農園日誌ー食育

28.1.27(水曜日)曇り、最高温度11度、最低温度ー1度

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  無化学物資(畜糞・除草剤・農薬・化学肥料・ホルモン剤なし)で育てた大豆

一切の肥料を使わずに、焼き灰・牡蠣殻・草や葉っぱのみの堆肥を振り、育てた
大豆。粒は揃わず、虫食いはあり、去年の高温多湿の影響により腐れも発生し、
選別作業に気が遠くなるほど時間を要する自然農の大豆。

去年から始めた穀類(大豆・小麦・とうもろこしなど)生産。
お米は仲間に自然農農家がおり、むかし野菜の邑において出荷してはいたが、
自然循環農法において、また、現在人の安全で栄養価の高い食文化を守り育てていくといった「食育」を農園の理念に掲げている以上は、野菜だけでは、完成せず
どうしても納得がいかず、雑穀生産に踏み切らざるを得なかった。
もとより、大変な手間と労力がかかることは当初から覚悟はしていた。
一人ではできなくても、グループ全員で人海戦術でいけば、何とか凌げるとの思いは強い。

日本人がむかしから受け継いでいった食文化である、あられ・流し焼き(お焼き)・包み焼き(万頭)・かき餅・餅・黄な粉などのおやつや代用食から、味噌・漬物などの乳酸発酵の保存食まで視野に入れており、そのためにも、様々な穀類は必要となる。
現在人が忘れた、あるいは、捨て去ろうとしているこの真の健康食品の復活が
自然循環農法で行えればと考えるのは、果たして難しいことなのだろうか?との
思いから始めた農業であった。ここにきて、新たなグループ営農への試みが実現できそうな後継者たちも育ってきている。

先々週頃から、農園初めての生大豆の出荷を行ってみた。煮豆のレシピも送った。
果たして、数人の方々から「大豆は要らない」とのメールを頂いた。
味噌と同じように蒸し大豆を送れば、何とか食べて頂けるとは思っていたが、生大豆は確かにリスクのあるテスティングではあった。(生大豆などは一晩水にかしておかねばならないし、現在人は煮豆などの調理をしなくなっているし、その美味しさも料理の仕方も知らない)
味噌作りと同じように、蒸し大豆は、ある程度の価格は頂けるとは思うが、届けるとなると、かなりな手間がかかることになるため、躊躇している。

そこに届いた一通のメール。

「初めて大豆を煮ました。当たり前だけど缶詰と別物でした!
そのままポリポリ食べてもとってもおいしかったです。
お味噌汁やスープに入れたり、キャベツと炒めて、クミン等のスパイスで味つけしてみてもおいしかったです^_^
トマトソースとも合うし和風にも洋風にも色々試してみたいと思います。」

この冬は気温がおかしくて、野菜作りも色々ご苦労があるかと思いますが、お体に気をつけてがんばってください!
今年も楽しみにしています。
よろしくお願いします。
                                   関東のKより、
正しくこのことを期待して生大豆を皆様に届けた。
「現在の食に気を使って、むかし野菜を取って頂いている」
「それだからこそ、私たちは手間を掛けて、雑穀を生産したり、味噌・漬物などの
加工品を作っている」
その思いが届いた瞬間がなによりも嬉しいし、報われる瞬間。

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右は小松菜などの
葉野菜。
12月初旬頃に種を蒔いたもの。
この極寒の中、やや寒さが緩んできたため、
トンネルを剥いだ。

「君たち、寒い中、よく
耐えて頑張ってきたね」と言ってやる。
明日から全てのトンネルを剥ぎ、しばしの間
寒に当てる。
左はじゃがいもの畝。掘らずに地中の中で越冬させている。これが一番安全。

今では半分はグループの仲間化している大分市坂ノ市フェルマータ(パン屋さん)さんから、加工用の大豆を求められている。
一言、「今までの大豆に感じたことのない流石の味でした」とのこと。ペーストにしたり、磨り潰して濃い豆乳にして加工食品を試作しているとのこと。
これからは土が出来ていくのでまだまだの味ですよ、と答える。

生産者から見れば、こんなにナチュラルで、味香り豊かな大豆は、現在農法ではできないし、リスクと手間をかけた貴重な大豆ではあると思ってはいても、現在の多忙な消費者にとっては、必要を感じていないものだとも思う。
漬物もその一つであり、トマトソースもそうなのかもしれない。(味噌は98%の方からの実に高い支持を頂いている)

当グループが食育(安全・美味しい・栄養価)をテーマとして掲げ、野菜も選り好みすることなく、満遍なく、露地で育った旬菜を食べて頂き、そこに発酵食品などの加工品を加える。全て無添加・無化学薬品としている。
だからこそ、お客様のオーダーを聞くことなく、一方的に農園から皆様へお送りしている。

最近になって、「味噌も大豆もお餅も漬物もトマトソースもお餅も要らない。食べないので捨ててしまいました。野菜だけ送ってほしい」とのメールが入る。
商業的な常識に慣れたお客様からすると、「注文のないものまで入っている」ということになる。(但し、どうしても体が受け付けないものは除外することにしている)

「自分の欲しいものだけ贖う」
それは正しい。但し、現在の食に、あるいは、有機野菜そのものにも疑問を感じている消費者にとっては、待っていては、現在のマーケットから健康を守れる「食」を得ること自体が難しくなっている。まして、自分の好きなものだけを食べていたら
どうして自分の、家族の健康が守れましょうか。
だからこそ、当農園の試みは、「食の提案」であり、たとえ押し付けられた食であっても、決して信頼して頂く消費者を騙しているわけではないし、裏切っているわけでもない。
お客様の数が240余名までに増えてきており、この方法が難しくなってきているのも感じるが、お客様の健康を守っている、という自負心と誇りがハードな自然循環農法を続ける若い農人達(去年までは研修生)の心を支えている。

彼らにこのことを問ってみると、このような答えが返ってきた。

「わかって頂けない方はもう良いのではないですか」
こう答える。
「そうまで言うものではないよ!やはりお客様なのだから!但し、一生懸命に説得はしてみる。その上で、お断りされるのであれば、それでよい」
「それが当農園の食育を志す基本の姿勢だよ」と・・・

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紫キャベツ

日差しはあるものの、
午後一時に気温2度
の寒い日。
キャベツなどのカンラン
系野菜は寒さに強い。
それでも耐えられなくて
落ちていくものも出る
出荷は3月初旬頃。

農園は様々な色の
濃淡に溢れたお花畑
とも言える。

明日からは、しばらく雨が続く。その前に堆肥を振り、畝を立て、種を蒔く。
昨日と今日、大寒波のため、二日続きの収獲発送作業となる。その間、農園主は一人畑作りを行う。二日間で一気に5畝の畑を作り、腰が笑う。齢をとったのか、
早く人を育てねばと、思いを新たにする。
何も分からずに、当農園のことしか知らない若者が3名。それでも、しっかりと自分の生きていく処とその先が分かり始めているようだ。
まだまだ、ひよ子達だが、顔から迷いが次第に消えていく。