農園日誌ー秋野菜種蒔き始まる。ー有機野菜について

27.8.20(木曜日)曇り時折晴間、最高温度33度、最低温度24度

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        少し早い秋雨前線停滞により、秋野菜の種蒔き早まる

8.18(火曜日)大根と人参の種蒔きを行う。例年より10日早い始動となった。
残暑は厳しいものがあるが、朝夕は暑すぎず作業が捗る。今日は蕪類の種を蒔く。

長女の子供達が夏休み最後ということで、遊びに来ており、昼からは農園はお休みし、別府湾の海辺にある海賊船でジージと孫達の鬼ごっこ。勿論ジージはいつも鬼
の役目を仰せつかり、へとへとになり、早々にキブアップとなる。子供達のエネルギーは止まる所を知らない。

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夏野菜は畝上げや剪定誘引作業が進み、農園はきれいに整備されつつある。

夏野菜はもう少しで最盛期を迎えようとしている。
夏の疲れを癒す秋雨は、野菜にとって正しく慈雨となる。

パプリカ系が出来始め、全ての野菜が出揃いつつある。


今日、県と市の職員が農園に訪れる。研修生の募集に一役かってもらおうとしてのこと。
そこでもやはりと言うか、国の農業支援のあり方がいかにも古く、制約が多すぎる。
必ず霞ヶ関の机上の上での空論が目立ち、農業現場の現実をまったく無視した思い上がりの制度ばかり。
それでも、地域の、若者達の、農業の未来のために、我慢して付き合うしかない。
例えば、こうだ。
農業と言えば、単作しか念頭に無い。量を確保するためではあろうが、アメリカ型の
広大な農地を使った農法ではある。TPP合意になると、穀物価格の内外価格差は実に7~10倍はあるため、とても同程度の品質では並ぶことすらできない。
日本の狭い国土と世襲制の農業では、単作奨励は農民に死ね!と言っているに等しい。
日本では海外と競争するためには、単作ではなく、リスクヘッジの意味合いからしても、10数種類の野菜や穀類を、しかも高い品質の農産物を植えつけるしかない。(当農園では年間100種類以上の野菜を育てている)
そのため、将来の農業の担い手を育てようとしても、国の支援に当農園は該当しないそうだ。ここにも経済界・農協・流通などの巨大組織と癒着してきた官僚政治と
現政権の姿が浮き彫りとなる。

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剪定・誘引作業中の茄子の
畝。
切り落とされたナスの葉っぱが見えるだろうか。

このようにして透かれると
風の道・光の道ができて、
着花や受粉が進み、虫害も減り、太陽の光をほどよく浴びて美味しく艶のあるきれいな実が結実する。


前回はF1品種や種の話をしましたが、種物屋さんでは野口種苗が多く扱っている
それでも在来・固定種は限られてくる。野口種苗のホームページを参考にして下さい
交配品種を害悪と決め付けるの避けてもらいたいが、遺伝子操作を行っている
遺伝子組み換えの種子は日本に上陸させてはならないことはご承知ください。
それこそ、健康被害だけでは済まなく、全ての種は絶滅させられる可能性が高い。

今回述べるテーマは、有機野菜、特に畜糞について主にお話します。

当農園では草木堆肥の発酵促進剤として、約1割の牛糞を草木に混ぜ込む。
この牛糞が無いと、堆肥作りは六ヶ月以上を要する。それではとても草木堆肥の
回転が間に合わない。
種を蒔く、定植をする都度に畝作りを行うが、その度に草木堆肥を撒く。そのため、
7~8反分の畑に使うには2~3カ月程度で中熟堆肥ができてもらわねば、とても、間に合わない。
当農園で使用する牛糞は、配合飼料一辺倒ではなく、草や藁などを一定比率食べさせているものに限定している。豚糞や鶏糞は使用しない。

何故かと言うと、配合飼料(そのほとんどが海外もの)には、遺伝子組み換えとうもろこしや小麦や大豆も含まれており、家畜が病気にかからないために、薬品・抗生物質などが大量に入っている可能性が高い。
現にそのような畜糞はとにかく薬臭い。

ちなみにむかし野菜グループでは、畜糞や米糠・油粕を肥料として使用しない。
草木堆肥としては、牛糞を草木と一緒に充分に発酵させて微生物や菌類に咀嚼させてから(つまりは分解させてから)使用する。
参考までに、微生物等は少量であれば合成した化合分子をも時間をかけて分解してしまう。石油や農薬までも分解する能力を有している。
最近は畜糞主体の有機野菜ではなく、草木を少量でも加えた堆肥作りを行っている
有機農家や自然農農家も増えてきている。うれしい限りではある。

もう一つ課題となることが、畜糞主体やぼかし肥料(米糠・油粕など)主体の農法では、土壌の養分濃度を揚げてしまい、おまけに微生物や菌類が育っていない圃場に使いすぎることはその塩分や養分濃度が上がりすぎてしまうことになる。
(微生物が分解・食べきれない)
こうなると土壌は有機肥料による化学肥料化現象を引き起こし、薬品漬け・窒素過多の土壌に陥り、そこの野菜を食べることによって健康被害が出てしまうことにも繋がる。

イメージ 4きれいでしょう。
露地パプリカです。
ハウスものと比べて丈も
1/4ほど。成功確率50%にしかならない。

ハウスものが蠟細工のような
冷たさを持っているのに対して、光沢があり、美しい。
当然に味香りに優れ、甘いのではなく旨いです。


このように過ぎた畜糞主体の有機野菜でなければ、微生物の力を信じて、肥料過多に陥っていない有機野菜であれば、そこまで気にする事はない。
世評や評論家達の言うような机上の話に惑わされず、自分の舌と価値観や感性を信頼して賢明な消費者になって頂きたいと願うのみです。

次回は自然農について、少し話を進めてみましょう。