むかし野菜の四季ーPART2

2022.7.24(日)曇り、最高温度33度、最低温度25度

             剪定枝の破砕作業

 

暑い真夏でもこの破砕作業は欠かせない。気温32度の炎天下の作業です。

10日に一度は草木堆肥作りを行うためこの破砕屑と葉っぱは必要となります。

写真には映ってはいませんが、草木堆肥を作るためにその右隣では草を広げる作業を

行っております。

 

農業マーケティング

 

(ターゲット戦略)

美味しさを分かって頂ける消費者は多いのですが、全ての消費者が野菜の質的な

違いに気づいてくれるとは限りません。元来、差別化商品開発はそれを求めている、

あるいは、理解してくれる消費者層を特定しその消費者層をターゲットとすること

から始まります。それが販売ターゲット戦略です。

そのためにはターゲットと想定した消費者層の購買行動をリサーチしなければなり

ません。

それではその購買行動を細分化(セグメント)をしてみます。果たして皆様の消費

行動及び欲求とニーズはどれだけ当てはまりますでしょうか。

 

※細分化(セグメント)作業

マーケティングとは、ターゲット消費者の購買に至る様々な要因を動機・欲求・

評価基準・価値判断などに細分化することから始めます。

     三回目の土寄せ作業を終えた一本葱(3番の畑)

 

中耕作業により根に酸素供給するのと、暑さから葱を守ってやれます。

同時に旺盛に茂ろうとする草を土を被せることによって抑えます。

 

①価格設定

皆様から「セレブ層が買ってるのですね」と聞かれることがありますが、決してそう

ではありません。

むかし野菜の価格はスーパーなどに並んでいる野菜より少し高い。慣行栽培やハウス

栽培と比べて労力や生産リスクから考えても2~3倍の価格を付けてもおかしくは

ありませんが、それでは、市場価格から遊離してしまい、それこそお金持ちの方しか

購入できません。

むかし野菜は毎日食べる野菜ですから、市場価格のおよそ1.2倍程度に設定して

います。

その程度であれば、普通の消費者が無理をしなくても購入できる範囲内です。

なおかつ、特定の消費者だけに定期的にお届けしているため、市場相場により価格が

左右されることはありませんので、概ね価格は一年間を通して変わることはありま

せん。

そのため、野菜の不作の年で価格が高騰している時などには、市場価格より安くな

ることもあり、こんなに安くて良いのですかとの声が届きます。

 

課題となるのが宅配の送料負担です。

関東などへ野菜を一箱送ると、税込で1,300円程度は掛かります。隔週配送と

して野菜が7、000円弱、送料込みでおよそ毎月9、000円程度となり、消費者

としては大きな負担です。その費用を上回る「何か」の価値が必要となります。

現在、350余人の定期購入の消費者(仲間と呼んでいる)が居られますが、その

半分近くのお客様達が関東周辺です。その声を挙げてみます。

「連日スーパーなどに買い物に行く習慣が無くなり、無駄使いしなくなりました」

「送られてくる14種類の貴重な野菜を二週間でどう料理して食べるか楽しみです」

「他の野菜が食べれなくなってしまいました。野菜が無くなりスーパーに補充に行く

のですが、買ってきても食べる気にならず冷蔵庫に入ったままです」

「こんな美味しい野菜をいつも食べられるのは幸せです。お作りになられている方々

のご苦労とご努力に感謝しています」

 

どうやら特定消費者(ターゲット層)にとっては価格設定だけの問題では無いよう

ですが、野菜の他にも穀類、特に自然栽培のお米は自然農と言うだけで白米5キロが

5千円を超えて販売されているようですが、むかし野菜ではその約半分の価格で皆様

へお届けしており

ます。ご飯は(野菜もそうですが)日常的な主食です。日常的に食べられる価格設定

にしています。

いくら労力と手間がかかる自然栽培と言えども余りにも市場価格から遊離してくると

ターゲット層からも見放されてしまいます。

  除草・剪定誘引・追肥・畝揚げ(中耕)を終えた二番の畑の茄子群

 

毎年、梅雨明けと同時にこの作業を行い、盛夏に入っていく。

先ずは草刈り機によって大まかに草を刈り取り、草取り鎌で畝の上を掻いていきます

梅雨時期に大量の雨が降り、土が固まり、酸欠を起こしています(酸素の供給)

草木堆肥の効能も3ヶ月を経過すると落ちていき、根回りに草木堆肥を追肥し、

畝下を深く堀り上げ、畝上に土を被せます。

これは畝下から酸素を根に供給してやり、根が酷暑に耐えるだけの厚みの土を被せて

やります。これを中耕作業と言います。

 

②健全性

安全性・有機無農薬・在来固定種野菜などを欲していると概念論を全面に出してこら

れる方は定期的な購入は続かない傾向にあります。

概念論を前面に出してこられる消費者は、有機野菜がさほど美味しく無くともこれは

安全な野菜なのだと自らに言い聞かせて食べてきたのでしょう。

むしろ自らの健康と家族の特に子供達に良い物を食べさせたいと願っている子育て

世代の消費者が多いようです。

高齢者の方々の中には、むかし食べていた美味しい野菜の記憶が残っており、また、

寝たきりにならないように自らの健康を維持するためにと食については気配りをされ

ている消費者も多い。ターゲット層は主にはこれらの消費者層になっております。

 

