農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.7.1(水)曇り、最高温度28度、最低温度18度

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        びっしりとトマトが成っている

 

今年トマトは70mの長さの畝が10列分植わっている。

明けても暮れても、農園主はトマトの除草・剪定誘引作業に

追われている。時折、茄子の剪定誘引作業を行う毎日。

 

トマトはちょっとの期間、放って置くと、葉は生い茂り、脇芽

は伸び、あらぬ方向に暴れ始める。

すると、密集してしまい、風や日光は入らず、虫が大量に発生

する。当然にトマトは腐ったり、虫食いだらけになり、商品

とはならない。

今年は、突然に訪れてきた別府在住の奥様が加わってきたため、

ちなみにトマト・茄子などの剪定誘引作業を、現在、特訓中。

畑仕事が新鮮で楽しいそうだ。

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2020.6.30 「ミツバチが飛ばない」

 

農業は、近代になって飛躍的に生産量を上げてきたと言われて

いる。18世紀頃から硫安と言う窒素肥料の発明、その後も

化学肥料と並行して農薬の普及がそれを可能にした。
その当時、日本の農業は、草・葉っぱ・人糞による草木堆肥や

厩肥などで行われていた。
20世紀になって、特に戦後から、日本でも食糧増産政策が

採られ、機械化と共に、近代農業へと大きく梶を切っていった。
国と地域農協、そして全国農協組織を挙げてアメリカ方式の

農業の近代化が進められた。
その結果として、日本の農業現場から、草木堆肥を使った自然

循環農業は徐々に姿を消し、日本独自の有機農業=自然栽培

農業は、その痕跡すら消え去っていった。

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           破砕作業の風景


欧州では、化学肥料&農薬を使った近代農業に大きな問題が

発生し始めていた。
それは窒素過多となった土壌汚染の問題であり、地下水脈が

繋がっている欧州では、土壌に蓄積し続けた窒素分が硝酸態

窒素(毒素)に姿を変え、地下水を汚染し始め、ブルーべー

ビー(血液が青い)が誕生した。
これは当時社会問題となり、第二次世界大戦後、化学肥料を

抑えた農業を模索し始めた。
そこで彼らが目を付けたのが、戦前から行われていた日本の

自然循環農業であり、日本からその農法を学び、欧州版のオー

ガニック農法(草堆肥)が一部の人達に取り入れられ始めた。

日本では、進み過ぎた近代農業に危惧を抱き、食の安全性を

唱える極く一部の農業者や消費者達がグループを組み、日本

独自の有機農業を復活させようとした。
その取組がほぼ30年ほど続き、国が有機農業に対して

法規制を加え、誕生したのが、欧州オーガニック農法を

真似た「有機JAS法規」であった。

その名目は消費者の安全を守るためと言う事にあった。

農薬・化学肥料・除草剤・ホルモン剤の使用は制限が無く、

何故に有機野菜だけ規制が加わるのか誠に可笑しな話しである。
その結果、折角復興しかかった日本独自の有機農業=自然循環

農業はその段階で、有機野菜を名乗ることを禁じられ(違法と

見なされ)日本古来の自然栽培農業は形を変えさせられ、国の
認定を受けた有機JAS野菜へと変わっていった。


有機物なら何でも良いと言う事で、結果として畜糞主体の

高窒素肥料となる。日本古来からの農業は草木主体の低窒素

・高ミネラル堆肥であった。


その当時の有機野菜生産者は、激しく憤ったが、何分にも

高齢化が進み、継続を断念した。
この段階で、日本から、あるいは、世界から日本古来の自然

栽培=自然循環農業は一端消滅したことになる。
ちなみに、日本の有機JAS農産物は、欧州のオーガニック農産

物の認定を受けられない。
その実態から評価され、「怪しい」と取られたのだろう。

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他方、農薬はその後、より人体に危険性が少なく、散布量を

減らせ、より持続性の高い農薬に改良される過程の中で、

ネオニコチノイドを代表とした浸透性農薬へと変化していった。
さらには、除草の手間を掛けさせないようにと、除草剤の改良も

進み、現在では、ほとんどの農業者が使用するようになってきた。
さらに、野菜を立派(大きく)にするために、成長ホルモン剤

開発され、野菜に限らず果物にも使用されるようになってきた。

その結果、さらなる大きな問題が発生し始めた。
その一つが現代病と言われるアトピー・アレルギー・神経疾患

などである。
ホルモン剤を使用した野菜及び果実を食べている女児などの

胸が急に膨らんできたことも大きな問題とされ始めている。
何より、看過できないのは、自然破壊の問題です。
浸透性農薬の普及により、土中の虫を殺し、同時に微生物・

菌類なども殺してしまい、土壌は深刻な汚染状態に陥り、

農家にとって野菜果物の受粉を行ってくれていたミツバチが

死滅し始めたことです。

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国の支援を受けている農学者は、一定量であれば人体及び環境

に深刻な影響は出ない、としている。
一つの作物にその一定量であれば、問題はないと言うなら、

毎日数種類の野菜や果物を摂り続けるとどうなるのですか?

と敢えて問いたくなる。
それは増幅し続けている数限りない食品添加物とよく似ている。

ホルモン剤にしても、除草剤にしても、浸透性農薬にしても、

継続して使用していれば、人体だけではなく、自然を破壊し続

ける事になる筈。

ホルモン剤を投与し続けているアメリカ産の牛肉はその本場

でも心ある知識階層の消費者は食べなくなっており、欧米では

すでにネオニコチノイドなどの浸透性農薬を使用を禁止、
あるいは、大きく制限するようになっている。

それをしていない先進国は、唯一、日本と言う国なのです。
私達はモルモットでは無い。

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