農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.7.8(水)雨後曇り、最高温度28度、最低温度23度

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              茄子の剪定誘引作業

 

昨夜からの集中豪雨は朝方、止み、ぬかるみの中で収穫作業を行う。

畝下には、土が流れ落ち、根は酸欠状態になっている。

数時間バケツをひっくり返したような雨が降り続き、この地域でも避難中の

車が流され行方不明者が出たり、家ごと、川に流されたり、大きな被害が

出ている。

圃場は高台に位置しており、冠水する事は無かったが、野菜達は、ずぶずぶに

水を含んだ土の中で、根が呼吸困難に陥っている。

また今晩から梅雨前線が北上してきており、同じような線状降水帯ができる

ようだ。野菜達が頑張ってくれることを祈るしか無い。

 

2020.7.2 梅雨の末期

 

今週の(7.3)金曜日から梅雨前線が西日本に停滞し、雨が降り続くとのこと。

梅雨の末期となると、毎年、雷が鳴り、集中豪雨が日本全体を襲う。

農園主はその天気を読み、その前に、種蒔き・定植・支柱立て・剪定誘引作業、

そして、除草作業を7.2(木曜日)迄に済まそうと、スタッフ全員で夕方

(最早夜でしたが)遅くまで、追い込みを掛けた。全員くたくたになっては

いたが、頑張り通した。

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   除草・支柱立て・剪定誘引作業が豪雨の前に、何とか終えることができた5番の圃場

農業者には労働基準法など無い。最低賃金なども無い。

朝、日が昇ったら畑へ出て、日が暮れたら家に帰る。

畑を耕し、堆肥を撒き、種を蒔き、植え込んだ野菜の成長を見守り、

必要な時、手を出し、野菜達がして欲しいことをしてやる。

子供を育てるかのように・・・

そして、野菜達と会話が出来るようになって初めて農業者になれる。

 

それでも自然は理不尽さに満ちており、いきなり集中豪雨がやってきたり、

台風に見舞われることもあり、野菜達が潰されていくのを、唯、見守ること

しか出来ない時もある。

それでも野菜達は農業者が手を入れれば入れるほどに応えてくれる。

決して裏切らない。

農人は農産物を育てていると、野菜達から癒やされ、やさしさをもらう。

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               蔓紫・青紫蘇
 

ご近所のおばあちゃんが毎日畑に出てくる。もう90歳を越しているのでは

ないだろうか。息子達から、いい加減に畑を止めなさい!野菜は買ってくれば

良いのだからと言われる。

おばあちゃんは、「野菜達が待っているから!」と今日も畑へ出向く・・・

このおばあちゃんにとって、野菜は、畑は、生活の一部であり、生きること

そのものなのです。

 

昨日、北九州からあるご家族が農園を訪れた。

長女が極度のアレルギーに見舞われ、生死の境を行ったり来たりの重篤な状態

であったとのこと。

数軒のお医者さんに連れて行き、様々な治療をしてもらったが、その度にさら

に悪化していったそうだ。

見るに見かねて、薬品投与を一切断り、家に連れて帰った。

その後、食べることに細心の注意を払い、あちこちの農園を訪ね歩いた。

有機野菜の実態と生産者の本音を聞いて愕然としたとのこと。

その日も長女を連れての来訪であったが、農園のコロッケを食べてもらった。

パン粉は農園のブレンド粉で焼いたパンであり、一切交配をしていない古代麦

と、除草剤を廃し草木堆肥を5年以上施肥して育てた低窒素栽培のブレンド

小麦粉である。

「食べてみるかい」と言って食べさせると、その娘さん、「美味しい」

と言って、微笑んだ。

翌日、そのご家族から電話が入り、買って帰った野菜を全部食べた。

ブレンド粉でかりんとうを作った。みな、何の問題も無く美味しく頂いて

おりますと、感謝の電話であった。

 

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この農産物を食べてくれるのは、全国2百数十名の飲食店及び個人の定期配送

のお客様と、農園マルシェに訪れる数十人のお客様しか、今はいない。

近い将来、むかし野菜のスタッフ一同、胸を張って生きていける職業を、

そして農産物作りを、選んだことが誇りに思える日が来ることを願う。

 

 

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.7.1(水)曇り、最高温度28度、最低温度18度

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        びっしりとトマトが成っている

 

今年トマトは70mの長さの畝が10列分植わっている。

明けても暮れても、農園主はトマトの除草・剪定誘引作業に

追われている。時折、茄子の剪定誘引作業を行う毎日。

 

