世界一危ない日本の食

2023.11.4(土)晴れ、最高温度25度、最低温度17度

 

世界一危ない日本の食―消費者の無知・無関心は最大の罪悪

食品添加物の種類は日本が3,850以上、アメリカでも1,800種類程度、欧州では850種類だったと思います。何故日本は食品添加物大国になったのでしょう。

それは日本が大量生産・大量流通社会になったこともあり、国民の健康を守るという名目で「加工食品は全て製造者の責任と見なす」とするPL法が、今から20年前に制定されたことから始まりました。

食品加工業者は食品の製造から流通・管理までの全てにおいて責任を取らされては堪りませんので、様々な食品添加物を使うようになっていきました。

 

かって、宅配運賃の大幅値上げの際、当農園では農産物の定期購入をしているお客様に送料負担を実質軽減させるため、無添加な魚の干物を野菜箱に同封しようと考え、健全な干物を探し大分県の海産物加工業者を訪ねて回りました。

処が、どの業者に当たっても添加物を加えていない干物はありませんでした。

驚いたことに干物は保冷では無く、冷凍食品になっており、添加物まみれの商品になっていました。

その中で、ようやく一軒、添加物を加え無くて出荷して頂ける加工所を見つけました。

 

東大の教授は個別に食品添加物の使用基準を定め、この程度では何ら人体に影響を及ぼしませんと言うレベルまでを分析し、許可を下ろしているのですから、問題はありませんと言っています。ただ、その末尾にこのように補記しています。もし、日本にこのような食品添加物が無かったなら日本の流通は成り立ちませんと書いております。本音が出てしまったと言う処でしょうか。

この東大の教授も国の委託から逃れられず、危ないと思っていても添加物の使用基準を表わすしか無かったのでしょう。

                 高菜漬け

天日で干した高菜を塩で揉み、樽に漬け込みます。漬け込んだ高菜を絞り、

再度漬け直します。これを繰り返しようやく高菜漬けが完成。

 

私はその商品添加物の安全な使用基準に対して常々疑問に思っていました。

もし、毎日、数種の食品加工品を食べ続けたとしたら、それは人体には影響は無いのだろうか?と・・・皆様はこれをどのように理解しておられますか?

日本は癌などの現代病が世界で最も多い国の一つです。農産物も含めて加工食品に使われ続けている化学物質の量や種類の多さは世界一なのです。複合汚染に晒されているのは日本の消費者達です。

私たちは国のモルモットではありません。

次項では日本の農産物の化学物質複合汚染の実態を考えて見ます。

美味しい野菜(旬菜)が無くなる

2023.10.28(土)晴れ、最高温度23度、最低温度16度

野菜を食べて歯切れが悪く味や香りを感じなくなったことに気がついた方はおられないでしょうか?

その主な理由は過度な肥料栽培と温室栽培が多くなったからです。有機・無機を問わず肥料栽培やハウス栽培全盛の時代のアンチテーゼとしてうまれてきたのが露地・自然栽培と言う農法なのです。

 

(完熟野菜とは)

現代の農業は成長が早く均一な野菜を多量に得ることに主眼があり、美味しさとか栄養価とか安全だとかの野菜の品質を重要視していない側面があり、窒素過多となりやすい肥料栽培に偏っています。

慣行栽培では通常作物を植えた直後に化学肥料を2~3回施肥し、野菜の生育状況を

見ながら追肥を施しています。有機栽培では鶏糞・豚糞・牛糞の他に米糠・油粕・魚腸・骨粉・海藻・食品残渣などの高窒素肥料を使っています。即効性及び窒素分が多いと言う意味では化学肥料と大差ないのです。

野菜は窒素分があればあるだけ吸収しようとする性質を持っており、いずれも窒素過多の土壌となり成長し続け完熟しません。化学肥料であれ有機肥料であれ土中の窒素分の調整は難しいのです。

 

野菜は土中の窒素分の供給が無くなると成長が止まり、内部に蓄えられた炭水化物やデンプンを分解し、糖分やビタミンに変換し、自らが生き残るためのエネルギーとします。これが完熟野菜の原理です。

