むかし野菜の四季ーPART2

2021.10.1(金)晴れ、最高温度30度、最低温度18度

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                サラダセットの畝

 

夏野菜が終わりに近づき、ようやく葉野菜の代表であるサラダセット(数種類の

野菜のセット)や小松菜・青梗菜が虫に食われながらも何とか育ってきた。

 

本の出版などがあり、しばらく、お休みしておりましたが、今月から農園日誌

を掲載して参ります。

「失われた先人達の叡智」が自然栽培の入門編でしたが、今回掲載していく

ブログは実践編の出版を念頭に置いた内容となりますので、やや難しくなって

くるかもしれません。よろしくお付き合いください。

 

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           土寄せする前の九条ネギの畝

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           土寄せが完了した九条ネギの畝

 

土寄せは除草作業と根元に酸素を供給してやる作業を兼ねています。

畝下の土をネギの根元に掛けてやり、同時に草を埋め込んでいきます。

そして、この土寄せは深く掘りあげることによってネギの根に酸素を供給して

やることになります。白根の部位が地中に埋まりますと、光合成をするために

さらに上に伸びようとします。

この作業を2~3回繰り返し、太く立派なネギに育ちます。

尚、九条ネギは分厥品種であり、一本のネギが数本に増えていきます。

香りの九条ネギ、味の一本ネギと言われております。

 

1.プロローグ 「日本の農業の歴史」

 

むかしは肥料と言えるものは、草・葉っぱ・柴・人糞くらいしかありませんでした。

それらを混ぜ合わせてほぼ1年間熟れさせた草木堆肥を田畝に施肥しておりました。

それに加えて肥え坪が必ず畑の角にあり、人糞を入れては草や藁などを加え、熟ら

せてから施肥しておりました。子供の頃はよくその肥え坪にはまっていました。

小学校3年生の頃から肥たごを担いで畑に出ておりました。

イカと瓜が好きでそれが食べたい一心でした。私が子供の頃は、スーパーなども

無く、野菜やスイカなどは自分で作るしか無かったのです。

草木堆肥は土作りのための元肥と呼び、肥え坪は野菜を太らせる肥料でしょうか。

 

19世紀、欧州において硫安と言う化学肥料が誕生し、近代の農業は化学肥料に

より野菜を量産する農業へと次第に変わっていきました。農産物の生育期間は

およそ半分に短縮し、生産量は飛躍的に伸びました。

ただ、日本に化学肥料が普及し始めたのは戦後ということになり、戦前の日本は

肥料栽培と言う点においては農業後進国だったわけです。

私がまだ幼少の頃までは、畑の角に草木堆肥場が残っておりましたが、束の間の

記憶にしか残っていませんでした。

日本では戦後、化学肥料肥え坪肥料の併用期間がしばらく続き、昭和30年の

後半になると、肥え坪も無くなり、日本古来からの草木堆肥作りも急速に姿を消

していきました。

化学肥料の普及とともに、農薬の種類も増えていき、化学肥料と農薬の併用を行

う近代農業のことを慣行農業と呼びます。

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             草木堆肥の切り返し作業
ど迫力でしょ。菌類や微生物が増殖中ですからその発酵熱で煙が出ているのです

この草木堆肥の中に無限大の菌類が棲んでいるのです。

コロナの真っ最中ですが、人間も菌類の一つであることをお忘れ無く・・・

 

 

