農園日誌ー季節の移ろい

29.8.30(水曜日)晴れ、最高温度33度、最低温度25度

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                      秋野菜の育苗

 ようやく日中の温度が35度を下回り始めた。
例年なら8月の盆明け頃から秋野菜の種蒔き・ハウス内での育苗を行っていたが、
今年は、ほぼ一週間遅れた。暑さのせい。
これが始まると、いよいよ秋になる。

草茫茫となっていた夏草の除草から始まり、除草した草は堆肥場へ運び、こぶしなどの面倒な草をスコップで堀りあげた後、堆肥を振り、畝立てを行う。そして種を蒔く。
いつもの秋作の風景となる。

イメージ 2先輩から後輩へと
受け継がれていく
農業の技術。
鍬で畝を上げ、レイキで馴らす。
畝を表面は平面に仕上げる。
でこぼこがあれば、雨が降れば水が溜まり
畝が決壊する。まさに
鏡のごとし。
一人前になるのに3~5年を要する。

 自然循環農法では、労力の塊となり、労働対価を計算すると、今の価格より倍の値段をつけなければ、とても見合わない。
それでも通常価格の1.2~1.3倍で販売している。極く普通の方々に食べてもらいたいからだ。そのため、この農法では、畑の回転を上げ、かつ、有効な植え付け面積をなるべく多く取らねばならない。機械化では粗放農業となり、栽培有効面積は激減する。ここは、多くの場合、手作業となる高集約農業の典型。

きつい作業の連続ではあるが、なんだか嬉しい。これから毎日水遣りを行わねばならない。新芽を吹く風景がまた見られる。季節の移ろいを肌で感じているのかもしれない。

昨日、大根一畝、蕪系一畝、サラダセット一畝、葉物野菜一畝の種を蒔いた。
一週間後にはこのセットをまた一回、さらに一週間後にはまた、一回と順次5回転ほどの作業を行う。その間、じゃがいも・にんにく・わけぎ・ほうれん草などの植え込みと
胡瓜・ズッキーニ・インゲン豆などの定植を行う。
9月下旬にはキャベツ・ブロッコリー・レタス系などの定植も待っている。

当農園は消費者への直接販売を基本としており、待っていただいているお客様に届ける野菜を途切らすことはできない。
これが一連の当農園のサイクルとなり、自ずから、季節の移ろいを先取りして農作業を進めていく。「自然に順なれ」が露地栽培農家のライフスタイルとなっている。

農業経験の無い消費者の皆様は、少し涼しくなると、当然のように葉野菜があり、キャベツがあり、大根があると思っておられる。
この暑い時季に種を蒔き、苗を育て、失敗(種まきなどのやり直し)を繰り返しながら
ようやく出荷にこぎつけることを、もっと知ってほしいと思うこともしばしば。

とにもかくにも、今秋最初の種蒔きがうまくいってくれることを願う。

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三色茄子

おそらく南方系の茄子だと思われる。
品種改良して日本でも生産されるようになった。元来が生食用に開発されたものらしく、灰汁が無い。

火は最小限に加えて、色落ちが少ない状態で食べて頂きたい。味はクリーミー

夏野菜は真夏に育つとお考えの方も多いかと思うが、ここ十数年の傾向で、露地野菜の夏野菜の旬は、確実に狂ってきている。
雨季と乾季を繰り返す最近の日本の気候の激変の中では、農業そのものが、難しくなりつつある。夏野菜の旬は9~10月に替わっている。
この南方系の茄子も含めて、茄子の旬(最盛期)は秋茄子となっている。

盆を過ぎると昼が短くなり始め、19時頃には急速に日が落ち、辺りは真っ暗になる。
昼が日一日と短くなってくるこの季節、酷暑を乗り越えた農人たちの体には、疲れが溜まってはいるが、畑は急速に模様替えの準備が急がれる。