2020.2.26(水曜日)晴れ、最高温度14度、最低温度6度

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              剪定枝の破砕作業

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           小枝と葉っぱを選り分けている処

当農園では、化学肥料や畜糞を肥料として圃場に撒く代わりに、草木堆肥を撒いている。その堆肥を作る作業に膨大な労力を要する。

写真は造園会社が持ち込んでくる剪定枝を大枝は破砕し、小枝は葉っぱと選り分けて

いる作業風景です。葉っぱと破砕屑が堆肥の原料となる。

木には、計測不能なほどの微生物と放線菌が棲んでいる。草と繁殖牛の牛糞と混ぜ合わせ、2メートルの高さに積み上げる。

2日ほど経過すると、微生物と放線菌が有機物を餌として増殖してくる。これが発酵と言う現象です。高速で分裂増殖するために、発酵熱が出る。

この堆肥作り作業を一ヶ月に2回ほど行っている。

他の農家と比べると余計な作業が必要となるが、その分、野菜は健全で美味しくなるのです。

 

2020.2.23 健全な食を求めて!

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農園では草木堆肥を作るにあたって繁殖牛の牛糞を発酵促進剤として20%ほど草や葉っぱ・剪定屑に混ぜて堆肥を作っている。肥えてしまえば、子供を産まなくなってしまうため繁殖牛の主たる飼料は、配合飼料では無く草を食べさせている。
それに対して、肥育牛はアメリカ産の配合飼料を餌として与えている。それは養鶏・養豚でも同じです。
その配合飼料には、遺伝子組み換えの穀類(除草剤を吸い込んでも枯れない遺伝子が組み込まれている)が主原料となっており、さらに、病気や菌の増殖を抑えるために抗生物質が大量に入っている。抗生物質は皆様ご存じのように菌類を殺すことがその役割です。
本来、有機栽培(自然栽培も同じ)は土壌に微生物や放線菌を(有機物を餌として)増殖させて土を育てて行くものです。→自然循環農業
この除草剤と抗生物質の含まれた畜糞を畑に施肥すると、当然に微生物や放線菌は圃場では生きていくことが出来ません。故に、当農園では、繁殖(放牧)牛の牛糞しか使わないのです。
しかも、草木と一緒に発酵させておりますから、発酵途上に土着菌によって、多少混じり込んだ化学合成物質は分解されます。野菜を植え込む度に、計測不能な種類の微生物・放線菌が草木と一緒に圃場に補給され続けられるために、土壌は自然の浄化機能(自然循環)を保ち続けております。
そのため、当農園の圃場の土は微生物・放線菌が棲み付き、ほかほかとしております。気温が上がり、雨が降ったりすると、キノコ類が顔を出します。むかしの農家では、畑にキノコ類が生えてくる土が最高と言われてきました。

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さらに怖いのは、肥育ホルモン剤の使用です。
週刊誌である女性セブンにこの肥育ホルモン剤のことが掲載された。(2020.2.27号)
近年日本の農業にも成長ホルモンが使われております。真っ直ぐな胡瓜・丸々と大きくなった梨などなど、成長ホルモン剤が使われている可能性が高い。
かって、肥大したスイカが大きな問題になったことがありました。
アメリカでは牛肉の消費量が半減しているそうです。その理由はアメリカでは育牛に肥育ホルモン剤を使用しているからです。子供さんのお乳が急に発育しだしたり、女児の生理が早くなったりと明らかに異常な影響が出ているようです。アメリカの知識人達は肥育ホルモン剤投与の牛肉は決してそれを食べないし、欧州ではアメリカ産の牛肉は発がん性物質等の理由にて輸入禁止となっております。
アメリカとの農産物関税の撤廃が進んでいる中、アメリカで消費が少なくなった牛肉が大挙して日本の消費者に回されているのです。
肥育ホルモン剤の使用は日本では認めていないにも拘わらず、それを使いたい放題に使用しているアメリカ産の牛肉は解禁している。アメリカ大統領トランプの圧力に屈した結果としか言い様がない。
ちなみに、肥育ホルモン剤の禁止成分の表示が為されていない国は世界でも日本しか無いのです。

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日本の消費者の方は、もっと「食の安全性」に関心を持つ必要があるのではないでしょうか?
自らの健康は自分で守るしか無い時代に入っていることをもっと認識しておいたほうが良いと思います。
食の安全性は、日本の男社会では「忖度」社会となっており、余り語られることもありません。家族の健康を守っている女性が厳しい目を向けるべきだと思います。
日本の政治はそのようなことも全てクローズしており、又、現在の日本の報道は自粛されておりますから、消費者へは真実が伝わりにくくなっております。日本は今では世界の中でも食の安全性劣等国になっております。日本人は世界のモルモットになっているのです。念のために・・・

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農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.2.19(水曜日)晴れ、最高温度13度、最低温度-1度

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2月の気候は、三寒四温。太陽は次第に上に回り、日照時間も増えてきている。