トマトはちょっとの期間、放って置くと、葉は生い茂り、脇芽

は伸び、あらぬ方向に暴れ始める。

すると、密集してしまい、風や日光は入らず、虫が大量に発生

する。当然にトマトは腐ったり、虫食いだらけになり、商品

とはならない。

今年は、突然に訪れてきた別府在住の奥様が加わってきたため、

ちなみにトマト・茄子などの剪定誘引作業を、現在、特訓中。

畑仕事が新鮮で楽しいそうだ。

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2020.6.30 「ミツバチが飛ばない」

 

農業は、近代になって飛躍的に生産量を上げてきたと言われて

いる。18世紀頃から硫安と言う窒素肥料の発明、その後も

化学肥料と並行して農薬の普及がそれを可能にした。
その当時、日本の農業は、草・葉っぱ・人糞による草木堆肥や

厩肥などで行われていた。
20世紀になって、特に戦後から、日本でも食糧増産政策が

採られ、機械化と共に、近代農業へと大きく梶を切っていった。
国と地域農協、そして全国農協組織を挙げてアメリカ方式の

農業の近代化が進められた。
その結果として、日本の農業現場から、草木堆肥を使った自然

循環農業は徐々に姿を消し、日本独自の有機農業=自然栽培

農業は、その痕跡すら消え去っていった。

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           破砕作業の風景


欧州では、化学肥料&農薬を使った近代農業に大きな問題が

発生し始めていた。
それは窒素過多となった土壌汚染の問題であり、地下水脈が

繋がっている欧州では、土壌に蓄積し続けた窒素分が硝酸態

窒素(毒素)に姿を変え、地下水を汚染し始め、ブルーべー

ビー(血液が青い)が誕生した。
これは当時社会問題となり、第二次世界大戦後、化学肥料を

抑えた農業を模索し始めた。
そこで彼らが目を付けたのが、戦前から行われていた日本の

自然循環農業であり、日本からその農法を学び、欧州版のオー

ガニック農法(草堆肥)が一部の人達に取り入れられ始めた。

日本では、進み過ぎた近代農業に危惧を抱き、食の安全性を

唱える極く一部の農業者や消費者達がグループを組み、日本

独自の有機農業を復活させようとした。
その取組がほぼ30年ほど続き、国が有機農業に対して

法規制を加え、誕生したのが、欧州オーガニック農法を

真似た「有機JAS法規」であった。

その名目は消費者の安全を守るためと言う事にあった。

農薬・化学肥料・除草剤・ホルモン剤の使用は制限が無く、

何故に有機野菜だけ規制が加わるのか誠に可笑しな話しである。
その結果、折角復興しかかった日本独自の有機農業=自然循環

農業はその段階で、有機野菜を名乗ることを禁じられ(違法と

見なされ)日本古来の自然栽培農業は形を変えさせられ、国の
認定を受けた有機JAS野菜へと変わっていった。


有機物なら何でも良いと言う事で、結果として畜糞主体の

高窒素肥料となる。日本古来からの農業は草木主体の低窒素

・高ミネラル堆肥であった。


その当時の有機野菜生産者は、激しく憤ったが、何分にも

高齢化が進み、継続を断念した。
この段階で、日本から、あるいは、世界から日本古来の自然

栽培=自然循環農業は一端消滅したことになる。
ちなみに、日本の有機JAS農産物は、欧州のオーガニック農産

物の認定を受けられない。
その実態から評価され、「怪しい」と取られたのだろう。

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他方、農薬はその後、より人体に危険性が少なく、散布量を

減らせ、より持続性の高い農薬に改良される過程の中で、

ネオニコチノイドを代表とした浸透性農薬へと変化していった。
さらには、除草の手間を掛けさせないようにと、除草剤の改良も

進み、現在では、ほとんどの農業者が使用するようになってきた。
さらに、野菜を立派(大きく)にするために、成長ホルモン剤

開発され、野菜に限らず果物にも使用されるようになってきた。

その結果、さらなる大きな問題が発生し始めた。
その一つが現代病と言われるアトピー・アレルギー・神経疾患

などである。
ホルモン剤を使用した野菜及び果実を食べている女児などの

胸が急に膨らんできたことも大きな問題とされ始めている。
何より、看過できないのは、自然破壊の問題です。
浸透性農薬の普及により、土中の虫を殺し、同時に微生物・

菌類なども殺してしまい、土壌は深刻な汚染状態に陥り、

農家にとって野菜果物の受粉を行ってくれていたミツバチが

死滅し始めたことです。

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国の支援を受けている農学者は、一定量であれば人体及び環境

に深刻な影響は出ない、としている。
一つの作物にその一定量であれば、問題はないと言うなら、

毎日数種類の野菜や果物を摂り続けるとどうなるのですか?

