農園日誌ー畑の侍達、前編

28.8.16(水曜日)曇り、最高温度34度、最低温度25度

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                       草刈り機を使った除草作業

 由布市庄内町の4反の圃場、ここはグループの田北さんと共同耕作を行っている
大豆を蒔いて発芽してから3週間ほど、折からの雨が続いたためか、草が伸び放題となってしまっていた。
田北さんから除草したほうが良いのでは?との連絡が入る。
草木堆肥を撒いて大豆を直播し、草が伸びる前に管理機(畝揚げ機)を入れる予定(土寄せ作業)にしていたところ、思いのほか草の伸びが早かった。

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管理機を持って行ったが、とても管理機での畝揚げでは草をかぶせられないほどの草の伸び方であった。
仕方なく、5人全員で草刈り機で畝間の草を刈りはらうことにした。もう少し早めに連絡が欲しかったと言っても、後の祭りであった。



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早朝から夕方20時頃までを要する膨大な作業となった。

途中、雨が降り出し、体はぐっしょり、汗なのか、雨なのかわからない。
腰は痛いし、ぶとは体のあちこちを刺す。
それでも黙々と作業を行い、あたりが真っ暗闇になるころ、ようやく刈り終えた。

明日は、管理機を入れて草の上に土をかけて、草を抑えられるか、それが問題。
大豆の背丈より低かれば何とかなるが、どうも同じくらいの高さであり、手作業での
草取りも必要かもしれない。気が遠くなるような作業となる予感。

去年が8~9月の二か月にも及ぶ大旱魃で大豆が全滅した経緯もあり、今年こそと
意気込んでいたのに、水を差すことになってしまった。
お客様も完全発酵食品である手作りの味噌を待ち望んでいる。
今年は諦めるわけにはいかない。


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こちらは6番の圃場
草に覆われている畝には葱が植わっている。

左に少し見えているのも除草後の葱畑。

今年は去年と一転して
雨の多い8月となった
そのため、草の成長は著しく、野菜の倍ほどのスピードで成長する。
その結果がご覧の通りの状況となる。この草の中で助けてと葱が叫んでいる。
一体どれくらいが生き残っているのだろう。ようやく今日除草が完了した。
結果は半分強が生き残っていた。

農業とは自然との共生ではあるが、自然条件と草や害虫との戦いでもある。

野菜はほったらかしでは絶対にできない。子供と一緒で、手にかけたほどに、愛情を注いだほどに立派に育つ。
テレビ放映により、顧客急が急増し、出荷作業に追われていると農園の管理は手薄になる。その分、遅れれば遅れるほどに作業がきつくなる悪循環を繰り返している。何とか追いつかねば・・・必然的に疲労が蓄積してくる。

 そうした中でも、再放送の後、新たにお試しの申し込みのあった方が、160余名ほどおられる。通常二回のお試しを、一回にしてでも、早く皆様にお送りしなければと、来週から順次お試しセットの発送を始めることに決断した。
最近一日の発送件数が70余件に15件分の追加となる。
野菜の量もアイテムもやりくりをして送ってはいるが、よく続くものだと我ながら感心している。

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茄子が復活を遂げた。炎天下の中で剪定誘引作業をしてきた結果、天候にも恵まれ
(雨が降ってくれたこと)予想通り、8月下旬には、500余名のお客様全員への出荷が可能となる。
もっとも、この剪定誘引作業をやり続ければの話ではあるが・・・

左が黒陽や加茂茄子の畝。右は紫・緑・白の三色茄子の畝。


農業という職を何故選んだのだろう?
農園主は明確な目的があったから、また、第二の人生と割り切っているから、まあ、良いとして、若い、特に男性スタッフ達は、どうなんだろう?

若い20代の研修生に聞いてみた。

「儲けようとして農業を目指したわけではない」とぽつりと言う。
明確な答えは無い。「唯、自立した農園主にはなりたい」とも言う。

先日、東京において、マルシェを開いている社長一行三人が農園に訪れた。
当農園のスタッフ達を見て、こう言った。
「正直、気圧されました。眼光はするどくしっかりと前を見据えている。まるで武士の集団を見ているようであった」と・・・
農園主にはこどものように映っている彼らが、他の人から見ると、まるで違った姿に映っているようだ。
また、近所の方々も一様にこう言ってくれる。
「毎日朝早くから遅くまで、一生懸命に作業をこなしている。その姿が美しく凛々しい」と・・

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研修を終えて、独立
二年目の後藤君の
圃場。

これは里芋・筍芋の
畝。

植え付けから除草作業
そして畝揚げ作業と
結いの仕組みに乗っ取って、共同作業で
作り上げた畝。
きれいです。


他の人達のこのような評価を聞くと、彼らの親代わりであり、師匠でもある農園主としては嬉しいが、ここで単純に喜んでいるわけにはいかない。
私の体がまだ動くうちに、率先垂範して、彼らに農業のこと、農業者として生きること、農業での自立とは何、今後の農業の姿、競争に打ち勝っていくための術や戦略の立て方、「結いの仕組み」の完成形など、を身につけさせねばならない。
唯、自然循環農業については、彼らの中ではゆるぎない自信が芽生え始めており
それは心配してはいない。

後編ではかれらがうまく説明できないことを言葉で表現してみたいと思っております。