農園日誌ー

29.9.20(水曜日)曇り時折小雨、最高温度29度、最低温度20度

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 先週末の台風の被害は予想より大きなものとなりつつある。
暴風雨により痛めつけられた夏野菜が思ったよりダメージを受けていた。
風に煽られ、枝そのものが傷んでおり、花芽は吹き飛び、再生に時間がかかりそう。
その上、太陽が照らず、日照不足により、大量に降り注いだ雨が圃場から抜けきらず、夏野菜の根が呼吸困難になり、再生にさらに時間がかかりそう。
場合によってはこのまま終わってしまうことも考えられる。

 秋野菜は豪雨に打たれ、土に埋まったり、弱ってしまっており、ほとんどが蒔き直しになりそう。土の密度が上がり、酸素が入り込む余地が無いことが大きな要因。
かといって、半分ほどの圃場が水捌けが悪く、トラクターで起こすことすらできない状態に、お手上げとなっている。
それでもスタッフ一同、懸命になって圃場の再生や種の蒔き直しを随時行ってはいる

 急増したお客様になんとか対応するために、知恵を絞らねばならない。
ストックしていた加工品(トマトソース・味噌・漬け物・穀類)や余分に植え込んでいた南瓜・葱類などで繋いでいくことにしている。いつまで持つか?お客様が我慢してくれるか?自然には勝てないのだが・・・

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発送作業中の風景

最近は、月・水・金の
出荷日に、80~90名の個人向けの荷を作っている。

積み上げられた段ボールの箱。
出荷日は戦闘状態となっている。



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それでも、自然循環農法には草木堆肥は不可欠であり、多忙な秋野菜の作業中の
中、堆肥は作らねばならない。
これは剪定枝を破砕し、残った小枝を葉っぱの中から寄り分けている風景。
木の破砕屑と葉っぱが堆肥の命です。この中に、計測不能な種類の微生物や放線菌が棲んでいる。それ以上にバランスの良い豊富なミネラル分が含まれている。


地域産業の育成とナチュラルマーケットの拡大
 
前文
 この重たいテーマに取り組み始めたのは、農園主がまだ銀行員の時代からでした。
地域が疲弊していくであろうと予測したのが、今から25年前からでした。自分が何かを変えることができるとは考えてもいなかったのですが、少なくとも、自分ができることから始めようと考えていたのは確かです。
この文は、18年前に書いたもので、農業白書を5年間買い込んで分析を始め、自分なりに将来の日本の姿を予測し、何ができるかの可能性を模索しながら綴ったものですが、今、読み直してみても、まったく変わっていないというか、予測通りに進んでいることに愕然とする思いです。
 
18年前に書いた冊子に、注釈を加えながら進めていきたいと考えております。
これをブログに乗せることは、迷いましたが、後に続く有志が現れてくれることを願ってここに書き留めていきます。
 
Ⅰ 日本の農業の現状と課題
1. 農業の現状(就農人口の減少と就農者の高齢化) 
 ―平成10年度の調査数値―
(1)専業農家の減少と農地の荒廃

  兼業農家     286万戸(86.2%)大部分は稲作中心の零細兼業農家

  専業農家       43万戸(13.2%) その多くは後継者問題を抱えている
  総農家戸数  329万戸
 
稲作を中心とした零細兼業農家と農協主導型の農業体系
 日本には気候風土や歴史的習慣などにより稲作中心の農業体系が定着しており、食管法による保護政策はそれを支援してきました。そのため、日本の農業は農協主導型の零細兼業農家が主体となり、農業の多様性が育たなかったようです。又、稲作中心の農業に対して国民の食生活は次第に変化し、60年代と比較して米の消費が半減している。
低い農業所得 
  平成10年度販売農家(年収500千円以上の農家)の農業所得
  年間粗収入 3,642千円―農業経営費 2,439千円
 =農業所得 1,203千円

                                                      (前年対比166千円減少)

