農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.6.24(水)晴れ、最高温度30度、最低温度19度

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     毎週、水・日曜日開催の農園マルシェの風景

外では野菜・内では菓子類・惣菜などを販売している。

野菜は当然のことながら、加工品についても、100%農園生産の原材料使用

を指針としており、こだわりがある。

コロッケ・野菜まんじゅう・菓子類など、アレルギーをお持ちの方でも安心して

食べて頂ける小麦粉(ブレンド粉)を独自で開発し、100%その小麦原料を

使っている。これは世界的にも画期的なことであることを、ほとんどの消費者は

知らない。これらの商品群を「小麦物語」と称している。

 

「経営者の資質」

 

梅雨の真ん中にあり、常に雨雲の変化を気にしながら、雨の

合間を縫っての農作業が続く。
雨合羽を着ての作業であり、体はびっしりと汗をかき、

合羽の中まで雨が入ってくる。
整枝作業に集中してはいるが、頭はボーッとなり、時折、

何をしているのか?と自らを叱咤するような事をしていること

もしばしばである。
唯、今年は梅雨の中休みがあり、その合間に随分と滞っている

仕事が出来ており、助かる。
そのため、体はスタッフ一同、極限まで疲れている。
夏野菜の成長期には、この高温多湿な気候が必要であり、

これも日本の露地栽培農家にとっては、恵の雨なのです。

文句を言っていては自然の神様に怒られる。
すぐに伸びる雑草の成長を横目に見ながら、夏野菜の整枝等

管理作業が延々と続く日々。

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梅雨の中休みも今日で終わり、トマト・茄子・ピーマン等の
盛夏野菜の中耕・追肥(堆肥)・除草を慌ただしく行っている。
今日は、一本葱の土寄せも行う。

草木堆肥は、中熟状態で施肥すると、有機物残渣は残り、微生物
放線菌はそれを餌として活発に活動しており、追肥として使用
すると、およそ、3~4ヶ月後まで効果を発揮する。
その機能を使って、一番果がなり始める頃、中耕・追肥を行うと
10月頃までは、実成りが良く、収穫が見込める。
さらに中耕を行うことで、(畝下を掘り下げる)根に酸素を供給
してやり、夏野菜の生長を促す。

 

コロナウィルス対応を契機にして、安倍内閣の支持率が急落

し始めている。
支持率急落はむしろ遅すぎたくらいである。
国民の多くも、日本の政治家達へ呆れ気味な感想を抱いている

のではないか?
政権与党も野党も生産性の無い不毛な答弁や質問が続く。

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5番の畑には、トマトが鈴成り状態。本支柱も立って、これから
ビニールテープを張り、斜め50度に傾けての誘引作業が続く。

 

銀行員時代、多くの経営者と向き合ってきた。
特に事業再建を多く手がけてきたためか、苦悩する経営者と

向き合うことが多かった。
むしろ、生きるか死ぬかの毎日であったような思いがある。

この事業体は活かすべきか、突き放すべきか、その判断

に苦悩する毎日でもあった。
その企業体には、何十人、若しくは何百人の家族の生活が

掛かっている。

どのような手を打つか、打開する術を模索する日々でもあった。

国家も、地方自治体もある意味では一つの事業体である。
そこには政策と言うより、むしろ、重い経営があるはずである。
そのように考えると、今の安倍政権には、余りにも経営者として

の資質に欠けているものが見える。
経営には、常に変化する事業環境への即応力が問われる。
さらには、短長期的な事業(政策)ビジョンが必要であり、

社員(国民)にそれをある程度示していかねばならない。

未来への展望であり、豊かな夢を示さねばならない。

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こちらはピーマン・伏見及び万願寺とうがらし・黒ピーマン・
パプリカなどの野菜の追肥(堆肥)・中耕作業を行っている。

 

会社とは豊かな実りを希求して穀類等を捧げる社(やしろ)

に集う人々の集合体である。
社長(首長)とは、その「やしろ」の長(おさ)である。
その「おさ」は、そこに集う社員(国民)の生活を一身に

担わねばならない。
長は常に批判の矢面に立たされる。それでも、国民のために

良いと思ったことはやり通さねばならない。決して己のために

図ってはならない。
そのように考えると、今の政権や安部総理にその資質や責任

能力があるのか、むしろ、真剣に考え直さねばならないのは、

その「おさ」や「政権」を選ぶ国民ということになる。

農業者は人々が生きていくための糧を生み出す生産者である。
人は喰うために生きている。生きる以上は喰わねばならない。

故に、古来から食を廻って闘いを繰り返してきた。

食は生きることの原点でもある。
それにも拘わらず、農業者の地位は低い。現代の食は、

第三次産業、すなわち、流通に仕切られている。そのため

農業者は流通が求めるものをひたすら作り続けた。
結果として、農業者の地位はさらに下がり続け、「きつい」

・「汚い」「辛い」がその代名詞になっている。
近代農業には、量が求められ続けてきた。そのため、化学肥料

(窒素肥料が主)・農薬・除草剤・ホルモン剤抗生物質など

が使われ始めた。それが今の農業には余りにも一般的になり、

知らず知らずに食の安全性が損なわれていった。
コロナショックを契機として、「量」から「質」へと転換でき

るかと言えば、答えは「ノー」であろう。

現在では、農園に蝶々が飛んでいるのを見かけない。

除草剤・農薬散布のためです。
当農園は蝶々だらけであり、消費者からみれば、長閑な風景に

映るかもしれないが、農園主から見れば、ゾーとするような

光景である。
その跡には大量の青虫が誕生し、葉っぱを食い荒らすからです。
穴の空いたキャベツ、お送りする野菜に紛れて青虫やさなぎが

潜んでいることもあり、朝、目覚めたら部屋に蝶々が飛んで

いたとのお話を頂いたこともしばしばです。
当農園のお客様は実に寛容であり、笑ってそのように伝えて

くれる。

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蝶々乱舞。今時、蝶々が飛んでいる畑など、ほとんど見ることも無い。

なるほど、一週間に2回ほど農薬を散布し、土壌消毒・除草剤・化学肥料を

やれば、虫もいなくなってしまいます。その代わり、土壌にも微生物や菌は

棲めなくなっております。

 

農園主は思うのです。
農産物の量から質への転換が図れるとしたら、それは生産者の

考え方だけでは無く、主には消費者の価値観を変えて頂くしか

ありません。

農業軽視の姿勢は、この国の執政や政治家達だけではなく、

消費者の側にも根強く存在しているように思えてなりません。
コロナショックを契機として、社会の価値観が変わらないとし

ても、食の健全性を目指している農業生産者に共鳴して頂ける

消費者がこの国に育っていかなければ、そんなに遠くない
将来に、この国の農業は潰れていくことになるかもしれません。

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