と敢えて問いたくなる。
それは増幅し続けている数限りない食品添加物とよく似ている。

ホルモン剤にしても、除草剤にしても、浸透性農薬にしても、

継続して使用していれば、人体だけではなく、自然を破壊し続

ける事になる筈。

ホルモン剤を投与し続けているアメリカ産の牛肉はその本場

でも心ある知識階層の消費者は食べなくなっており、欧米では

すでにネオニコチノイドなどの浸透性農薬を使用を禁止、
あるいは、大きく制限するようになっている。

それをしていない先進国は、唯一、日本と言う国なのです。
私達はモルモットでは無い。

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農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.6.24(水)晴れ、最高温度30度、最低温度19度

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     毎週、水・日曜日開催の農園マルシェの風景

外では野菜・内では菓子類・惣菜などを販売している。

野菜は当然のことながら、加工品についても、100%農園生産の原材料使用

を指針としており、こだわりがある。

コロッケ・野菜まんじゅう・菓子類など、アレルギーをお持ちの方でも安心して

食べて頂ける小麦粉(ブレンド粉)を独自で開発し、100%その小麦原料を

使っている。これは世界的にも画期的なことであることを、ほとんどの消費者は

知らない。これらの商品群を「小麦物語」と称している。

 

「経営者の資質」

 

梅雨の真ん中にあり、常に雨雲の変化を気にしながら、雨の

合間を縫っての農作業が続く。
雨合羽を着ての作業であり、体はびっしりと汗をかき、

合羽の中まで雨が入ってくる。
整枝作業に集中してはいるが、頭はボーッとなり、時折、

何をしているのか?と自らを叱咤するような事をしていること

もしばしばである。
唯、今年は梅雨の中休みがあり、その合間に随分と滞っている

仕事が出来ており、助かる。
そのため、体はスタッフ一同、極限まで疲れている。
夏野菜の成長期には、この高温多湿な気候が必要であり、

これも日本の露地栽培農家にとっては、恵の雨なのです。

文句を言っていては自然の神様に怒られる。
すぐに伸びる雑草の成長を横目に見ながら、夏野菜の整枝等

管理作業が延々と続く日々。

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梅雨の中休みも今日で終わり、トマト・茄子・ピーマン等の
盛夏野菜の中耕・追肥(堆肥)・除草を慌ただしく行っている。
今日は、一本葱の土寄せも行う。

草木堆肥は、中熟状態で施肥すると、有機物残渣は残り、微生物
放線菌はそれを餌として活発に活動しており、追肥として使用
すると、およそ、3~4ヶ月後まで効果を発揮する。
その機能を使って、一番果がなり始める頃、中耕・追肥を行うと
10月頃までは、実成りが良く、収穫が見込める。
さらに中耕を行うことで、(畝下を掘り下げる)根に酸素を供給
してやり、夏野菜の生長を促す。

 

コロナウィルス対応を契機にして、安倍内閣の支持率が急落

し始めている。
支持率急落はむしろ遅すぎたくらいである。
国民の多くも、日本の政治家達へ呆れ気味な感想を抱いている

のではないか?
政権与党も野党も生産性の無い不毛な答弁や質問が続く。

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5番の畑には、トマトが鈴成り状態。本支柱も立って、これから
ビニールテープを張り、斜め50度に傾けての誘引作業が続く。

 

銀行員時代、多くの経営者と向き合ってきた。
特に事業再建を多く手がけてきたためか、苦悩する経営者と

向き合うことが多かった。
むしろ、生きるか死ぬかの毎日であったような思いがある。

この事業体は活かすべきか、突き放すべきか、その判断

に苦悩する毎日でもあった。
その企業体には、何十人、若しくは何百人の家族の生活が

掛かっている。

どのような手を打つか、打開する術を模索する日々でもあった。

国家も、地方自治体もある意味では一つの事業体である。
そこには政策と言うより、むしろ、重い経営があるはずである。
そのように考えると、今の安倍政権には、余りにも経営者として

の資質に欠けているものが見える。
経営には、常に変化する事業環境への即応力が問われる。
さらには、短長期的な事業(政策)ビジョンが必要であり、

社員(国民)にそれをある程度示していかねばならない。

未来への展望であり、豊かな夢を示さねばならない。

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こちらはピーマン・伏見及び万願寺とうがらし・黒ピーマン・
パプリカなどの野菜の追肥(堆肥)・中耕作業を行っている。

 

会社とは豊かな実りを希求して穀類等を捧げる社(やしろ)

