農園通信

22.11.10(水曜日)晴れ時々曇り、最低9度、最高18度
 
イメージ 1
ワイルドルッコラの可憐な花、毎年深秋頃に咲く。欧州では今、流行して
いるようです。通常のルッコラより香りが高い。
 
昨日お電話で申し込みされた佐賀市のE様、明日野菜が届きます。
虫食いの跡にびっくりなさらないで下さい。
夏から秋にかけては虫が異常発生し、こんなものです。みてくれより、美味しさを評価していただけるとよろしいのですが・・・
深秋は、夏野菜が落ち野菜として最高の味になり、葉野菜も今からが美味しくなる季節です。
 
 野菜の成長が遅くなり、土の栄養価をゆっくりと吸収し、筋張らず歯切れの良い  食感と体内に蓄えたデンプン質を糖質やビタミンに変えるため、旨みのある味わ  いになる。草木堆肥(窒素分が少ない)がそれを助けてくれます。
 
今日は久しぶりに少し固い話とはなりますが、野菜の栄養価や美味しさについて話してみたいと思います。
 
日本の農業は120年前までは農家には必ず農耕用の牛がおり、鶏がおり、田んぼの藁を納屋に蓄え、山から萱や落ち葉を広い集め、わずかばかりの畜糞をそれに加え、堆肥を作っていました。→現在では元肥です。
籾殻は燻炭にし、柴や木を焼き、灰を作り、畑や田に当たり前のように入れておりました。→現在では苦土石灰です。
人糞は貴重であり、畑の隅にコエタゴを作り、人糞や藁をいれ、こなれてから畑に入れておりました。(江戸時代はこの人糞を集める生業があったくらいで、良く喧嘩が起こっていたそうです) →現在の表現では追肥です。
 
この時代までは草木堆肥が当たり前でした。灰は土壌改良剤として
 (アルカリ質)実に良質で理にかなったものでした。
 むかしはみんな本物の有機野菜でした。さどや美味しく栄養価に富んだ 野菜をた べていたのですね。
 
近代になって硫安などの化成肥料(窒素主体)が主流になり、急速に元肥の使用がなくなりました。土壌は硬質化し、ミネラル分が減少し、土の中から微生物が駆逐されていきました。大量の農薬散布がそれに拍車をかけて日本の土壌は急速に栄養価の薄い土壌に変化していきました。
かろうじて山間地にある田んぼは山からのミネラル豊富な水を引き入れるために栄養価が残されております。
 
近年になって有機野菜のブームが訪れ、畜糞主体の有機野菜が少しばかり生産されるようになりました。(恐らく全農業生産の1~2%未満とは思いますが)今後は畜産農家から排出される畜糞の処理のために少し増えてくるとは思われます。
但し、これとても健全な土壌とは言えず、むしろ土壌汚染が進む恐れもあります。
 
大量に投入される畜糞は土壌濃度を押し上げ、窒素・燐酸過多の土壌に変質し、
 畜糞の化学肥料化という現象を引き起こしております。
 さらに問題なのは国が推奨する有機JAS認定制度の存在です。
 「有機野菜とは有機物を原料とした肥料と化学合成しない農薬を使用した農産物  とする」と言った極めて大雑把な認証規約があるからです。 
 
ここで「むかし野菜」はどうだったかを思い出してください。小量の畜糞と大量の草木を使った元肥草木灰は何を意味していたかです。
 
大切なことは美味しい野菜とは=栄養価に富んだ野菜のことです。
勿論食べて美味しいのですよ。
「健全な土壌とはミネラル分をバランスよく含み、適度に有機物が入り、
それを食べる(分解)微生物や放線菌が棲み、常に自然淘汰を繰り返す
土壌」のことであり、永く持続可能な再生し続ける土壌のことを指します。
→野山の土に近づける農法こそ真の有機農業と
  言えるのではないでしょうか。
 
追伸、
 美味しい野菜は生命体の自己再生機能を促進させます。
 その意味でも今後の老後の健康を願っている方々から、日本の未来を託 される子供達を育てているご家族に是非食べていただきたいと願って止 みません。
 私のような農法をおやりになっている農業者もわずかですがおられるよう です。それらの農業者の思いも私と同じだと思います。
 
イメージ 2
 
 
秋じゃがの畑です。これから霜が
おりるまでこの青さが残ります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 3
我が家にも子供(孫)が4人おります。来年には5人になります。
この子達が育ちあがった時にはどんな社会になっているのでしょうか?
とても心配です。少しの力でも集まれば、みんなが少しづつ考え続ければ、
そう願って止みません。明日も畑にたっております。