完熟野菜となるポイントは成長を終えたあるいは終えつつある野菜の状態にすることです。

生物学の本を読んでいて気になったのは如何にして土中からの窒素供給を止めるかと言うことでした。

そのヒントは窒素肥料の無い時代に日本人が行ってきた土作りにあり、自然界に沢山ある草・柴・葉などの有機物であり、低窒素である草木堆肥を使った土作りのむかしながらの自然循環農法でした。

それでは土壌と野菜完熟へのメカニズムについて御説明致します。

    草・放牧牛糞・剪定枝屑を三層に重ね、混ぜ込んでいる処

 

(草木堆肥により育てられた土壌と野菜完熟へのメカニズム)

(施肥後一ヶ月)

当農園では完熟する一歩手前の未完熟堆肥を使っています。その未完熟堆肥には分解されていない草・葉・木屑が多く残され、その餌に取り付いている菌類や微生物が草木堆肥に含まれている窒素分を吸収して増殖を繰り返します。そのため、草木堆肥は施肥後の一ヶ月間は窒素の供給が極端に少なくなります。

窒素危蛾

多くの学説は20年前では未完熟堆肥の施肥は窒素危蛾を招くため使ってはならないと言っておりましたが、現在はおよそ半分くらいの農学者が完熟堆肥は土を育てるには意味が無いと変わってきております。

完熟した堆肥は肥料にしかならないからです。実践は知識に勝ります。

草木堆肥を施肥後、直ちに野菜の種を蒔き、当初の約一ヶ月間、野菜は目に見えるほどは育っていないように見えます。実はこの間、野菜は芽を吹き、根は土中の少ない窒素分を求めて一生懸命に鬚根を張り、野菜の基部も太くなり、成長の土台作りをしているのです。窒素分の多い土壌では鬚根の発育は必要が無いのですね。

 

(施肥後二ヶ月)

草木堆肥は施肥後の二ヶ月くらいが窒素供給のピークに達します。増殖が一段落し、草木から窒素の供給が始まり、同時に一部の菌類や微生物は死に、内に蓄えた窒素分などを土中に放出するからです。

野菜は根を張りめぐらせ土台をこしらえた段階で一気に成長を始めます。実や葉肉は厚く、茎は筋を張らず太く育ちます。他方で急成長した野菜は倒れないように筋を張り実や葉肉は薄いのです。

 

(施肥後三ヶ月)

野菜を植えてから二ヶ月後、土中からの窒素供給は減少していくと、成長酵素であるミトコンドリアも減少し野菜の成長が止まり始めます。野菜は次第に完熟過程に入っていきます。

野菜は成長が止まると、生き残るために内部に蓄えられて炭水化物やデンプンを分解し、糖分やビタミン類に変換して生きるエネルギーに換えます。これが完熟の仕組みなのです。

種には胚芽に親から引き継いだ栄養素を内包しており、発芽するための養分が蓄えられています。

その養分を出し切らないと歪な成長をします。そのため、種が発芽する際には土中に栄養分が無い方が良いのです。むかしは稲などを育てる際に栄養分の少ない赤土を使っていました。

 

 

私は有機肥料を排して草木堆肥を使った土作りの農法に切り替えた際、菌類・微生物と野菜の完熟作用とのメカニズムに驚かされました。これは約10年やり続けてきた実践の中で見つけたことです。

如何でしたか?少し難しいとは思いますが、成長し続けている野菜を食べても栄養価は少なく、完熟した野菜の方が美味しく栄養価が高いのを納得していただけましたでしょうか。

作物を植える度に草木堆肥を供給し続けますと、有機物残渣が残り微生物・菌類の餌が少量ですが常に残っている土壌となり、土は肥えていくのです。

このようにして自然栽培では年々野菜が美味しくなり20年も経過しますと、収量は慣行栽培よりはるかにに多くなるのですね。先人達の偉大さに気づかされ、数百年以上行ってきた農業の中に真実があったのです。

次項では、草木堆肥とミネラル分について述べたいと思います。

 

露地栽培野菜衰退

2023.10.18(金)曇り一時雨、最高温度22度、最低温度16度

            季節外れの秋のズッキーニ

今年の秋の高温化を見越して初夏の定番野菜であるズッキーニを植えてみました。

このまま地球温暖化が進むと日本の四季の野菜の構図が変わっていくかもしれません。

 

 

美味しい野菜(旬菜)が無くなるー露地栽培野菜の衰退― PART1.

