農園日誌ー農園に春到来

28.3.16(水曜日)晴れ、最高温度14度、最低温度2度

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          ビニールトンネルが完全撤去された二番の畑

今年は春になっても気温が上がらず、やきもきさせられたが、冬の装いから、
畑は一気に春になった。
トンネルが無くなると、畑一面、緑の絨毯となる。
最も丹念に除草作業も並行して行われているからですが・・緑の濃淡がきれい。
除草した草は、軽トラックに積み込まれ、堆肥場へ運ばれ、そのまま葉っぱや木屑
と一緒に草木堆肥となる。まったく無駄がない。
農園は現在、玉葱の畝などの草取り作業に追われており、気が遠くなるような作業が連日続く。

これから気がかりなのは、莟立ちであり、しばらくは花芽の付き始めた野菜の追い出し(これを出荷作業という)に気を遣う。
特に葉野菜・蕪・大根などのカンラン系野菜は一気に花を咲かせようとする。
春の野菜の生理現象ではあるが、子孫を残そうとする営みでもある。

先日、熊本の高校生が親御さんに伴われて農園に訪れてきた。
熊本の調理専門の学科を卒業したばかりとのこと。
ほとんどの卒業生はホテルやファミリーレストランへの就職をしており、本人は、
料理人になりたかったようだが、社会の現実を目のあたりにして、考えてしまったようだ。自分で納得のいく野菜を作り、それをお客様にお出しすることが夢だと語っていた。

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当日は堆肥撒き・種蒔き・除草作業や木屑の
破砕作業を体験した。

友達は?と聞くと、
「はい、います」
彼とは何を話し合っているのか?と聞くと、
僕の作った野菜を
レストランで使ってくれるか?
美味しい野菜を作ってくれ。必ず使うからと・・


初々しい会話である。
自分達も若い時はこうだったんだろうと、社会の現実の中では忘れてしまった遠い昔の記憶ではある。改めて初心を思い出させてくれたような、どこか眩しい世界でもある。
体は線が細い。農業の体になるには約一年を要するが、もしこちらに来るようになれば、金の卵である。続いてくれることを祈る。

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本日、忙しい出荷日。
朝から農務省に出向く
今年建設予定の
新社屋(加工場兼
ゲストハウス)に対する
国の補助金交付の認定が降り、認定証の
授与式への出席とな
った。
むかし野菜の邑の社長平野さん(お米と梨)と
共に出席。



めでたし、めでたしの後、座談会となる。
むかし野菜の邑の他、二社が今回の対象となっていた。九州では全部で六社。うち三社が大分県とのこと。

それぞれの会社の発足要旨を紹介した後、農林水産省への要望事項などは?との話であり、あまり話が盛り上がらないので、担当官が私の顔をちらちらと覗く。
どうやら、話してくれとの催促のようで・・
話しても良いのか、きつい話もするよ!と目でサインを送る。
局長など、プレス関係も同席しており、仕方ない!それでは、と話し始める。

先ずは、補助金の事前審査(調査)の煩雑さと固定性について、如何に国の事業とは言ってもいささか不必要な書類提出や要件が多すぎる。
これらを受ける農林水産者たちにとっては過重な負担となっていること。

型通りの回答を得るが、霞が関へ通用する話でもない。

次に、農業後継者育成について、
国(霞が関や国会議員達)が考えているほど、新規就農者の農業での自立は簡単ではない。
研修先(受け元)が研修生、それに続いて新規就農者支援に積極的に取り組まない限りは、販路もなく、設備もなく、ノウハウもなく、資金もない新規就農者はほとんど潰れている。この現実は把握しておられるのか?
単なるマスターベーション補助金を出すだけでは何の進展もないことを積極的に認識してもらいたい。
むかし野菜の邑はその農業後継者育成のために、このような形で発足し、今回の補助金申請に至ったことを説明。
であれば、もっと受け元への支援体制を国・県・地方公共団体などと一緒になって取り組むべきではないのか?

最後に、地域農業について、
地域農業はすでに破たんしており、活力を失っている。農業先進国である独・仏などでは露地栽培農家への支援は太くて大きい。
農業後進国である日本では、箱もの(施設資金補助)行政に終始しており、失敗を繰り返してきている歴史がある。支援の方法は、人材・ソフト・後押しなどいくらでもある。
独・仏ではおそらく露地栽培農業の継続は、国土保全及び環境保護に繋がるとの歴史的考え方から手厚く支援しているのだと思う。
地域は、国が考えているより、その破綻のスピードは速く、地域に農業後継者が
一人もいないことになってしまい、その水利や環境は誰が守っていくのでしょうか
などなどのお話をさせてもらった。
もっとも霞が関や政治家たちに届かないことは承知の上で・・虚しくお話は終わった

帰って、出荷作業の続きをし、玉葱の畝の除草作業などの日常に戻る。

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ふと見ると、空豆の花が満開に近づいていた。
これから、農園は緑に覆われ、色とりどりの花が咲き乱れ、ちょうちょが乱舞する
また、虫取りの季節がやってくる・・・