農園日誌ーⅢーむかし野菜の四季

2020.7.15(水)曇り時折雨、最高温度25度、最低温度20度

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ようやく、梅雨末期の集中豪雨も収まり、今日は数週間ぶりの太陽や青い空が

わずかながら覗かせてくれました。

これから、農園は雨で固まった土壌の修復作業が待っております。

 

2020.7.10 完熟野菜に何故こだわる

 

当農園では、10数年前から「サラダセット」と言う人気NO1の商品がある。

ベース野菜に水菜・赤ほうれん草・レタスを、辛子系としてマスタード系・

辛子水菜を、アクセントとしてルッコライタリアンパセリ、彩として

トレビス(ビター)スイスチャートなど7~8種類のサラダ系野菜のセット

です。全て完熟して大人になってから出荷を行う。

市販されているベビーリーフはその名の通り、未だ幼い野菜のミックス

サラダですが、味香り乏しく栄養価は低い。

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「美味しく栄養価の高い野菜とは、どのような野菜のことか?」

「美味しさ」を定義すると、「甘い・味香りがある・歯切れが良い、

そして旨味がある」

「栄養価が高い」を定義すると、「糖質・ビタミン・ミネラル分」に行き着く。

 

野菜は主に窒素分により成長する。窒素を多く施すと野菜の中に成長酵素

ミトコンドリア)が生まれ続け、窒素が土壌にあり続ける限り、肥大成長は

止まらない。

そのため、有機・無機栽培を問わず、窒素過多の土壌で育てられた野菜は、

成長途上で収穫出荷される。

成長途上で収穫された野菜は、葉や実及び茎に硝酸態窒素(毒素)と共に

でんぷん・炭水化物が蓄積されている。故にそのような野菜は苦さを感じる

ことが多い。でんぷんは苦いのです。

 

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他方、草木堆肥のような低窒素栽培の野菜は、成長がゆったりで、骨格を

形成するミネラル分も吸収し、充分に根を張り、茎は太く葉や実は分厚い。

二か月半ほどで土中には窒素が切れてくると、成長酵素は無くなり、

成長が止まった野菜達は、生き残りを掛けて、でんぷん等を分解し、糖質

やビタミンに変え、栄養価として自ら吸収しようとする。

人間も野菜も同じです。

これが完熟野菜となる仕組みなのです。

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表面に線虫痕が見えるさつまいも。土中消毒をしていない証です。

さつまいも・南瓜などは、果実と同じで、収穫した後、約一ヶ月ほど、寝かせる。

すると、野菜自らが生き残ろうとして、中に蓄えられたデンプン質を分解して糖質やビタミン類

へ変換します。(糖質等に分解しないと野菜も栄養価として吸収できません)

これを追熟と称します。

 

このように見てくると、美味しい野菜とは栄養価の高い野菜のことなのです。

 

その美味しい野菜を作り続けて行くには、野菜の成長過程を見守り、

窒素が切れ、熟れ始めるその瞬間を見極めています。

つまりは、完熟野菜となるのを待って収穫を行います。

唯、理解して頂きたいことは、命を終えようとする完熟野菜ですから、

傷みやすいことも、また事実なのです。

皆様はそのリスクを生産者と共に負っていることになります

美味しさと栄養価がその代償です。

むかし野菜の定期購入者は、価値観を共有する仲間と言う事になります。

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草木堆肥を施肥している土壌には、放線菌が棲み着いており、雨が降った後には

このようにキノコが生えてきます。 この状態がむかしの人達が言っている良い土の証です。