農園日誌ー本格的な春の訪れ

26.3.19(水曜日)晴れ、のち曇り、最高温度19度、最低温度6度
 
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最低温度3度以上、最高温度12度以上、これが安定的に来るようになって、農園
にも春が来たと言える。まだ三寒四温の状態で、確実に春が来たというにはまだ
早い。急な冷え込みが怖くて幼苗の畝はまだトンネルが撤去できない。
それでも草だけは実に旺盛に育ち、除草作業に毎日追われる。
 
イメージ 2除草作業が終わった玉葱の畝(5番の長い長い畝)
葱系は特に雑草に負け易いため、早めの除草作業
が必要。(中々思うに任せないのだが)
作業中は終わりが来るの
だろうか、と思うほど、
長い畝が続く。畝下には
除草した草が積み上げら
れる。軽トラに積み込み、
堆肥の原料になる。
この一連の作業が辛い
 
今年は玉葱の苗、43千本植え込んだ。ここに見えるものはわずか9千本に過ぎ
ない。気が遠くなる。スタッフ全員に恨まれるだろうな!率先垂範しかない。
 
先日、群馬などから大分の杵築市に移住してきたSさんご夫婦の圃場を訪問した。
予想通り、劣悪な農業環境に置かれていた。
一部の畑を除いて、とても畑作には向かない捨て地をあてがわれている。
おまけに賃料を年間15~20千円支払わされているそうだ。さらに畑作に適合
させるための改良土木工事はストップさせられているようだ。
一緒に同行した新人二名も呆れていた。普通は農業不適地を使ってもらうとすれば、賃料など取る立場には無い筈なのに!
 
ここにも若い人たちが心出しに燃えて新規に農業に取り組むことを阻害させる
要因がある。
地方では特に郡部では、年寄りたちが力を持ち、余所者を受け入れない土壌が
あり、新規就農の若い人たちを支援せねばならない立場にあるにも拘わらず、
自己中心的な冷たい対応を取る。これなどは典型的な事例と言える。
老齢化が加速する地域はこのようにして滅びていくことになるのか?
他県でも同じなのか?同じ大分県民として恥ずかしい。でもこれが現実のようだ。
若い人たちにこのような場合、対応能力を持ち合わせていない。
それでもS君はここが好きだと頑な思いを抱いている。
草木堆肥による農法は土作りの歴史でもある。つまりは、土地に対する長い投資
となる。このような土地で投資し続けても先は永久に見えては来ない。
ここにいる二人と一緒の地域に移って頑張ってみては、と誘うも、私はここでやっ
見たいとの意思は変わらなかった。何とも双方とも頑迷な!
二人の新人達も暗澹な気持ちになっている。
 
謙虚さに欠けると、視野が狭くなり、成長が止まる。
自己の心を空しくしてこそ、人の言葉が心に染みとおる。そこから成長が始まる。
残念ながら、最近の頑迷な若者像と田舎の頑迷な年寄り像が重なる。
S君の健闘は祈るが、何故か悲しく疲れる一日ではあった。目が覚めてくれる
ことを祈るしかない。
 
農業の課題は、国の先を見通せないその場限りの対応に終始しており役人天国
の日本では、国頼みはしないほうが懸命。
それに加えて、この地方の老害ともいえる頑迷な年寄り支配の現実。
むかし、日本の地方はやさしい心を持っていた筈だが、いつのまにかこのような
ことになってしまったのか?
彼ら若い人たちには、負けるな!歯を食いしばって頑張れ!そして必ず勝て!
と言い続ける年寄りがここにもいる。
 
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完全にトンネルを撤去した
三番の畑の半分。
日照時間が長くなり、気温
が上昇してくるこの時季、
困ったことが起こる。
 
折角苦労してトンネルを張り
育てた越冬野菜が一斉に
莟を持ち始める。
莟立ちの最初の時季は
美味しく食べられるが、
すぐに表皮に網目の筋が
入り、硬化し始める。
 
この時は諦めて、一回も出荷しない野菜は莟の部位を摘み取り、菜の花として
出荷する。これが実に美味しい。それでもかなり悲しい!
これは周年栽培・端境期を作らない露地栽培の悲喜劇となる。