル級」の価格を設定している。

葉物野菜は年間4回転はする。初期的な土作り途上の畑は堆肥施肥をなるべく多くするために回転率の高い葉野菜などを育てる。

 

赤ラベル級の畑で育てる主な野菜の種類

小松菜・青梗菜などの葉野菜、レタス系、じゃがいも、分葱、玉葱などの根の浅い野菜

 

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(草木堆肥歴3年以上5年未満の畑)銀ラベル級

 この頃から土壌は深さ15㎝まで腐植が進み、少しずつ団粒化(砂状)の跡が見え始める。

野菜の味にも明確な変化が出始め、味香りが明確になり、歯切れも良くなる。

この段階では大根・ホウレン草・蕪類・胡瓜・ズッキーニ・南瓜などが育てられる。

 

(草木堆肥歴5年以上の畑)金ラベル級

土壌には団粒化の痕跡が顕著に見られ始め、鍬の入りは断然に良くなる。

野菜の味にも明確な変化が出始め、味香り・食感に加えて旨味が出てくるようになる。

野菜を使い慣れたシェフや味覚の鋭い主婦層には違いが分かってもらえる。勿論、普通の舌しかも持たない農業者(私も含めて)はこの違いを見分ける訓練をしなければならない。

木もの・実物・根菜など何でも育てられる。白菜・キャベツ・セロリ・ブロッコリーなど

生育期間の長い野菜には、堆肥の量を増やすか、先肥を行う。(後述)

 

むかし野菜の等級

赤ラベル・・・土作り歴3年未満      土の団粒化は深さ10㎝ほど進む

銀ラベル・・・土作り歴3年以上5年未満  土の団粒化は深さ15㎝ほどに進む

金ラベル・・・土作り歴5年以上      土の団粒化は深さ20㎝まで進む

プラチナラベル・・・土作り歴10年以上  深さ40~50センチまで微生物層あり。

尚、土作り歴10年以上の畑は、オールマイティな畑となり収量も多く、栄養価に富み美味しい野菜ができる。

 

このように、土が育つには長い年月を要します。

ある学者が「一度に大量の草木堆肥を施肥すれば、短時間に土が出来上がる」と書いているのを読んだことがありますが、それは無理です。土壌に小虫・微生物・菌類などの生態系ができあがるには長い年月を要します。

そのため、最初は作物の回転が速く、根の浅い葉物野菜からはじめます。

自然循環の仕組みは人間が一朝一夕にできる業(わざ)では無いのです。

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※小規模農園や家庭菜園を行う場合

草木堆肥を本格的に作るとなると大変なので、以下のようにされると良いと思います。

  • 除草した草や収穫した野菜の屑や残渣を畑の一カ所に集める。
  • 公園や山間から葉っぱを集めてきては草に混ぜておく。
  • 市販の鶏糞や畜糞をその上から時折振りかけておく。
  • 厚手のビニールをその上に掛けておく(微生物や菌類は直射日光に弱い)

ある程度それらが溜まってきたら、フォークなどで高さ1m位に積み上げ、水分量を調整しながら(湿っている程度で良い)踏み固めておく。これを踏み込み堆肥と言います。

高さが足りないため、圧も低く完全発酵には至りませんが、ある程度熟れてきたら隣に切り返します。(酸素を補給)堆肥がぼろぼろになったら土に混ぜ込みます。

 

草木堆肥の切り返し

堆肥の切り返しは季節にもよりますが、約一ヶ月半が目安です。良い堆肥ができたら嬉しくなりますよ。

家庭菜園では、追肥として米糠・油粕などを約2ヶ月間発酵させ使います。

これも水分を加えて厚手のビニールを掛けておきます。(ぼかし肥料と呼びます)