日本が近代農業(慣行農業)に向けて突き進んでいる時期に、欧州では日本の戦

前の農法である有機農業を学び、オーガニック(有機)農業が近代農業のアンチ

テーゼとして行われるようになりました。誠に皮肉な話と言うしかありません。

これに合わせて日本でも有機農業の復活を唱えるグループが出始めました。

その農法は様々でした。牛糞などと藁を混ぜて厩肥を作ったり、海藻や骨粉・

魚腸を米糠に混ぜ込んだり、米糠・油粕を発酵(ぼかし肥料)させたり、様々な

有機農業が生まれていました。その多くは、土作りのための堆肥(元肥)と言う

より有機肥料と呼ばれるものでした。

この有機野菜の時代が約20年間続き、それこそ群雄割拠ともいうべき様々な工夫

がなされていました。

今から15年前頃、日本では有機JAS法なるものが国によって一方的に制定され

有機JASの認定を受けないと有機野菜と言う名称は付けてはならないと言うこと

になり、多くの有機農家は自尊心を傷つけられ、有機JAS認定を拒み、かつ、

高齢化も進み廃業していった有機農家が多かった。

 

有機JAS

有機物ならば何を使っても良い、化学合成された肥料及び農薬は使ってはな

らない」と言うことが基本ではあるが、様々な制約があり毎年煩雑な報告書を

提出し、商品を出荷する際は一枚50銭のシールを貼らねばならない。その規約

にはとても現実的とは言えないようなものもあり、いかにもお役所的なものも多

く、農業現場から見ると首をかしげるような部分も多い。

一番問題となるのは、一度取得してしまえば、事実上立ち入り検査も無く逆に緩

い法規ともなっていることです。

多くの消費者も何が有機栽培なのか分からなくなってしまいます。

その煩雑さと曖昧さから、年々有機JAS認定の農家が減っている。この法規には

規制のみで、有機農家へは国からの保護や支援はほぼ無いに等しいのです。

 

政府の農業軽視の姿勢が顕著になり始めており、農業人口の減少に歯止めがか

からない。

このまま無為無策が続いていると近い将来、深刻な食糧危機がもたらされること

を憂慮しています。

地球温暖化と異常気象により、成長が早く見栄えの良いハウスなどの施設栽培が

主流となり、天候に左右される露地栽培農家は減少の一途にあります。

本来、自然とともにあるべき有機栽培もその主流はハウス栽培へと傾きつつあ

ります。

 

異常気象の連鎖の中で害虫の異常発生が繰り返され、除草剤や危険な種類の農

薬が日常的に使われており、農産物の安全性が脅かされている。

県の広報室からこんなニュースが流される。「農家の皆様、ただいまカメムシ

異常発生しております。一斉に農薬を散布してください」

これは農産物をカメムシ被害から守るためには県全体で一斉に農薬を散布しなけ

れば効果が無いからです。

そんな状況下で、近年は「有機無農薬」という概念が先走り、これは流石に国も

非現実的であるとしてこの用語を使うことを禁止せざるを得なくなったのでしょう。

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       9月末、むかし野菜の邑の農園マルシェの風景

 

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2021.4.28(水)曇り後雨、最高温度20度、最低温度12度

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                じゃがいもの花

 

じゃがいもの花が咲いたら、およそ3週間で収穫の適期となる。

春作では、じゃがいもの種類は多い。男爵・アンデス(赤)・メークイン

シャドークィーン(紫)・北あかり(黄)とそれぞれ用途は違う。

 

(戦後日本の農業推移ーその一)

 

 むかしは肥料と言えるものは、人糞くらいしかありませんでした。それも

そんなに大量に確保することはできません。肥え坪が必ず畑の角にあり、

人糞を入れては草や藁などを加え、熟らせてから施肥しておりました。

それだけでは足らず、草木堆肥を数年掛かりで作り土を育て、むかしの農業は

全て低窒素農業でした。

18世紀、欧州において硫安と言う化学肥料が誕生し、近代の農業は肥料によ

り野菜を育てる農業へと変わっていきました。農産物の生育期間はおよそ半分

に短縮し、生産量は飛躍的に伸びました。

日本に化学肥料が普及し始めたのは、戦後ということになります。

農業後進国だったわけです。

私がまだ幼少の頃までは、畑の角に草木堆肥場が残っておりましたが、束の間

の記憶に過ぎません。

日本では戦後、化学肥料と人糞の併用期間がしばらく続き、昭和30年の後半

になると、肥え坪も無くなり、日本古来からの草木堆肥作りも急速に姿を消し

ていきました。

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           ジャーマンカモミールの花が満開 

3番の畑にはこぼれ種で毎年カモミールの花が咲く。

この時季に合わせて、春、フレッシュハーブティセットをお客様にお届けしている。

 

