むかし野菜の四季ーPART2

2021.10.8(金)晴れ、最高温度31度、最低温度17度

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                  白長茄子

 

相変わらず太陽の日差しは強く、連日季節外れの猛暑が続いており雨も降らない。

そんな中、茄子類は流石に秋の訪れを感じているのか、成長が遅く秋茄子の風情が

漂っており、終わりが近づいている。

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         秋のズッキーニと胡瓜、右隣は黒大豆

 

この季節は秋野菜への繋ぎの時季に当たり、本格的な秋野菜となるまで、夏野菜を

植えます。生育期間は短く中秋の季節までです。黒大豆は枝豆にします。

 

 

むかし野菜の四季ーPART2

「農法の分類」

当農園のお試しセットを申し込まれるお客様から有機野菜と表示した野菜を取って

はみたものの、見た目がきれいで形が揃っており、果たして安全なのか、

どのような農法なのか、その見極めがわからない、と言う質問が多い。

そんなお客様に当農園の野菜を送ると「そうです。こんな野菜を探していたのです」

と、まだ箱を開けたばかりなのにメールが入る。

確かに農業現場から見ても有機JAS法が制定される以前の有機野菜生産農家のほう

が分かり易く生産者はそれぞれのプライドを持っており安全性や健全性はむしろ

高かったように思える。

そこで、消費者も含めてこれから新たに農業を行おうと思っておられる方にとっ

ては、現在行われている農法の大まかな分類も必要でしょう。

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              農園マルシェの風景

 

慣行農業・・化学肥料・農薬・除草剤などを使った近代農業、ほとんどが農協など

を通してスーパーなどで売られている。マーケットの98%以上がこの野菜です。

低農薬などと表現している慣行農業もありますが、どのような農薬をどの程度使用

しているのか、実に曖昧です。通常マーケットに出ている野菜は虫食い一つあって

もいけませんので最低でも一週間に一回程度の農薬(種類によっては危険度が高い)

は使用しておりますが、これも低農薬の部類に入っているようです。

 

非公認の有機野菜・・有機JAS認定を取得せず、独自の有機肥料を使って生協・有機

専門卸を通して販売を行っている。ただ、自称有機野菜を言っている生産者・流通

会社もあり、実態はわかりにくい。

「大地の会」などは会独自の規格を作り消費者へ販売しているケースもあります。

有機JAS認定取得の煩雑さと手間を嫌って独自の有機肥料を使っているようです。

その有機肥料も畜糞・油粕・米糠などが多く、どうしても窒素過多になっています。

藁や草などを使っている堆肥に近いものもありますが、成長が遅いため、窒素分の

多い有機肥料を使いがちです。マーケットの1.5%程度でしょう。

 

有機JAS認定・・有機JAS認定のマークが付いており、有機専門の卸屋を通して販売

している農家が多い。国からの支援も販売機会点も乏しく、煩雑な手続きと現実対

応し難い規約に嫌気がさしているのか、年々減少しているようです。その結果マー

ケットの0.2%程度しかない。

 

自然農農産物・・無肥料・無農薬栽培としており、ほとんどが家庭菜園レベルであ

り、生産量は限られており、不安定でもあり、小さなグループを形成している場合

が多い。その実態はわかりにくい。

ごく一部に焼き畑農業も存在しているが、こちらのほうが自然農と言っても分かり

易い。

 

自然栽培・・窒素分の少ない草木堆肥によって土を育て、土の地力によって農産物

を育てる。

土作りに最低3年を要し、この農法で農産物を生産できるまでには多くの年月が

掛かります。そのため、この無肥料栽培(低窒素栽培)を筆者は当農園の他2軒

しか見ていない。

実際には土作りに10年以上を掛けてフカフカ・サラサラの土に育ててからが美味

しく栄養価の高い野菜ができます。この栽培方法がこの本のテーマです。

この栽培方法をとっている農業者は数えるほどしか居ないでしょう。

自然栽培農産物と言うワードは公認の言葉ではありませんが、自然循環農業のほう

が通りが良いようです。有機野菜とは一線を画しており、「むかし野菜」と言うべ

きかもしれません。

尚、肥料を使わず、草木堆肥しか施肥しない農園は当農園しかないと思います。

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            アフリカ原産の四角豆の花

透き通ったようなブルーの花を咲かせ、農業者の目を楽しませてくれる。

素揚げにして食べてみると、これが美味しい。

むかし野菜では一年を通して端境期を作らず、季節の変わり目にも何かの野菜を

繋いでいく。この四角豆もその一つです。待っている定期購入者(仲間達)の

ためにも「野菜が無いのです」とは決して言えない。

 

農法より農薬の使用のほうがクローズアップされているが、実は、使われている

肥料の方が重要なのです。最も私が言うところの危険な農薬や除草剤を恒常的に

使用している農業は大きな問題なのですが、化学物質が多く含まれた肥料・畜糞

や肥料過多で育った農産物も危険性は同じなのです。

未来へと繋がっていかねばならない「持続可能な農業」には、健全な土壌が大切

です。

そういった視点でこれらの農法を見比べてみると、今までとは異なった問題点や

価値観が見えてきます。

マーケットに存在している農産物の98%は慣行(近代)農法から産出されたも

のです。ただ、他の2%の農産物はマーケットでは見えにくく、自ら探さねば出

会えないものです。

全国の有機農園と称している生産者及びグループのホームページをご覧になって

ください。

そこに記述あるいは、紹介されている肥料及び堆肥がどのようなものなのか、どの

ような作り方をされているのか、詳細な説明が無いようです。土作りを説明して

いるホームページがあれば、分かり易いですね。

無農薬などとうたっているほかは、詳しく紹介されておらず、観念的で曖昧な表現

しか見当たらず、言葉だけが踊っているように見えるものもが多いのも残念です。