この時季、露地栽培の農作物の管理には、神経を使う。朝は突然に氷点下に下がったり

日中は15度を上回る暖かさとなりやすい。

作物によっては、凍結したら溶けていくものもあれば、ビニールトンネル内の気温が上がり過ぎると、腐れが発生するものなど、皆その性質が異なる。

そのため、ものによって、トンネルを開けたり、閉めたりの繰り返しの作業が当分の間、続くことになる。この当たりになると、露地栽培の経験が物を言う。

これを覚えるには、10年ほどの経験を要することになる。自然栽培・露地栽培・年間百種類の野菜作りには実に長い時間が掛かるため、人育てが難しいのです。

そう言う農園主も未だに試行錯誤の繰り返しではある。

 

2020.2.19  カット野菜・冷凍野菜の増加

数ヶ月前、農園へ一人の青年が訪れてきた。
彼は佐伯市で農業をしてきた。その後、大分市東部の自宅で農家から野菜を集め、ご夫婦で野菜の販売をしているが、むかし野菜を扱ってみたいとの申し出がなされた。
当農園では、直販が基本であり、「流通=小売」との取引はしていなかったが、熱意もあり、取引を行う事にした。
その時、農園ではネット宅配の他に、農園直売も行い始めた時期であったが、野菜中心の八百屋さんと言う商いの難しさを感じていた。
彼には大分市の東西地区でお互いに頑張ろうと、励ました。
その後、奥様も当農園を訪れるようになり、八百屋さんの難しさを訴えていた。
彼女はこう言った。
「うちは、若い主婦層が多いのです。野菜を売る前に、料理の仕方から始めねばなりません。さらには、野菜の切り方まで教えねばなりません。こう聞かれるのですよ。一口サイズとはどの程度なのですか?」
ついには、農園から仕入れた野菜をカットして届けるようになったそうだ。

都市圏では、八百屋さんが立ちゆかなくなってきていると言う情報が伝わってくる。
一時は、テレビにまで紹介されていた新進気鋭の八百屋さんが、今では生鮮野菜の販売の比率を極端に落としており、店先に並ぶ商品群の多くが弁当や惣菜・加工品に移っている。
また、東京の青山(高級住宅地)にあるファーマーズマーケットに行ってみたら、有機野菜のコーナーは激減しており、雑貨店やお菓子屋さんのテントが立ち並び、一体ここは何だったのだろうと思われる状況に変わってしまっている。

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30年前頃、バブル崩壊前夜の時期、「安・近・短」と言う言葉が流行った時代があった。
安くて、易くて、安楽と言ったような意味である。健全性・本物志向とは真逆な価値観であり、節約志向とも異なる。
カット・冷凍野菜は、手軽・簡単・便利が「売り」であり、楽な食を求めるのであれば、当然に支出(費用)は増えることになる。さらには、安全性や健全性とは遠く距離を置く事にもなる。
家族に美味しく安全な食を!と言う賢明さが命を預かる主婦から失われつつあることに憂慮している。

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これは農園のチーズケーキ。古代麦ブレンドの小麦の粉(半粒粉)を使用。そのため、味香りが高く、存在感がある一品となっている。写真は試食の風景ですが、偶々、作りたてを食べた時、熱々のチーズケーキとなり、それがまた、実に美味しいのです。

 

当農園の直売所では、水曜日は野菜中心に売れているが、日曜日は惣菜・お菓子類が中心となっている。
これは水曜日のお客様の年代層が高く熟年層が多く、日曜日は比較的若い層が多く見えられているせいだと思われる。ここでも料理に手間を惜しむ「安・近・短」の傾向が見え隠れする。
明らかに消費者のマインドがバブル全盛時代のような方向へ変化し始めているのを感じている。
自然栽培の農産物を広めるために、次世代を担う若いスタッフ達(後継者達)は毎週団地に赴き、ビラ配りを行っている。徐々に固定客も付き始めているが、その拡がり方は鈍い。
彼らは店頭に並んだ野菜を前にして、逐一野菜の説明を行っている。唯、その説明が精一杯で、そもそも自然栽培とは何か?化学物質に塗れ始めている食の安全性は?何故今自然栽培なのか?健全な農産物はどのようなものか?どのように労力をかけどのような農法で栽培しているのか?などなどの説明をする時間が取れず、苦労している。

若い後継者はこう言う。
「何故我々が手間を掛けてこのような自然循環農法を行っているのか?現在の農産物や加工食品の安全性に危惧があること、などの詳細を理解してもらえる機会を作ったほうが良いです」と・・・
唯、農園主が感じたことは、健康は自分で守らねばとか、現在の食は危ないとか、健全な食生活とは?などと話しかけても、それに関心を抱いている消費者は、年々減少していっていると言う事です。
例えば、自然循環農法を若い方に理解してもらいたくて、農園体験会を開催すると、

200人を越える家族が参加してくれる。
処が、それによって、むかし野菜の購入にも、食の健全への興味関心にも繋がっていかない。只、子供さん達を遊ばせるために参加しているに過ぎないのかもしれない。

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約4反(1,200坪)の5・6番の圃場。ここには20種類以上の野菜が育っている。

 

欧州では、有機野菜のシェアーが15%を越えている。日本では、わずか0.5%以下である。
欧州では有機野菜生産活動が環境への負荷を減らし、自然を守っているとの認識が消費者に強く、それが有機野菜を支えている。それに比べて、日本では、自らの周りしか見ておらず、自然を守るのは自分達の責任であるとの認識が消費者に乏しい。
私が気に掛かるのは、日本の大人達が子供達の未来は考えていないことにある。
古き良き時代の日本人は、もっと寛容性があり、社会的責任を分かっていたように思うのだが・・