に集う人々の集合体である。
社長(首長)とは、その「やしろ」の長(おさ)である。
その「おさ」は、そこに集う社員(国民)の生活を一身に

担わねばならない。
長は常に批判の矢面に立たされる。それでも、国民のために

良いと思ったことはやり通さねばならない。決して己のために

図ってはならない。
そのように考えると、今の政権や安部総理にその資質や責任

能力があるのか、むしろ、真剣に考え直さねばならないのは、

その「おさ」や「政権」を選ぶ国民ということになる。

農業者は人々が生きていくための糧を生み出す生産者である。
人は喰うために生きている。生きる以上は喰わねばならない。

故に、古来から食を廻って闘いを繰り返してきた。

食は生きることの原点でもある。
それにも拘わらず、農業者の地位は低い。現代の食は、

第三次産業、すなわち、流通に仕切られている。そのため

農業者は流通が求めるものをひたすら作り続けた。
結果として、農業者の地位はさらに下がり続け、「きつい」

・「汚い」「辛い」がその代名詞になっている。
近代農業には、量が求められ続けてきた。そのため、化学肥料

(窒素肥料が主)・農薬・除草剤・ホルモン剤抗生物質など

が使われ始めた。それが今の農業には余りにも一般的になり、

知らず知らずに食の安全性が損なわれていった。
コロナショックを契機として、「量」から「質」へと転換でき

るかと言えば、答えは「ノー」であろう。

現在では、農園に蝶々が飛んでいるのを見かけない。

除草剤・農薬散布のためです。
当農園は蝶々だらけであり、消費者からみれば、長閑な風景に

映るかもしれないが、農園主から見れば、ゾーとするような

光景である。
その跡には大量の青虫が誕生し、葉っぱを食い荒らすからです。
穴の空いたキャベツ、お送りする野菜に紛れて青虫やさなぎが

潜んでいることもあり、朝、目覚めたら部屋に蝶々が飛んで

いたとのお話を頂いたこともしばしばです。
当農園のお客様は実に寛容であり、笑ってそのように伝えて

くれる。

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蝶々乱舞。今時、蝶々が飛んでいる畑など、ほとんど見ることも無い。

なるほど、一週間に2回ほど農薬を散布し、土壌消毒・除草剤・化学肥料を

やれば、虫もいなくなってしまいます。その代わり、土壌にも微生物や菌は

棲めなくなっております。

 

農園主は思うのです。
農産物の量から質への転換が図れるとしたら、それは生産者の

考え方だけでは無く、主には消費者の価値観を変えて頂くしか

ありません。

農業軽視の姿勢は、この国の執政や政治家達だけではなく、

消費者の側にも根強く存在しているように思えてなりません。
コロナショックを契機として、社会の価値観が変わらないとし

ても、食の健全性を目指している農業生産者に共鳴して頂ける

消費者がこの国に育っていかなければ、そんなに遠くない
将来に、この国の農業は潰れていくことになるかもしれません。

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農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.6.17(水)晴れ後曇り、最高温度28度、最低温度18度

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         フェージアの花が満開となる

 

2020.6.12 梅雨入り

 

今月、霧島酒造の「匠の藏」の番組がテレビ西日本系列で、

全国のFM放送で流されている。
中々に核心を突いた番組構成となっており、やや気恥ずかしい

思いを抱きながら見ている。
俵万智さんの張りのある声も魅力的であり、しっかりと、農園

主の言葉をフォローしてくれている。

視聴者の反響もそれなりには出ている。

今年は6月10日から本格的な梅雨のシーズンに入った。
梅雨入りを予測して、農園は、麦の刈り取り、玉葱の収穫作業

夏野菜の整枝作業と並行して除草作業、春秋野菜の定植と種蒔

き作業などに追われた。
トマト・茄子・ピーマン系などは1/3の作業が未了となって

しまった。

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夏の間は延々と剪定誘引作業は続き、雨の中、カッパを着ての

作業となり、梅雨が明けたら、明けたで、カッと来る炎天下の

下での作業となる。
猛暑日が続くようになってからは、夏の作業の過酷さは年々

ひどくなっている。
「死ぬなよ」と言って皆それぞれに作業に付くのだが、今は

それが冗談とも言えない気候になっている。

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今年の気候は何だか異常であり、近在の農家から「今年の野菜

はおかしくないですか」と問うてくることが多い。
通常では、豆類は徐々に実をならせてくるため、およそ3~4

週間ほどの間出荷が出来る。
今年は、いきなり最盛期となり、ほぼ2週間ほどで出荷が終わ

ってしまう。一気に採れるものだから、量は倍にして価格は

据え置きとしなければならない。自然の恵みだからと言って、
定期購入(固定顧客)の方へお届けしている。

お客様は喜ぶから良いのだが、「労多くして報いは少ない」と

言う結果となる。
ニンニクはほとんど実にならず、春大根は、出荷前に莟立ちし

晩稲の玉葱は生長不足で球になっていないものも多い。

逆に去年より勢いのある野菜もある。トマト・茄子などは、

去年は5・6月に異常な乾燥気候となり、特に茄子はほとんど

出荷できるまでに育たなかった。野菜は成長期に成長を逸すると、
出荷適期には急速に勢いを失い、落ちていく。

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今年は5月の乾期を乗り越え、去年より15日間早い梅雨入り

