農園日誌ー秋野菜始まる


28.8.24(水曜日)晴れ時々曇り、夕立あり、最高温度33度、最低温度25度

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                   秋じゃがの植え付け
 
 写真は、福岡からの女性の研修生(チカコさん)。
IT企業に勤めていた。一人の近視眼的作業に慣れていたためか、中々チームプレーに慣れない。当農園での作業は年間百種類以上の露地野菜を作り、直接消費者に届けている。そのため、毎日の作業は実に変化に富んでいる。
そのため、毎日の作業の段取りやその組み立てが異なり、一人農業の気楽さとは
無縁の世界となる。
何しろ、一日にこなす作業の種類や量が多い。
そうなると、常に頭の中は回転していないと付いていけなくなるし、チームとしての日常作業の段取りが重要となる。
そして、決して飽きない緊張した重労働が毎日続く。

 一か月間、雨が降らず、連日35度前後の猛暑が続いていたが、今日は33度と
気温が低下した。農園には何となく秋の気配が漂い始めている。
それでも、以前は33度などに気温が上昇することなど滅多になかったのだが・・
33度が涼しいと感じるような気候の国になってしまったのだろうか。

せめて、連日の水遣り作業からは解放されたい。これは今では、研修生二人の日課となっている。
雨が降らないため、畑は乾燥しきっており、夏野菜は葉落ちし、実は次第に小さくなっており、ピーマン系(乾燥にも比較的強い)の樹も枯れ落ちていくものも出始めている。

 それでも、季節が進めば、秋野菜の種も蒔かねばならない。
お客様からはサラダセットはまだでしょうね!との声も聴く。
事前に乾燥しきった大地に水を撒き、堆肥を振り、畝立てを行った。
先日堆肥撒き、畝上げと鍬とレイキ作業を行う。後藤君は久しぶりの鍬打ち作業に、
やはり楽しいですね、と・・・
農業に従事してから3年、農業の喜びを感じとれるようになってきたようだ。
明日は、一斉に秋野菜の種蒔きを行う。
先ずは、大根・サラダセット・蕪類・小松菜・青梗菜・高菜などから始める。
人参は二回ほどチャレンジするも芽を出してくれない。水遣りは怠らないのだが、
水を撒いてもすぐに干上がってしまう。

 今度の日・月と本当に久方ぶりの雨の予報。天の神様も少しは頑張っている農業者に恵みの雨を施してくれても良さそうなもの。期待しての種蒔きである。
露地栽培は、施設栽培とは異なり、自然の恵みと厳しさの両方の中で成り立つもの。
自然の恵みが欲しい。

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一本葱

葱は本来、水を好む
作物。
この乾ききった畑で
ひたすら耐え忍ぶ。
耐えきれず、落ちていく
ものもあり、次第に本数が減っていく。



 例年であれば、9月に入ると第一陣の出荷となるのだが、どうやら無理そう。

 隣は黒大豆(丹波の大粒)。
当農園の中秋(10月)の代表的な味覚となる黒大豆の枝豆。
今、薄ピンクの小さな花が一杯ついている。こちらのほうは、種蒔き時季が良かったのか、また、乾燥した気候が良かったのか、葉っぱも余分に大きくならず、実付きがよさそう。
最初の頃は、あまりの見てくれの悪さに(灰色がかっているため)毛嫌いされていたが、毎年送り続けるうちに、「もっとたくさん欲しい」との声が大きくなって、ついに、
今では、農園の秋の顔になっている。
最初は柔らかく、次第に硬くなり(同時に豆が黒ずんでくる)ビーンズへ変貌。
これがまた堪らなく味があり美味しいとの評判となっていった。

このような、農園からの仕掛けも有機農産物作りの醍醐味でもある。
これを市場創造とも言うのかな・・

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 コータ君19歳、熊本から研修生として、当農園で学んでいる。
これは、草・牛糞・剪定屑や葉っぱを三層に重ねたものを、トラクターのロータリーで
混ぜているところ。微妙な深さ調整が必要となり、かなり難しい作業の一つ。
軽🚚の運転はまだまだ危なっかしいが、結構、無難にこなしている。

二人の研修生は、一年で基本的な農作業の段取りや技術を覚え、二年目でそれを反復し、体に叩き込み、三年目でほぼ自分のものとしなければならない。
そこから、自立への戦いが始まる。
自然とのやりとりや気候の変化を読み、季節の野菜の種を蒔く時期を体に覚え込ませる。ほとんど動物的な嗅覚と感性が要求される。
5年目でようやく農業者としての自立の可能性が生まれる。

この機会点をここの農園主は彼らに平等に与えているに過ぎない。
後は、個々の頑張りと感性を磨くしかない。
農園主は、やさしさは一切教えない。むしろ厳しさしか教えない。

やさしさは自然から学べばよい、と思うのだが・・・・
二人の研修生共に、真っ黒になって今日も地面を這いずり回っている。
後藤君のように農業の楽しさを覚えるようになってほしいと願う。