野菜は本来、味香りや五味や食感などにそれぞれの個性があり、時には微効な

毒素を含んでいます。これは虫などの外敵から身を守るためのものです。

化学肥料や畜糞などの高窒素肥料で育った野菜はこの個性を無くしていきます。

そのため、害虫の絶好の食糧となります。そこで化学肥料の開発が進めば進む

ほど、農薬が不可欠となって行きます。近代農業では化学肥料と農薬がセット

で開発が進められました。

勿論、自然栽培でも害虫の発生は抑えられません。よく自然農であれば害虫は

寄りつかなくなると主張しているサイトがありますが、自然界にそんな農場が

あったら怖いですね。念のために・・・

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3月初旬、種を蒔いたビーツ。5月中旬頃、出荷予定。赤い茎が一際目立つ。

「野菜の血液」と言われ、血管を開き、コレステロールを除去してくれる。

女性にとって血液の循環を良くしてくれる優れものの野菜です。

 

 高窒素栽培で育った野菜は生育期間は短く急成長するため、倒れないように茎

には固い繊維があり、葉肉は薄く、食べると繊維が口に残り歯切れが悪く、

苦い味がします。野菜には炭水化物とデンプンが蓄積され続け、糖質やビタミ

ンへ変換されないまま出荷されます。デンプンは苦いのです。

野菜は基本的には窒素で生長します。地中に窒素分があれば野菜の中に成長

酵素ミトコンドリア)が発生し続けます。そのため、慣行栽培(化学肥料

と農薬)、若しくは畜糞栽培の場合、土中の窒素分が消えない限りは、野菜は

成長し続けることになります。

それらの野菜の中に吸収された窒素分は野菜の体内で硝酸態窒素(毒素)とし

て残ります。野菜は困ったことに土中に窒素分があればあるほど吸収してしま

う性質を持っているのです。

化学肥料施肥の歴史が長い欧州において、戦後すぐに「血液が青いブルーベー

ビー」が生まれたのです。地下水脈が繋がっている欧州では化学肥料によって

地中に硝酸態窒素が染み込み、飲み水が汚染され始めていたのです。

当時これは大騒ぎになり、有識者達が低窒素栽培の農法を探し、見つけたのが

日本の昔ながらの有機栽培でした。

こうした経緯があり、欧州にて「オーガニック野菜」が生まれました。

 

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農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2021.3.15(月)晴れ、最高温度16度、最低温度8度

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           春3月、すももの花が満開となる

 

李(すもも)は去年あまり実を付けず、植えてから4年目を迎える今年は、

少しは実を付けてくれるだろう。

ただ、すももが実を付けるのは6月中旬頃になるため、梅雨時期と重なり、

腐ってしまうことが多い。一昨年はかなりな収穫があり、定期購入のお客様

には随分と楽しんで頂いた。

 

 「失われた先人達の叡智」ー日本古来の有機農業の復活ーというタイトルの

本の執筆もようやく終わり、3月下旬には発刊する予定です。

10数年間、書き続けてきた農園日誌の集大成版でした。それをいざ!本に

するとなると、これが大変な作業でした。6ヶ月間も要しました。

この本の内容を消費者向けにするのか、農業を志す人向けにするのか、悩みま

したが、結局、入門編と致しました。

ただ、書き終わってみると、物足らず、これでは実際の農業現場ではどうして

良いか分からず、中途半端な気持ちだけが残りました。

例えば、草木堆肥をどの程度振れば良いのか、巻物(白菜やキャベツ)などの

窒素分を欲しがる野菜はどうするのか。木もの野菜(茄子・トマト・ピーマン)