最近、野菜を食べて味や香りを感じなくなったことに気がついた方はおられない

でしょうか?

キャベツなのか白菜なのか分からない?

葉野菜や葱を食べても紙を食べているような食感の悪さを感じる。

ピーマンが苦く元々苦いものだと思っている。

胡瓜やトマトを食べても鼻に抜けるような香りが無い。

野菜は健康のためと思って半ば義務的に食べている。

そんなことを感じている方も多いのでは無いでしょうか

 

その主な理由は量産を目指した過度な肥料栽培と温室栽培が多くなったからです。

実は有機・無機を問わず肥料栽培やハウス栽培全盛の時代のアンチテーゼとしてうまれてきたのが肥料を使わない自然栽培と言う農法なのです。それは当然に露地栽培と言うことになります。

              晩秋の5・6番の畑

冬の訪れが間近に迫り、ビニールトンネルもちらほらと見えます。もうすぐこの畑

一面は白い世界に変わっていきます。晩秋の張り詰めたような景色が私は一番好き

です。お花畑のように見えているのはレタス系の野菜達です。

 

有機無機を問わず肥料を多投された野菜・ハウス栽培野菜は窒素過多となり、成長が

早く完熟しないまま出荷されるためデンプン質の多い野菜となり、糖分・ビタミンが

少なく、栄養価が乏しい。

急成長すると野菜は倒れないように筋を張り、歯切れの悪い野菜となります。

子供さんが野菜を嫌う一つの大きな要因となっています。いつまでも口に残り飲み

込むタイミングが分からないのです。特に、ハウス栽培は野菜本来の季節に育てら

れていない物も多く、野菜本来の味香りなどの美味しさが乏しくなります。

露地野菜は手が掛かり自然のリスクに晒され、成長が遅く美味しいにも拘わらず、

見てくれの悪さからか、流通や消費者から敬遠されるために価格も低く評価されず、

露地栽培農家は減少の一途を辿っています。

このようにしてスーパーに並ぶ野菜は季節感が無くなり本来の季節野菜の美味しさ

を失いつつあります。

そんな現状を美味しい野菜を届けたいと願う農園主は淋しく感じております。

 

(美味しい野菜とは何)

消費者が美味しいと感じる野菜を考えて見ましょう。

これをマーケティングではセグメント(要因細分化)と称します。

○野菜の個性である味香りが豊かであること→ 味香りは舌先と鼻で感じます。

○歯切れなどの食感が良いこと→ 肉厚で噛みきれない硬い繊維が無いこと。

○エグミや苦みでは無く旨味があること→ グルタミンなどの旨味の他にミネラル分

 が豊富なこと。

○糖分やビタミン類が豊富であること→ 野菜が完熟していること。

 

肥料栽培やハウス(促成)栽培では野菜の内部がどうなっているかを考えて見ます。

・肥料栽培の野菜は土中に窒素分があれば常に成長し続けると言った性質を持って

 います。

・肥料栽培ではこの窒素分の調整が難しいのです。成長過程の野菜は内部にデンプン

 質を貯め込みます。デンプンは苦いのです。

・急成長した野菜は倒れないように葉肉は薄く茎は筋が多く出てきます。

・成長し続ける野菜は野菜の個性である味香りが出難く、かつ土中にミネラル分が

 乏しいと味香りが薄くなります。

                   ビーツ

20年間ビーツを育てています。当初はお客様から食べ方が分からないと言われ随分

と苦労しました。ビーツは野菜の血液と言って血管をきれいにします。茎はきんぴら

風に炒めると甘くて美味しい。荒く摺り下ろしてポテトサラダにします。ボルシチ

定番ですね。

 

それでは、野菜を美味しくするためにはどうすれば良いのでしょうか?

