農園日誌ーこの国の行方ーPARTⅤ-市場創造

29.1.4(水曜日)晴れ、最高温度13度、最低温度5度

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               快晴に晴れ上がった新年(二番の畑)

 明けましておめでとうございます。
内向きに向かう世界の中で、激動の予兆が見えてきております。それだけに、
皆様には良い年であることを願っております。

国家とは何?自由とは何?成長とは何?政治は誰のために?豊かさとは何?
生きるとは何?それらの問いかけがなされる年になるのではないでしょうか?

むかし野菜グループも、今年新たな施設が整います。
それに伴って、私達の試みを是非皆様にご理解頂ける年にしたいと考えております。
全ての完成は4月中旬になります。どうか機会を作り、一度はここに訪ねて来て頂きたいと願っております。

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今年の仕事始めは、高菜の漬物の仕込みでした。
偶々、ジョルジュマルソーの乃木さんがシェフの指示で、勉強のため、当農園を訪れてきましたので、彼にもお手伝いをお願いしました。
高菜を収穫し、半日ほど天日で干し、しんなりとなったら、塩で手もみにする。
今日は、研修生と一緒に約30キロほど漬込みができました。
一部は2週間ほどの浅漬けにし、残りは、半年以上の深漬けにする。


―この国の行方―PARTⅤ 地域復興への新たなる試み(市場創造)
 
 今までなかった夢の食品を創り出したり、あまりにも手間や経験が必要なため消えつつある懐かしい伝統的な食品を現在に復活させたりすることが出来たら・・・
それが消費者の真のニーズであれば、それは必ず、新たな市場を創り出すことができる。
そのニーズは、実は心の奥底に眠っており、形にできていないものでありながら、意外と身近にあるものかもしれない。

自然循環農法で生産された農産物でのみ加工品を製造したら、消費者へ安全で栄養価に富んだ美味しい加工品も届けられる。これが永年考えてきた夢であった。
 
(商品開発)
 
既存の農産加工品・菓子類・パンなどの原料のほとんどは、海外産であり、国内産であったとしても大規模農法によって生産された農産物です。
企業は大量に商品を生産するため安価で均一な農産物原料を求めるのは当然である。必然的にその原料(農産物)は大規模農業に頼らざるを得ない。
大規模農法では広大な面積に、膨大な手間のかかる除草作業を避けるために除
草剤を撒き均一な農産物を収穫するため大量な化学肥料農薬を使わざるを得な
い。収穫の際は大型機械を使うため、邪魔になる茎を枯らさねばならず、もう
一回除草剤を撒かねばならない。このことを多くの消費者は知らない。
(例えば、遺伝子組み換え大豆や小麦などは強い除草剤でも枯れないように、人為的に作り出されたもの)
 
 その大規模農法(粗放農業と言う)の対極にあるものが、労働集約型農法と
言われる比較的小規模な農業である。日本の農地の多くを占める地域の中山間
地農業である。
もし、多くの人手が必要な自然農の農産物生産(労働集約型農法)が経営的に
成り立つ仕組みができたとしたら安全で美味しく健康的な農産物加工品ができ
る。これが永年考えてきた穀類生産及びその加工品事業です。
 
10人のスタッフが集まってきており、野菜だけではなく、多くの人手を要する自然農の穀類生産(結いの仕組みの共同作業)が可能となり、夢の実現に向けてスタートを切る。

その際、心強いのは同じ価値観を持つ大切な消費者(仲間達)が全国に200名以上おられ、様々な欲求や消費ニーズのお話が聞けることです。
お客様には実に迷惑なことかもしれないが、細かくその欲求やニーズを聞き取り、細分化し、組み立てを行う(農業に)マーケティング的思考を取り入れることが可能になる。
 
つまりは、消費者と生産者が一緒に「食の未来を考える」こと。それが自然農農産物による新たな商品開発ということに繋がっていくことになる。
 
(市場創造)
 既存市場(すでに市場に出回っている商品群)は、顕在的ニーズの表れであり、心の底に眠っている欲求や潜在的ニーズを探り出し、その商品を創り出す(新規市場)
 
分かりにくいので、実例を挙げて説明します。
市販の味噌や漬物があります。
最近では、量産化するため、大豆を蒸して磨り潰し、機械で絞ります。これに薬品処理をし、短期間に味噌を製造しています。
これだけでは、長時間熟成させた醗酵食品とは異なり、旨みが乏しいので、人工的に作られたアミノ酸を加えます。
消費者へ届ける際に、醗酵食品ならではの乳酸菌等が生きていると、袋詰めされた味噌や漬物が動きます。つまりは活きているため変化してしまいますので、滅菌処理をします。
乳酸菌が居ないこれらの加工品は雑菌に晒されますので、防腐・酸化防止などの処理がなされます。
こうなると、この味噌や漬物は果たして発酵食品なのかと疑問を持たざるを得ません。
醗酵食品は熟練された職人の経験や勘が要求されます。
短期間に大量に均質な商品を製造しなければならないために、工業化した味噌・漬物らしきものにならざるを得ないのかもしれません。
 
実に大雑把な説明で申し訳ありませんでしたが、これらの工業化された味噌や漬物が、市場に出回っている商品としたら(全てではありませんが)、それを顕在化された既存商品と呼ぶことにしましょう。
それに対して、むかし、各農家で作られていた純粋に無添加な発酵食品(しかもその原料となる米や大豆も自然農のものとしたら)は消費者が求めている、あるいは、イメージしていた味噌や漬物ということになります。→消費者が潜在的に求めているニーズ
 
もう一つ例を挙げてみます。
グループでは、野菜万頭を作ろうとしております。
これは、何のことは無い皆様がお馴染みの肉まんです。
但し、肉まんは、材料(餡)は口当たりよくするために丹念に潰し練り込みます。
皮はおそらくはふわっとあげるために薄力粉を使っているのでしょう。
当農園の野菜万頭の材料(餡)は、素材が明確にわかるように、また、食感を大切にしたいため、むかし野菜の旬菜の乱切りと豚肉を混ぜ合わせます。
皮は自然農の地粉(中力小麦)を使います。この小麦粉はもちもちと仕上がり、歯ごたえがあります。皮も実も両方とも素材さと美味しさが味わえます。
先日も取引先のフレンチレストランの料理人たちがあっという間に、一人5ケ、平らげてしまいました。おかげで我々の口には入りませんでしたが・・
 
肉まんは顕在的ニーズ(既存商品)ですが、今、皆様が想像されている野菜万頭が潜在的ニーズ(新規商品)となります。
 
分かりやすく説明すれば、顕在的ニーズとはすでにマーケットに出回っている主力商品群のことであり、消費者がすでに体験しております。
市場創造とは、心の中にある欲求を引き出してやり、それを明確な新規商品として形にしていくことではあるが、その新商品を消費者は未だ体験しておりません。そのため、その商品特性や価値観を消費者に理解してもらう努力が重要となります。
つまりは、市場創造とは、市場細分化による新規商品の開発とそれを消費者に伝える膨大なコミュニケーション活動のことを指します。


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この市場創造が地域から、小規模な集約型農業から、生まれたとしたら、そして、それが大都市に住まれる消費者の支持を得られたとしたら・・・
地域は小さな一つの力を得ることになります。
その試みが多くの地域へ広がっていったとしたら、地域は大きな力を得ることでしょう。

新春の初夢に終わらせないように、先ずは、むかし野菜グループから始めたいと
考えております。

次回は最終章(おそらく?)
→ネットワーク作りへ続く