によって何とか復活しつつある。
地球温暖化とは、暖かくなるのでは無く、異常気象が続くと

言う事です。
季節外れの異常な気候が続くと、野菜の生理は狂うと言う事を

実感した年であった。

それに伴い、露地栽培の例年の作業も段取りが狂い、今年の様

に梅雨を前にして、一度に作業が重なり、連日、休みも取れず

、夜8~9時まで延々と作業を行わねばならなくなる。
これからの農業は、その異常気象を前提とした前倒しの作業を

組み立てていかねば、人の手を大きく必要とし、気候に左右さ

れる露地栽培農家はさらに厳しいことになるのかもしれない。

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5番の圃場、ここには、夏場、主にトマト・ピーマン系が植わる。

4月から農園主となった竹内さんのメインの圃場となる。

農園主がトマトの初期設定(整枝作業)を行い、(共同作業)

その後、竹内・小原君によって、竹の支柱が立てられる作業終了は午後8時。

 

今年から、女性は別にして、男性は皆、農園主とした。
農園主とは経営者であり、己の才覚で農業を行わねばならず、

泣き言も言えないし、誰からも褒めてももらえず、やって当た

り前と言う事になる。
唯、むかし野菜グループでは、共同作業が前提となっており、

一人だけで生産活動を行う訳では無い。互いに助け合えること

が救いではあるが、逆に独立・自立への甘えにならなければ
良いがとは危惧している。
自然条件の厳しさに耐え、気象変化へ即対応し、野菜を途切れ

させず、気候に睨みながら作業工程を組立、一人黙々と作業を

行う、それが農園主である。

同時にむかし野菜の邑は、一般流通には農産物を出しておらず、

固定顧客のみがお客様でありこの農産物等を評価して頂ける

消費者を啓発しながら、顧客数を増やし、収入を得ていかねば
ならない。むかし野菜の邑のチャレンジは続く。

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ハーブの一種、マートルの花。わたげのような白い花がかわいい。

シューンブライトの花嫁さんの胸に飾る花。

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.6.10(水曜日)曇り、最高温度27度、最低温度18度

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新たに加わった M さんにトマトの剪定誘引作業を教えている。

農業は全く未経験ではあるが、畑で働くことが新鮮であるようで

楽しいとおっしゃっている。

ならばと、週2日程度のパートさん扱いで、目下農業の特訓中。

農業はひたすら無心に野菜と、畑と向き合う日々。

野菜から癒やされ、畑仕事はやったことの結果が見えるのも

また楽しい。作業によって整理された圃場の姿が美しい。

唯、作業を終えて家庭に帰れば奥様としての現実が待っている。

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農園は梅雨前の追い込み作業にて毎日夕方8時過ぎまで除草・

剪定誘引作業に追われている。体は重く疲労が溜まっている。

それでも農園主となるには、それなりの覚悟が必要です。

誰も褒めてはくれないし、仕事の過程は評価されず、結果を

出さねば生きてはいけない。

この繰り返しで、自立した農業者になっていく。

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草木堆肥に集まる蝶々の群れ。甘い香りに誘われたのでしょう。

 

2020.6.9 草木堆肥の作り方

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今から18年前、農園を開いた頃、草を刈り、葉っぱを林の中

から集めてきて、牛糞を2トントラックで一台分もらい、

借りたばかりの二番の畑で、フォークを使った手積みで草木

堆肥を作っていた。

全てが手作業で、腰に来て、重労働であったことを思い出す。
発酵させることが難しく、随分と試行錯誤を繰り返していた

ことを思い出す。

発酵は微生物や菌が活発に細胞分裂、つまり、増殖することに

よって起こる。
そのためには、空気(酸素)と水が必要であり、水分が多すぎる

と嫌気性菌が増殖し易くなり腐敗発酵(ドブ臭)となってしまう
好気性菌の増殖が発酵であり(味噌醤油のような甘い香り)、

適度な密度と水分が必要であり草木の密度が低いと中々発酵して

くれない。

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先ずは、草を刈り取り、あるいは、除草作業によって出た草を軽トラで集めて回り

溜めておく。その草を厚さ10~15㎝に均等に広げる。この作業もきつい。

 

