農園日誌ー地域産業の育成とナチュラルマーケットの拡大

29.12.6(水曜日)曇り後晴れ、最高温度9度、最低温度1度

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                    冬の農園の夕暮れ

 午後4時半の気温4度、二番の畑は静の世界。
その美しさに思わず見とれる。
むき出しにされている人参。寒さに耐えて、実に緩やかに成長しており、来年の一月
には出荷される。さどかし美味しく育っていることだろう。

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トンネルを剥ぐってみると、セロリが寒さに
震えながらも、ゆっくりと育っている。

今年の寒さは身に応えているだろう。
農人はビニールトンネルの中に、一重の
織布を着込ませ、
成長を促す。
本来の気候であれば、
この倍の大きさに育っている筈なのに・・

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こちらは白菜。
何回も失敗しながら
10月末頃に種を蒔いたもの。
育苗ハウス内で芽を吹き、11月末、5番の畑に定植された。
おそらくは来年の3月頃には、巻かない白菜として出荷されることになるだろう。
竹の支柱は鋸と鉈で手作業で作ったもの。

白菜に限らず、例年3~4段階に分けて定植を行っているが、上の写真は3段階目のもの。例年より一ヶ月以上ずれ込んでしまった。夏からの数回の台風と集中豪雨
・日照不足に追い打ちを掛けた害虫の異常発生によるもの。
厳しい寒さとはなったが、ようやくこれで自然との折り合いが付けられそうだ。
後は、寒さに耐えて順調に育って欲しいと願っている。


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玉葱
5・6・8番の畑を中心にして、今年はおよそ
4万本の苗を定植した
スタッフ全員での植え込み作業は晩秋の風物詩。

今年は10月初旬頃まで、持った。
来年はお客様の数も
飛躍的に増大しており、9月初旬頃まで
持つかどうか・・

地域産業の育成とナチュラルなーケットの拡大

(3)事業コンセプトの組み立て=差別化・新規性の追求
  今まで、農業の事業ドメインを中心に検証してきましたが、ここでは、多くの競合先(国際的競合も含めて)の中で「自己の存在」をマーケットに受け入れてもらえ、持続可能な農業として成り立つための二つの戦略を考えてみます。
(マーケットとのコミュニケーション戦略は後に詳述します)

農業分野の場合は一農家だけでは市場の満足が得られず、「自己の存在」とはほとんどの場合、「地域毎の産地」を指し、競合とは「産地間」競争のことを意味します。
 
コメント
淡路島の玉葱・北海道のじゃがいも・青森のにんにくなどとあたかも地域ブランドのように言われております。食べてみると期待外れのことが多いようです。
それは当たり前であり、野菜の美味しさや栄養価などは如何に土壌を育てたかに掛かってきます。どんな農法でも美味しいわけではないのです。これはマスメディア情報の弊害です。
真のブランドとは、農法であり、土作りであり、その結果としての美味しい野菜ブランドです。それは地域ブランド(高い品質)とはなり得ず、あくまでも個々の農家の力にかかってきます。
その良品を生産する能力をグループにまで広げようとする試みが、「むかし野菜の邑」です。
 
 この差別化戦略は現状の「顕在化した消費者ニーズや販売方法」の中で「商品」に価格・品質・種類・量・生産販売方法などで、他との何らかの「優位性」を持ち、「マーケット」に対して支持を得るという考え方です。
  養豚業者の中で肉質の良い黒豚を選定して他の業者より優位に立つ。
 消費者の潜在的ニーズ(真の声)を聞き取り、提案型の農産品を生産する。
 
コメント
畜糞主体の有機野菜でも無く、持ち込まない、持ち出さない自然農でも無く、先人の叡智を借りた草木堆肥のみ使用のむかし農法は差別化戦略と言えなくもない。
唯。この自然循環農法は、日本の農業の歴史の中では、最も長く続けられてきた農法であり、その堆肥作りなどを、機械化したに過ぎない。むしろ、今の慣行農法(化学肥料と農薬)や畜糞主体の有機農法及び概念論を振りかざす自然農の農業のほうが、私から見れば、歴史も浅く奇異に映ってしまう。その弊害(アレルギー・アトピー・癌など)が現在出てきていると言わざるを得ない。
 
②市場細分化戦略(新規性)
 この市場細分化戦略とは未だはっきりと顕在化していない消費行動や、あるいは、大きな消費行動にはなっていない消費者ニーズを細分化して、いち早く商品開発等を行うことによって、競合のないマーケットで勝負しようとする市場戦略です。
 マーケットの潜在的な消費者ニーズに合わせた」魅力ある新規性の高い商品や形態を開発していくという考え方です。
 一部の地域でしか作られていない品種を改良して地域の特産物にする。
 少量多品目の野菜を生産し、消費者に飽きさせない工夫を常にしている。
 
コメント
今ある顕在市場のニーズでは無く、消費者の真の声を聞こうとする商品開発により、健康であった日本古来の食文化を追求し続けている。
先人達の歴史の中に現在人が忘れ去った真実が含まれていると思われます。

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麦(
大麦・小麦・古代小麦)を後藤君の2反の圃場に蒔き終えた。
これは例年より半月程度早い。何故ならここはとうもろこしの収穫後、空けていたからですが、他の圃場はそうはいかない。

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ここは由布市庄内地区の圃場。大分より上に位置しており寒い。
大豆と雑草が生い茂っている。いかにも自然農と言った風情。これがやっかいである。ここは後、二週間ほどしないと完全には枯れてくれない。
枯れていないと未熟大豆となり、鞘から大豆が取れない。そうなると、脱穀作業が
手に負えなくなってしまう。

これから、草刈りで茎をはねて、それを集めて持って帰り、脱穀作業を行う。
完全に枯れていないやつは、さらに2~3週間ほど、乾燥させ脱穀機に掛ける。
収穫された大豆はさらに「とうみ」に掛けて、殻やゴミを飛ばし、手作業で選別し、
ようやく大豆となる。
ここまで気が遠くなるような作業が延々と続く。
年の暮れ頃から米麹を作り、大豆を蒸し、無添加発酵味噌の仕込み作業が始まる。

この大豆を収穫した後、草を刈り取り、堆肥を蒔き、ようやく麦の種蒔きを終える頃、ようやく新年を迎えられることになる。