農園日誌ー秋の日はつるべ落とし

24.10.5(金曜日)最高温度26度、最低温度16度
 
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農園は夕暮れが早くなり、18時を回ると急激に暗くなり、秋野菜の水遣りに走り回る
あわただしさとなる。
夕方の作業時間が少なくなり、日頃の疲れからか、朝早く起き出られ難くなり、ますます
作業をする時間が減ってきた。困ったものだ。
それでもようやく夏野菜から順次秋野菜への模様替えが進み、一段落してきた。
今年は、秋野菜への取り組みや立ち上がりが何故か遅れ、野菜不足に拍車をかけている。そんな中、久しぶりに福岡のフレンチ、ジョルジュマルソーのオーナーシェフ
小西さんから電話が入る。
 
「お元気ですか?体のほうは大丈夫ですか?内の方は12月から第三店舗がオープン
しますよ。」
「頑張っているな!弟子は順調に育っているようですね。」
「そちらも早く弟子を作り、佐藤さんの野菜を伝承しなければ」
 
ーどうやら、料理人の世界も農業の世界も皆、徒弟制度のようだー
 
「お母さんはその後、お元気ですか?」
「大丈夫ですよ。佐藤さんの愛情がこもった野菜を毎日食べているから」
 
ーシェフのお母さんが癌にかかり、今療養中です。もう二年になるか、草木堆肥の野菜
を食べ続けており、癌の進行を抑え込んでいるようだー
 
「早く弟子を養成して、農園を続けてもらわねば、佐藤さんとこの野菜がなければ、困るんだから、頼りにしてますよ」
 
ー励まされているのか、気遣われているのか、こちらの疲れを見透かされている。
長い付き合いだとそうなのかな。歳は取りたくないものだー
 
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ようやくじゃがいもの土寄せが
完了した。
 
全て鍬一つの手作業。
鍬の腹で除草し、削いだ草の上に土を掛ける。
 
中々に熟練が要る作業、
今年は娘たちが頑張ってくれた
 
少しばかりの手直しでこの通り
きれいな土盛りが出来上がった
 
 
(お客様の声と寄せられる問い合わせ)
 
最近の野菜の新規の申し込みの際、必ずする質問がある。
 
「どのようにして佐藤自然農園のホームページにたどり着かれたのですか?又、
今までに有機野菜などを取っておられましたか?」
 
10人のうち、9人の方々が、有機専門の卸業者からの宅配であったり、大規模な
有機などのグループと取引をされていた方が多い。
さらに聞いてみると、有機野菜に疑問を感じ始めた方がとりわけて多いようだ。
 
・何故こんなにきれいなの?形が皆揃っているの?
・どうして美味しさを感じないのか?
 
他にも様々なご意見があるようだが、決まってこの二点に集中する。
 
どうやら、有機野菜も何となく妖しくなってきているのかもしれません。それは有機野菜の流通適合を求められ始めたからです。
本来有機野菜は不揃いで、虫食いの跡が多いものですが、有機を目指す農業者が
大手の流通に集約され始めたため、流通の論理である「見てくれきれい。規格サイズ。
虫食いは許されない」の型にはめられ、様々なものを使い始めざるを得なくなっているのかもしれません。又、リスクの多い露地栽培からリスクの少ないハウス栽培に移行しているのも現実です。
しかし、この生産者達を責められません。皆生きていかねばなりませんから・・・
 
さらに、本来の有機農業を目指す方々は良質な野菜作りには土作りといって、自分で堆肥を作るのが当たり前なのですが、昨今は多くのの有機農業者が他で買ってきた堆肥や有機肥料や畜糞を使用しているのも現実です。
そのため、本来は個性豊かで味わい深いはずの有機野菜が皆画一的なものになっていっているのかもしれません。
 
自然循環農法が本来の有機農業のはずです。そうであれば、必ず土作りの堆肥は
自分で確認した原料を使い、自分で納得のいく堆肥や肥料を作るのですが?
 
国が定めた有機JAS規程がこの問題にさらに悪い拍車を掛けているようです。
「単に化学合成しない有機物を使用すれば有機野菜」 これはかなり可笑しい。
 
最近の当農園を尋ねてくる方々(ホームページ)は、どうやら自然農法のほうに関心が
向かったいるようだ。
この自然農法の唯一の問題は常に野菜を作り続ける土壌では、極端にミネラル分が
不足してくることです。どうしても他から堆肥か肥料や海のものを持ち込まない限りは
慢性的にミネラル不足になってしまいます。
 
当農園の特徴は、悩んだ末、むかしの農法(先人達の叡智の結晶)を現在に復活させたことですか、「むかし野菜」と言うか、有機自然野菜とでも言うのか、但、今の若い人たちにとっては、労力がかかりすぎるのかもしれません。
むかしの人達は偉かった言わざるを得ません。
 
どうやら、佐藤自然農園はそれら迷える消費者の終着駅になり始めているのかもしれません。但し、私は特別にこだわっている訳でもなく、おいしく栄養価の高い野菜作りを目指したら、自然に今の農法に至っただけですから・・・
 
以上、多くの方からの最近の問い合わせに答えられたかは分りませんが、
もし、内以外の農家から野菜を取るとして、有機野菜に疑問をお持ちであれば、
このように質問してください。
「土作りはどんな方法で行われておられるのですか」と・・・
 
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白いまんじゅしゃげ。
 
この秋から、新人を育成する
ようになりそうだ。
彼らに優しく接することが
できるか、やや不安。
 
むかし野菜作りの厳しさや
マーケットにおけるその野菜
の位置の不確かさに
どこまで耐えられるのか、
巨大な流通システムや
そこから作り上げられた
消費者の農産物に対する
価値観の壁に立ち向かえるだけの強固な意志を持ち続けられるのか?消費者にどこまでも対等な仲間として
対話をし続けるだけの知識や経験ややさしさを持ち続けられるのか?
厳しい教育になりそうだと予感させられる。それでもかれらに生き残って欲しい。
 
佐藤さんとこの野菜が頼りだからねと言ってくれる仲間が居る限りは続けていけそうだ。