 所得格差は通常のサラリーマンと比較すると1/5と格段に低くなっているが、その大多数が兼業農家です。
 
○農業用地の非流動化現象と小規模農業

                                            アメリ            

  農家1戸あたりの農業用地面積     176.1ha        1.5ha
  10a(約1反)あたりの農地価格       15千円     1,697千円
 戦後の食管法などによる「既存農家の一律保護政策」は農業用地を固定化させ、農地は小規模のまま現在に至っております。さらに、生産性・収入の低さに比べて高価な農地や 旧態依然とした農地法により新規就農者の参入が阻まれております。そのため、農地の活性化が図れず、小規模農業が主体となり、質量ともに揃わず、農産物の産地形成ができにくい。
 
(2)農業就業者(農業を主業務とする人)の高齢化
  農業就業者人口3,892千人   うち65歳以上が1,931千人
                        (49.6%)
○新規就農者は離職就農者を含めて年間約50千人ですから、およそ10年も
 すると 老齢者達のリタイアにより農業就業人口は半減する可能性が高なっ
 ております。
農地保護のために既存の農業承継者への農地世襲制となり、他の新規参入が難しい。
○後継者不足により不在地主も多くなり、農地の荒廃が加速しており、特に山
 間地などの荒地化は著しい。

既存型農業は稲作に依存しており、農業生産形態や商品に多様性が乏しい
小規模農業により農産物の産地形成が進まない
農業用地が固定化し農業就業人口の半数が65歳以上、高齢化と農地の荒廃が進んでいる。

 
これら小規模農地と兼業農家の構図は、調査から18年経過した今も変わっておらず、一時、大規模政策を取っていた国の方針も,諦めモードに入っており、法人化・グループ営農化に切り替えていった感があるが、時すでに遅しで、未来の見えない農業の衰退と一緒に農家の後継ぎも次々と農業そのものを放棄し始めている。農協に頼り切った農業政策の破綻である。
かっては稲穂の輝く穀倉地帯であった由布市庄内地区の田圃も、稲作の1/3飼料米となるなど、年老いた80歳前後の農家がやむなく米作りを続けている。
地域に残った2~3人の60代の農人に作れなくなった圃場を丸投げする状態。そのわずかな農人たちは、皮肉なことにまさに国が目指していた大規模農業(5~10㏊)に近づいたと言えなくもない。但し、手助けしてくれる人も確保できずに途方に暮れている現状がそこにある。
 
ここに示している数値は18年前のものではあるが、農業の現状は止まったままである。人だけが老齢化しているに過ぎない。
国の農業政策は、いつものことだがお題目を唱えるだけで、そんな農業を、地域を、無為無策に見殺しにしている。
かっての豊かな田園風景が荒野に代わっていき、子供の声がまったく聞こえてこない地域に未来はない。

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(3)自立経営農家の動向(農業収入だけで生活している就業農家)
 農業生産者全体戸数の5%を占める自立経営農家に限定すると農業粗生産額は全体の29%を占めており、およそ3ha前後の中規模経営農家がほとんどであり、日本が目指した米国のような大規模機械化(粗放)農業は日本の実情からみて難しい。
 
○彼らの農業所得は6,130千円となり、果樹・生鮮野菜・畜産・花卉・園芸を主力とし、一部の地域を除くとその大半が米中心の農業を脱却しております。
○既存型農協組織とは異なり、地域にて独自の単一農協や生産(出荷)組合を形成しているグループもある。
 このグループ形成は安定した生産量と一定の品質が確保できやすく、大型小売店・生協や大型卸し業者と直接契約を行っているケースが多い。


唯、これらの自立農家も後継者不在に悩まされており、専業農家の数は増えていない。
この中で規模の拡大を目指して法人化を進めた農業者は、人出不足と人件費により農業の黒字化が難しい現状があるようだ。
農業は基本的には家族営農が基本になっており、農業分野におけるサラリーマンは成り立ち難いのが現実である。
そこで見えてくるものが、「独立した家族営農を基本とした農業者がグループ化し、販路確保や生産規模の拡大を目指す」といった選択がありそうだ。
唯、誰が纏めるのか?誰が経営を行うのか?果たして継続できるのか?公平な分配はどうするのか?難しい課題が残る。