農園日誌ーグループ営農化への試み

27.12.9(水曜日)晴れ、最高温度18度、最低温度8度

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                  今年初のトンネルを張る

15年、農園をやっているが、こんな景色は初めて。
トンネルの隣に未だ、ピーマン系の野菜が生き残っており立派に身を付けている。
18年振りの大型のエルニーニョ現象というのも頷ける。
12月になってもピーマン系野菜の出荷が続いているし、ニラは枯れずに出荷が可能であり、白菜は、完全に巻き、すでに二回も出荷している。
良いことばかりではなく、例年では寒が到来しており、野菜は甘みや旨味が増す
筈であるが、今年の野菜は全般的に糖度が薄く、味も薄い。
(これは寒が続くと、野菜は寒さを凌ぎ、生き残ろうとして蓄えたデンプン質を糖などに分解して、エネルギーにしようとする)

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味噌の試作。

レンガを積み重ねた
竈やガス台を使った
大豆蒸し作業。

大豆と米麹の比率を
どのようにするのか?
塩分比率は何%が良いのか?
減塩味噌とすれば、
腐敗防止にどのような
対策が採れるのか?

今回は大豆:米を原料ベースで1:1にしてみた。
甘くしようとすると、米麹が1.5にすべきなのだろうが、自然農のお米となると、
現状、反当5俵(慣行栽培では8俵が指標となる)しか採れない。随分と高価なコストとなり、味噌の販売価格を引き上げざるを得なくなる。
当グループは、できるだけリーズナブルな価格での提供をテーマとしており、今後も試行錯誤が続く。農園の女性スタッフ達も主婦目線で随分と価格についてはシビアーであり、やかましい。
貯蔵方法や貯蔵期間も検討の余地が多い。
二年物以上が良いとの見解もあるようだが、味噌も生き物であり、鮮度も問われ、
古味噌と食べ比べてみると、一年物に軍配が上がる。
長期的に貯蔵していくと、旨味は増すが、麹臭さや豆などの原料の存在感が薄れ
所謂、鮮度が落ちてしまい、中々に難しい。

(グループ営農化への試みーPARTⅡー分担の難しさ)

来年度、研修生達は新規就農者として独立への途を進むことになる。
それに合わせて、農園の隣に、むかし野菜の邑の本拠地の建設を行う。
加工所・保冷庫・出荷場・製粉所・麹部屋・休憩室などを備えている。
研修生達は、(株)むかし野菜の邑の出資者の一員となり、グループ営農集団として
船出することにしている。
農業生産に必要な機械器具・建物などの基地・販路などはすでに整っている。
彼らは、新規就農者にとってのこれら大きなリスクはすでになく、恵まれた環境に置かれている。
あとは、二年間の研修で学んだことをベースにして、年間の、四季の野菜の作付
計画から作業工程管理や品目調整などを実践に移していくことになる。

このように書いていくと実に簡単なことのように思われてくるが、問題はこれからである。

(業務分担)
今までは、農園主の指示を待ち、如何にその作業を完璧にこなしていくかを考えれば済んでいたことが、これからは、農園主が行っていたワークを全員で分担していかねばならなくなる。

例えばこうだ。
1)生産計画
佐藤自然農園の農園主は、クチコミで年間50余名(現状250余名)増加していく
お客様の要望を聞き取り、様々な意見を調整しながら、その時季の野菜の生産品目や生産量などを計算して、作付計画を決め、畑の割り振りをそれこそ一畝
ごとに毎日決めていかねばならなくなる。さらにはグループに加わる独立した農園主に時季の生産量・品目などを指示する。その積み重ねが年間作付計画となる。

ーそれをむかし野菜へ加わっている自分も含めた独立した農園主達にどのように伝達し、指示を出すのか、一体誰がそれを行うのかー
もしその指示が不適切であれば、あるいは、遅れてしまえば、たちまちに商品不足が発生し、期待してくれているお客様の信頼を損ねてしまう。そのプレッシャーは
かなり重い。
それを彼らはまだ知らない。
一農園主と全体で一つとなるグループ営農の大きな違いではあるが・・・

2)顧客管理及びコミュニケーション管理
お客様のニーズは多岐に亘り、一見様々な要望があり、常に変化していく。
聞ける要望あり、聞けない要望ありで逐一、毎日判断を下し、それに答えねばならない。
農園にはテーマ、と言うか価値判断基準(物差し)がある。

「美味しく栄養価のある、化学物質をできるだけ排除した、安全な野菜を、提供し
続けること」

「季節に順なる旬菜を、分け隔てなく、好き嫌いなく、全部のお客様に食してもらう
こと、好き嫌いが出ればそれだけ栄養価が偏り、必ずしも健康を志向する農園の趣旨に反するー所謂、食育がテーマとなること」

「自然農以上に自然農を目指すが故に、日本の先人たちが行ってきた自然循環農法ー称してむかし野菜としており、生産者と消費者が一体となったグループ化を模索しており、市場啓発・啓蒙活動が農園のテーマであること。そのために、農産物や加工品は普通の方々に食べてもらいたく、リーズナブル価格がテーマとなって
いること」

これらを日常のコミュニケーションの中で、常に実践していく。

ー誰が主体となってこのことを伝え、会話し続けるのかー
生産活動と同じくらい重要なテーマであり、時間をかけて学ぶものではあるが、
人間性と思想の重さが問われ、経験が必要となる。今、最も頭の痛い課題となっている。

一人で行ってきたこのむかし野菜事業を集団で行う難しさ、あるいは、どのように分担して引き継いでいけば良いのか?試行錯誤が続くことになる。

→次回へと続く

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蕪の季節になってきた

これも異変の一つではあるが、暖か過ぎて
蕪の発育がおかしい。
例年であれば、寒が来るこの季節には
すでに数回程度は
蕪の出荷があったはずであるが、今年は
まだ一回しかない。
出荷真近い蕪、三番
の畑。

蕪の右隣には第三弾の白菜が巻き始めている。おかしい、実におかしな気候となっている。この季節白菜が巻き始めるはずはないのだが・・・