などの追肥はどうするのかなどなど、一切伝えていない。

これから、自然栽培の実践などの農業本(専門編)の執筆を始めようと考え

始めてはいる。気力が回復すればの話ですが・・・

 

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               エンドウ豆の手

 

10本の畝にエンドウ系の豆を植えており、蔓が登り易いように枝付きの竹を

差し込んでいる。今年は例年より早く実を付けそうです。

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           花が咲き始めている空豆(二番の畑)

4月から7月初旬は、豆類のシーズンとなる。

4月中旬は絹莢エンドウ、スナップエンドウ、4月下旬は実えんどう、5月は

空豆、6月はインゲン豆へと続く。

 

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            除草作業を終えた人参の畝

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             除草作業中の小葱の畝

この小さな命は圧倒的に旺盛な草に負け、除草作業を怠ると、いつのまにか

消えて無くなってしまう。この草取り作業が農家の悩みの種です。

一人で行うと朝から夕方まで掛けてまるっと2日ほどを要する。

 

初春、農園には小さな命があちこちで人の手を待ちながら育っている。

この時季、農業人は種蒔きに、定植作業に、除草作業に追われ、休んでいる

暇は無い。

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季-2

2021.3.3(水)晴れ、最高温度11度、最低温度3度

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                キャベツの定植

 キャベツは春キャベツ(品種名)を植える。昨今の消費者は使い切りサイズの

野菜を好む。それなら、小さく、歯切れの良いサラダにも向く品種の方が良い。

お客様には交互にお届けできるようにと、白菜も同時に定植している。

隣に見えるのは、エンドウ豆系3種。豆が登りやすくするため竹の枝を残して

支柱としている。

キャベツ・白菜は去年の秋から春にかけて年間を通して7~8段階で定植する。

 

(露地栽培の危機)

蕪類の球が育っていない。葉っぱだけ大きく葉を広げている。

色蕪が大きく育っていると思って、引いてみると球は極端に小さいのにすでに

莟を持ち始めている。10月に種を蒔いた大根もすでに莟立ちを始めた。

九条葱は3月の初めだと言うのに白っぽく葉の色を変え始めている。

例年は3月下旬頃葱坊主が出始めるころに見られる変化です。

これに反して、寒で成長が見込めないため、緊急避難的に育苗ハウスに種を

蒔いたホウレンソウや葉物野菜は頗る順調に一か月半で大人になっている。

(露地だと二ヶ月半掛かる)

