農園日誌Ⅱー「活きること」PART22

2019.6.19(水曜日)晴れ、最高温度27度、最低温度18度

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                       料理体験会

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健全な食を考える農園セミナーの後、素材を活かした手軽な料理体験会を行う。
バインダーにはレシピを挟んでいる。子供さん連れもおられ、サラダセットを手で
千切っている。
後でお聞きすると、皆さん異口同音に楽しかった!と、それが一番ですよね。

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 発送作業を終えて、残り時間で、剪定枝の破砕作業と溜まった大枝などを燃やしているところ。燃やした灰は草木灰として、堆肥と一緒に畑に振る。
闘いくれて日が暮れて・・・ようやく長い一日の作業を終える。午後7時。

「活きること」PART21
2017.8.5 KBC九州朝日放送主催「水と森の祭典」への参加
 
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事前にテレビクルーとコメンテーターが農園に訪れ、早速に取材が始まった。お馴染みに「あさです!」の番組スタッフ達。採れた麦のクッキー・スコーンと麦茶(裸麦を自家焙煎)・おしゃれにフレッシュハーブティを添えて・・

3年ほど前に、KBC放送のテレビ局が取材にきたことがあった。何故そうなったかはどうしても思い出せないが、その際の縁であろうか、博多駅前での夏のイベントに参加して頂けないかとのお誘いがあった。専用のテントとブースを用意してくれているそうだ。
そこまでして頂けるのであれば、そのイベントを盛り上げる努力は致しますと答えた。
断る理由もなく、と言うより、私は様々な人の縁で支えられてきたとの思いがあり、人との良き出会いは大切にしてきた。これは私を育ててくれた母親の影響を強く受けているのかもしれない。
私がまだ幼い頃、周りにはいつもよく知らない大人の人達がいた。父が職業安定所に勤務しており、失対(失業対策事業)の人達や荒くれの男の人達が我が家に出入りしていた。
飯が食えない人も多く、母が卵どんぶりを作ってやっていた。入れ墨をした荒くれの男達が、母の説教を聞き、涙を流しながらどんぶりをほおばっていた。母は理より、情義の人であり、他人との信義を交わす姿が、極く普通にあったように覚えている。
 
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番組スタッフ達のために、焼いたパンと野菜スープなどの農園ランチが振る舞われた。


先ずは、7月の初めから、イベントに出品する農産物商品やら農園の日常や風景などの取材や撮影が始まった。熊本の災害復興も兼ねており、そこのパン屋さんもコラボするとのことで、まだあまり自信のなかった麦類ではあったが、パンの素材とすることにした。
お米は、普段食べ慣れているせいか、その味香りの違いはすぐに分かるが、パンにはそれが無い。
今まで、小麦の粉の味や香りなどは気にもしなかったが、この熊本のパン屋さんの焼いたパンには明らかに麦の香りがした。
パンの親である酵母を培養するために当農園の小麦粉を餌にして、パン種を作ったそうだ。
従来の小麦粉と比べて力強い味がするとおっしゃる。
確かに、小麦の味香りがそのパンから漂ってくる。これなら、草木堆肥を入れ続けて5年ほど経過すれば、土もできてくるはずであり、味香り豊かなパンができるのではないかと期待し始めている。
 
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当日は、2,000人を越えるお客様達がこのイベントに集まり、唯でも暑いのに、一日中ごった返しの忙しさであった。
農園主はと言うと、何もすることが無く、荷物の運搬やクール車の番をしていた。唯、時折、呼び出され、カメラの前でしゃべらせられた。


イベントの開催は何故か、暑い盛りの真夏の博多駅前広場である。
当日は朝から30度ほどの暑さであった。クール車をチャーターして、駐車場でもエンジンを掛けたまま、野菜や加工品をイベント会場まで補充し続けねばならないといった劣悪な環境で行われた。
出品商品は、夏野菜・無添加発酵食品である漬物・麦茶・麦御飯セットなどである。
スタッフにKBCTVのレポーター・ディレクターなどが協力して販売を行う。おかげで完売となった。
翌日KBCの職員が倒れてしまったほどの炎天下でのイベントとなった。
 
一夜明けて、ようやく日常に戻り、ほっとしていると、今度は、携帯電話は鳴りっぱなし、家の電話やFAXは回線麻痺状態、パソコンは、一秒単位で問い合わせのメールの山。アクセス件数5,000件以上。ついに、携帯や家の電話は切らざるを得なくなった。
KBCテレビの「アサデス」の放映に翻弄される日々がその後、約一ヶ月続いた。
毎晩夜3時まで、パソコンの前でお問い合わせへの回答(返信)メールに向かうこととなった。
「お試しセット」の受付条件のハードルを上げざるを得なくなり、
2,500名の方に絞り、最終的には500件のお試しセット発送になった。改めて「アサデス」の威力に驚いていた。
 

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野菜の発送作業の風景。早朝から収穫作業、そして野菜の整理、箱詰め作業
、スタッフ全員でかかっても、当日発送締め切りの6時には到底終わらない。運送会社に頭を下げて何とか間に合わせて頂く日々が続いた。
相当に売上が上がったのでは?とのお話もあるが、唯、忙しいだけで、終わってしまいました。何故なら、自然栽培は、当時の現有スタッフと畑の面積では、生産量に限りがあったからです。
それでも折角のお申し込みですから、また出会いですから、一所懸命やらせて頂きました。
闘い暮れて日が暮れてでした。


スタッフ全員の前で、このように切り出した。
「みんなご苦労様でした。一気にたくさんのお客様の問い合わせがあり、喜ばしいことです。但し、これは一つの危機です。一応、お試しセットの受付条件のハードルを上げ、500余名の方にお野菜を送ろうと思います。しかし、有頂天になって、高飛車な対応をしてはいけない。自然循環農法による野菜は生産量に限りがあります。新たな方々に野菜を送るのは良いのですが、むかし野菜を慈しんで頂いている既存の仲間達(定期購入のお客様)に迷惑は掛けられません。
一人のお客様に送る野菜の量は一時的に少なくなりますが、お詫びするつもりです。
6ヶ月もすると、おそらくは、半分に減り、1年も経過すると1/4になると思います。それでも、お問い合わせ頂いたお客様に不愉快な思いをさせてはいけません。良い口コミは一人の顧客から0.5人程度しか広まりませんが、悪い口コミは千里を走ります。それを恐れるのです」
 
それからが実はさらに大変でした。野菜はすぐに底をつき、高回転で野菜を育てねばならない。発送時刻は遅れ、収穫発送作業に追われ、スタッフ全員忙しい日々が続いた。
結果として、一人当たりの農産物の量は減り、忙しいだけで、売上総額が増えたわけではない。何故なら、生産量には限りがあるからです。結局は、既存のお客様には迷惑をかけることになった。
さらに、読み通り、半年でお客様は既存客も含めて半減、一年後には、元の人数に戻ってしまった。
それでも、新たなお客様もでき、新たな出会いの場とはなった。
KBCTVのスタッフの皆様には、感謝です。

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