第一次発酵は70度までに温度が上昇し、あまり高温になると

今度は菌が死んでしまう。唯、温度が上がらない場合は酸素が

不足している場合が多く、ひっくり返してやる必要があると

言う風に中々に難しいものである。
一次発酵が終わると、切り返しを行い、酸素を入れてやり、

二次発酵を促す。
ここで問題なのは、教科書通りに三次発酵を行うと、完全発酵の

堆肥となってしまい、単なる肥料になってしまう。

私が自然循環農業を始めた頃、多くの学者は不完全発酵の堆肥は

土壌は窒素飢餓となり、作物が育たなくなると言うのが定説で

あった。
それでは、堆肥としての意味が無い。草木堆肥は、活発に活きて

いる微生物や放線菌が、土壌の中で有機物残渣を食糧として増殖

することによって土を育てる(耕す)。
私はそのことに気がついており完熟発酵一歩手前の状態で畑に

施肥していた。
18年経過した今では、およそ60%以上の学者が完全発酵では

堆肥としての意味が無いと主張しはじめている。

ようやく学説が農業現場に追いついてきた。

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次に、繁殖牛の牛糞を広げた草の上に厚さ3㎝程度に敷く。

牛糞独特の鼻にツンと来るようなアンモニア臭の匂いがほとんどしない。

これは牛を産ませるためには、栄養価の高い配合飼料の餌を多くは与えず、

牧草を牛の主食としているからです。

肥育牛は肥え太らせるために、配合飼料を多く与える。

配合飼料(99%はアメリカからの輸入)には、除草剤・薬品・ホルモン剤

そして、最も問題の抗生物質が大量に含まれている。畜舎で病気が蔓延するのを

防ぐために菌を殺す抗生物質を投与する。

 

 

残念なのは、今では、ほとんどの有機農家が堆肥を他所から買っ

てきているか、若しくは畜糞を畑に施肥していることが多い。
私の有機の先輩は、このように話していた。

「何が入っているか分からん堆肥?を他所から買ってきて有機

農家であるなどと言っているのは、有機の語りだよ」と・・・
確かにその通りである。まして、畜糞を使っているからと言って

有機野菜だと言うのも可笑しな話ではある。
これも有機JAS法(有機物なら何でも良い)を制定した日本の

大きな過ちとなっている。
悲しいのは、現在、草木堆肥の作り方も知らない有機農家が

ほとんどであることである。
作り方を教えても、余りにも労力が掛かるため、皆、敬遠して

しまう。
当農園では、化学物質・抗生物質を畑に持ち込まないため、

草木堆肥しか使っていない。
牛糞は発酵促進剤として使ってはいるが、この牛糞は繁殖牛の

ものであり、飼料のほとんどが草である。肥育牛のように抗生

物質や薬品の入った配合飼料を与えていない。
ちなみに、抗生物質は、悪性耐性菌によって家畜が病気になら

ないように配合飼料には必ず入っている。しかも大量に。
その抗生物質が畜糞と共に畑に施肥されると、微生物や菌は

死滅してしまい、畑は不毛の大地となってしまう危険性が高い。
さらにそうした畜糞は高濃度の窒素肥料となり易く、土壌は

むしろ窒素過多となり、毒素である硝酸態窒素が多く含まれた

農産物となってしまうこともある。
学者の一部からは、「有機野菜が危ない」との声が上がっている

のはこう言った現実があるからです。

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最後は、剪定枝の破砕屑と葉っぱを敷き、草・牛糞・葉っぱの三層に重ね、

ラクターで混ぜ込む。何故草木堆肥に、葉っぱや破砕木屑が必要かというと、

ここには、計測不能な種類の多様性のある微生物や菌類が棲んでおり、有機物を

餌として増殖してくれる。

さらには、生命体に不可欠なミネラル分がバランス良く含まれているからです。

木は地中深く根を張り、マントルの中に多く存在しているミネラル分を絶えず

吸収して育っている。

草木堆肥は科学的知識も無かった日本の先人達の経験から学んだ叡智です。

有機野菜は農薬を使っていないから安全である!ではなく、

どのような土作りが行われているのかが、実は問題なのです。
日本の先人達の時代には、肥料と言えば人糞しか無かった。

人糞もそんなにあるわけでは無く草木による堆肥を作り、土を

育ててきた。畑には化学物質も存在せず、野菜はみな美味しく
栄養価が高かったし、何より健全であった。

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農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.6.3(水曜日)曇り、最高温度26度、最低温度17度

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          草木堆肥を作っている処

 

春野菜から夏野菜への転換期は、草木堆肥を二週間に一回のペース

で作り続けねばならない。自然循環農業では、この草木堆肥を切ら

すことは、生産が出来ないのと同じことである。

葉っぱや破砕木屑に生息している微生物や放線菌と同じ目線で、

ものを考える習性が付いており、絶えず気にして、彼らに語りかけ

ている。頑張れ!と・・・菌が増殖する際は、70度ほどに堆肥の

温度が上昇する。

 

 

2020.6.1 コロナウィルスにより人の価値観は変わる?