成長過程では土中に窒素分が緩やかに供給され、完熟期に入ったら土中の窒素分を

切ることが必要となります。なおかつ細胞が正常に育つには土中にバランスの良い

ミネラル分があることが重要となります。(ミネラル分は正常細胞形成には不可欠

ですので野菜本来の味香りが生まれます)

結論から言いますと、高窒素栽培では野菜はいつまでも生長し続けて完熟はしない

のです。

美味しい野菜は必ず、低窒素栽培で育った野菜なのです。

草木堆肥及び露地栽培のメカニズムはその条件に合っております。

(次の項で詳述いたします)

 

このように見てきますと美味しい野菜(完熟野菜)は糖分やビタミン類が豊富でバラ

ンスの良いミネラル分が含まれていると言う事になりますから栄養価も高いのです。

 

※岩塩・海塩は何故旨味がある

 旨味の正体は海水に含まれている豊富なミネラル分です。化学合成された精製塩は

 苦いのです。

※追熟作用

 サツマイモや南瓜を収穫してから何週間も置いておくと蓄えられたデンプンを分解

 して甘みに変えて行きます。野菜は生き残ろうとしてデンプンを分解して糖分・

 ビタミンに変換する作用のことを追熟と言います。(デンプンではエネルギーには

 できない)

次項は「完熟野菜とは?」をご紹介致します。

3.健全な農産物とは? PART1

3,健全な農産物とは? PART1.

―農薬より怖い除草剤・抗生物質・化学物質・硝酸態窒素による土壌複合汚染―

有機農産物は安全?有機無農薬野菜?と言われておりますが、その現実ついて

どこまで消費者は知っているのでしょうか?

消費者は農産物の安全性について農薬のことしか言いませんが、農産物の安全性を阻害している以下のような四つの課題があるのです。

(除草剤の恒常的使用)

気候温暖化・異常気象によって雑草の勢いが増しており、除草作業に大きな労力と手間が掛かるようになりました。農業の担い手は圧倒的に少なく、除草作業に人手を掛けられなくなっています。そのため、穀類・野菜・果物生産の農地に除草剤を散布することが常態化しております。

皆様が食べておられる農産物の98%以上が除草剤を恒常的に使用した農地から産出されております。その現実をご存じですか?特に主食となる穀類生産ではより深刻です。

 

 とある農業者からむかし野菜の邑のグループに入りたいと相談がありました。肥料を使わない、草木堆肥を作り続ける、除草剤を決して使わないなどの条件を示しましたが、最後の除草剤に関してはそれでは農業ができないとグループ加入を断念されました。これが農業現場の実態なのです。

               除草中の葱の畝

除草剤を使わない自然栽培は草との闘いです。ここはつい一ヶ月前に除草したばかりでした。これで3回目の除作業です。

それでももうこの状態です。除草した草も有機物ですので、緑肥にしたり、堆肥の原料としますが、それでも自然栽培は手間が掛かり人手が要ります。

人海戦術で除草するグループ営農が必要になります。

 

穀類生産の現場では更に深刻ですいくら人海戦術だと言っても何しろ広大な面積の畑ですから除草剤無しでは難しいのです。むかし野菜の邑では、管理機を入れ、土を飛ばし被覆はしていますが、それでも一ヶ月もすると草が生い茂り今度は草刈り機を入れて畝間の除草をします。

大豆の収穫期にもなると大豆は草の中に埋まっており、大豆を見つけるのも困難な状態です。当然に自然栽培では除草剤を使った慣行栽培と比較して、収量は1/5もあれば良い方です。

ここ数年では全滅したことが2回もありました。これはお米・麦などでも言えます。

これでは、通常の農家に除草剤を使わずに穀類を育ててくれと要求することは無理ですね。それだけに自然栽培の穀類は希少であり、貴重なのです。

              黄金色に染まった麦畑

除草剤・化学肥料・畜糞・農薬を使わず育てた麦類。当初の3年間、収量はほぼゼロでした。

草木堆肥を使って土を育て4年目にしてようやく収穫ができました。

小さな子供さんが麦アレルギーでパンが食べられないと聞いて始めた麦作りでした。

農業試験場の所長からは低窒素・除草剤を使わない農法では無理ですと断言されまし

たが、それでもアレルギーの要因は除草剤と高窒素栽培であると仮定して意地で麦作りを続けました。

保育園のアレルギーを持つ子供さん7名に親御さんのご協力を頂き食べてもらいました。一人も発症しませんでした。苦労が報われた瞬間でした。

 

