農園日誌ーレストラン研修

29.1.25(水曜日)最高温度10度、最低温度―2度

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              むかし野菜の邑、新社屋の棟上げ

 六次産業化の国の補助金(3割)が絡んだため、着工が約一年間遅れて、ようやく
1.23に棟上げにこぎつけた。2月末、加工場と製粉所は完成予定。
棟梁の音頭で、男組若手スタッフ4人と一緒にお神酒を酌み交わし、工事の無事を
祈る。簑原工務店の棟梁が赤みの杉材を選んでくれて、純木造のきれいな色合いと良い香りがした。やはり木の家は良い。心が和みほっとする。

翌日、竣工祝いも兼ねて、29.4.30(日曜日)「未来へとつなげる(食)の集い」を
開く計画であり、10年来のお付き合いのジュルジュ・マルソーとジョイント開催を行う
そのための打ち合わせと研修生の飲食の現場研修を目的として福岡に出向く。

 今回の「集い」は、全国の全てのお客様へ招待状を送り、農園見学会を兼ねて、一緒に一日楽しんでもらおうと考えている。

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  すました顔で、フレンチのフルコースを頂いている風景

サービスの説明を聞きながら、どこか考える風に食べている。
これは研修なのだから・・・
おそらくは、研修生の二人は、初めての体験だとは思うが、やや緊張気味の顔。
時間の問題ではあったが、すぐにリラックスし始め、楽しんでいたようだ。

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なまこの前菜の後、
生ハムとむかし野菜の
オードブル。
蕗の薹とトマト以外は
全て佐藤自然農園の
産。全て温野菜にしている。
絶妙な火加減に気が付いてくれたかな。
ほぼ半生に仕仕上げている。

半割の中蕪は二度火を通している。

何故か?の質問に、・・・? 一度目は表面の繊維を壊すためであり、二度目は、
閉じ込めた旨み(甘味)を活かすため、ゆっくりと火を通す。
これは農園主の説明でした。
祐輔君が、「お父さん、この(左側の蕪のスライス)黒大根が薄すぎる。もっと送ってやらねば、悲しい!」と・・・厳しい寒さで成長が止まっているのです。
さらに、「お父さん、一番果のブロッコリーを始めて食べた。やはり少し青いですね。二番果が味が乗っているというのがようやく分かりました」と・・
これは、一番果はまだ成長過程にあり、完熟期一歩手前のため、一番果を収穫した後、二番果の頃が完熟期に入るからです。

賢太郎君は、初めてうちのカリフラワーを食べた。美味しかった。感動ものですねと宣う。
皆さまはお分かりでないと思いますので、注釈を加えますと、
農園では、ブロッコリーの一番果やカリフラワーなどは食べたことがないのです。
農家では、常にお客様ファーストなのです。

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玄界灘白身の根魚
をベースにして、
青梗菜・小松菜などの
葉野菜をトッピング。

スープはアサリベースのソース。

ちなみに、葉野菜は、
大きな葉物を先ず、
間引き収穫し、次に、
二回・三回と間引きを
繰り返し、最後に残った落ち野菜です。

生き残り環境が熾烈なため、大きく成り切れなかった一番小さな葉野菜です。
ところが、この残り野菜(落ち野菜)をレストランに出荷します。
生育競争に負けたとは言っても、一番最後まで残った野菜です。土の栄養価を一杯吸収していることと、完熟野菜となっているため、もっとも美味しく旨みの溢れている野菜ということです。

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本日のメインとなります。
牛ほほ肉、人参のムース、ほうれん草、牛蒡、
じゃがいものムース、
最後は、田北農園の
最高級のどんこ椎茸

肉と牛蒡以外は全て
佐藤自然農園の産。
やや辛めであったため、もう少し薄味で
食べたかったとの祐輔君の弁。

その辛さはソースが醤油ベースとなっているためであろうと推測される。
肉の付け合わせの場合は、もう少し薄味の量が多めの野菜が付いていたらと・・
人参ムースのさりげないナチュラルな甘さにシェフの腕を見た気がする。

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最後はデザート

下に敷いている果物は
むかし野菜の八朔
飾りは当農園のミント

甘さと酸味のバランス
が良く、さっぱりと
頂けたが、ここで、農園主は腹一杯。

付けてくれたパンも
流石と言う美味しさで
した。

ジュルジュ・マルソーは最初は小さな小さなレストランでした。
期せずして当農園と付き合い始めてから、徐々に大きく成長し、今ではJR九州
看板列車「七つ星」のメインシェフとして、週一回その列車の料理を担当している。
ここで使われている野菜の80%がむかし野菜グループのもの。

少しは研修生も誇りを持ってくれたかな・・・?
と同時に、野菜作りは、料理と同じく真剣勝負の世界であることを認識してくれたら
ありがたいのだが・・・
どれが一番美味しかった?の問いかけに、野菜のオードブルと答える。
小西さんに良かったのか、悪かったのか?

「集い」の内容だが、当日はマルソーのオーナーシェフとその一番弟子が、農園の野菜を即興で料理をして、お見えになられた方々にふるまうこととなった。
むかし野菜の邑の農園料理との競演となる。
共に美味しい素材をどのようにして活かしていくかが問われている。

当日は、時期的に旨みの元になるトマトがないなあ!との小西シェフの弁に、
旨みなら、日本にも漬物や味噌があるよ!と答えたら、それで行こう!と・・・
こんな会話を10年間も喧嘩しながら二人の関係は良く続いたものだと、帰り道思う。
農園主とシェフとの勝負はこれからも続けたいが、どちらも丸くなっていくことが、良いことなのか、悪いことなのか。
いずれも次の世代へ繋げていくことでは一致している。

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     一枚4反(約1200坪)の由布市庄内の広大な麦畑、麦踏みの風景
      明日は、由布市狭間町の麦踏みが待っている。