農園日誌Ⅱー「活きること」PART23

2019.6.26(水曜日)曇り後雨、最高温度28度、最低温度20度

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                    フェィジュアの花

 むかし野菜の邑の社屋の壁際に、プロパンガスのボンベが気になり、ぼろ隠しのつもりで植えた常緑樹ですが、思いの他、艶やかな花が毎年咲いてくれ始めた。
これも実を為し、楽しませてくれる。

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由布市挟間町古市の小原君の圃場に大豆を蒔く。今年は、小麦の刈り入れが順調に進み、幸い、遅い梅雨入りのお陰で種蒔きが間に合った。
農園主・後藤君の圃場も併せて、合計6反(1,800坪)の大豆の種蒔きが全て終わった。残すところ、庄内の4反の圃場のみとなった。そこには、梅雨が終わり次第に、種を蒔く予定です。
麦系・大豆ともに(二毛作)、グループ全体で約1町歩(1he)となる。
今年は自然栽培の穀類の加工品に力を入れていくつもり。
大豆からは、「味噌・黄な粉・蒸し大豆」が、麦からは、「麦茶・麦ご飯セット・ブレンド小麦粉」が、できて、粉を使った野菜万頭やパンを作ることになる。
パンは、当農園では流石に無理であり、北九州の市川製パンさんが作ってくれることになっている。
小麦は製麦しましょうかと尋ねると、「ダメです。全粒粉にしてください。味香りが損なわれてしまいます」とのことでした。


「活きること」PART23
2017.10.3  農園の危機に誕生した、新たな開発商品
 
 テレビ放映のため、新規顧客が急増したうえに、夏の酷暑、乾期と続き、ようやく涼しくなってきたかと思うと、秋を飛び越していきなり冬に変ってしまい、深刻な野菜不足に見舞われ始めた。
このままでは、400名のお客様へ出荷し続けることは難しくなる。
それを見越して、以前から考えていた新たな商品開発(加工品)を模索することになった。
やはり生鮮野菜だけでは、一年間を通して多くのお客様を支え続けることは難しい。特に、めまぐるしく変化する昨今の異常気象の中では尚更であった。
秋、夏野菜の終わり頃になると、青紫蘇が終わり、実を結実し始める。この実を醤油及び味噌漬けにすることにした。これは私がまだ小さい頃、母が紫蘇の実を収穫し、唐辛子系の葉っぱと一緒に漬け込んでくれていた。これがあれば、ご飯を何杯も食べれた。プチプチとした食感が堪らなく美味しい。

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紫蘇の実は、取っても取っても増えない。最後は皆飽いてしまい、「もうこれだけで良いか」と諦めてしまい、いつも、少ししか出来ませんが・・・

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大葉の出荷が終わり、花が咲き、実を為す頃、この紫蘇の実をスタッフ全員でこさぎ取る。手間が掛かること夥しい。さらに、湯通しして、灰汁を抜き、唐辛子の葉っぱを加えて、味噌に漬け込む。さらに少量の柚子の皮を加えて完成。
プチプチとした食感が堪らなく美味しい。

さらに、バジルも終わり頃になると、畝上げの時季が近づく。このバジルを摘み取ってバジルペースト作りを始めた。同時にそれならと、紫蘇ペーストも出来るはず。そうなると、食べ方・使い方も同時にレシピ開発しなければならない。試作の日々が続いた。
これが流石に草木堆肥で育てたことはある。奥深い味のペーストが完成した。唯、これもそんなに大量に出来るわけではない。

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右上が紫蘇ペースト、右下がバジルペースト、左上が裸麦の麦茶、左下が麦ご飯セット(古代小麦ブレンド)。バジルペーストの使い方はお分かりでしょうが、紫蘇ペーストは純和風ソースであり、冷や奴などにも、かなり合います。
 
