農園日誌ー地域産業の育成とナチュラルマーケットの拡大

29.11.1(水曜日)晴れ、最高温度18度、最低温度9度

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                   除草・芽掻き後のセロリ

 ようやく晴れの日が続くようになった。遅すぎる秋晴れ。寒さもやってきた。
すでに、9月以降、秋野菜は三~四回蒔きなおしている。
雨と豪雨と虫害と日照不足が重なり、近くの農家さんとも話すのではあるが、こんな秋は今まで初めてと・・皆溶けたり、日照不足と水浸しの土壌に空気が無いため、
成長が止まっている。悲しいがその度に、鋤き込んで畑を潰し、蒔き直しの連続。

それでも、水生植物のセロリだけは、御覧の通り、元気が良い。
この分だと、11月下旬に第一陣の出荷が見込めるのがわずかな救い。
この芽掻き作業は、下葉を除去すれば、芯から新しい葉を茂らす性質を持っている
セロリの欠かされない重要な作業。

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現在、急ピッチで畑作り、種蒔きを進めている

白く見えるのは、苦土石灰・焼き灰・牡蠣殻
(土壌改良剤)
草木堆肥と一緒に
撒く。
研修生も畑作りは
様になってきている。

右に見えるのは、
除草後の人参の畝。

その両隣は、成長不良になっているほうれん草と虫食いで瀕死の重傷の蕪の畝。

むかし野菜の邑グループも、全国に500名のお客様がいらっしゃるようになった。
そうなると、商品が無い、と言うことは許されない状況になっている。
最近の天候はめまぐるしく変化してきており、必ず一年のうちに、このような野菜が
育たない時季が二~三回はやってくる。
高い送料を払ってまでお取りいただいていることに、唯、恐縮するのみ。

そのこともあり、大分の豊かな海から採れる海産物を探し始めている。
農産物以外の生産者との共同出荷ということになり、本物志向の者同士が手を取り合えればと考えている。
但、あくまでもお客様(仲間たち)の同意があればが大前提。喜ばれない商品は
招かれざる客と同じで迷惑をかけることになる。


地域産業の育成とナチュラルマーケットの拡大

(2)事業コンセプト(存在価値)
 競合市場の中で自己の「何らかの事業特性」によって、他との差別化や新規性を図りながら、生き残っていかなければなりません。その事業特性が「自己の存在価値や事業目的」=事業コンセプト(事業理念)であり、しかも、それは社会的に認知されたものでなければなりません。具体的に言うと、それは商品やサービスの価格・品質・量・品揃の多さ・利便性・希少価値・新規性等による「存在価値を消費者市場に認知してもらうこと」です。
 
消費者に対する社会的・経済的な存在価値の明示
 
 経済成長を遂げた成熟社会では「商品」が市場に溢れ、ある程度の人並みの生活環境が満たされるようになると、消費者の価値観も「物への欲求」から「生活環境や自分の生き方への欲求」を重視するように変わりつつあり、徐々に横並び的価値観から脱却し始めておりますが、その変化もゆるやかであり、消費者市場の価値観には未だ大きな転換はなく、又、商品の提供者側もその変化に即対応できないのが現状です。
 
そのような市場環境の変化の中で、事業者側は消費者との対話(市場密着化)を繰り返す努力、即ち、「聞く姿勢」が重要となり、多くの競合の中で、他社とは異なる事業特性(社会的・経済的存在価値)=自社の事業コンセプトを明示することが必要となります。
最近の広告活動では会社のイメージ性を重視した企業モラルや社会的存在感を強調したり、
素人を起用して消費者との距離を埋めようとするCMが増えてきております。
 
 以上、経済の停滞期には変化し始めた社会的価値観や消費者ニーズにどのように適応していくかが事業経営の大きな課題となっております。
これからの事業体は市場の声を良く聞き、自己のターゲットとなる消費者層を見極め、商品・サービス等の形態を変えていかねばなりません。
 
唯、商品の提供側も、多くの声を聞き過ぎて、全ての消費者ニーズを「標準化」していくと、販売リスクを避けようとして、無難なところに落ち着き、商品の特性は無くなる。
例えば、有機JAS規格の野菜に例を取ってみよう。
一般消費者の目を意識して、虫食い痕の残る野菜を排除し、サイズの揃った見た目きれいな野菜だけに選別しようとすると、有機JAS規程に定められた農薬ではなく、土中消毒薬剤を使用せざるを得なくなる。結果、名目有機野菜となる。これはもはや有機野菜ではなくなるのだが・・・その矛盾に気が付く特定消費者層からの信用を失う。
さらにもう一つの例を挙げてみると、マーケットに支持されている商品(顕在的ニーズ)に注目していると、本当に消費者が望んでいる本物の商品(これを潜在的ニーズ)に行き着かず、すでに出回っている商品の後追いになり、新規性・独創性を無くす。

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いかにも順調に育っているかのように見えているじゃがいも。ところが、よく見ると
茎がひょろ長く伸び切っている。
明らかにあまりにも多かった雨の1か月以上の太陽が顔を出さない日照不足の
影響で、実(ジャガイモは茎の大きくなったもの)が成長していない。

コメント
量販店では不特定多数の様々な欲求やニーズを持った消費者が訪れる。そこではこの商品の標準化が行われ、顧客のクレームが寄せられそうな野菜などは決して置かない。
マーケットでは、見た目きれいな揃った規格野菜が「良質な野菜」という評価を受け、それが市場価値となっていく。
そうなると、有機野菜専門のネット通販会社もその市場価値を忖度せざるを得ず、有機野菜を標榜する有機JAS野菜生産者たちも、虫食い痕のない、揃った野菜を納入せざるを得なくなる。有機専門店に慣行栽培と同じきれいな野菜が並ぶことになる。
頭の中では無農薬・無化学肥料の野菜を求めている消費者も、虫食い痕が残った野菜や不揃いで不格好な野菜にクレームをつけてくる。
 
本来の有機及び自然栽培の野菜たちは、自然に順に育てられており、規格が揃っていることがおかしく、虫食いの痕がないことこそ、おかしい筈。
かくして、流通の世界からは、本物の美味しく栄養価に富んだ野菜は消えていくことになる。そのことが当農園が直販しか行わない理由である。
 
このようなマーケットの中では、安全なことは当たり前で、味香りがあり、美味しく栄養価に富んだ不揃いで虫食い痕のある、真にきれいな野菜は、特別な野菜となり、その価値観を共有できる消費者層にとってこそ、存在価値のある野菜ということになる。
 
 今、世界で認められてきた日本ブランド(品質を守っていく企業風土)が揺らいでいる。
それは、企業内の管理至上主義・利益及び効率至上主義・社内の上方志向(出世主義)などからなり、品質を守ってきた企業風土に歪みをもたらし、社会的存在価値及び責任意識を欠如させていく。
この風潮に歯止めが掛かりにくく、政治から大企業・公務員の中で特に進んでいる。
私は思うのだが、社会的存在価値とは、消費者が真に欲する商品を探求し続けることがブランド作りではないかと・・・
それはもしかして、顕在的なニーズ(既存商品)の中では見え難くなってきており、潜在的なニーズこそ、消費者が真に欲している商品となるのではないかと思い始めている。
例えば、伝統的に日本の先人たちが作り続けてきた「むかし野菜」とか、純粋な無添加発酵食品(味噌・漬物など)とか、ミネラルたっぷりの海の塩を使った天日干しの干物などがそれです。
それを実現するためには、生産者と消費者の共同作業が必要になります。
難しいことですが、チャレンジする価値はあると考えております。