農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.12.26(土)晴れ、最高温度10度、最低温度1度

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          農園は白いビニールトンネルに覆われる

 

 年末を迎えて待望の雨が降った。ようやく越冬のためのトンネル張り作業が

行えた。今年の冬は寒くなりそうだ。野菜達は実を屈めて寒さに耐えている。

葉先や茎は凍結し、解凍しを繰り返し徐々に萎え始めている。

このまま行くと、野菜も霜焼け状態となりやがて落ちてしまう。

旺盛に葉っぱを食べていた害虫達もさなぎとなり、土中深く入り込み越冬中。

そのさなぎも4月頃になると脱皮して成虫(蛾や蝶)になる。

5月も中旬頃になると、その成虫が野菜の葉っぱや土中に産み付けていた卵が、

一斉に孵化する。それを5~11月初旬まで繰り返し農園は害虫の住処と化す。

この食欲旺盛な幼虫達が孵化した度に幼い苗を守るために瞬殺する劇薬を使う。

 

(農薬の話)

私が自然循環農業の体験の中で学んだことは畑に持ち込まれる大量の窒素肥料

(化成肥料や畜糞)のうち過剰な窒素分(転じて硝酸態窒素=毒素)は、

それに付随して持ち込まれている化学物質・抗生物質ホルモン剤残存農

は同じくらい「悪」なのです。

消費者は農薬だけが一方的に悪であると思い込んで居られる方が多いようです。

私が由布市で開いていた「健全で美味しい野菜作り」講座の中で体験したこと

をお話ししておきます。

この講座には農業者・家庭菜園をしている方・消費者などが入り混じって参加

されておりました。

講座は有機栽培のこと・土作り・野菜の生理・他品種栽培のことなどを説明し

ている内に、何かしっくりとしない空気を感じておりました。

そこで、浮かない顔をしている方に何かご質問は?と問いかけたところ、

「先生の有機栽培では農薬は使わないのですか?」と問われた。どうも多くの

方は型通りの有機栽培の説明かと思っていたらしく、乗ってこなかったのが

分かった。「私も使っていますよ」と答えた。

全員の方が「ホッ」としたような顔をした。講座に参加された方々は健全な

野菜作りを目指そうとしている方達ではあるが、どうしても農薬を使わないと

野菜が出来ないことを実感している方ばかりであった。

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                 芽キャベツ

来春早々から出荷予定。小さいですが料理の用途は広く慣れてくると重宝する。

さっと湯がいて、サラダ・炒め物・スープの主役・パスタ料理など、便利な野菜です。

 

急遽、農薬の説明を行った。

私も有機栽培を目指していた頃、先輩の有機農家(当時は有機JAS規定が出来

る前)がハウス栽培の中で農薬を使っていることを知り批判したことがありま

した。農業現場の実態も知らず実に恥ずかしい話でした。

農薬は化学合成されたものでありそれを散布する農業者の人体には危険です。

そのため、一部の農薬を除いて必ず分解して無害になるように当初から設計

されております。

分解には、光合成分解・水溶性分解・微生物分解・自然分解があり、実は劇薬

ほど分解が早くほぼ一日で分解されます。従って放射能ヒ素・水銀カドミュ

ームなどの元素は分解されません。

私は苗が自分を守れない幼い間、2~3回その劇薬を葉面散布しております。

農薬は分解スピードが遅い農薬ほど効き目が長く続きます。

普通は10日間ほどその農薬の効能は続きます。繰り返し使っているとそれを

残存農薬と言います。これが消費者にとっては危険なのです。

最近になって有機無農薬と言う表現を国が禁止しております。それは自然の

実態にそぐわず、有り得ないことだと国も気づいたことと、有機無農薬神話が

あまりにも拡がり過ぎて有機農家がやむを得ず虚偽表示をし始めたからです。

さらには、有機JAS規定が実態に合わず、ついには、「減農薬野菜」と言う

わけの分からない野菜を認めております。どの程度の農薬使用が減農薬野菜か

消費者の方は分かりますでしょうか。

 

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                 春キャベツ

春に出来るから春キャベツでは無く、「春キャベツ」と言う品種です。

柔らかく甘さが強いと言った特徴があります。

 

農薬はその後、より農業者の人体に危険性が少なく散布量を減らしてより効能

持続性の高い農薬に改良される過程の中でネオニコチノイド(人体に大きな影

響を及ぼす可能性が高い)を代表とした浸透性農薬が誕生した。その農薬を

散布した野菜を食べた虫が死ぬ、あるいは、生殖能力を失わせるというもの

です。この浸透性農薬や除草剤に関しては、後日詳述致します。