農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.4.15(水曜日)晴れ、最高温度18度、最低温度7度

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     むかし野菜の邑の仲間達、平野さんの自然農栽培の梨園にて

 

匠の会(霧島酒造主催)の撮影二日目。

俵万智さん他、取材陣一行は満開の梨園を訪れた。農薬も化学肥料もやらない

自然農栽培を続けている平野さんとその苦労話をしていた。彼は、農薬も肥大ホル

モン剤も使わず、梨とお米を作り続けている。私以上に頑固者である。

唯、時として、カメ虫の大量発生の年などは、ほとんど梨の収穫が無いこともある。

この自然栽培の梨は、余りにも美味しくて、農園の仲間達の心をしっかりと掴んで

いる。但し、余りにも気まぐれで、出荷量は少ない。正に奇跡の梨です。

俵さんも白い花の咲く梨園は初めてのようで、興味深く話を聞いていた。

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ルッコラの花。サラダセットには必ず入るハーブの一種。胡麻の味香りがし、10種類の野菜が入るサラダセットののアクセントとなっている。

 

2020.4.8 俵万智さんがやってきた その二日目

二日目はテレビ西日本のクルーにFM福岡のスタッフが本格的に合流。総勢9名となる。
放映される番組は霧島酒造(専務担当)の番組であり、地元九州の匠の技を伝承していくプロフェショナルな方々の考え方・生き方などを紹介する取組である。未だに試行錯誤を繰り返している農園であり、小さく中途半端な当農園が何故選ばれたか、おそらくは、こうであろうと勝手に推察している。
以前いきなり霧島酒造の専務一行が当農園を訪れてきたことがあった。
その際、専務さんには、このような話をした覚えがある。

 

「今では飛ぶ鳥を落とす勢いのある霧島酒造であり、地域産業のリーダーでもある。

霧島酒造さんは製造メーカーであり、その主力農産物は芋ですね。となれば、地域の農家と結びつき、連携して共に歩んでいかねばなりませんですね。今からの時代は、一人勝ちの時代は終わったと私は考えております。
どうか、地域農業を慈しんでやってください」とお願いしたことがあった。
さらに、「今の日本は、古き良きものを捨て新しいものを作り出そうとしています。果たしてそれで良いのでしょうか?技術革新は常にしていかねばなりませんが、長きに続いてきた伝統の技やそれを継承していく日本の財産でもある職人を捨てて行って良いものでしょうか?
長く続いたものの中には、価値のある本物もあります。芋焼酎などはまさにその古き技であり、本物なのでしょう。ですから、浮沈を繰り返しながらも、現在の消費者に受け入れられたと思います。
当農園の草木堆肥を使った自然循環農業も千数百年間続いてきた本物の有機農業なのです。
私はこの農法を使って、新たな農業と言う産業を地域に興していきたいと願っておりますよ」などのお話をしたように記憶している。
その話を覚えていて今回のような取材があったのではないでしょうか。

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天原木椎茸栽培農家である田北さんの椎茸の圃場。むかし野菜の仲間の一人です。

木訥(ぼくとつ)で、うまく表現できず、俵さんの質問に時折、助け船を出す。

唯、確固たる信念を持ち、ハウス栽培が主流となっている原木椎茸の中で、あくまでも

露天栽培を行っている。彼は私が開催した農業セミナーの受講生の一人であり、今日も

「先生」と言う表現が出る。その度、私からたしなめられている。「佐藤さんです」と。

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山奥の圃場に向かうため、俵さん、軽トラに乗るの風景。ようやく彼女の素の顔が出てきた。

 

ともかく取材は二日目となり、今日のテーマは、野菜の収穫・選別・発送作業のこと、水曜日・日曜日に開催している農園直販所のこと、その合間に俵さんとの対談を挟む。
お昼は数種類の野菜が乗った農園ピザを焼き、スタッフ全員で軽く昼食。皆さん、わっと喜んでいたが、時間が無いので、すぐにお腹に詰め込み、早速に出発を促す。由布市庄内町に点在している農園の仲間達の圃場巡りと麦畑の取材となった。
由布市庄内町は典型的な中山間地であり、田園風景あり、里山ありで、その真ん中を由布川峡谷が割って入り、集落が里山に沿って点在している。
むかし野菜の邑の一員である完全自然農の梨園は、今、花盛り。次に訪れたのは、山間深くにクヌギのホダ木が並んでいる露天原木椎茸の圃場で、みんなで森林浴。
最後に佐藤自然農園の小麦畑の撮影を行った。撮影の最中、田園の真ん中を走る赤い電車が通る。
長閑な田園風景であるが、過疎の集落には、子供の声がしない。悲しい現実がある。
帰りに梨ソフトを皆さんにごちそうして、この日は現地解散となった。

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今では、農園の厄介者となってしまったジャーマンカモミールの花。

リンゴの香りが辺り一面の漂う。以前、注文でカモミールを植えたことがあった。

処が、それ以降毎年、あちこちで芽を吹き、かわいそうなので出来るだけ残している