農園日誌

23.1.25(水曜日)曇り、時々雪、最高温度5度、最低温度ー2度
 
寒い朝を迎える。昨日より、夜は氷点下に下がる。
ラニーニャ現象らしい。異常気象は10年単位で続きそうだ。
長年積み重ねた経験は、今後の露地栽培の難しさを予感させ、
通常の季節の種蒔きや苗育てとは別に、捨て植え、重ね植え、などの予備的な
栽培方法(時季をずらして)を取れ、と教えてくれている。
あまりの寒さ(継続的に寒い)に成長したものか、止まっておくかと幼い苗達は
すでに考え始めているようだ。人の手により、それを調整し、どうぞ育ってくださいと
被覆作業やトンネル掛け、剥ぐったり、閉めたりしながら、野菜達にお願いして回る毎日。
 
ああ!春が待ち遠しい。
 
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          老梅は春の訪れを感じて一斉に莟がほころび始める。
 
「消費者たちは、この極寒に野菜があるということをどのように感じているのだろう。
施設園芸全盛の時代、スーパーでは季節に関係なく色んな野菜が出回っている。
露地栽培ではビニールトンネルを開けたり閉めたり、被覆布を掛けたり外したり
管理が大変なのに」と、去年から農業を始めた河野さんがぼやく。
 
草木堆肥・露地栽培の農業は、私にとってもはや当たり前のことになっており、
季節野菜の美味しさに触れたため、これ以外の農法は今は考えられない。
苦労を苦労とも感じなくなっているが、今からむかし野菜の農業を始める方々に
とってはそうなんだろうと・・・
 
河野さんの言葉を翻訳すると、こうなる。
「安全で栄養価の高い美味しい野菜を作る努力を、消費者の方々にはもっと知って
欲しい。少なくとも農産物を頂く時に好き嫌いなく、自然の恵みに感謝する心を持って、それを子供さん達にも教えて欲しい」
ちょっと、脚色が過ぎたようだが、概ねこんなところか。
 
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春キャベツの畝
本来は、12月には出荷ができて
いる予定のもの。
 
約140個は植えたはずだが、
月曜日から水曜日までに
出荷できたのは51個だけ。
金曜日の出荷予定が13個だから
たった64個しか今回出荷できなかった。
来週の隔週の方々(36人)には約三週間も待ってもらわないといけない。
レストランにはこの中から確か
15個出荷したから、79個の出荷
に留まる。
こんなふうに露地栽培の場合は
計算がいつも合わない。
 
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今、静かな人気が出始めた田北さんの
原木椎茸。
生椎茸は、現在、菌床・ハウス原木・
露地原木の概ね三通りの栽培方法が
ある。菌床椎茸はおが屑を固めて
室内で促成栽培であり、ハウス原木椎茸は菌を打ち込んだ原木を強制的に
水につけたり、スプリンクラーなどで
ハウス内で水分を散布したりする半
 
これらに対して、自然の状態で、菌が活動したい時に、芽吹き、ゆっくりと成長する
所謂自然栽培(どこか露地栽培と似通っている)。
これだと発芽はばらばらで、大きさも又ばらばらとなり、管理が大変であり、見え形でランクが決まる今の等級制度では、はなはだ評価が落ちてしまう。
 
さて、このような市場流通の価値観を皆様は容認できますか?
田北さんは、又、ぽつぽつと私に語る。「今は白っぽい椎茸が見栄えがよく人気がある。でもわしは、今の黒っぽいこの椎茸が一番美味しい」と、
 
これが静かに人気が出始めた田北さんの椎茸です。
 
今日、日出町に在住のKさんのご自宅に訪問する。
1.29(日曜日)に挟間の未来館調理教室にて、生産者と消費者の対話集会を
(AM11時から試食会も同時開催)開催するに当たり、子供さんの生まれながらの
難病に立ち向かい、今はすっかり治癒している子供さんにも会い、この集会に
参加してもらいたいとの要請に出向きました。
お話を聞き、彼女の母親としての苦闘と、すっかり治癒した子供さんの元気な姿
に接し、さらに多くの悩みを抱えている同世代のお母様達の相談をしていることを
お聞きして、その活動にも敬意を表したい。
何とか消費者の一人として私達の仲間になってもらいたいとの思いが強くなり、
つい、農園・加工場・農産物販売所・啓発の場所としての飲食店・食育・子育て・
子育てに悩む孤独なお母さん達の集える場などの複合施設を作りたいと、力説してしまいました。
いつの間にか、その訪問目的はどうでも良いような気分で帰ってきてしまいました。
 
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ツァーサイ
 
野菜が作る自然の造形美。
 
 
時として、お花畑より美しく
様々な色が織り成す景色
 
 
どこかいとおしくなるような
存在感を感じる。