農園日誌

23.11.4(金曜日)曇り、最高温度23度、最低温度17度
 
本格的な秋到来と喜んでいたが、毎日ぐずぐずとした天気が続き、湿気が多く、暖かい日が続く。野菜は日照不足と湿気で蒸れ始め、水菜・サラダ系・青梗菜などが溶けていく。虫が大量発生し、その被害も大きい。
畑は急ピッチで秋野菜へ模様替え、足腰が軋むが、幼い苗達がそんな気候でも
頑張ってはいる。しかし、太陽が恋しいと悲鳴を上げており、成長は足踏み状態。
他の方の畑(化学肥料と農薬)の野菜は順調に大きく育っている。水分が多いと
成長がやはり早く、大きく水をあけられてしまっている。
 
草木堆肥のみの場合(露地栽培)は、太陽・温度・水分、のバランスが悪いと低窒素
のため、順調な成長が難しいことに今更ながらに気がつく。そして、意外に大きな要素が風にもある。滞った空気が風により流れ、大きく成長していくんだな!と思う。
 
イメージ 1
   きれいに畝上げされ、種を蒔いたばかりの野菜達が育っている(5番の畑)
 
最近関東のお客様が急増しており、お客様が100人に迫る勢い。どうりで野菜が
植えても植えても減っていく。作業が追いつかない。早く草木堆肥による野菜の生産者を増やさないと、気ばかりあせるが、そんなに急に土ができるはずもなく、当面は
自分が頑張るしかない。
 
前回、このブログで「イメージ有機客」と表現したが、それは何ですか?との問い合わせが寄せられた。
 
当農園にアクセスして来られる方の多くが、様々な処で有機野菜を取られていた方のようだ。言わば有機野菜消費者のプロ。その方々が初めて内の野菜に接しられて、驚く。
虫食いの跡はあるは、形はいびつだは、サイズはまちまちであるは、見てくれが
とにかく悪い。食べてみるとこれが美味しい。そのギャップがかなり大きいようだ。
それでもさすがにあちこちで有機野菜に接しられており、本物を見抜く目は持たれていると見え、皆、一様に継続の申し出がなされる。
しかし、初めて有機野菜に接しられる方の多くは、無農薬・ノン化学肥料の野菜が
安心安全と訓えられているのか、頭だけが先行して、とにかく、有機JAS認証野菜
や大手有機専門業者が安心安全と思い込んでおられる方が極めて多い。
(国や大手業者が野菜を作っているわけでもないのに・・・!)
 
本来、有機野菜なるものは、無農薬・ノン化学肥料という極めてあいまいな定義
しかなされていない。しかも、国の定める有機JAS規程の認証を取らねば、有機野菜としての公認が得られない。(有機JASを定めた官僚たちは野菜を育てたことが
ないし、現実を理解しているとは思えないのに)
これが多くの「イメージ有機客」を生み出す結果に繋がる。
最近増加してきた大手の有機野菜専門の流通業者は、傷も無く(おそらく虫食いの
跡などない)サイズが揃っており、それこそ、見てくれの良い野菜がほとんど。
一般の慣行野菜に慣れた消費者は、そんなきれいな野菜も有機野菜と思っている
のは間違いなく、当農園のようなそれこそひどい野菜はおそらく無いでしょう。
 
無農薬・ノン化学肥料の野菜を育てた方や生産者達はそんなきれいな野菜が出来るはずもないと思っているのに、それこそ、ほとんど全滅する覚悟がないとつくれないとも思っている。それほどに虫害が多く、無傷な野菜が出来る筈もない。
 
このギャップこそが、私の言う「イメージ有機客」を多く生み出している理由です。
国の不完全な(むしろいい加減な)有機認証制度が有機農業の進展をさらに
阻害させ、農業現場だけではなく、消費者マーケットをいびつに導き、矛盾を
さらに拡大させていく。イメージ有機客からはそっぽを向かれ、有機専門の大手流通業者からは相手にされず、それでも頑張っている真の有機野菜生産者も多くいるのに・・・彼らが挫折しなければ良いがといつも思う。
中には有機の認証を取得している有機農家には、虫の大量に発生する季節は
野菜を作らない方も多くおられる。これでは何のための有機認証制度か、誰のための有機野菜なのか、甚だ疑問を抱いてしまう。
 
イメージ 2緑の絨毯が重なる秋の野菜
畑の風景(4番の畑)
 
ここには随所にハーブも
植わっている。
手前の草は萱ではなく
レモンクラスです。
 
その先にはもう終わり
かかったズッキーニの花。
 
黄緑色の野菜は大根や蕪
 
 
(少しの勉強)
先日、関東のオープンして間もないレストランのシェフから便りが・・・
数種の蕪や大根の使い方などについての質問でしたが、「料理の現場では、野菜の
皮を剥いて、さらに切った後、水に晒して灰汁抜きをする」と教えられているようで、
中々その習性が抜け切らない。
その度に、「お客様に旨みも栄養価も抜いたカスを食べさせるつもりですか」と、・・・
但し、季節によっては表皮が硬くなったり、線虫が這った跡が残り硬質化する場合
は皮を剥くこともある。今回はその質問のようで、進歩の跡が見られる。
「野菜のほとんどは表皮と果肉の間に栄養価が一番多く、当然に旨みも多い」
一度包丁を入れたら、水に晒すなど論外です。
 
イメージ 3
第一回目の土寄せ作業
を終えた九条葱の畝。
葱は酸素を欲しがり、出荷するまでに2~3回のこの土寄せ
作業を行う。
 
除草と兼ねて合理的な作業工程
を行うことが必要。
葱は土に埋まると、太陽を求めて青い葉をさらに伸ばす。
こうして甘い白い部位が多く
できる。11月末~の出荷。
 
以上のことから、悩んだ末、佐藤自然農園の野菜作りは「むかし野菜」として、国の
定める有機JAS認証制度とは一線を画すようになったわけです。
これで、少し納得頂けたかどうか・・・
私が言えることは、多くの有機野菜に接してみて、先ず食べてみることです。
その上で、どのような土作りをしているのか?理念だけが先行していないか?
その有機野菜が美味しいのか?味は?香りは?食感は?旨みは?それらが備わった有機野菜(傷は必ずあるし、見てくれは悪い)は、間違いなく土作りに懸命に努力されている生産者であり、必ず栄養価が高いものです。
消費者はもっと賢く学ぶべきであり、味覚を鍛えるべきであり、何より家族を大切に思うべきです。
ちなみに、草木堆肥による土作りを学ぶ生産者達には、自分の味覚や感性を鍛えることを常に要求しております。又、土作りには3年かけよ!とも・・・
 
イメージ 4
ブロッコリーなどのカンラン系野菜、人参や九条葱の畝(2番の畑)
 
この2番の畑は草木堆肥
歴10年です。
この畑はいつももっとも
美味しい野菜が出来る。
畑が年間2.5回転するとして、実に25回草木堆肥
を施肥している計算になる。最近富にミミズが増えた。そのため、もぐらも増えた・・・困った・・・