恒常的に使われ続ける除草剤の成分は農産物の中に残され、草を枯らしますが徐々に人間も枯らしていきます。特にアメリカのモンサルト社の枯れ葉剤は特に危険です。ごく普通に皆様の回りでも売られておりますよ。

皆様はご存じでしょうか?遺伝子組み換え作物は今では当たり前のように日本に入っております。

多くはお菓子など加工品に紛れて皆様の口にすでに入っています。

日本の食品表示法の改訂(改悪)により、表示義務が無くなったからです。メディアも政府もこのことを伝えようとはしていません。

遺伝子組み換え作物の本当の危険を皆様は知っておられますか?

「除草剤を穀類が吸い込んでも死なない遺伝子を組み込んだ作物」がそれです。

それを恒常的に繰り返しています。皆様で考えて見てください。

ちなみに肥育牛・鶏糞・豚糞の飼料の99%はアメリカ産の遺伝子組み換え作物を原料としています。

むかし野菜の四季ーPART2ー体感型生産観光農園始動開始

2023.9.24(日)晴れ、最高温度29度、最低温度23度

               秋の種蒔き(大根)

 

二回目の大根の種を蒔きました。

第一陣は暑さのために2/3が溶けてしまいました。

今日明日は秋の風情が漂う気候でしたが、火曜日からはあのうだるような暑さが

戻ってくるようです。

本来ならばこの時季は秋野菜の定植・種蒔きの適期ですが、その多くは育ちません。

それでも繰り返し蒔き続けるしかないのです。

 

                セロリの定植

 

セロリの他に、芽キャベツを定植しました。明日からは白菜・そしてキャベツと

定植を試みます。上手くいけば良いですね。

これからは益々日本の四季が壊れていくようです。

 

美味しい野菜(旬菜)が無くなるー露地栽培野菜の衰退

最近、野菜を食べて味や香りを感じなくなったことに気がついた方はおられないで

しょうか?キャベツなのか白菜なのか分からない?葉野菜を食べても紙を食べて

いるような歯切れの悪さを感じる。

ピーマンが苦く元々苦いものだと思っている。胡瓜を食べても鼻に抜けるような

香りが無い。

いえ!それすら感じなくなっている等々の感覚を覚えたことは無いでしょうか?

その主な理由は過度な肥料栽培と温室栽培が多くなったからです。

実は、有機・無機を問わず肥料栽培やハウス栽培全盛の時代のアンチテーゼとして

うまれてきたのが自然栽培と言う農法なのです。

それは当然に露地栽培と言うことになります。

 

有機無機を問わず肥料を多投された野菜・ハウス栽培野菜は自然の厳しさに晒され

難いために、成長が早く、完熟しないまま出荷されるためデンプン質の多い野菜

となり、糖分・ビタミンが少なく、栄養価が乏しい。

急成長すると野菜は倒れないように筋を張り、歯切れの悪い野菜となります。

子供さんが野菜を嫌う一つの大きな要因となっています。いつまでも口に残り飲み

込むタイミングが分からないのです。特に、ハウス栽培は野菜本来の季節に育てら

れていない物も多く、野菜本来の味香りなどの美味しさが乏しくなります。

露地野菜は手が掛かり自然のリスクに晒され、成長が遅く美味しいにも拘わらず、

見てくれの悪さからか、流通や消費者から敬遠されるために価格も低く、安定せず、

露地栽培農家は減少の一途を辿っています。

このようにしてスーパーに並ぶ野菜は季節感が無くなり本来の季節野菜の美味しさを

失いつつあります。

 

                  秋南瓜

今年は10月頃まで夏が続きそうです。

そのため、例年以上に秋南瓜の定植量を増やしてみました。

南瓜以外にもインゲン豆・胡瓜・ズッキーニ・スナップエンドウなどにも挑戦

しています。これらはほとんどが初夏野菜達です。

 

                 四角豆

 