 

2011年福島で起きた原発事故、所謂原発ショックを契機にして、

農産物汚染が問題となり健全な食への関心が急速に高まり、当時、

120名前後であった定期購入のお客様は一年間で全国に拡がり、

230名に急増した。
その後、農園のテレ朝放映などで一時的に500名ほどに膨らん

できたこともあったが、すぐに熱が冷める方も多く、300名

ほどのお客様に落ち着いていた。
それが宅配料金の大幅なアップによって、ついに、200名を

割り込んでいった。
そんな中、今回はコロナショックによって、定期購入のお客様は

元の人数であった230名へ戻りつつある。

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梅雨が来るというので、大急ぎであちこちの畑に点在している玉葱を引いている。

今年は極早生は頗る好調であったが、早生は、球になりきれていないものも多く

、所謂、男玉葱(中に硬い膜ができる)が多く、ものにはならなかった。

農業は一か八かの掛けでもある。

 

その時代のトレンドの変化によって人の価値観は変化してくる。
元々人の心に不変なものがある訳では無いが、昨今の安・近・短

な世相はコロナウィルスによって無関心・自己本位の価値観は

大きくに揺さぶられ始めている。
宅配料金の大幅なアップとなっても、尚、120~130名ほど

の方は、10年以上取り続け、むかし野菜はそれらの方々に慈し

んで頂いている。
時代のトレンドが変化しても、その方々の価値観は変わらない。

畑は草木堆肥を施肥し続けて行くにつれ、土壌は微生物・菌が畑

を耕してくれるため、さらに進化を続け、未来へと持続可能な

農業と言える。
その自然循環の思想と農法は今後も不変であり、お客様に健全な

野菜を届け続け、皆様の健康を守っているとの自負心は、スタッ

フ一同、強く持ち続けている。

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収穫し終えた玉葱は、いきなり保冷庫に入れておくと腐ってしまう。

そのため、麻紐で括って軒先に吊しておく。紐掛け作業です。

例年玉葱はほとんど儲けにならない。リスクと手間の塊である。

それでも昨年も数万個の玉葱を植えた。ご家庭の必需品であり、定期購入の

仲間達のために切らすわけには行かない。

 

コロナの影響で学校が閉鎖となり、うちの孫達は連日畑で過ごし

ていた。
自然野菜を食べ、菌のはびこった畑で遊び回るこの子達は至って

健康である。
元来人も微生物の進化形であり、微生物や放線菌の棲まう自然

循環の浄化の仕組みの中では、悪性耐性菌が特にはびこること

も無く、健康で居られる。除菌・除菌と言って、菌を悪者扱い
してはいけない。
もしも、菌類がこの世に無かったら、木・草・動物などの死骸

だらけになっている。
菌類の繁殖の仕組みによって分解して自然環境を浄化してくれ

ている。
人間の体の内も外も菌類で覆われているからこそ健康で居られ

るのです。

ウィルスに勝とうと思うのは、無理である。それならいっそ共生

あるいは、共存していく仕組みを作っていかねばならない。
日本人が、コロナウィルスに強いのは、様々に言われてはいるが

、若しかして、日本のむかしの食生活文化が残っているせいかも

しれない。
味噌・醤油・漬物などには、乳酸菌を始め、様々な菌が棲んで

いる。
無菌状態に置こうとしている滅菌・殺菌などの食文化のほうが

むしろ違和感を感じる。
当農園は、醤油こそ作ってはいないが、そのむかしの日本人の

食文化である味噌・漬物は農園発足以来、無添加醸造と言う

伝統的な方法で作り続けている。

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トマトの初期設定(形を整えるための初期的な剪定誘引作業)を終えて

次は茄子の初期設定作業へと移る。すでに実を付け始めておりこのまま行くと、

倒れてしまう。7種類の茄子を14列植えている。

トマトと茄子は農園主の仕事。他の男性スタッフはピーマン系を受け持っている。

 

原発ショックの際のお客様の急増とは異なり、今回のお客様の

漸増は、少し趣が異なっているのかもしれません。
人は本能的に命の危険を感じると、自己防御の行動を取ろうと

します。
農園の自然栽培や自然循環農法や草木堆肥と言った「むかし」

と言うキーワードに、反応し、何かは分からないが、

「何か良さそう」と感じておられるのかもしれません。

「楽をする」「とりあえず」「今が良ければ」「自分さえ良け

れば」などの自己本位な価値観から、「頑張って見るか」

「家族を大切に」「他の人の心も」「おもいやり」などの利他

主義的な価値観を共有していこうと考えてくれれば良いのだが

と思わずには居られない。

世界は資本主義社会の矛盾、あるいは、大企業によるグローバ

リズムに至り、貧富の差が広がり、いつしか階級制のような

差別社会が進行し始めていると言った閉塞感の中で、人々の多く

は怒りや不安に満ちている。
国家の指導体制も民主主義とは最早呼べない独裁・特権・権力

構造に変化しようとしている。
これは多くの国民が政治に無関心を装い、時の政権にお任せに

した結果では無いかとも思う。
今回のコロナウィルスによるパンデミックは、自然界からの警鐘

と言えるのかもしれません。

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草・葉っぱ・木屑・牛糞を三層に重ね、トラクターで混ぜ込み、

