農園日誌ー一年間ありがとうございました。

25.12.25(水曜日)晴れ時々曇り、最高温度11度、最低温度4度
 
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          農園越しに見える初冠雪した由布岳(豊後富士)
 
今年も残すところ後一回の出荷で一年を終える。
よくこの異常気象の一年を乗り切ったと思う。出荷する90%の農産物を生産する
佐藤自然農園、毎週発送9~10アイテム、隔週発送13~15アイテムの野菜を
週代わりで月間450余名の方へ滞らずに淡々と出荷し続ける。
一年に少なくとも3回は訪れる端境期や突然襲ってくる異常気象にも関わらずに、
出荷し続けることは、一農園としては至難の業。少しでも農業を齧った方には、
奇跡と言われる。
草木堆肥や自然農、安全で高品質(美味しい)な野菜に拘らねばもっと楽にいける
ことは知っているが、信頼して頂いている顧客は裏切れないし、もっと言えば、
自分自身をごまかすことはできない。
そのため、考えを同じくする共同出荷の仲間達にも随分と助けて頂いたことはただ
感謝しかない。
 
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トンネルを張り続けて、
すっかり白い世界に変わって
しまった3番の畑。
 
農園全体では50張り以上、
竹の支柱は2000本以上、
作り続けた計算になる。
 
農園は約二週間のお休みを
頂くが、トンネル管理には正月
休みは無い。開けたり閉めたり、
の作業は続く。
 
 
 
農園は若い研修生が増え、これを機会に来年は法人化を目指す。
彼らの受入やむかし野菜習得の場になり、現在、共同出荷している生産者達には
拠り所となり、農産物加工では基地となる。
法人化と言ってもやることは今までと何ら変わらない。元来、農業は法人化には
不適格、農人が身を削って野菜等を愛しみ育てていかねばならない。どうしても
家族単位の生産活動となる。特に露地栽培、有機自然農の世界では、昼夜の
厳しい作業も伴う。そこに生活の楽しみを見出さねば、決して続かない。
そのためには頑張れば報われる仕組みを作らねば、ライフワークというだけでは
生きてはいけない。
 
「このグループに入って頑張り続ければ、相互に助け合い、農人としての誇りや楽し
みを維持し続けられる」
そんな有機農業の「梁山泊」が「むかし野菜の邑(むら)」であって欲しいと願う。
 
イメージ 3大豆(佐藤自然農園)を釜で茹で、灰汁を
取る。研修生の後藤君は初体験かな!
水が切れ、少し焦げができてしまった。
 
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約3時間、火を絶やさず、吹き零れ
させず、水を差しながら、ようやく指
でつぶれる程度の柔らかさになる
 
 
 
 
イメージ 5茹で上がった大豆を潰し、平野さん
(自然農)の米麹と混ぜあわせる
これをだんごにして、味噌樽に
仕込み、約半年で熟成させる。
 
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大豆を煮込んでいる間に、お餅付き、
増野製造部長(?)が適度に切った
餅をまるめる。ニット帽の妖しげな男が
祐輔君。皆若い新人達。頑張れ!
 
 
法人化に向け、お客様からは様々なメールを頂いた。
「法人化、おめでとう」から、「素朴な農園から会社に変わる。少し寂しい」などなど
 
「佐藤自然農園」はそのままで、勿論、「自然農の平野農園」も「佐藤雄二農園」も
「椎茸の田北農園」、二宮農園の老兄弟も、「むかし野菜の邑」のグループの一員
になる。
 
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             草木堆肥の上で滑り台を楽しむ子供達、
 
私は、昔から、考えを同じくさせる自分が自分で無くなるような派閥や組織という
言葉が嫌いで、あの意思統一のきつい組織である銀行員時代でもそのようにして
生きてきました。
学生時代、全共闘の一員として、小グループの委員長も努めさせられ、国の巨大
組織の圧力の意味も分らず、強制される権力に恐怖し、ただ、反発し、そして、
様々な挫折も味わいました。
個人の自由や意思を尊重することは、この世で最も大切なテーゼである、という
考え方は今も変わりませんし、自然に、素朴に生きることも好きです。
それでも、個人のそんな生き方を一人で守っていくことの難しさは、充分すぎるほど
分ってきた年代にはなっております。
 
横並び体質・規則・脱個性・規格押し付け・見てくれ重視・権威主義・ブランド主義
などなどが目に付く時代に、大量流通社会になるにつれ、「自然さ」「素朴さ」
「価値観」「本物」などを追求していくことが個人の力だけでは難しい時代になって
いる。
組織やグループの嫌いな私が目指す「小さな社会」が「むかし野菜の邑」ということ
になろうかと思います。
この試みが挫折していくのか?広がっていくのか?それは生産者と消費者が考え
をぶつけ合いながら、「同じくする」のではなく「和する」小さな社会を一緒に作って
いけるかどうかにかかっているような気がします。
 
どうか、この試みを見守ってやってください。そして、若い世代を育てていくことに
御協力頂ければ幸いです。