日本の農業規制(農業離れの政策)

農業潰しに走る日本の政治

2023.11.26(晴れ)最高温度15度、最低温度3度

むかし野菜の邑では定期的に農業体験会を実施しております。堆肥場にてオリエンテーションを行ってている風景
世界でも例を見ない草木堆肥による自然栽培の趣旨とその社会的存在価値について説明と理解をお願いしています。


自由な農業を阻害し続ける日本の農業規制―農業離れを助長

(地域小規模農業の切り捨て)

これまでは日本という国は農協を通じて農地を守ると言う名目であらゆる農業に補助金を出してきました。
それが20年前から変化し始め、米作の抑制・農業の法人化政策や大規模農業者への

支援、そのための認定農業者制度の制定へと進み、小規模農業者への支援打ち切りと

なってきました。

日本では農地のほとんどが小規模農地の集合体です。
アメリカ並みの大型機械を駆使した大規模農業は日本ではできません。
小規模農地しか持っていない地域農業(中山間地農業)は衰退し、農業後継者も著しく減少し、豊かな田園風景はあちこちで放棄地が目立ち、原野へと変わっています。

 蕪の種蒔きとレタスの定植作業を子供さんとともに行ってもらった。後の修正手直しが大変ですが・・・
生産活動に参加することは子供さん達の将来にとても大切なことです。
この体験会は消費者の農業に対する思いと食べる事への感謝の心を伝え、自然栽培に対して市場啓発活動のために行っています。


私の思い込みではないかと思われておられる方には行政上での具体的な例をお示ししましょう。

農園主は市役所に出向き、当農園に研修を希望して訪れてくる新規就農希望者のために認定農業者の資格を取得しようと動きました。
「国の新規就農者支援の補助金」助成を受けやすくするために不本意ながら認定農業者の資格を取得しようとしたのです。
勿論その就農希望の若者達は健全で品質の高い農産物生産を学びたい人達です。

 ※国の新規就農者支援制度では、認定農業者の基で農業を経験した人で無いと受けられない規程になっております。

 最初は私のその申し出に賛意を示していた市の職員達が「佐藤さんの認定農業者取得は意味が無くなるかと思います」と言い始めました。
何故と聞くと、「県や市には作物指定というものがあり、例えば、葱・紫蘇・ニラ・苺などの農業を希望する新規就農者しか国の支援は受けられなくなります」と・・・

つまりは作物指定があり、それは単一作物栽培を意味しております。

単一作物栽培農家は直接消費者と向かい合うことはできませんので農協に帰属しないと販路は確保できません。
と言うことは国の新規就農者支援策は規格農産物(慣行農業)を奨励する農協に帰属させるために有ると言うことになり、認定農業者の仕組みもそのために周到に用意されたものだと言うことになりますね。

            草木堆肥の切り返し風景

幼子達は生まれて初めてタイヤショベルに乗って興奮気味。揺れ動く度に黄色い歓声が上がる。白く立ちのぼっているのは菌類・微生物の増殖熱です。最高温度は80度にまで上がります。
自然界はこのウィルス・菌類・微生物達の」働きによって自然循環そして浄化され、

自然を保っているのです。

むかし野菜の邑では消費者と向き合うために年間百種類以上の多種類の農産物を生産しており、消費者への直接販売を行っております。

このように国の政策は自由で健全で品質の高い農産物を作ろうと言う夢に燃えて農業を目指す若者達の思いも達成できず、農業を諦めさせることになってしまいます。
認定農業者制度は事実上農協に帰属しない農業者は支援対象外にすると言うことを明示しているということになります。
このように一連の日本の農業政策は多くの中山間地を抱えている地域農業を切り捨て、
有機農業のように小規模で品質に重きを置く自立した農業者をも見捨てると言うことを意味しております。

 日本という国では、品質の高い野菜生産を目指していく農園は規格野菜を押しつけてくる農協には帰属せず、価値観を同じくする消費者達を自ら探し自立するしか無いのです。その農園の味方は消費者のみです。
多くの消費者の意識が変わらない限りは当農園の孤軍奮闘・悪戦苦闘は続いていくことになります。
新規に自然栽培を学びたい人達は当農園から給与をもらいながら生活をしていくしかありません。
当農園へ掛かる負担は実に大きいのです。

             ジャガイモ掘り体験

掘れば続々と出てくるじゃがいもに子供達は楽しそうでした。子供達は家に帰っても数日間はその楽しかった事を親に話しているそうです。


如何ですか?国は自由な農業の育成を阻止し、型にはまった農業を押しつけてくる。

農地の狭い日本の農業は大規模粗放農業には不向きであり、量より品質で勝負する農業が向いているにも拘わらず、小規模農業を切り捨て大規模農業(法人化を推進中)しか支援しないとなれば、日本の農業を潰しに掛かっていると言わざるを得ない事はお分かり頂けたかと思います。
それは畜産にも同じ事が起こっており、乳牛を一頭潰したら15万円の補助金を出すと言った誠に可笑しな法令まで出ております。
畜産農家は借金苦で年々夜逃げ同然で家業を放棄し続けています。

これでは日本の食糧確保はどこかの国に依存せざるを得ないように仕向けているとしか考えようがありません。
日本は独立国家ではなかったのか?と思ってしまいます。