タイヤショベルで積み上げる。

この時季、約1ケ月ほどの発酵期間で畑に施肥する。

 

 

 

農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.5.27(水曜日)曇り、最高温度25度、最低温度16度

 

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         無残な姿となったキャベツ

この畝のキャベツ500ヶは、およそ1/3の出荷で終わって

しまった。正に人間が食べるか、虫が食べ尽くすかの競争と

なった結果です。

 

2020.5.19  害虫の異常発生

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葉っぱは穴だらけ、芽は食い倒され、無残な姿となった茄子。

 

先日、とあるお客様から自然栽培を学びたいとの申し出があった。

行く行くは有機無農薬農業をやりたいとのお話であった。
聞けば、高校生・中学生の二児のお母さんであり、夫も感心を持っ

ているとのこと。
そこで、こう申し上げた。有機無農薬野菜なんて無いのですよ。

10年前ならいざしらず、現在の気候は虫たちの天下です。

5月以降~11月までは、野菜によってですが、種を蒔いても

発芽した途端に、虫たちの食糧になってしまいます。

ようやく幼苗時季を終えて成長したとしても完熟期(野菜が

糖質に富む)を迎えると地面から幼虫が雲霞のごとく現れ、

食い尽くします。
本来虫が食べないほうれん草(シュウ酸が含まれている)も

穴だらけになるほどだから、キャベツは地中から湧いて出てくる

夜登虫に食い荒らされ、キャベツの底辺には数十匹が群がって
いる。その他にも茄子は十星テントウムシが付くのだが、

夜になってこの夜登虫が登ってきて葉っぱを食い荒らし、

ひどいものになると、茄子の幹を噛み倒してしまう。
5月中旬頃から11月まで、害虫の発生が続き、5~7月まで

が特にひどい。

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蝶々乱舞。卵を産み付け、青虫の大群で葉っぱはやられ、地中からは夜登虫が

這い出し、キャベツの下部から芯にまで食い込む。

 

当農園は草木堆肥であるだけに土は肥えれば肥えるほどに蛾の

幼虫が卵を産み付け、土中は、虫の住処となっている。
野山の自然の土壌に近づける草木堆肥による土作りと、害虫も

含む虫達の繁殖は相関関係にあり微生物・放線菌・小虫は、

土が肥えれば肥えるほど、増えてくることになる。

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畑で草木堆肥を撒いていた。その上に焼き灰・蛎殻・苦土石灰を振る。

ふと、見ると、蝶々が堆肥の上に群れていた。完熟一歩手前の草木堆肥は

香しい匂いがする。その甘い香りに吊られたのだろう

これからの時代、微生物・放線菌・虫達と共生していかねば

成りません。但し、害虫に対しては、人間が防御してやらねば、

農家は自然の恵みと収入を得られないことになってしまいます。
唯、土を汚すことは絶対に避けねば成りません。
化学物質や菌を殺してしまう浸透性農薬の使用は、自然の循環

及び浄化及び再生の仕組みを壊してしまいますし、土中消毒・

除草剤の使用は微生物・放線菌が棲めない土となってしまいます。
農業現場を知らない学者やメディアそして、無農薬、無農薬と

唱えておられる消費者が考えている概念上の有機野菜とは一線を

画しており、私達は自然栽培と称しております。

近在の農家の方が、私と一緒に農業をしようと考えたそうですが

除草剤を使わないと、広い農地では草取りに追われ、回していけ

ないので、残念せざるを得ないと言っておられます。

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こちらは紫キャベツ。一つの株からおよそ20匹の夜登虫が現れる。

剥いて剥いて、キャベツはどんどん小さくなり、出荷出れば良い方です。

我々の行っている自然循環農業は過酷な作業の連続です。

その上、害虫被害により季節によって半滅・壊滅状態も日常的

に起こり、それが度々重なると心が折れそうになります。
今年は特に異常な気候と害虫の異常発生によって皆様にお届け

する野菜が、底を尽きそうです。
この自然栽培(全て露地栽培)は10年を超える経験と勘や

不屈の精神が要求されます。そして、野菜に対して愛情を注ぐ

人で無ければ続けていくことはできません。

以上のこと申し上げたのですが、現場を踏んでいかねば中々

分からないことだと思います。

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トマトの初期設定作業。トマトは一本の木に2~3本の枝とするように剪定。

竹の支柱を二本、太陽に向けて斜め50度に傾けて枝を伸ばす

最大で5メートルの長さまで伸ばす。もうかわいい玉が付いている。