現代農業では、除草剤・浸透性農薬(癌などの要因となるネオニコチノイドなどが

含まれる)ホルモン剤・界面活性剤(鮮度を保つ)・その他化学物質や高濃度な窒素

肥料などが畑に投下されており、必ずしも健全とは言えない状況にあり農地は微生物

が棲めない環境に変わり、持続が難しい農業環境になりつつあります。

むかし野菜の邑では、除草剤・化学肥料・畜糞に含まれる化学物質や抗生物質・保存

料などの添加物・ホルモン剤などを嫌い、「自然に順」な食作りをテーマとして掲げ、厳しい農業及び加工品作りを行っておりますが、定期購入の方々からはこのような声

が届いてきます。

 

「佐藤さんが良いと思うものは入れて下さい。この野菜達のおかげで虚弱体質も改善し、便通はよくなり、以前より健康になりました。佐藤さんを信頼しております」

「好き嫌いが無くなりました。佐藤さんから嫌な野菜も何かの役割がありこの世に

生まれてきましたと言われましたので、調理例を参考にして、今では何でも食べれる

ようになり、

簡単な調理で美味しく食べられ、今では料理が楽しくなりました」

不妊治療をしていてもう体がぼろぼろでしたが、佐藤さんの野菜をたべるように

なってから体が健康体になり、おかげさまで子供を授かりました」

(このようなお客様は私の知る限りにおいて10名おられます)

アトピーに苦しんでおりました。佐藤様の説得により半信半疑でしたが、むかし

野菜を食べ始めて1年ですっかりアトピーが完治しました」

(子供さんの場合、早い方は6ヶ月で遅い方でも1年で完治しております。ただ、

精神的ストレスによるアトピーの場合は完治するまでに数年を要した成人男子の方も

おられます)

 

健全な野菜(有機野菜)と言う概念や思想だけでは消費者は動いてはくれません。

むかし野菜を食べ始めてから明らかな改善が見られたと言う体感が重要です。医食

同源を実感していただくことは大切です。

むかし野菜では、お客様の健康を守っていると言う自負心は高く、好き嫌いを無くし、全ての野菜を食べていただきたく、食育を大きな理念として掲げております。

現在の日本の食は危険で満ちあふれております。お客様へはもっと食に関する情報に

敏感になり、自ら健康を守らないといけませんよとお願いしております。

表面が黒くなっている所は追肥です。その先は中耕作業を終えて処です。

尚、剪定作業は古くなった、あるいは、重なった葉っぱを落とし木を若返らせます。

ある程度葉っぱを除去すると、木は新葉を茂らせ活性化していきます。

 

③質の違う美味しさ

20年間、むかし野菜の生産販売を行ってきました。その中で、数百人の消費者と接

してきました。その体験の中で感じたことは、料理が好きな方や美味しい野菜の見極

めが出来る消費者の方が長く定期購入を長く続けて居られる。

 

「春菊は要りません」と拒絶される方がおられました。そこで春菊の30秒ルールを

お伝えしました(当農園のものはエグミや苦みがありません。ただ、30秒以上加熱

すると苦みが出てきますので)

 すると、こんな応えが寄せられました。「春菊がこんなに美味しかったなんて、

必ず入れてください」

「内の子供はピーマンが大嫌いでした。むかし野菜もあの手この手で調理しても一向

に食べてくれません。そこで思い切って塩胡椒のみで佐藤さんの言われたように焼く

ように炒めて置いていたら野菜嫌いの内の主人も含めて一皿あっという間に無くなっ

ていました」

「最初酸味のあるトマトは食べられなかったのですが、佐藤さんのトマトはあっとい

う間に無くなります。私の口にはとても入る余地がありません。学校から帰って毎日

一つ丸かじりをする娘でした」

酸味の無いただ甘いトマトは当農園では作りません。それでも生食で食べていただけ

るのは質の違う酸味であったり、味香りであったり、旨味があるからです。

 

食は美味しく無いと続かないことが見えてきました。それもやや美味しいではダメで

圧倒的に他と質の違う美味しさが必要になります。

それに加えて、毎回同じ野菜を続けたり、お届け品目が少ないと消費者は飽きてしま

います。

農産物の継続購入は種類の多さや楽しさが必要なことも分かってきました。

健全で美味しい野菜は栄養価も高く、「味・香り・食感・旨味」この四つの要素を満

たしている野菜は必ず低窒素栽培です。そして、美味しいのです。

 

消費者の購買行動を探ると、以上の3つの大きな要素があるようです。

価格帯は市場価格とそれほど遊離せず、健康に直結していく感覚を覚える、つまりは

体が欲していると実感できる農産物であり、他とは異なる美味しさを感じ、料理が楽

しくなる農産物であることなどが、定期的に続けられる要素となるようです。

 

販売ターゲット層は決してセレブ層では無く、むかし野菜が他とは異なる質を持って

いると実感できる方々であると思われます。その消費者層をイメージし、その欲求や

ニーズを探り、商品開発を行い、販売戦略を立てます。これがターゲット戦略です。

また、その欲求やニーズは顕在的なものと潜在的なものがあります。

顕在的ニーズとは、スーパーで見かける「見てくれや規格統一された均一商品」の

ことであり、潜在的ニーズとは真に健全で栄養価に富み、体に感じる美味しい農産物

のことです。

特定消費者をターゲットにする場合、顕在的ニーズは捨て、潜在的ニーズに焦点を当

てます。

つまり、「こんな商品があったら良いな!」と言う農産物のことです。