農園日誌ー

30.7.19(木曜日)晴れ、最高温度37度、最低温度26度

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                   大豆の種蒔き風景

 ここ由布市狭間町下市に旧田んぼが二枚、3反半。大豆の圃場とする。
由布市庄内に4反の大豆の圃場、草木堆肥を振り、豆を蒔く。
完了までには、来週いっぱいはかかる予定。日中は朝から35度にまで気温が上がり背中を燃やすような炎天下での作業が続き、中々に捗らない。

研修生Sさんも含め、総勢7名による人海戦術の大豆の種蒔き。
一農家だけでは、心が折れてしまいそうな過酷な条件下での作業が続いている。
この大豆は、ほとんどが自然農による純発酵味噌の原料となる。

白大豆の種蒔きが終わると、直ちに黒大豆の種を蒔き、夏までの作業はほとんど終わる。後は、延々と夏野菜の剪定誘引作業が中秋まで続く。
この酷暑の中で、スタッフはすでに体力の限界を超しており、気力だけで頑張っている。
最早、異常気象とは言えず、今後はこのような豪雨の後の酷暑の気候が続くことになりそう。九州はすでに亜熱帯気候になりつつあるのではないだろうか。

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土寄せ(中耕)作業を終えて、ようやく夏野菜の畑作業が完成した5・6番の圃場。
後は、竹の本支柱を立てれば完成となる。

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一本葱の圃場。
第一段階の除草兼
土寄せ作業を終えた。

一本葱及び九条葱は
地温40度を超す酷暑の中で、秋まで生き残っていかねばならない。
この20%以上は、虫害と併せて消えていく



葱とは言っても、やはり葉野菜です。夏に備えての土寄せ作業は、厳しい暑さから
身を守ってやるために、白根の部位も含めておよそ20センチ以上、土の中に埋めてやる。特に昨今の厳しい暑さは堪えるだろう。
そうすると、光合成をするために葉の部位を伸ばしていくことによって肥大成長していく。

 (生きる・・・其の一)

大分市の農政課から紹介を受けて、佐賀関にお住まいの主婦Sさんが7月より当農園で研修(有料)を受けることになった。
彼女は3人の子持ちの母親であり、将来的には家族を含めて農業で生きていきたいとの希望がある。
「栄養価に満ちた美味しく健全な野菜作りを目指している」とのこと。
今までは家庭菜園レベルの農業をしていたそうだ。

市の担当者からは、随分と脅されたようだ。
「生半可な気持ちではあそこでは勤まらないですよ。佐藤さんは怖いですよ」と・・・
止めた方が良いと言わんばかりの言葉であったそうだ。

彼女は、とにかく体を動かすことの方が好きな方で、懸命に覚えようとしている。
一緒に作業をする中で、様々な会話をしている。
例えばこうだ。

「自然農では、雑草と共に野菜を育てると虫害が少ない」と聞きましたが・・
おそらくは、農薬を使わなくて良いと、書いてあったのだろう。

「貴方は家庭菜園をしていたそうですが、雑草と野菜を一緒に植えたら、どちらが残りますか?」と聞く。
「雑草です」と答える。
「農家は野菜及び農産物を生産して生計を建てますよね。自然農でそれができると思いますか?」と聞く。
家庭菜園と言えども、少しは農業も体験していたため、自然農の難しさをイメージしたのか、商業的生産農家では自然農が無理だと分かったようだ。

そこで、農園主はこのように考えていると話を続けた。

「自然農とは、化学肥料(農薬も含む)などの化学物質を排して、また、畜糞主体の有機農業の弊害(窒素過多による硝酸態窒素の増加)を見て、自然に近づける生産方法を提唱したのが始まりです。但し、生産農家としてではなく、あくまでも自給自足の生活の提案から始まったものです」
「嘘とは言いませんが、そのような概念論に振り回されず、ここで、しっかりと、生産農家の現実を見て、体験を積み重ねる中で、ご自分の考え方を確立してください」
「自然循環農法は世界的に見てもここにしか見られません。しかも、家庭菜園レベルではなく、自然循環農業で生きていくことの難しさを学んでください」
「私たちは、全国でこのような野菜を作りたくても作れない方々のために、その方々の代わりに生産しているのです。もし、むかし野菜グループがなければ、彼らたちはこのような美味しい野菜は手に入りません」
「その意味で、うちのお客様のことを仲間と呼んでいるのです」
「ここでは、農業は生きることそのものなのですよ」と・・・

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地表に転がっているのは腐って若しくは、虫害によって出荷できないトマトです。
これも自然循環農業(露地栽培トマト)の現実です。
落ちているトマトは土と化し、土壌を肥やしてくれます。それも自然循環なのです。