それでもまだまだ商品は足らない。そこでこれも以前から考えてきたことを実行に移そうとした。
野菜屋さんが、あろうことか、海産物を商品にしようと模索した。大分県はむかしから海の幸も豊富であった。
スタッフ達には相談をせず、銀行・県・市役所などに連絡を取り、できるだけナチュラルな海産物加工品を探してもらうことにした。紹介のあった海産物加工所を訪ね回った。
そこで愕然としたことが、干物がすでに干物ではなくなっていた。さらには、干物は現代では、冷凍食品となっていたことであった。むかし天日で干した美味しい干物があったが、今では、そんな手の掛かることはしないとのこと。塩に漬け込んだ魚を冷蔵乾燥にするのが昨今の干物である。さらには、無添加干物は無く、必ず保存料・酸化防止剤・着色料が入っている。
と言うのも、漬物・味噌も含めてすべての加工品が添加物だらけとなっていた。
これは20年前に定められたPL法(製造者責任)の影響が色濃く出ていたことによる。
細かい規定はさることながら、要は、流通に流れる商品(加工食品)は、何かあったら、全て製造者の責任が追及されると言うもの。例えば、流通(販売)段階で保管が悪かったために、商品事故を起こしたとしてもと言う意味です。製造者はその責任を逃れるために、添加物に頼ろうとする。
こうなると、日本の食品添加物が3600種類にも上り、米国が1600種類なのに比べてもその許容範囲が異常に広くて、添加物はとどまるところを知らず増えてくる。
しかも、驚いたことに、原料及び加工段階での添加物はノーカウントだとのこと、商品に仕上げ、出荷する段階のもののみを表示すれば良いと言うことになっている。
 
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消費者の方も最初は面食らったかと思います。但、事前に皆様へ紙面にてインタビューを試み、OKを頂いてからの配送とした。嬉しかったのは、佐藤さんが勧めるものは、間違いが無いので安心して食べれますとの回答が多く寄せられ、身が引き締まる思いでした。
結果は、大好評で、ほっと胸をなで下ろす。

無添加干物を探し回り、かつ、説得した結果、ようやく二社から無添加干物の製造OKの返事を頂く。
次に待っていたのは、「お客様は野菜を待っておられる。何故海産物なのか?」との女性スタッフからの激しい抵抗であった。農園主は、このように彼らを説得した。
「お客様は、そんなに安くも無い送料を掛けて野菜を取って頂いている。その野菜の箱の中に、美味しい海産物が入って、食卓を彩るとしたら、きっと嬉しいと思っていただけるお客様もいるし、リーズナブルに感じて頂けるのではないか。さらに、当農園は、自然に沿った食を提案しており、無添加干物はこの時代、実に貴重である」
私は、食の安全が脅かされているこの時代だからこそ、同じナチュラルな食を模索している製造者とは今後とも手を組んでいかねばならないと考えていた。つまりは、同志として、仲間としてです。
それが消費者の食の健全性を守っていると言うわが農園の理念であり、自負心だと思うからです。
 
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実に丹念なおばあちゃん仕事でした。「2,000個、作り終えたら、指紋が消えていたのよ」とにこにこしながら、話して下さった。
この後、野菜・加工品・海産物、そして山の幸がむかし野菜の商品を彩ることになる。

次に、長年、県会議員などを通じて探していた山の幸=山菜などを採ってくれる人を探していたところ、
朗報が入る。それが、山里の平野さんと言う老夫婦でした。早速、訪ねて行った。
軒下に干し柿が2,000個以上吊り下げられていた。彼らにこう言った。
私が都会地に住んでおられる消費者の方々に食べさせたい干し柿は、からからに干した柿ではなく、外側が乾燥し、中がまだ柔らかい干し柿です。私が子供の頃、母が干し柿を作ってくれていました。
まだかな、まだかな!と待っているうちに、からからになる前に、ほとんどすべての干し柿を食べてしまっていました。そのほうが美味しかったからです。
さらにこう伝えた、平野さんは山菜取りの名人だと伺っております。例えば、こごみ・タラの芽・干し筍
・銀杏などです。最初は遠慮していたのか、あまり積極的ではなかったこの老夫婦も、次第に山菜などの出荷が増えていった。
 
こうして、この年は、天候不順からくる農産物商品の不足にも何とか持ちこたえて、休園を皆様にお伝えせずに済んだ。何とか凌ぎ切ったのでした。

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        曼珠沙華がたわわに実り始めた田園風景に溶け込む