 

農園日誌Ⅲ-むかし野菜の四季

2020.2.12(水曜日)終日雨、最高温度15度、最低温度5度

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二番の圃場。正面は芽キャベツの畝。空豆、セロリ(ビニールトンネル)と続いている。約一反の面積に冬春野菜 が15アイテムほど育っている。

 

2020.2.12 規制国家に生きること

中山間地を回ると、田園風景は一見今までと同じように拡がっているが、人の影は無い。田植えシーズンだけは、トラクターで田圃を耕している80代のお年寄りの姿がぽつぽつと見える。
元気よく飛び回っている子供達の声はまったく聞こえてこない。農業承継者である筈の息子は街に出て行ってしまっているからだ。
圃場の周囲には、必ずと言って電気柵が見える。里山が消え、山際が人家に迫ってきているため、猪や鹿などが里に直接下りてくる。田圃には獣に掘り返されたような跡が散見される。あちこちで放置された田圃が目立ち始めており、多くの獣たちの住処になっている。
千数百年を掛けて営々と田圃に張り巡らされてきた用水路は誰が維持していくのだろう。
一見豊かに見える田園風景には、それを維持していく働き手はいない。
これが今の政治が作り上げた地域の現実です。

日本国民は農業に手厚い補助金助成金が出されていると思っているのかもしれない。
かっては、農業族と言われた農政官僚達の手によって、多くの補助金が出されていた。
その下請け機関として、農協があった。それは今でも大きくは変わっていない。
その補助金の使い道は細かく分類されており、その規程に沿わなければ、返還を求められる。
つまりは、農協を絡めて作り上げられてきたのが、近代農業を勧める大量生産・規格型の日本の農業システムであり、日本の農業は農政官僚・役場・農協などによる一体化した岩盤組織となっている。
広大な面積を駆使してグローバル農業を推進しようとした日本の農業は、日本が規制国家である縮図のようなものなのです。
消費者の方が思うほど、緩くは無く、規制が隅々まで行き届いており、農業に於ける自由は無いに等しい。日本の農業は、狭い耕作面積を使った高集約型農業(高付加価値型)しかできない国土なのです。
こうして全国紋切り型の農業を押しつけられてきた農村部は、すでに自浄していく力も改革する能力も失い、日本の政治は農業そのものを見捨てようとしている様にさえ見える。

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米麹。きれいに麹の花が咲きました。この麹は主には味噌作りのために作っているのですが、他にも漬物・蒸し饅頭などの隠し味に使っている。旨味が付加され美味しくなる。

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今年の冬は気温が急上昇し雨が降り続いたり、また、突然に寒の戻りがやってきたりと、野菜にとっては、生き死にに拘わるほどの変化が起こっている。その度に、露地栽培農業者もトンネルを開けたり閉めたりと振り回され続ける毎日である。

 

「大企業優先による経済の浮揚が国を富ませ、やがては中小企業や地域を潤してくれる」
殖産興業・富国強兵の政策はすでに明治時代に終わっている。世界が縮み、経済的繋がりも拡がり、大企業は生き残りをかけて自社主義に走らざるを得ない。国内に広く資金を(富みを)循環させることは決して無い。
こういった政策に、「そうだ」と頷く国民も今ではそんなに多くは無いだろうとは思っている。
バブル崩壊後、失われた30年と言われている。日本の経済構造の変革(リストラクチャリング)も行われず、規制緩和や撤廃も為されず、ひたすら現秩序を国の補助金などで維持させてきた。
「規制」とは、現秩序・現体制・現企業を守るためにしか作用しない。
このため、生き残れないはずの企業が残され、新しい秩序どころか、新規分野の産業も生まれてはいない。農業と言う産業が変わらないのもそのためである。
このままでは農業と言う産業は崩壊してしまうでしょう。失われた30年ではなく、失われた50年となっており、この先も失われる訳でしょうから、食糧自給も難しくなってくる。

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とある日曜日の農園直売日の風景。竈で石垣餅を蒸して、試食用の小さな団子をお客様へお配りするお手伝いをしている子供たち。

「日本という国は、豊かな山野を持ち、田園風景が拡がる美しい四季の邦である」
以前、日本の現職総理大臣が言った言葉である。
その総理大臣の使ういつもの美辞麗句には慣れてはいるものの、現実政策とのギャップに余りにも大きな開きがあり過ぎる。

官公庁では、自然栽培農家はおろか、有機栽培農家も異端なのです。有機栽培と言うだけで、既存農家からも蔑視の目を向けられてきました。それは今も変わらない。
日本の農政は農協を中心とした米国を真似た近代農業(化学肥料・農薬・除草剤を使う慣行農業)を推進しており、有機栽培への助成支援は実質ゼロに近い。むしろ、消費者保護の名目で有機JAS法を制定し、厳しく規制を加えられております。そのためか、有機栽培農家は増えるどころか、減少しております。
有機農産物のシェアーは0.5%でしか無い。国が一方的に定めた有機JAS規程に沿って生産される所謂「有機JAS農産物」は0.2%に留まっており、年々その有機農家も減少している。
これらのことはおそらくは消費者の方々も知らないでしょう。欧州では有機農産物のシェアーは増え続け、15%に達している。
それに加えて、最近特に、食の安全に関心を寄せる消費者も漸減し始めております。
メディアも既存価値観に忖度しており、栄養価とか健康に関する報道は組まれてはいるが、その内容は底が浅く、薄っぺらい。食の安全・健全性などに関する報道は激減しております。
現在は有機野菜生産農家には逆風が吹き始めております。