昨日、二宮県会議員が農園を訪れて有機野菜を育てていたある農家が廃業

したという話をして帰った。「ある予定の時季に出荷を見込んで育てた

野菜が早く育ってしまったり、間に合わなかったり、今までの経験が全く

役に立たない。出荷先との約束ももうできない。露地栽培は止めてハウス

栽培に切り替えるしか無い。それならもうしない」と言ったそうだ。

有機生産者は市場ではなく特定の流通業者へ出荷している。それはいつ頃

何をどれくらい出荷するといった約束事で成り立っている。

それが守れなくなったことは露地生産者にとっては大きい。

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           ハウス横の李(スモモ)に花が咲く


 ここ数年、異常な気候変化が続いており、特に去年から今年にかけては

その異常さは際立っている。気温は乱高下し、雨は降る月と降らない月が

極端に動き始めている。

ハウス栽培とは異なり、露地栽培は常に気候変化の影響を大きく受ける。

温度が1~2度違えば、野菜の成長は狂ってくる。それが一気に10度近く

変化している気候が続けば、野菜にとっては迷惑な話であり、伸びてよい

のか、縮こまったほうがよいのか、迷ってしまい、結果として異常な発育

をしてしまう。

 当農園は流通業者へは一切出荷をしていない。

全て直接、飲食店や個人消費者などの定期購入顧客へ届けている。

そこには規格・均一・出荷時期などの制約は無い。常に畑での出来あいの

野菜を届けることで成り立っており、消費者との信頼関係が全てと言うこと

になっている。

 それでもこの異常な気候変動による影響は大きく、年間百種類以上の野菜を

作り続け、全国のお客様に安定的に、かつ、15種類以上の野菜を届けるには

別の悩みがある。

野菜の安定的な生育が見込めず、アイテム数の不足と不出来の場合の量の確保

が難しくなるということです。

土作りを行い無肥料で育てる自然栽培では、野菜の成長は遅く、気候変動や

害虫被害などの影響を受けやすく生産リスクの塊となる。

そこで、当農園では絶えず変化する気候に合わせて数年前から捨て植えを

行っている。

例えば、出来るかどうか不安の残る野菜は種蒔き時期をずらし、二週間置き

に植え込むようにしている。そうするとどちらかが上手く行くという目算です。

ただ、両方とも上手く育ってしまうと野菜がだぶつくことになってしまう。

 

 気候の変化をまともに受けてしまう露地栽培農家は、年々減り続けている。

自然に順に育つ露地物野菜は益々希少価値が出てくることになる。

ハウス栽培と比べて季節に合った美味しい露地野菜の事を知らない消費者が

多い。

その意味では、私達の取組を伝える市場啓発活動は続けて行かねばならない。

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                冬のビーツ

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2021.2.24(水)晴れ、最高温度13度 最低温度4度

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             雑草に覆われた玉葱の畝

数万個の玉葱の苗を植付け、毎年除草作業に追われる。

手が足りず、中々除草作業が追いつかない。

そのため、多くの農家は黒マルチをしているが、当農園は自然と呼吸をしない

マルチはしたくない。

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             日曜日の農園直売所の風景

 

最近新規のお客様が多い。直売所を始めた頃は通常の直売所とは異なり、

価格が高いと見られ、中々お客様が増えては来なかったが、次第に常連さんが

訪れるようになってから、一年間経過した頃から新規のお客様が増えてきた。

野菜も売れ残ること無くほぼ完売状態となっている。

水曜日はおやつや惣菜のアイテムも少ないが、野菜のみを目当てにするお客様

が中心となっている。

このコーナーでは漬物・味噌・黄な粉・自然農米・麦ものがたりシリーズも

置いてあり、次第に関心が集まりつつある。

最近目立ってきたのは、自然農米であり、定期購入のお客様だけではなく、

直売所でも売れ始めている。

農園の仲間の一人である田北さんに今年から自然農米作りを始める。

当農園の長老格である平野さん(78歳)が先生となる。

こうして未来へ繋げていく。

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           お菓子類・おやつ・惣菜のコーナー

 

農園のブレンド小麦粉を使った加工品は女性スタッフのアイデアと頑張りにより

人気コーナーとなっている。

土曜日,まるっと一日がかりで仕込んでおり、準備が大変です。

家庭で農園のブレンド小麦粉を使っておやつ類を作って頂きたく始めたコーナー

でした。次第にお客様との会話が弾み「うちでもつくれるかな!」と言いながら

買って帰られている。

そのせいか、麦ものがたりシリーズも次第に定着化し始めており、買い求めて

頂くお客様も増えてきた。

できれば、おかあさんの手作りのおやつを子供さんに食べさせて欲しいとの

願いがある。

 

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2021.2.11(木)晴れ、最高温度13度、最低温度2度

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                春白菜の定植

 2月、春野菜の種蒔き・定植作業が本格化しています。

この時季は三寒四温の季節。暖かくなったと思ったら、急に氷点下にまで下がる。

野菜も農家もおっかなびっくりで、どうしたものかと思い悩む季節です。

野菜は成長しようか、まだ寒が襲ってくるから、あまり葉を広げない方が良いか

躊躇しており、農人はビニールトンネルを張ろうか、不織布だけにしようかと

迷う季節であります。

それでも葉物野菜・蕪類・キャベツ・白菜・人参・大根・馬鈴薯と急ピッチで

植付け作業を行っております。

 

