農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.4.1(水曜日)終日雨、最高温度13度、最低温度7度

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              庭のしだれ桃に花が咲き始めた

 

今日から4月、春本番というのに、雨がしとしと振り、花寒の季節。

雨が降ろうと、出荷日は、野菜の収穫をしなければならない。カッパを着用して

凍える手で収穫をするのは、いささか辛い。

雨の日にも拘わらず、農園直売所にはちらほらと、固定客が見えてくれている。

水曜日の直売所は、菓子類はあまり無い。むしろ野菜を目当てにして、訪れてくれる

固定客に支えられている。ありがたいことです。

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暖冬の気候に誘われて、葉野菜や蕪類が一斉に莟立ちを始めて、仕方なく、葉野菜の替わりに青梗菜

小松菜・蕪などの花芽を出荷している。

これもいつもの農園の風景。子孫を残そうと、花芽は栄養価を一杯溜め込んで、甘く美味しくなる。

 

2020.3.27 端境期がやってくる

スーパーに行けば、季節とは関係なく様々な野菜が並んでいる。ハウス栽培全盛の時代を象徴している。
さらに、日本列島は南北に長い島国であり、鹿児島から北海道と野菜の出来る時季には幅がある。
当農園は全国の消費者へ草木堆肥により自ら育てた野菜を直送している。他から農法の異なった、あるいは、ハウス栽培などの野菜を仕入れてくることはしていない。
しかしながら、困ったことに露地栽培では、一年のうち、大きく二回の端境期が存在している。
春野菜から夏野菜へ移る時季、夏野菜から秋冬野菜へ移る時季の二回である。
うちの野菜を心待ちにしている消費者に「今は端境期ですから野菜が無いのです」とは言えない。

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今年の1月頃から順次種を蒔いて育苗中の夏野菜達。踏み込み堆肥の熱を利用して根を発育させている。彼らは、戻り寒の後、4月上旬頃から一斉に定植作業に入る。

 

地球が温暖化の方向へ向かっており、夏野菜が長く続く気候環境があり、夏野菜から秋野菜へと切り替わる間に秋野菜を育てることは比較的容易に出来るため、それほど苦労せずとも何とか野菜を繋いで行くことは可能である。
課題となるのは、春野菜から夏野菜へ移り変わる端境期に於いて、野菜を如何にして繋いで行くかと言うことにある。
夏野菜は、暖かいからと言って早めに種を蒔き、露地へ定植しても遅霜や寒の戻りなどで、全滅の可能性が高い。そのため、露地栽培しか行っていない当農園としては、6月前後に出荷できる繋ぎ野菜の植え込みに最も神経を使い、毎年大いに頭を悩ませている。
ハウス栽培を行えば、もっと楽に早く野菜が出来るのに、と思われる方も多いかとは思うが、同じ草木堆肥を使っても、露地栽培ほどの栄養価と美味しさが出せないのです。

キャベツ・ブロッコリー類は3月下旬頃に育苗ハウス内で種を蒔くと、5月末頃から6月に掛けて、出荷が見込めるが、蒸れや長雨に弱く、腐れや破球を起こす。ほうれん草はかろうじて生き残れる。
蕪類は線虫の餌食となり易く、割れが発生するし、莟立ちも起し易い。
そのため、晩春野菜(5~6月の初夏野菜)はリスクの塊となる。
唯、これらの春野菜が無いと、他では穴埋めの野菜の種類が足りない。
そのため、当農園では、リスク覚悟で端境期へ向けてこれらを捨て野菜として種を蒔く。捨て野菜となるかもしれない野菜達の頑張りに期待するしかないのです。

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育苗中のキャベツなど、彼らは5月下旬頃から出荷予定としている捨て野菜です。

この以前に圃場には、5月出荷予定にしている5~6百本ほどのキャベツブロッコリーが植えられている。

 

兎にも角にも、露地栽培農園からの直野菜を農園の仲間達(お客様)に届け続けることは、如何に端境期を作らないかに掛かって来る。他の農家からは、そんなの無理だ、とよく言われている。
今日も数年来むかし野菜を慈しんで頂いている関東のお客様から電話が入る。
コロナウィルスを脅威に感じておられ、うちの野菜に助けられているとのこと。「頑張って下さい!」のエールを頂いた。
話は止まらず、国民軽視の時の政権や政策の危うさや、時代の風潮に逆らって筋を通した生き方や健全な食の追求をし続けている姿勢のことまでに話が及び、遠い地にいるにも拘わらず、考え方や生き方が共有出来ていることの喜びが伝わってきた。
むかし野菜の邑は、良いお客様というか仲間に囲まれていることに、いつもながら思い知らされる。

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大人達の葛藤や思いは別にして、屈託のない子供達の笑顔には、救いがある。

 

この時期、堆肥作りに欠かせない草が手に入り難く、その後、日が暮れるまで、畑の除草作業に勤しむ。
除草し終えた草は集めて軽トラックで堆肥場まで運んで一日が終わった。
草も少し溜ってきた明日は堆肥作りが出来る。夏野菜を定植するまで残り二週間を切っていた。