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これでは、益々新たな農業に関する産業が生まれてくる土壌は無くなり、日本の農業の構造改革は難しいでしょう。
農業を心出す若者がいたとしても、農業後継者が育つ環境が失われつつあることを憂慮しております。
ここしばらくは、内を固め、耐えていくしかないのかもしれません。
そうした時代、有機農業を越えた自然循環農業を推進して行こうとする「むかし野菜の邑」の存在意義を実感しているのですが、その難しさも痛感しております。
価値観を同じくする消費者の輪の拡がりと、特に若い消費者への啓蒙・啓発活動の重要性が問われているのではないかと思うのです。
日本の田園風景には、子供達の飛び跳ねる風景が一番似合う。

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.2.5(水曜日)晴れ、最高温度10度、最低温度1度

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       草木堆肥歴18年目のプラチナ級の2番の圃場の夕景

畑としてはやや異様な風景に映るかもしれない。

右端から芽キャベツ空豆、セロリ(トンネル)、エンドウ豆、白菜(トンネル)と連なっている。

エンドウ系の畝は枝が付いたままの竹を刺し、蔓が昇り易いように豆の手をしてやる。

毎年の風物詩となっている。

 

2020.2.4 立春


暦の上では、春が来ました。一年間の内で実は最も寒い日が続くのがこの頃です。
この最後の寒波が過ぎれば、日は一日一日と長くなってきておりますので、早朝凍える中での収穫作業からやや解放される。
育苗ハウス内では、トマト・ピーマン系の夏野菜の新芽が吹きました。底には電熱器を入れての強制的な発芽ですが、農園主の頭の中は、春野菜の種蒔き・定植作業を横目で見ながら、夏野菜の植え込み準備に飛んでおります。

今年は、記録的な(この処毎年そう言っておりますが)暖冬のため、野菜の種蒔き時季もかなり早めなければならないようです。そうなれば、作付け計画も例年の経験は生きて来ず、当然に数々の種類の野菜の収穫時期(出荷時季)も変わってきます。
当農園では、定期購入他の特定固定客が全てですから、お送りする野菜のアイテムも一度に重ならないように植え付けを配分・調整しなければなりません。
その際、農園主が常に考えているのは、その時季時季によって、一つ二つの核(主菜)になる野菜群を組み立てていきます。

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最近では冬の定番野菜となったブロッコリー。写真は二番果です。

一番果は大きいのですがさほどに美味しいわけではありません。実は、二番果・三番果の方が味が乗って美味しいのです。これは草木堆肥の特徴でもあります。

先ず、一番果を収穫しますと、野菜は子孫を残さねばと、二番果・三番果を付けようします。その頃、土壌の窒素分は少なくなってきており、窒素が不足気味で育つため、実が完熟野菜に近づいております。完熟野菜は糖質・ビタミンに富み、さらに、ブロッコリーは最後の力を振り絞って美味しい実を付けようと頑張ります。


例えば、こうです。
2月・3月は、すでに植え込んであるブロッコリー・キャベツ類・白菜・大根などを主菜として、葱類・白蕪・赤蕪類・紫大根などの添え野菜があり、じゃがいも・人参(赤・黄)・さつまいもなどの根菜があり、青梗菜・小松菜・ほうれん草などの葉物野菜があり、サラダセット・レタス系などのサラダ野菜がある。
そこに、セロリ・春菊・ビーツ・葉にんにく・芽キャベツなどの珍しい野菜の彩りを添えアクセントを付ける、と言った具合である。
このように野菜群を配していくと、色とりどりの野菜が通常のご家庭では、飽くことなく、いつもむかし野菜を楽しんで頂けることになる。新規に野菜を取り始めた定期購入のお客様からは、送られてくる野菜が楽しくて料理のレパートリーも増え、家族も喜んでおりますとのお便りも頂いている。
残念ながら10数年以上の古手のお客様からは、そんな感動させていただけるようなメールは送られて来ない。唯、むかし野菜が日常化しているのだろうと、有難く思ってはおります。

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赤蕪です。冬はこれ以外にも、紅蕪・紫大根・紅葉スティック・紅芯大根・黄金蕪・黒大根など色彩豊かな蕪及び大根が育ちます。

4~5月の春は、これらの野菜群が主役となっており、2月以降は野菜を切らさないように数段階で種蒔きをし続けておけば良い。
又、この時季は、晩秋に種を蒔いていた豆のシーズンが到来する。絹莢エンドウ、スナップエンドウ、実エンドウ、空豆と来て6月はインゲン豆へと続く。

唯、このままの暖冬が続くとなると、それぞれのシーズンが半月ほど早まり、インゲン豆の種蒔きは例年3月下旬頃から3月中旬へと早めねばならないようだ。

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様々な形のズッキーニ。初夏野菜の定番メニューとなる。

同じように、胡瓜・ズッキーニ・南瓜などの初夏野菜群の種蒔き時季も早まりそうだが、問題となるのが、これらの野菜は寒には滅法弱く、4月にやってくる遅霜のリスクがあり、遅霜や寒を避ける対策が必要となる。

