農園日誌Ⅲーむかし野菜の四季

2020.8.26(水)曇り時折小雨、最高温度35度、最低温度27度

 

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                  バジル

 

2020.8.25  農園主の憂鬱

 

秋野菜の種蒔きシーズンが到来している。畑には夏野菜しか無い。

秋野菜に欠かせない葉物・人参・大根・キャベツ・ブロッコリー・蕪類など、

種を蒔いても雨は降らず、畑は砂漠のように水気が無く、風が吹けば砂塵が

舞い上がる。そこに容赦なく34~36度の日差しが刺す。

育苗トレイに種を蒔いても、寒冷紗を掛けねば発芽した芽は途端に焼き切れ

てしまう。寒冷紗を掛ければ、発芽した苗はもやしのように徒長してしまい、

苗にもならない。

 

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              開封前の醸造味噌

 

農業の現場をご存じない消費者やメディアはその農家の窮状を知らない。

今まで経験したことの無い気候が露地栽培農家を痛めつけている。

味噌作りに欠かせない大豆はすでに三回蒔き直してはいるが、

発芽してくれない。除草剤を使わないため、わずかに発芽した大豆もあっと

いう間に草に埋もれてしまっている。

明日は、35度を超える温度の中で、全員で大豆の圃場の草刈りと除草作業を

しなければならない。体力を使い果たした中での炎天下の作業になり、

気力も萎えつつある。

 

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                オクラの花

 

それでもコロナの影響なのか、テレビ放映(霧島酒造の番組の中)や家庭画報

掲載のせいか分からないが、最近お客様が増えつつある。

真にありがたいことながら、野菜が持つかそれが不安になってくる。

農園主にとって、草木堆肥ができていないことや、野菜が育っていないことが

一番の不安である。野菜を待って居られる仲間達(消費者)へ送る野菜が無い

ことが、最大のプレッシャ―となっており、焦燥感に駆られる。

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              農園の夕暮れ

 

今日もありがたいことに、関東のお客様からメールが届く。

「初めての野菜が届きました。形も色も常の野菜とは異なり、これが自然栽培

の野菜なのか、食べてみると、全てが今までに経験したこと無い美味しさであ

り、是非、継続したい」

いつもであれば、手放しで喜べるところ、今年の晩夏は何故か心が晴れない。

気まぐれな気候の中で、いつもその試練に耐えて頑張っているではないかと、

自分に言い聞かせながら、衰えつつある体を動かす。

 

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