農園日誌ー今年最後の追い込み

26.12.12(金曜日)曇り、時折晴れ、最高温度11度、最低温度5度
 
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                  農園は白一色の世界へ(四番の畑)
 
 今年も二週間の出荷を残すのみとなった。
年末29日から二週間の冬休みを頂く。年に一回の長期休暇となる。
この間に、厳寒の中、トンネルの中で野菜が成長する。
それでもトンネルの開け閉めは行う。雨が降ればオープン、温度が上がり、太陽が
長く顔を出す時もオープン。これがハウス栽培とは異なるところ。
 
こんな風景は今、めったには見なくなった。ハウスによる管理栽培全盛の時代。
この開け閉めの管理によって野菜達は、時には暖かい太陽や恵みの雨を浴び、
厳寒の時季でも元気に美味しく育つ。
勿論、そんな中でも、寒暖の差や凍結及び蒸れなどで、力尽きて死んでしまう野菜もあり、日々の気温の上がり下がりや温湿調整にこの時季ほど神経を使うことはない。野菜への愛情がなければ出来ない仕事ではある。
若い力もその当たりの勘と経験を勉強し続けることになる。
 
畑は本日でほとんど最後の種蒔きを終え、白色の銀世界に変わる。
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このトンネルの中には、
時間差を付けて6段階に
種を蒔き、青梗菜・小松菜・味美菜などの葉野菜群、
ほうれん草群、サラダ野菜群、蕪類、カンラン系などが育っている。厳しい環境の中で生命のドラマが繰り広げられている。
この日は暖かく蒸れを嫌う
野菜達のためにトンネル
を剥ぐり、太陽の光を浴びる。
 
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一方でこちらは人間界のドラマですが、
次女の次女こと、チーちゃんの泣き叫ぶ声、
何で怒り泣いているのかと言うと、
ご飯をくれ!と言っているのです。
 
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ご飯を口に入れてもらうこと、数秒後、
催促の泣き叫ぶ声、これの繰り返しがご飯が
なくなるまで続く。真に逞しいというか、あさましいと言うか、まったく親の顔を見てみたいような・・
 
 
明後日、衆議院選挙が行われる。
 
今晩、今では習慣となっている温泉の銭湯に浸かる。いつもの常連さんが御馴染みの定刻に期せずして集まる。皆、ほとんど自営業同世代の60代。
 
「税金の無駄使いやな。何の意味もない選挙だな。憲法を変えたいアベ総理のための選挙やで」
「まったく!アベノミクスでむしろ生活が、仕事が苦しくなったような気がするがな」
「円安,株高誘導で、大手企業だけが潤いおって、その金がどうして中小企業に回るかいな。一部の社員と金持ち階級だけが潤うだけじゃないか」
「そんな矛盾だらけのアベノミクスを信じている国民が多すぎる。又、自民党が圧勝するじゃろうな。こんなあほな国民は一度滅びにゃ分るまいよ」
などと、かまびかしい。
 
自民党と官僚達、その巣窟に巣食う権益群、そこに湯水のごとく流れ込む国税、それを払い続ける日本の国民達の構図が変わらない限りは銭湯のおっちゃん達の嘆きは続く。
この時代、野党も含めて政治屋達は雲霞のごとくいても、政治家が居ない。
かと言って、既存権益集団と結びついている自民党の独走を許すのか、若い人達
の支持への無関心が気になる。
(権益集団;独立行政法人及びそれを取り巻く既存権益集団、医師会、電力会社、
原子力等公団や団体、全農や経済連等々、)
 
食に対してあくなき欲求を体全体で表現するチーちゃんよりもあさましい政治屋達、
国を憂い、国民の将来を願う政治家が育たない環境は、やはり国民の見識の低さ故かもしれない。日本が世界の孤児になる日が来るのかもしれない。
 
国滅びて山河あり、「草」になりきり、ひたすら土を愛し、食を守り続ける草士であり続けたい、その志を継いでくれる若者達を育てる日々を淡々と送る。
 
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最近、農園のお客様も何らかの事情で取引を止めていた方が復活することが
増えている。そんな時、必ず、「お帰りなさい」と言うことにしている。
「むかし野菜の味が忘れられず、懐かしい思いがしておりました」
「ずっと貴方が欲しかった」などとメールや電話を頂きました。
真に農業者冥利につきる。
そんな時、経済的な事情によりむかし野菜の配送を泣く泣く中止された方々が少なからずおられたことを思い出す。
そんな人たちにこそ食べて頂きたいのに!どこか悔しく、やるせない思いを抱く。
やはり、今の政治が民を疲弊させ、不幸にしているような気がしてならない。
弱者切捨てを利権集団をバックにした政治官僚集団が行うことはやはり許せない。
真冬の風が冷たい。総選挙の後は、春の兆しが差してくることを願うしかない。
そして、むかし野菜を愛しんで頂いておられた方々の上にも平等に太陽の光が
降り注ぐことを祈る。