このように、秋冬野菜から春野菜への移行は概ねアブラナ科の野菜が多く、ほとんど根源は同じ種類の野菜群であるが、がらっと変わってくるのが夏野菜群であり、初春は、露地栽培農業者の知識と勘と知恵を巡らせていかねば、うまくは繋がっていかないものなのです。
年間百種類の野菜を育て、特定顧客を抱え、常に消費者の皆様に満足して頂くと言うことは、それほど簡単なことでは無い。
この知識と経験と勘を如何に繋いで行くか、また、それを受け継いでいく者達の心構えは、常の精神力では難しく、自然や人に対しての謙虚さと探究心が必要とされているのです。
先人達の叡智を受け継いでいった者としては、その意識の高さを持ち続けて行って欲しいと願うのみです。

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麦を刈り取った跡に、大豆の種蒔きのために、草木堆肥を振っている処。この圃場は小原君(農園の卒業生)の穀類畑。むかし野菜の邑、全員での共同作業となる。

 

 

2020.1.29(水曜日)晴れ、最高温度13度、最低温度6度

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            プラチナ級の2番の圃場の冬景色

冬の作業の一つであるエンドウ豆系の手を刺したところ。

晩秋に種を蒔き、冬の間に根を太らせて、春4月に収穫となるスナップエンドウ・絹莢エンドウ・実エンドウの蔓が伸び易いように、枝付きの竹の支柱を立てる。

今年は、直売所を開いたため、例年よりやや多く5列とした。春の人気アイテムでありまた、美味しい。

特にこの二番の圃場は草木堆肥歴18年と土が肥えており、何を作っても美味しい。右隣は3月採りの越冬紫キャベツと春キャベツの畝。

 

2020.1.25 気候異変による野菜の豊作貧乏

 地球規模で異常気象が続いている。今までに経験したことの無い暖冬となっている日本の農家では、野菜が出来過ぎて困っている。価格が暴落し収入が半分以下になった生産者の苦悩は計り知れません。消費者は野菜が安くなってハッピーなのでしょうが、手放しで喜んでは居られなくなるのです。これは単に農家が痛手を被ると言うだけでは済まないのです。
その理由はこうです。

 

野菜で生計を立てている農家は、年間生産量を決めております。
季節毎の気候条件に合わせて、一品種について、2~3段階で種を蒔き、毎年ほぼ同季節に野菜を段階的に出荷しようとします。
例えば、今年のような異常な暖冬気候の場合、一段階目の野菜の成長が早くなりすぎて、市場に大量の野菜が出回り、価格は暴落します。さらに、悪いことに二段階目の野菜も暖冬のため、成長がすぐに追いつき、だぶついている市場に、さらに出荷しなければならなくなります。三段階目の野菜も全く同じことになります。
さらに、野菜の成長時期が早まるだけでは無く、異常に大きく太くなる事によって、大量の規格外商品が生まれ、折角一所懸命に育てた野菜を大量に畑で放棄しなければならない生産者の心の痛みは計り知れないものです。

こうして、マーケットには、一時期に大量の野菜が出された結果、次の時期に出る野菜が畑から無くなり、野菜がマーケットから姿が消え、結果として、野菜の価格が高騰してしまいます。
これが、消費者にとって、野菜が暴落することがハッピーなことにならない理由です。
特にこのように全国的な暖冬となれば、一地域に限定された災害などの場合と異なり、一気に野菜が市場から姿を消すことになってしまいます。

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             春白菜とレタスの定植

春3月下旬採り予定の白菜と、3月中旬採り予定のレタス系。畝を分けて植え込む。

春白菜は必ず、1~2月に定植し、トンネルを掛けて保温し、成長を促す。この間、トンネルを開けたり閉めたりと忙しい。急に温度が上がると蒸れて溶けてしまうからです。3月初旬頃になると、トンネルを撤去し、伸びきった白菜を寒に当て、締めてしっかりとした株にしていく。この時季の判断が難しい。

 

当農園は草木堆肥(低窒素露地栽培)による手間と労力と時間を掛けて野菜を育てております。
野菜は土壌に窒素分が少ない分、慣行栽培や有機栽培と比べて根を土中に広げ、髭根も多く、根菜などは根を分岐し地中に暴れまわっております。市場で言うところの規格外商品が多く育ちます。
この見てくれの悪い栄養価に溢れた健全な野菜を市場原理に委ねようとは、最初から考えておりませんでした。そのため、農園を開いてから特定顧客、つまりは、定期購入のお客様だけに野菜を直接販売する方法を選んだのです。

従って、その特定のお客様への出荷に応えるだけの計画栽培になります。
そのため、野菜の価格は概ね常に一定価格としております。豊作の時季も、不作の時季も同じ価格でお届けすることが公平だと思うからです。
葉物野菜など一時季に急に成長する際は、価格は変えず1.5倍に増量して届けます。
全国的に不作の時は、変動する気候条件に合わせて懸命に工夫しながらも何とか最低量を確保します。
そのため、関東のお客様からこう言ったお便りが届いたこともありました。
この野菜の不作の時季、キャベツが半玉で300円もするのに、一玉300円で良いのですか?と・・・