アフリカ原産の豆です。これからの異常気象にはこのような季節をずらした

栽培や上昇し続けるコインに対して適合できる野菜の種類に取り組んでいかねば

なりません。

 

 

 

 

むかし野菜の四季ーPART2ー体感型生産観光農園始動開始

2023.8.31(木)雨、最高温度31度、最低温度25度

             早朝の2番の畑の風景

 

今日の早朝、束の間の日が差し、農園主は一仕事を終える。

今にも泣き出しそうな空、この後、結構な雨が降り出す。

今日は農業ディですが、スタッフ達は全員お休みにし、溜まった疲れを癒やさせる

ことにしました。何とか異常な暑い夏を乗り切ったようです。

台風及び南海上熱帯低気圧が活発に動いており、この処、猛暑と豪雨が繰り返し

訪れてくる。これほど暑く、雨の多い夏はあまり経験したことが無い。

雑草の勢いが増し、雑草を取っても取っても伸びてくる。

それでも除草剤は使いません。

葱の土寄せ(除草も兼ねて)も一畝に3回も行う事になった。

 

8月の末、秋あかねが飛び、秋の気配が漂い始め、日中の猛暑、朝夕の涼しさが

同居してきた。こうなると、秋野菜の種蒔きが一斉に始まります。

               6番の畑

除草作業を終え、秋インゲン、白蕪、葉大根、ビーツ、じゃがいもの種を植え込む。

 

近年は真夏は9月まで続きます。夏の疲れが残る体には堪えます。

これからは秋の種蒔きと併行して台風対策の作業が続きます。

直撃を避けて欲しいと願いながら、被害を最小限にするために夏野菜の誘剪定引、

紐掛け作業が続きます。

 

 

黒陽茄子が最盛期を迎えており、旺盛に茂る葉っぱを摘除しております。

風の道、光の道を作ってやります。

 

茄子類は種類も豊富で昔ながら黒陽・筑陽(これは焼き茄子が美味しい)翡翠茄子

や賀茂茄子三色茄子(東南アジア原産でクリーミー)などを育てております。

出荷は10月末頃まで続きます。

 

               秋野菜の種蒔き 

 

白菜・キャベツ・ブロッコリーなどは8月盆明け頃から10月まで順次育苗トレイに

種蒔きを行いますが、暑さのため、寒冷紗(太陽の光を50%カットする)を掛けて

育てております。

熱さでうまく育たなくとも何回もトライしてみます。そのうち何とか育つ苗も出てき

ます。そのため、近年の露地物の秋野菜の出荷は遅れ10月下旬頃になってしまい

ます。

白菜・キャベツ類は11月頃から順次の出荷となり、ブロッコリーは11月頃です。

この盛夏の時季は、葉物野菜ができず実物野菜一辺倒になります。当農園ではその

ため、紫蘇・蔓紫・丘わかめ・丘ひじき・バジルなど暑さに強いものを育てており

ます。

          3年前に開墾した12番の畑の大豆

 

今年は除草作業が上手くいきました。すでに花が咲いており何とか大豆の収穫が

望めそうです。

 

むかし野菜の四季ーPART2ー体感型生産観光農園始動開始

2023.8.6(日)曇り、最高温度31度、最低温度26度、台風接近中

           由布市庄内にて草木堆肥を振る

牧歌的な庄内地区の里山の風景です。

ここに4反(1,200坪)の圃場があり、グループ内の田北さんが管理している。

むかし野菜の邑のスタッフと併せて総勢7人にて大豆の種を蒔くために、

先ずは堆肥を振っている処。暑い盛りであり、早朝の作業風景です。

大豆の他に、麦類・お米などの穀類を育てている。

 

自然栽培の課題は低窒素栽培(成長が遅い)と雑草対策です。

特に大豆は夏草が茂り、芽を吹いたばかりの大豆を圧迫してきます。

管理機による土寄せと草刈り作業を行いますが、それでも収穫前には草に覆われ、

成長した大豆を探すのに苦労するほどです。

            草木堆肥歴20年の畑

 

