農園日誌ーグループ営農への試みーミニマムで壮大な試みPARTⅢ

28.3.2(水曜日)晴れ、最高温度13度、最低温度0度

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                次第に剥がされていくトンネル

早朝は凍結しており、トンネルを剥ぐと、氷が落ちてくる。まだまだ寒期は残るものの、日一日と春は近づいてくる。
野菜の成長は未だ遅く、目下の処、何とか凌いでいるといった感じではある。
明日からは急激の温度が上がり、4月並みの気候だとか、野菜のほうがその変化に追いついていくか、心配になる。
早くも成長不足のまま、日照時間が長くなり、急な暖かさを感じているのだろう。
蕾立ちしているものまで出始めている。露地栽培の難しさがここにある。

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春は種蒔きの季節
カンラン系野菜・
夏野菜をハウスの内部に作った踏み込み堆肥
の上で、育苗している

草木堆肥を厚さ60センチに積み上げ、足で踏み込んでやると、
発酵が始まり、苗育てにはちょうど良い暖かさになる。



(グループ営農へ向けたミニマムで壮大な試み)

今まで人間の欲の制御はの難しさを述べてきた。
人とは何か?最早、宗教的な心理の、あるいは、真理の追究に近いのかもしれない。
元来、私は自由人でありたいとの願望が人一倍強く、組織は大嫌いである。
それでも、自然循環農業の社会的な存在価値を認めてもらうためには、この組織=集団の存在は不可欠となり、そして当然にその制御は必須の条件となる。

現在は、佐藤自然農園を中核として、平野さんの自然農のお米と梨、田北さんの
露店原木椎茸とお餅、佐藤雄二農園の数種類の野菜でグループを組んでいる。
そこに以前から栽培をお願いしている栗・里芋・さつまいもやカボスの二宮農園
さん兄弟、時折農園に顔を出し始めた二宮(県会議員)さんの果物などの共同出荷を、むかし野菜の邑で行っている。
二年前から研修生として加わった三人の若者が、今年から新たに農園を開く。
皆、一様に自然循環の考え方を持っている。正確にはその素地があった仲間が集まった(集めたと言えなくもない)といったほうが正しいのかもしれない。

そうなると、これは最早、グループ=集団営農に近づいたことになる。
去年から始めた本格的な穀類(大豆・とうもろこし・小麦)生産では、佐藤自然農園と若者三人に加えて田北さんとで、共同作業を行っている。
今年はその大豆で味噌作りを本格的に開始した。お餅に添える黄な粉の製作も行った。
今年は小麦の収穫が見込め、製粉にしてパン系・万頭系の試験的製作が始まる。
小麦粉・大豆粉・とうもろこし粉を混合させ、新たなパン及び野菜万頭となると思われる。
ここでも大分市坂ノ市フェルマータパン屋さんとの連携を模索し始める。
三年後には、養鶏事業(平飼い・有精卵・自家製飼料)も視野に入れている。

そうなると、これは加工品まで加えた立派なグループ営農の一つの形となる。

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積み上げられた木屑と葉っぱの山。

農作業の合間に、
時間を作っては
こつこつと剪定枝と葉っぱを仕分けして、
枝は破砕し、あるいは
焼き、焼き灰も作る。

それこそ気が遠くなるような作業が延々と続く毎日。

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破砕作業の風景

二人若しくは三人でチームを組み、
一気に破砕を行う。
埃にまみれ、腰の痛みに耐えながらの作業

これも当農園の一つの重要な作業。
溜められた草や葉っぱ
で堆肥を作る。


それぞれが自分の農園を持ち、それでいて共同で農作業を行う。
独立自営と共同共栄をどのように形に纏めていくか?
これは新たな共同体の創造と言えなくもない。
それぞれの居場所では自由人であり、グループ内では組織人でもある。

昨日、大豆の出来高がようやく判明した。と言うのも、昨年の天候不順で大豆の出来が悪く、その40%以上が不良品となり、豆の選別作業に多くの時間を要したため、出来高が分からなかったことによる。
田北さんと共同で生産したおよそ4反の大豆圃場にて、およそ200キロの大豆が採れた計算になる。予想の60%の不作であった。
両農園としては、およそ12万円の収入にしかならなかった。

※もしこの大豆をむかし野菜の邑からお客様へ販売すると、14万円にしかならな
 い。キロ700円としてですが、自然農の市場ではもっと高く販売されてはいるが
 グループでは普通の方に食べてもらいたいということが理念となっており、
 このくらいにしかならない。
 もっと大きな課題が穀類の価格が安過ぎるいうことにあり、農家が補助金なしで 
 は作りたがらないのも頷ける・・・生活が成り立たないのです。
 
佐藤自然農園のメンバー6人と田北さんの共同耕作での分配はどうしたら良いか
との質問を若い三人に振ってみた。
田北さんは4反の圃場を耕耘し、植え付け・除草作業と収獲には参加した。
但、脱穀作業は佐藤自然農園で行った。
メンバーからは、7:3でしょうかね。との回答を得る。
我が意を得たりの回答であった。

広大な面積を必要とし、手作業がほとんどとなる自然農の穀類生産では、人海作戦しかやりようがない。今後も必要な共同作業上での公平な分配にはバランス感覚が必要となる。そのバランス感覚のテスティングとしては恰好な教材ではなかったか。
このバランス感覚こそが結いの仕組みの最も大切な考え方であり、自由と共同の
間を繋ぐ基になる。

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繁茂し始めた麦畑
一粒の麦から
分岐する茎。

除草剤を排した自然農の小麦。
早くも雑草が芽吹き始め、除草の時季がポイントとなる。
手作業での除草作業は覚悟の上とはいうものの、雑草よ!穏やかにしてくれ!と祈る。


これから、様々な問題や課題が出てくるであろう。
収益が上がる野菜生産だけでは、消費者からみれば、不満が出る。
例えば、玉葱・ジャガイモなどは必需品であるが、生産者から見れば価格が安く、
手間の割にはあまり作りたくないアイテムである。
グループ営農ではそんな野菜も作らねばならなくなる。
では、誰がどの程度作るのか?ほとんど収益の上がらない穀類生産はどのような形で誰が作るのか?
その都度、むかし野菜に集まる農人達の話し合いが必要となり、時には強制的な指示も必要となってくる。
これから、グループ営農の新たな試みが始まろうとしている。
そこには、圧倒的な商品力(美味しさと栄養価)と商品ライン(品揃え)が必要であり
その商品を支持して頂ける消費者へのコミュニケーション能力が問われ、最後は
消費者の暖かい信頼や励ましが肥やしとなる。