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           4番の圃場に植えたほうれん草。

今現在、9番→3番→4番→4番の圃場と4段階で種を蒔いている。ほぼ3週間間隔で種を蒔いている。9番は現在出荷中であり、野菜の成長に合わせて計算すれば今後、二ヶ月分強のほうれん草は確保していることになる。ビニールトンネルは開けたり閉めたりすることによって、成長スピードの調節が可能となる。それも永年経験してきた農業者の勘の世界です。

 

資本主義は、市場原理(需要と供給)に任せて置けば、落ち着くところに落ち着く、と言うのが、定説でしたが、それは長い時間を掛けて、実証されて世界が自由と繁栄を謳歌してきました。
しかしながら、ここに来て富みの偏りを産み、個人主義(互いの価値観を尊重する)から自己主義に移り、階層社会から階級社会的なものが形成されつつあるような気がします。
断っておきますが、私は決してコミュニストではありません。むしろ頑張った者にはそれなりの報酬がもたらされるべきだと思っております。
化学肥料や農薬・ホルモン剤を使い、手軽に大量に均一商品を生み出そうとする慣行農業と比べて、草木堆肥の原料を一から集め、労力とリスクを掛け、健全な野菜を生産し、自らの健康だけでは無く、それを買って頂いている消費者の方々の健康を守ろうとする自然循環農業に対して、相応の代金を求めるのは当然だと思っております。

但、社会は、決して一人では生きていけません。
いくら崇高な理念を掲げ、安全で美味しい野菜を生産しているとは言っても、其の価値を認めて頂ける、購って頂ける消費者の方が居なければ、生産者は生きてはいけません。その意味では、我々生産者と消費者は、価値観を共有する仲間達ということになります。
別の言葉で言い換えると、その仲間達は一つのコミュニティということになります。
そうであれば、沢山採れる時季でも、わずかしか採れない時季でも、その農産物の価格を変えるのはフェアーでは無いと思うのです。
その生産者と消費者達は、価値観を共有する一つのコミュニティだと農園主は考えております。

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             出荷作業中の風景

全国二百数十名の定期購入のお客様へ野菜をお送りしている。この仕事を始めてから様々な方との出会いが生まれた。それもまた楽しからずや!

 

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.1.22(水曜日)雨、最高温度14度、最低温度2度

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              冬の風物詩ー麦踏み

 

スタッフ総出で麦踏を行う。楽そうに見えるが、結構きつい。

かっては何処に行っても、見られた初春の麦踏みの風景が今ではほとんどの地域で見られなくなっている。ここ、挟間町で数軒の農家が麦を蒔いているだけになっている。

兼業農家では、稲作の裏作として麦を育てていたが高齢化が進み、後を引き継ぐ人も居なくなった。勿論、麦の専業農家はほとんど居ない。

仕方なく祖先から受け継いでいる田圃に稲を植えるのが精一杯なのです。

 

2020.1.22 冬の農園

 今年の冬は、気候が安定していない。厳冬期だというのに、寒気団も中々九州へは降りて来ず、南海上には湾岸低気圧が周期的に顔を出し、曇ったり、雨が降ったりと冬晴れは長続きしない。
いつもであれば、畑全面、ビニールトンネルに覆われ、静寂な白い世界となっているのだが、色合いが錯綜し騒がしく見える。

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冬の厳冬期だと言うのに、今週は一週間ほぼ雨の予報。暖かい南風が吹き、湿った雲を連れてくる。ビニールトンネルを一斉に剥ぎ、雨に当てる。

 

冬季は何もすることが無いだろうと考えるのは、農業を知らない方の言うことで、この時季、春野菜だけではなく、夏野菜の準備が始まる。
育苗ハウス内では、レタス・キャベツ・白菜・ブロッコリー・トレビスなどの春野菜の種蒔きを行っている。同時にトマト・ピーマン・茄子・万願寺などの夏野菜の種蒔きも始まる。
暖かくなる春頃に、夏野菜の主役となる実物(果菜類)の種を蒔いても実が稔るのは、夏以降となってしまい、それこそ秋野菜になってしまう。
そのため、専業農家では、厳冬期から育苗ハウス内で、育苗トレイに種子を蒔く。底には、電熱器を敷き、ビニールトンネルで覆い発芽を促す。自ら種を蒔き苗を育てる専業農家は少なくなっている。最近ではハウス栽培農家は、苗を他から購入しているようだ。

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育苗ハウス内に、底に電熱器を置き、育苗トレイに種を蒔き、さらにビニールで覆い、発芽を促す。これは第一陣の夏野菜と春野菜の苗床です。

本葉が出て、ある程度成長したら育苗トレイからポットに揚げ、草木堆肥で育苗ベットを仕立て、堆肥の発酵熱で根を育てる。
実に定植するまで、3カ月を要することになり、その間、如何に上手に育て管理していくかがポイントとなる。毎年同じことをやっているのに、中々うまく育ってくれない野菜もある。
上記の果菜類の他に、インゲン豆・胡瓜・南瓜・ゴーヤなどの実物もあり、3月初旬頃からその種蒔きが始まる。夏野菜の植え込み(定植)は、遅霜のリスクが去る4月10日過ぎに行う。