クラウドファンディング

 

 実は、3月頃から「失われた先人達の叡智ーむかし野菜の復活ー」と言う

タイトルで持続可能な農業として始めた自然循環農業の詳細を皆様へご紹介

する冊子の出版を行います。永年書き溜めた「農業日誌ブログ」を一冊の本に

纏めました。

冊子出版は、失われていった日本古来の農法を未来へ繋いで行きたいとの思い

から、後継者育成(募集)と広く全国の食の安全性を憂えて居られる消費者へ

の啓発を目的としたものです。

 

クラウドファンディングのお願い

(株)むかし野菜の邑・佐藤自然農園

お届けするもの;

・冊子「失われた先人達の叡智」―日本古来の有機農業の復活―

・自然栽培のお試し野菜と小麦粉及び自然農米のセット

 

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じゃがいもの花

 

農園開設以来18年間お客様へ直接販売をしてまいりましたが、むかし野菜を

説明するに当たり、先人達が行ってきた「むかしの農法」・「草木堆肥を使っ

た土作り」・「自然循環農業」のこと、「健全で栄養価に富んだ美味しい野菜

とは」など、いずれも一言では語れません。そのもどかしさをいつも感じてお

りました。

そのため10年間書き溜めてきたブログ「農園日誌」を一冊の本に致しました。

この冊子は、欧州のオーガニック農業のお手本となった日本古来の農業を現在

に復活させていく農園主の実践記録です。

○現在の有機野菜に疑問を抱き、日本の先人達の行ってきた土作りに行き着い

たこと。

○この野菜は、子供の頃食べたトマトや胡瓜の鼻に抜けるようなどこか懐かし

い甘い味香りがすること。

○自然循環農業に共鳴する生産者グループや後継者を育て、未来へ繋いで行

きたいこと。

○持続可能な農業を心出す農業現場から皆様へ安心で健全な農産物とは何かを

伝えたいこと。

 

クラウドファンディングでお預かりした大切なお金は、その本の出版費用に

充てさせて頂きます。

それに合わせて、「むかし野菜」・「自然栽培の穀類及びその加工品」をお

届け致しますので、是非試食して見てください。

 

冊子出版に先立ってお客様の一人である歌人俵万智様から、エールが送られ

てきました。その一部を紹介します。

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   仲間の一人である自然栽培の平野さんの梨園にて

  

ファンからのエール 俵万智歌人

ふだん私たちが考える「よい野菜」のイメージは「無農薬」「有機

「化学肥料不使用」といったところ。けれどそれらが、いかに漠然とした

イメージであるか、あまりアテにならない目印であるか、佐藤さんは穏や

かな口調で、けれどまことに論理的に語ってくれた。一例をあげると

「畜糞で育てるといっても、その家畜が何を食べて出した糞かが問題な

んです。遺伝子組み換えや化学肥料で育った飼料を食べていれば、当然

その影響は出ますよね」。なるほど。まして、その家畜に、病気になら

ないための薬や、成長を促すホルモン剤が投与されていたら、どうだろう。
 私たちの体は、食べるもので作られる。同じように野菜の体も、食べるもの

で作られる。野菜の食べ物とは、土に含まれるものだ。だから野菜作りは土づ

くりなのだ。土が素晴らしければ、おのずと野菜も素晴らしくなる。ー中略

私はお話を伺ううちに、子育てのことを連想していた。習い事や受験などで、

幼いころから栄養過多で育てられる子どもは、成長を急かされて筋ばっては

いないだろうか。怪我をするからと、あれも危険これも危険と、冒険から遠ざ

けられている子どもは、自然の菌との付き合いのない味気ない野菜のようにな

っていないだろうか。そして、ひとたび無菌状態が崩れたときに、あっという

まにやられてしまわないだろうか。(菌類との共生のこと)