「持続可能な農業」

先日、東京にて草木堆肥を使った自然栽培の講演を行いました。前東京大学客員教授

から招かれた経営者や研究者を中心とした50名前後の方が参加していました。

参考までに貴方の意見を述べてくれと、討論会への参加要請でしたが、サステナブル

(持続可能)な社会を目指し、都市型有機ゴミを使ったコンポスト作りが一つのテーマ

であったため、急遽講演会に切り替えたようです。

当農園が作っている草木堆肥を使った土作りは化学物質を嫌っており、化学物質に

まみれた都市型有機ゴミを使ったコンポストは畑に投入する気にはなりませんので、

かなり違和感を抱きながらも皆様へ草木を使った自然栽培のお話しをしました。

 

※現在の食はかなり危険な状態にある中で、都市から出る有機ゴミは食品添加物

合成した化学物質などが紛れており、化学物質を畑に持ち込むことを嫌う自然栽培

農家にとって堆肥としては不適格です。

 

講演会は結果として成功でしたが、化学物質を避けて草木堆肥を使った土作りの説明

をしながらもその意義も理解されずにやたらとサステナブルと言う概念だけが踊って

いる大都市生活者の感覚にやや違和感を感じました。

利便性や飽食に慣れた現代人の生活習慣とサステナブル社会とは大きくズレており、

近代設備のテントに寝泊まりしながら「自然って良いね」と言っている感覚に似て

います。

マーケットでは有機無農薬とか、有機野菜だから安心安全な農産物であるとかの言葉

ばかりが先行しており、大多数の消費者は蓄糞に含まれた抗生物質や薬品が如何に

自然の生態系を壊しているかと言うことを深く知ろうとはしない。

概念ばかりが先行している持続可能な農業や社会を目指しましょうと唱えている現代

人の感覚は、自然循環農業の実態とはかけ離れており、環境に負荷を掛けない

健全な農産物を育てる土作りの農業が如何に厳しい生産環境に置かれているかも

知らない。

それが違和感の正体でした。

 

10年以上前から続いている異常気象・温暖化・天候不順・四季の崩壊などにより

、農業現場では雑草の勢いが増し、害虫の異常発生が続いており、日本では除草剤や

農薬の助けを借りねばとても農産物生産はできないと言った状態になっております。

現代農業は生産効率を重視し機械化・省力化を推進する大規模農業(粗放農業)を

目指しており、除草剤・化学肥料・農薬を大量投下します。

現在、メディアではやたらと「コスパ」と言う言葉が流行しております。

「安・近・短」と言う言葉をご存じでしょうか?

生きるために最も重要な「食の世界」で言いますと、手頃で簡単にかつ安く食べら

れる食生活を続けていることは、経済的にもリーズナブルでは無くなり、体を蝕んで

いき、精神的にも不安定となっていきます。私は何も手の込んだ料理をしなさいと

言っているのではなく、安易な食生活をせずに、質素でも素材感のある健全な食材を

選択し手間を惜しまず、自然の恵みに感謝しながら自分のために家族のために料理

し続ければ良いだけのことです。

 

国が求めている大量生産志向とは対極にある自然栽培農家は、極力農薬の使用を抑

え除草剤を使わず、草取りをしながら草を集め、剪定枝を破砕し、自ら草木堆肥を

作るなど、膨大な人の手(労力)が要求されております。そのため当農園ではパー

トさんも含めて10数名でグループ営農を行っております。

日本の消費者の多くは日本の農業危機に対する意識も低く、食糧安全保障への関心

ほとんど無いに等しいように思われます。

健全な農産物を欲している消費者は増えているのに、日本人の概念先行の感覚だけで、農業現場の実態を知ろうとはしない消費者の現状が、日本における健全な農産物生産

者を減らしていく事に繋がっております。食の健全性に対する日本人の意識の低さや

危機感の欠如に危さを感じているのは私だけでしょうか?

 

持続可能な農業を支えていくのは健全な農産物を作ろうとする農業者の努力だけでは

無く、その農産物を欲している消費者の意識の改革が必要となり、生産者と消費者

との価値観の共有と連帯が重要になります。

ある意味では、自然栽培農産物の主役は消費者なのです。

          こちらは枝豆用に植えている大豆