一方、春野菜も出荷時期に応じて数段階にて、種を蒔き、こちらも中々に忙しい。
春野菜は、パオパオと言う優れものの不織布を掛けたり、ビニールトンネルで覆ったりして、出荷の時期をずらしながら、1月末頃から定植作業を行っており、この作業は3月まで続く。

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発芽したばかりのキャベツの苗。右側は春菊。

春野菜はこの時季、およそ3週間単位で3~5段階で種を蒔く。この連続した種蒔きで野菜を途切れさせることなく、お客様にお届けできる。

この他に、1月はほうれん草・ツァーサイなどの冬野菜の種蒔き、氷点下を下回らなくなる2月下旬頃からは、人参・大根・蕪類などの種蒔き作業が始まる。
年間百種類以上の野菜を切らすことなくお客様に直接お届けすると言うことは、そんなに甘くはない。
少しでも気を抜くと、あるいは、思い込みが過ぎると、野菜はすぐに途切れることになり、いつも同じ野菜しか揃わないか、度々休園を繰り返さねばならなくなる。

さらに、この時季、数万株植え込んでいる玉葱などの除草作業が延々と続き、春夏野菜に備えて草木堆肥の原料となる剪定枝の破砕作業をしなければならない。
忘れてはならないのが、去年種を蒔いた麦畑の麦踏みと除草作業です。右左に重心を移しながら踏み込んでいく作業は、ほんの数分もするといくら寒くとも額に汗がにじんでくる。畑5枚分約1haあるのですから・・・

このように露地栽培農家は、皆様がご想像する閑寂な冬とは異なり、冬季は中々に賑やかしく毎日が忙しく、寒さに耐え、春の訪れを待ちながら、春夏野菜に向けて働き続けております。

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日曜日開催している農園マルシェで試食用に作っている「おいもダンダン」(石垣餅)

子供たちもお手伝い。蒸し上がった石垣餅を取り出している処。

訪れたお母さんがおっしゃる。ここの子供たちは皆闊達で明るい。子供を育てるのに良い環境ですね。うらやましいですと

この子供たちを見ていると、社会が夢のある環境でいて欲しいと願わざるを得ない。

 

唯、腹立たしいのは、多くの国民が先の見えない将来への不安を持ちながら、生きるために懸命に毎日働いているのにも拘わらず、党利党略のため、あるいは、自己保身のため、国民のためと称しながら政争に明け暮れている野党や、長いものには巻かれろと言わんばかりに、忖度を繰り返している与党の政治家達である。政権を担う与党なら、行政府の奢りや不公正さを是正すべく動く政治家がいるべきであり、
一政治家の独裁的な動きを牽制してしかるべきと思うのです。最も大企業の多くが似たり寄ったりであるのは、この時代が生み出した末期的な構造なのでしょうか。
そう言った思いを持っているのは農園主だけであろうか?
政治に期待していないと答えている若者達は、実に87%も居ると言う現実に、心寒いものを感じる。
彼らもまた、闘うと言う事を知らない。この国は、世界は、何処へ向かおうとしているのか・・・
70代になって、農園主は彼ら若者達にそのことを教え、導く努力をしてきたのだろうか?私達の世代の責任を感じてしまうのです。

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定期購入のお客様2百数十名、農園マルシェに訪れてくれるお客様は、延べ百名ほど、

農園を開いているために、様々な出会いが起きる。お話をする中で、互いにプライベートのことには触れずとも、その方々の生活やバックヤードが見えてくる。

そこはかとなく、さりげなく、心の交流がある場でもあり、やさしい気持ちになったりする。

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.1.15(水曜日)曇り、最高温度9度、最低温度2度

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             ツァーサイ(中国野菜)

存在感があるでしょう。葉緑素の塊です。放射線に伸びた姿が特徴的で、誰かが「コサージュ」のようですねとおっしゃった。主には炒め物にするが、実は煮魚に合う。冬に育つ希少な品種です。暖かい時期に育てると上に伸びてこのようにきれいな放射線状には育たない。

 

2020.1.15 「社会的存在価値」

現在の農産物は、化学肥料・農薬(特に浸透性農薬やサリン系農薬)・除草剤・ホルモン剤抗生物質などの化学的物質に満ちている。有機野菜と言えども、畜糞(飼料に含まれる化学物質や抗生物質)主体であれば、野菜の体内に硝酸態窒素(窒素過多)も含めて有害物質が内包され、人体への悪影響を及ぼす可能性が高まっている。
この危険性に警鐘を鳴らしている学者も多く、それを感じ始めている消費者層も増え始めている。
一方、現代農業は、野菜生産が容易な施設栽培(ハウス等の管理栽培)全盛の時代である。
気候変動・寒暖差・風雨・太陽の光・虫の害などに晒されるため、生産リスクの高い露地野菜から多くの農家は、離れてきている。
それならば、自然の中で逞しく育つ露地栽培・自然栽培農産物の商品化ができら・・・と農園主は考え続けた。それが、先人達の叡智を受け継ぐ日本古来からの草木堆肥による(木に含まれているミネラル分や微生物・放線菌を活かしたまま、土に戻す)自然循環農法であった。現在では、日本だけでは無く世界にも残されていない農法です。

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これは9番の圃場。佐藤自然農園にて研修を終えて、独立農園としてむかし野菜に所属している。7年目の後藤さんの圃場です。この圃場は土作り(草木堆肥による)4年目の「銀ラベル級」の圃場となりました。微生物・放線菌層が深さ18センチ程度までに棲んでいる腐植土になっている。(一年間で3~5センチ、腐食が進む)土作りには時間がかかるのです。

