農園日誌ーこの国の行方

28.5.4(水曜日)晴れ、最高温度22度、最低温度16度

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               インゲン豆の竹棚が初夏を告げる

畑は初夏野菜の植え込みに忙しい。
インゲン豆・ズッキーニ・胡瓜・青瓜、これらは6月頃からの出荷となる。
夏野菜は、トマト・ピーマン・パプリカ類・茄子類・万願寺および伏見とうがらしなど、
早いものは、6月下旬頃からの出荷となる。
夏の時季はどうしても葉物野菜が育ちにくい環境にあり、蔓物が主体となる。
蔓紫(緑だが)・丘わかめを用意しているが、今年は丘ひじきを仕込んでみる。
葉物としては、小葱・大葉・エンツァイを用意している。

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今年はトマトを多く
植え込んでいる。

トマトと言えば、ハウスものだが、そんな中で露地トマトは希少価値がある。
水管理が難しく、雨が降るとはじけてしまうため、その収穫管理が実に難しく、ロスも多く出てしまう。



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小さな苗木に小さな実がついている。
それでも当農園は露地野菜に徹しているのはハウスものはどうしても味香りが落ち、
スタッフ全員の意見でハウス栽培はやらないことにしている。
こんな非効率な農園が一つくらいあっても良いのでは・・の思いもある。お客様の喜ぶ顔
が見たい。
この国の行方
 
今回、むかし野菜の邑の基地ともいうべき加工場・選果場・保冷庫兼顧客への啓発活動を行うレストハウス建設に初めて国の補助金(六次産業化)を申請した。
先ず、振るい落とされたのがレストハウスとういう目的であり、その施設はダメとの判定を受ける。
若いお母さまたちが集まれば、当然に乳飲み子や幼児を抱えており、その子供たちが一時的にでも過ごせる空間が必要となるが、それは対象外とのこと。
この加工場の一つの目的であった安全でむかし懐かしい漬物・味噌・おやつ作りなどの研修をすることは補助金の対象外となるとの一点張りで却下される。
それではとその部屋を更衣室に変更していると、二次審査にて、それも却下され、トイレもダメとの判定。(トイレについては、保健衛生上必要との異議申し立てによりさすがに後日許可になった)
ついでに言うと、事務室も一切認められないとの判断。
わずか総建設費用の1/4しか出ない補助金のため、当初の計画は変更せざるを得なくなった。
窓口とされた市役所および県の役人たちもそれに振り回され続け、一切の判断の余地はなく、完全に霞が関官僚たちの独壇場となる。
通常、法規には、基本的目的があり、基本的規定があるものであり、必ず但し書きがついている。すべての事象を一条の規定で網羅できず、必ずこのように書かれているものである。「但し、特段の事情があれば、主事業に関連する施設および用途は可能である」と・・
それすら、官僚たちの独自の見解で無視されてしまう。前例主義という壁。
がんじがらめの補助金行政の実態を垣間見た気がする。
 
皆様は国や政府が農業支援やら国民のためにという支援のお金が規程という名のもとに、このような官僚たちの物差しで運用されている実態をどのように思われるのでしょうか?
 
どうやら、その裏にあるものが見えてきた。
農政については、(それ以外も同じようだが)今までかなり自由にというか杜撰に補助金が使われてきたようで、その反動で今年から財政が厳しいと言うこともあり、会計監査員が形だけではなく、かなり厳しく実態を調査するようになってきたようだ。
そのため、逆に正当に必要なことまでもが事前に削り取られ、所謂、「事なかれ主義」に徹していっている結果がこのようだ。
杜撰な補助金の垂れ流しの形態から、一転して、緊縮型に代わると、今度は役人達の前例主義・事なかれ主義がさらに進化し、今度は硬直化が進んでいる。
もっともこの現象は民間でも起こっており、政府自民党の圧力が進み、放送自粛をこぞって行う民放・新聞などから始まって、震災の後に必ず起こる観光自粛の重い気運まで、「規制緩和」のうたい文句が空寒くなる。
これでは、国際競争にも勝てず、国内では停滞ムードが蔓延する。
一体この国はどこに向かおうとしているのか?
 
せめて、むかし野菜の邑くらいはもっと自由に、もっと闊達に一緒に助け合いながら過ごしたいものだ、と言う思いから小さな梁山泊を目指そうとしているのだが・・・
その道は若しかして、重たい荷物を背負いながら坂道を上る苦行にも似ているのではないか、とも思うが、これからのある若者達にはできるだけ背負わせたくないものだと、踏ん張るしかないのかもしれない。但、消費者(仲間たち)の支持が唯一の拠り所となる。
このむかし野菜の邑の基地は、そんな仲間たちにこそ解放される施設でもある。

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農園では玉葱を引き
紐かけして、天井裏に吊るす作業が続いているが、写真のにんにくの葉も枯れ始めており、収穫を始めないといけない。今度は、
一斉に引き、皮剥きをし、天井に吊るす
作業が待っている。
農園は100種類以上の野菜と穀類の栽培をしており、まったくと言って、休む暇がない。
但、明日はこどもの日。せめて子供サービスのためと、お休みにした。
かえって親としては疲れる一日となるだろうが・・・ジージも疲れています。
とは言っても、先ほどかわいい孫からの明日のお誘いの電話が鳴る。

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自生しているカモミールが夕日を受け、浮かび上がる3番の畑。
春草は伸びるのが早く、農作業の合間に草取りの毎日が続く。
一日の農作業が終わり、暮れなずむ色とりどりの畑を眺める。

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未だに避難所やテント暮らしの熊本被災者の方々にはお悔やみとエールを送ります
当農園もささやかながら野菜等の支援をお届けしております。
今回の地震は日本の政治や社会に蔓延している驕りや利己主義に対する自然からの警告のようにも思えます。
いつも被害を受けるのは普通に暮らしてきた人達です。ボランティアに頑張っている方々には頭が下がる思いです。何の見返りも受けないのに汗を流しておられる姿
を見ると、日本もまんざらではないなと思います。
社会の政治の理不尽さに無関心・無反応で過ごすのではなく、しっかりと見定めた行動をしてほしいと願います。