農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.7.8(水)雨後曇り、最高温度28度、最低温度23度

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              茄子の剪定誘引作業

 

昨夜からの集中豪雨は朝方、止み、ぬかるみの中で収穫作業を行う。

畝下には、土が流れ落ち、根は酸欠状態になっている。

数時間バケツをひっくり返したような雨が降り続き、この地域でも避難中の

車が流され行方不明者が出たり、家ごと、川に流されたり、大きな被害が

出ている。

圃場は高台に位置しており、冠水する事は無かったが、野菜達は、ずぶずぶに

水を含んだ土の中で、根が呼吸困難に陥っている。

また今晩から梅雨前線が北上してきており、同じような線状降水帯ができる

ようだ。野菜達が頑張ってくれることを祈るしか無い。

 

2020.7.2 梅雨の末期

 

今週の(7.3)金曜日から梅雨前線が西日本に停滞し、雨が降り続くとのこと。

梅雨の末期となると、毎年、雷が鳴り、集中豪雨が日本全体を襲う。

農園主はその天気を読み、その前に、種蒔き・定植・支柱立て・剪定誘引作業、

そして、除草作業を7.2(木曜日)迄に済まそうと、スタッフ全員で夕方

(最早夜でしたが)遅くまで、追い込みを掛けた。全員くたくたになっては

いたが、頑張り通した。

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   除草・支柱立て・剪定誘引作業が豪雨の前に、何とか終えることができた5番の圃場

農業者には労働基準法など無い。最低賃金なども無い。

朝、日が昇ったら畑へ出て、日が暮れたら家に帰る。

畑を耕し、堆肥を撒き、種を蒔き、植え込んだ野菜の成長を見守り、

必要な時、手を出し、野菜達がして欲しいことをしてやる。

子供を育てるかのように・・・

そして、野菜達と会話が出来るようになって初めて農業者になれる。

 

それでも自然は理不尽さに満ちており、いきなり集中豪雨がやってきたり、

台風に見舞われることもあり、野菜達が潰されていくのを、唯、見守ること

しか出来ない時もある。

それでも野菜達は農業者が手を入れれば入れるほどに応えてくれる。

決して裏切らない。

農人は農産物を育てていると、野菜達から癒やされ、やさしさをもらう。

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               蔓紫・青紫蘇
 

ご近所のおばあちゃんが毎日畑に出てくる。もう90歳を越しているのでは

ないだろうか。息子達から、いい加減に畑を止めなさい!野菜は買ってくれば

良いのだからと言われる。

おばあちゃんは、「野菜達が待っているから!」と今日も畑へ出向く・・・

このおばあちゃんにとって、野菜は、畑は、生活の一部であり、生きること

そのものなのです。

 

昨日、北九州からあるご家族が農園を訪れた。

長女が極度のアレルギーに見舞われ、生死の境を行ったり来たりの重篤な状態

であったとのこと。

数軒のお医者さんに連れて行き、様々な治療をしてもらったが、その度にさら

に悪化していったそうだ。

見るに見かねて、薬品投与を一切断り、家に連れて帰った。

その後、食べることに細心の注意を払い、あちこちの農園を訪ね歩いた。

有機野菜の実態と生産者の本音を聞いて愕然としたとのこと。

その日も長女を連れての来訪であったが、農園のコロッケを食べてもらった。

パン粉は農園のブレンド粉で焼いたパンであり、一切交配をしていない古代麦

と、除草剤を廃し草木堆肥を5年以上施肥して育てた低窒素栽培のブレンド

小麦粉である。

「食べてみるかい」と言って食べさせると、その娘さん、「美味しい」

と言って、微笑んだ。

翌日、そのご家族から電話が入り、買って帰った野菜を全部食べた。

ブレンド粉でかりんとうを作った。みな、何の問題も無く美味しく頂いて

おりますと、感謝の電話であった。

 

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この農産物を食べてくれるのは、全国2百数十名の飲食店及び個人の定期配送

のお客様と、農園マルシェに訪れる数十人のお客様しか、今はいない。

近い将来、むかし野菜のスタッフ一同、胸を張って生きていける職業を、

そして農産物作りを、選んだことが誇りに思える日が来ることを願う。