農園日誌ー生きる

30.7.25(水曜日)晴れ、最高温度38度、最低温度27度

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                生きることに必死の金時生姜

 ブログをたぐっていくと、すでに25日雨が降っていない。
畑の表面温度は50度近くに跳ね上げっている。
この金時生姜に限らず、全ての夏野菜が生きることに集中しており、成長は止まっている。日中は、葉っぱを縮こまらせて、水分の発散を防ぐために表面積を小さくしている。

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夕方、スタッフ達が中々帰ってこないので
見に行くと、三人で水遣りを行っていた。

実は一杯成っているが、大きくなりきらない。このまま行くと、生き残るために、花落ち、実落ちし、野菜は、子孫を残すことよりも生き残っていくことを選択する。
野菜達もこの酷暑の中、必死なのです。


ピーマン系の収穫している竹内は、こちらも、もう我慢できないそうだ。
若いスタッフ達も、今までは、物足りなさを感じていたが、一歩一歩農業者に近づいているのだろう。
野菜を育てることは、物を、商品を作っているのでは無く、生き物を育てているのであり、その生き物の気持ちになる愛情と品質が全てなのです。
美味しく育ってくれよと祈りながら、出来得ることを全てし尽くす。
その気持ちを消費者に届けているのです。
それが分かって頂けない、あるいは、野菜を只の商品だと思っておられるお客様は、やはり、むかし野菜を長く取り続けていくことが、難しいのかもしれません。
それでむかし野菜は良いのだと割り切っている。

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黒ピーマン

ピーマンと言うより、どちらかというと、パプリカに近い。最初は青くなり、やがて、赤みを帯びてくる。そして完熟すると、黒色に変化していく。
肉厚で、ジューシー、甘みや味が濃い。
ピーマンほど多産では無く、実が付くときは、一斉に付く。


(生きるー其の二)

研修中の佐賀関から通っておられる主婦のSさんから、こんな素朴な質問があった。
有機JASやむかし野菜さんは、害虫が異常発生したときはどうしているのですか」
実に良い質問ですね。

「消費者の皆様は、有機野菜や自然農野菜は、みな、有機無農薬栽培だと言っておられます。貴方が家庭菜園で実際に野菜を育ててみて、どうでしたか?」と聞く。
「すぐに虫が付き、野菜が消えていきました。だから、有機野菜栽培農家の方は一体どのようにしておられるのだろうと、いつも疑問に感じていました」

ここ九州は、いえ、本州も含めて、今の気候は、亜熱帯に近づいております。
そのため、今までは聞いたこともなかった「ダニやカメムシが大量発生しております」
との異例の注意報が出るようになりました。
生態系も含めてこの気候の激変は、野菜作りにも大きな脅威や変化をもたらしております。
前回、申し上げた自然農の世界(自給自足)では、できてもできなくとも、採れただけ頂く、と言うのがその根本的な考え方です。

でもそれでは、農家はどうして生きていったら良いのでしょうね。
むかし野菜を取り続けておられるお客様は、二週間に一回、あるいは、毎週、野菜が届きます。皆様、冷蔵庫が空になり、日常的に待っておられるのです。
多くの仲間達は、このように言われております。
「もうこの野菜しか食べる気になりません」と・・
それでは、害虫にやられ、全滅しましたので、野菜はありません、と言うわけにはいかないでは無いですか。

実は、そういうことが過去に何度かあったのです。

白菜の種を蒔きました。育苗トレイの中で、全て害虫に食べ尽くされてしまい、何回も蒔き直しても、結果は一緒でした。
かろうじて、生き残った白菜の苗を、ようやく定植しました。ところが、一週間も持ちません。全て消えて無くなってしまいました。悲しいですね。

「佐藤さんところは、白菜は無いのですか?」とのご批判が寄せられました。

また、あるとき、キャベツがようやく巻き始めました。ところが、畑は蝶々で埋め尽くされました。一見、長閑な風景ですが、これは農家にとって、悪魔の風景となります。その一週間後、あれよあれよという間に、すだれ状になり、手で青虫を潰していても間に合いませんでした。一度卵を産み付けられたら、次から次と青虫が湧いてくるのですから。
今度は、佐藤さんところは、キャベツは無いのですか?と・・・

「さあ、貴方はこれでも有機無農薬栽培という概念を信じますか?」
彼女が一人前の農家になるには、この一般消費者と同じような無邪気な考え方を乗り越えないとなりません。

それでは、農薬とは一体何?どのような農薬が危険なのか?
どのように対処していったら良いのか?
次回にお答えします。

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              初期的剪定を終えた茄子の畝

茄子はそのままにしておくと、枝や葉が密集してしまい、花が咲かない、ミツバチは届かない、害虫の巣ともなり、手の施しようも無くなる。
主要な枝を3~4本見極め、仮支柱で誘引して風が通りやすくなるように広げてやる
そのためには、重なった枝や葉っぱは除去して、風や光が入りやすいように剪定する。背丈が伸びてくれば、本支柱を立て、テープを回して、誘引作業を行う。
それも、都度都度、収穫の際に、剪定作業を繰り返す。
結構やっかいな作物です。
隣はハーブですが、それでも十星てんとうむし(害虫)が卵を産み付け、葉っぱを食い荒らす。見つけたらすぐに捕殺していく。