 

農法が決まると、次は、商品ラインが必要となる。
消費者と直接向き合おう(直販)としたら、いつも同じ野菜を送り続けてもお客様はすぐに飽きてしまう。自分がお客さんだったら間違いなく飽きる。
当農園も次第に商品アイテムが増えていき、今では年間百種類を超えている。
毎週、あるいは、隔週にお届けする野菜は一回につき、10~15種類にも及ぶ。それも毎週新たなメニューを加えながらの発送が続く。
農園主は、野菜が途切れないように、頭の中のコンピューターが長い経験に基づき、毎年、毎季、変化し続けている気候条件に対応しながら、次々と作付計画を指示し続けることになる。

さらに、野菜・穀類などの農産物生産と同時並行して模索し続けてきたことがある。
無添加醗酵食品である漬物・味噌・その他加工品の製造であった。
漬物原料の野菜やお米はグループ内農園で生産されているが、味噌及び穀類加工品となると大豆・小麦の生産者はいない。
となると、自然農の大豆や小麦などマーケットには無く、あったとしてもかなり高価なものとなる。
新たな田んぼを借り入れ、畑作転換のための草木堆肥による土作りから始めねばならなくなった。
2~3年の失敗を重ね(時には全滅の年もあった)、ようやく、大豆・小麦・とうもろこしの自然農生産が軌道に乗ってきた。

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由布市下市の後藤さんの麦畑。2018年度の裸麦の収穫風景。この年までは草木堆肥しか施肥しないため麦の背丈が足らず、かなりの量の麦を無駄にした。2019年度より、本格的な収穫ができるようになった。麦は窒素分を好む。そのため、元々低窒素の草木堆肥では、生育は無理だと、農業普及所の研究員が指摘していたが、土作りが進んだ2019年度から収量が飛躍的に増え、定説をようやく覆し、昔ながらの草木堆肥での自然循環農法の在り方を示すことができた。まさしく、古代からの農法の復活であった。

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これが2019年度の裸麦の成長した姿です。しっかりした麦が出来た。しかも、その味香りの豊かさに農園主すら感動した。

 

グループ内に露天原木椎茸の生産者がいる。
彼と出会ったのは、私が由布市で美味しい野菜作りのセミナーを開催した時でした。
その受講生の一人であり、質問を受けた。
「私は、ハウスや施設栽培の原木椎茸は作りたくないんです。あんな実が痩せて味香の薄い椎茸ではなく、露天で、自然条件に晒されて美味しく育った椎茸を作りたいのです」
さらに彼の悩みを聞く。
「それでも乾燥椎茸にしたら、以前のようにはドンコやコウシンの一級商品もそんな施設栽培の乾燥椎茸とそんなに価格の差がつかず、それが悔しいのです」
私は彼にこう言った。
「それなら、一度圃場に行きましょう。その上で、乾燥するためには油代が嵩み、そんなに頑張っても利益は出ないでしょ。露天原木椎茸生産の苦労はよくわかりますよ」
「こうしましょう。その高級ドンコを生椎茸として、出しましょう。我々は自然循環農法で生産している同行者です。私の販売している消費者層にはきっと理解してもらえますので、一緒に頑張りましょう」と・・・
このようにして、絶対にマーケットでは手に入らない最高級ドンコ椎茸がむかし野菜のお客様達の食卓に今では並んでいる。新しい「ドンコ生椎茸商品」の誕生である。
ついでに、もう一つ、彼には庄内産の美味しい糯米を生産してもらい、自宅の竈で蒸した糯米をお餅として製造してもらっている。関東の方にはまる餅は珍しい商品となる。
今ではむかし野菜グループの一つの人気商品となっている。当農園の自然農の大豆からできた黄な粉(大豆粉)がお供としてついている。

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米麹と大豆を等倍で合わせたもの。これからこれをミルで混ぜ込み(砕き)、味噌玉にした後、樽に漬け込む。むかしながらの本醸造味噌(無添加・天然塩)となる。原料全てが自然栽培の味噌は全国にも例が無い

正しくオンリーワンの味噌となる。

 

むかし野菜グループの味噌や漬物・加工品の原料は、草木堆肥施肥する自然循環農法によるものであり、原料の全てが自然栽培となれば、市場に出回っているその他の加工品とは、全く異なる新規開発商品であり、これは市場創造商品と言うことになる。

視点を変えれば、農業の世界でも、差別化商品として、あるいは、市場創造的(新規開発)商品として、様々な可能性があることを、知って欲しいのです。
その裏側には、廃れていく昔ながらの健康であった時代の食文化を、現在の食の安全を脅かされ始めた飽食の時代に復活させたいという強い思いがあります。
70代以上の方にとっては、古き良き時代の食の復活となり、若いお母さん達には、まったく新しい食文化の提案ということになります。
ここに私達のグループは、「社会的存在価値」のある存在であり続けていきたいと考えております。
同時に、唯、「儲ければ良い」との社会的風潮にも苦い思いを抱いており、農園主は、現在、失われつつある事業体の「社会的責任」と言う概念を強く感じております。

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                   野菜饅頭の仕込み風景