むかし野菜の四季ーPART2ー体感型生産観光農園始動開始

2023.8.6(日)曇り、最高温度31度、最低温度26度、台風接近中

           由布市庄内にて草木堆肥を振る

牧歌的な庄内地区の里山の風景です。

ここに4反(1,200坪)の圃場があり、グループ内の田北さんが管理している。

むかし野菜の邑のスタッフと併せて総勢7人にて大豆の種を蒔くために、

先ずは堆肥を振っている処。暑い盛りであり、早朝の作業風景です。

大豆の他に、麦類・お米などの穀類を育てている。

 

自然栽培の課題は低窒素栽培(成長が遅い)と雑草対策です。

特に大豆は夏草が茂り、芽を吹いたばかりの大豆を圧迫してきます。

管理機による土寄せと草刈り作業を行いますが、それでも収穫前には草に覆われ、

成長した大豆を探すのに苦労するほどです。

            草木堆肥歴20年の畑

 

「持続可能な農業」

先日、東京にて草木堆肥を使った自然栽培の講演を行いました。前東京大学客員教授

から招かれた経営者や研究者を中心とした50名前後の方が参加していました。

参考までに貴方の意見を述べてくれと、討論会への参加要請でしたが、サステナブル

(持続可能)な社会を目指し、都市型有機ゴミを使ったコンポスト作りが一つのテーマ

であったため、急遽講演会に切り替えたようです。

当農園が作っている草木堆肥を使った土作りは化学物質を嫌っており、化学物質に

まみれた都市型有機ゴミを使ったコンポストは畑に投入する気にはなりませんので、

かなり違和感を抱きながらも皆様へ草木を使った自然栽培のお話しをしました。

 

※現在の食はかなり危険な状態にある中で、都市から出る有機ゴミは食品添加物

合成した化学物質などが紛れており、化学物質を畑に持ち込むことを嫌う自然栽培

農家にとって堆肥としては不適格です。

 

講演会は結果として成功でしたが、化学物質を避けて草木堆肥を使った土作りの説明

をしながらもその意義も理解されずにやたらとサステナブルと言う概念だけが踊って

いる大都市生活者の感覚にやや違和感を感じました。

利便性や飽食に慣れた現代人の生活習慣とサステナブル社会とは大きくズレており、

近代設備のテントに寝泊まりしながら「自然って良いね」と言っている感覚に似て

います。

マーケットでは有機無農薬とか、有機野菜だから安心安全な農産物であるとかの言葉

ばかりが先行しており、大多数の消費者は蓄糞に含まれた抗生物質や薬品が如何に

自然の生態系を壊しているかと言うことを深く知ろうとはしない。

概念ばかりが先行している持続可能な農業や社会を目指しましょうと唱えている現代

人の感覚は、自然循環農業の実態とはかけ離れており、環境に負荷を掛けない

健全な農産物を育てる土作りの農業が如何に厳しい生産環境に置かれているかも

知らない。

それが違和感の正体でした。

 

10年以上前から続いている異常気象・温暖化・天候不順・四季の崩壊などにより

、農業現場では雑草の勢いが増し、害虫の異常発生が続いており、日本では除草剤や

農薬の助けを借りねばとても農産物生産はできないと言った状態になっております。

現代農業は生産効率を重視し機械化・省力化を推進する大規模農業(粗放農業)を

目指しており、除草剤・化学肥料・農薬を大量投下します。

現在、メディアではやたらと「コスパ」と言う言葉が流行しております。

「安・近・短」と言う言葉をご存じでしょうか?

生きるために最も重要な「食の世界」で言いますと、手頃で簡単にかつ安く食べら

れる食生活を続けていることは、経済的にもリーズナブルでは無くなり、体を蝕んで

いき、精神的にも不安定となっていきます。私は何も手の込んだ料理をしなさいと

言っているのではなく、安易な食生活をせずに、質素でも素材感のある健全な食材を

選択し手間を惜しまず、自然の恵みに感謝しながら自分のために家族のために料理

し続ければ良いだけのことです。

 

国が求めている大量生産志向とは対極にある自然栽培農家は、極力農薬の使用を抑

え除草剤を使わず、草取りをしながら草を集め、剪定枝を破砕し、自ら草木堆肥を

作るなど、膨大な人の手(労力)が要求されております。そのため当農園ではパー

トさんも含めて10数名でグループ営農を行っております。

日本の消費者の多くは日本の農業危機に対する意識も低く、食糧安全保障への関心

ほとんど無いに等しいように思われます。

健全な農産物を欲している消費者は増えているのに、日本人の概念先行の感覚だけで、農業現場の実態を知ろうとはしない消費者の現状が、日本における健全な農産物生産

者を減らしていく事に繋がっております。食の健全性に対する日本人の意識の低さや

危機感の欠如に危さを感じているのは私だけでしょうか?

 

持続可能な農業を支えていくのは健全な農産物を作ろうとする農業者の努力だけでは

無く、その農産物を欲している消費者の意識の改革が必要となり、生産者と消費者

との価値観の共有と連帯が重要になります。

ある意味では、自然栽培農産物の主役は消費者なのです。

          こちらは枝豆用に植えている大豆