 

 以下は小冊子の主な内容です。写真を入れて紹介しております。

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        いつも野菜達に癒やされております

 

失われた先人達の叡智―日本古来の有機農業の復活―

第一章 生きること

「農園を開く」「農園の創世記」「人との出会い」

第二章 自然栽培野菜とは

「草木堆肥の作り方」「土作り」完熟野菜にこだわる」

「ミツバチが飛ばない」健全な食を求めて!」

第三章 菌との共生

大量流通社会とは!」菌との共生(自然体の生き方)」

第四章 穀類の生産

「麦ものがたり」「むかしおやつ作り」

第五章 素材を活かした調理方法

「栄養価を逃がさない」「素材を活かす」「低窒素栽培野菜の簡単な調理」

最終章

「どのように生きる」

 

募集要領

(株)むかし野菜の邑  

募集金額    ;6,000円(一口)

お届けするもの ;「失われた先人達の叡智」冊子一冊・自然栽培のお試し

          野菜と小麦粉及び自然農米

執筆者     :むかし野菜の邑基幹農園 佐藤自然農園 代表 佐藤茂     

申し込み先   :佐藤自然農園ホームページ(メール欄をクリック)

(問い合わせ先) ホームページ sato-shizen-nouen.@yahoo.co.jp

お申込みいただく方は送り先ご住所等が必要なため、下記の情報をお送り

ください。

お名前・ご住所・郵便番号・電話番号・着曜日及び配送時間帯をお知らせ

ください。

追って、振込先をお知らせいたします。

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2021.1.31(日)晴れ、最高温度12度、最低温度1度

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                草木堆肥場

 

年末頃にかけて個人住宅の庭の剪定枝が大量に持ち込まれている。(画面奥)

持ち込まれた多種類の雑木の剪定枝には、多種類の微生物や菌類が棲んでいる。

土中深くに根を張る木にはバランスの良い多種類のミネラル分が存在している。

この破砕屑や葉っぱと草が草木堆肥の原料であり当農園の圃場に持ち込まれる。

一つの圃場に少なくとも年間3回以上は草木堆肥として施肥される。

草木堆肥以外には肥料は一切使わず、ひたすら土を育てる。

圃場も草取り作業を除いて、ほぼ落ち着いている。この合間に出来るだけ多く

の堆肥を作らねばならない。この剪定枝の山を見る度に、きつい破砕作業の

ことを思ってしまう。今週は破砕作業が待っている。

 

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           育苗ハウスの中で育っている幼苗達

この苗を一つ一つポットに移し、約二週間、養生させねばならない。

根が充分に育つといよいよ圃場に定植していくことになる。種を蒔いてから

育ち上がるまで、冬期は約3ヶ月半を要する。(ハウス栽培なら2ヶ月)

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           養生ハウス内で育っている幼苗達

ポット揚げされた苗が持ち込まれてくる幼苗が順番待ちをしている処。

来週頃から圃場に順次定植されていく。定植する前に三寒四温のこの時季、

草木堆肥を畑に振って畑作りをしなければならない。

 

畑の草を刈り集め、剪定枝を破砕し、葉っぱを選り分け、堆肥原料を揃えてから

およそ3ヶ月を掛けて堆肥を作る。それを畑に振って畝立てをし、100種類の

幼苗を定植する。この作業が延々と続く。

春秋、農園は命のドラマが続く。それに併せて農業者達は黙々と作業をこなして

いく。

それでも生きるために懸命に育っている野菜達から多くのやさしさを得ている。

生き残ろうとする野菜達を育てる喜びがなければ、この自然循環農業は厳しい。

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            5・6番の畑の冬の風景

このトンネルの中では、寒さに耐え生きようと頑張っている野菜達のドラマがある