農園日誌ー農園は冬景色

26.12.5(金曜日)曇り時折晴間、最高温度8度、最低温度4度
 
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  ほとんどの畝がビニールトンネルに覆われ、冬景色に様変わりした4番の畑
 
今週は冬将軍の訪れで、予想通り、夏野菜は葉が萎れ、4月頃から4番の畑をほぼ
占拠していたピーマン・パプリカ・とうがらし系野菜が終わった。実に8ヶ月もの期間残っていたことになる。やはり気候の変動は尋常な状況ではないようだ。
そのため、気の毒にもお客様は約6ヶ月もの長い間、食べ続けねばならなかった。
申し訳なかったが、これが農園直に野菜を取るお客様の宿命になる。
 
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「お陰さまで、すっかりピーマン料理は得意になりました」とのメールを頂く。
これでピーマン嫌いの子供さんもきっと好きになったことでしょう!?・・・。
うちの孫達は、ピーマンが入っていないとピーマンは?と言っている。まったく子供は順応するのが早い?自然からのお届け物です!
写真はまだ一杯青い実を
付けているセニュリータです
残念ながら、すでに枯死してしまいました。
 
農園、あるいは、グループでは来年に向けて穀類に力を入れていこうとしている。
永年の懸案事項であったこの穀類の生産について、椎茸農家の田北さんがようやく名乗りを上げてくれた。
同じく自然農のお米を生産している平野さんも、野菜生産の佐藤雄二さんの遊休田にも協力頂き、若い力をそちらにも注いでいこうとしている。
先ずは大豆・小麦・大麦・とうもろこし、そして少しばかりの雑穀(黍・粟)を、皆で分担して手がけていこうと考えている。
これらの穀類は、一部は単体で、多くは味噌などの加工品や製粉して料理に使う。
 
国産の大豆・小麦などは、現在補助金目的で栽培されている農家が大多数であり、
栽培手間、特に除草作業が大きな課題となり、ほとんどの農家では、除草剤を撒き
草がはびこらないような処理をしてから、種を蒔く。
 
自然農栽培となると、そう簡単にはいかないことを消費者の方はご存知だろうか?
自然農での穀類生産に挑戦する労力と工夫は中々に骨が折れることになり、収量は当然にかなり落ちる。コスト・労力はかかり、リスクが大きく、しかも広大な面積の除草作業を人力で行うことはかなり難しい。
その場合、その収穫した穀類は現在お取引いただいておられるお客様(当農園で仲間と呼んでいる)に買っていただくか、あるいは、味噌・粉にして加工品として買っていただくしかない。
 
今日、農園の取引先であるフェルマータ、パン屋さんに電話をする。こちらはすでに同志としてお互いに認知している仲と勝手に解釈しているが・・
パンに合う小麦の品種の問い合わせを行った。早速にご返事を頂く、など、中々に手早い対応をしていただいた。
例えば、このパン屋さんは県外にもパンを送っているそうで、自然農で育てた香りがあり、味わいのあるパンを農園のお客様は食べてみたいと思われませんか?パンはふわふわより味わいのある固パンが美味しいのに!などなど・・思いは膨らむ。
まだ早いのですが・・こんな風にして仲間はひろがっていったら良いな!と、今は夢想している段階。
 
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トンネル張りの支柱作り
竹を切り出し、割いて
節を抜き、角を削り、
支柱とする。
その数、3000本以上の
手作り作業が延々と続く。
 
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そのような話を男達がしていると、女性陣から、早速のクレームあり。
「家計のことも考えてもらわないと困る」「皆がそういう自然農の穀類を欲しがったりしないよ」「一回に送られてくる金額が3000円以上になったら困る」などと・・・
 
男性陣から「それでも小麦粉や大麦・大豆などは安心安全と言う前に、美味しいものであれば、どの途、要るものだろう」「送料を負担しておられるお客様からみれば、一回分の送料で生活に、料理に必要なものであれば、返って得になるのでは?」
 
などのやり取りが延々と続く。男と女の考え方の違いなのか、感覚の違いなのか、
定かではないが、この話、結論は出ない。皆様方は如何お考えか?
お陰さまで、味噌や漬物はつつがなく好評な中で続いてはいるが・・・
 
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中々に巻かない白菜とキャベツ。(5番の畑)
巻き野菜は肥料分が多く要る。研修生達に任せてみたが、やはり堆肥の量が少なかったようだ。
一部は巻き始めているが、
残念ながら真冬になってしまい、成長スピードが落ちているのが気にかかる。
これも実地勉強。またもや巻かない白菜となるのか。年末近くに出荷予定。
 
昨日こんなことがあった。
 
福岡の博多酒家海皇という中華レストランのシェフから前日に、「同系列の野菜が少量づつ入っているのは困る。今後は当店から送る野菜の指定はできないだろうか?」とのクレームに近いメールが届く。
その回答として、「露地栽培ではは園主でも送る野菜の決定権はなく、全て自然と
野菜の織り成すドラマによって決まる」「特定の先に同じ野菜だけを一定量送ることはできません」「困ったご提案ですね」などの趣旨の回答を行う。
 
農園スタッフ一同はこのやり取りをはらはらとした気持ちでみていたが、昨夜、そのシェフから回答が寄せられた。その趣旨はこうである。
 
「私は、佐藤自然農園の野菜のみ使っている。例えば、佐藤さんの玉葱がないから、玉葱は一切使っていないし、中華に必要なにんにくや生姜も現在一片も在庫がない」「送られてきた野菜でも美味しくないと思ったら仕えない」考えて欲しい。
 
その回答を読んで、男性スタッフ(研修生達)は、その言葉とシェフの思いの強さに
強く心を動かされ、感動していた。おそらくは、心の中で、良し!美味しい野菜を作ろうという思いを強く持ったようだ。
 
農園主は、そういうシェフの思いも分り、だからこの仕事は楽しいのだよと言ってやりたい。そのような状況を作っていただいたこのシェフに大いなるエールを贈りたい
と同時に、そのシェフの心に震えた研修生達の姿が限りなく嬉しい。
 
明日からはさらにしごいてやるぞ!という気持ちを新たにした農園主でした。