農園日誌ー

27.5.14(木曜日)晴れ、最高温度24度、最低温度15度

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晴れの日が続かず、また、明日からしばらくは雨模様の天気。
日照不足と低温傾向は夏野菜の成長を遅らせ、春野菜は莟立ちや腐れが発生。
虫も湿度が高いせいで、異常に発生しつつあり、目が離せない。

堆肥原料となる草が無くなり、堆肥欠乏状態が続いており、今日は止むを得ず、
未熟堆肥を使わざるを得なくなり、オクラの植え付けを行う。
昼前後に、にんにくの収穫。今年は成熟期である4~5月にかけて雨が多く、
日照不足が影響し、ほとんどが未成熟となっている。一昨年と同じ傾向。
通常では5月下旬頃の収穫となるが、湿気が多く発育不良・根腐れ状態となっているため、未成熟のまま早めに収穫を行わねばならなくなった。
午後からは、スタッフ全員(7人)で由布市庄内地区の圃場に最後のとうもろこしの植え付けに行った。(片道25分)
ここは処女地のため、未成熟の堆肥(それしか今は無い)を振り、強めの焼き灰・
苦土石灰・牡蠣柄・溶燐を施す。美味しく育てと念じながら、およそ1900本の植え付け。
除草しながらの植え込み作業ではあったが、ベテランの女性スタッフが加わると
段取りよく、スピーディに作業が終える事が出来た。(時には誉めておこう)

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茄子の植え込み
今までに黒陽・加茂茄子
など、160本の植え付けが
完了。
これから、黒陽・加茂の他
白・緑・紫の三色の長茄子
の植え込みを行う。
堆肥の完成待ち状態。
この長茄子三種は去年
始めて主にレストランへの試作ではあったが、サラダ
感覚の茄子。


残念なニュースだが、今まで良質な牛糞の提供を受けていた乳業牧場が廃業に
追い込まれたようだ。電話が繋がらず、不審に思って訪れてみると、牛舎には牛の姿が無く、換気扇だけが風邪に吹かれてからからと回っていた。
以前より気にかけて相談に応じていたのだが、突然の廃業となってしまった。
輸入飼料の高騰と乳価の低迷。跡継ぎが帰ってきたと喜んでいたのだが、一体この
ご家族に何があったのか?また、一人仲間が消えた。
無為無策の農業政策の被害者となってしまった。救ってあげられなかったことが口惜しい。但、皆と同じことをし、巨大な流通の仕組みに流されるだけでは、農業者は決して報われることは無いのだが・・・

数日前に、研修希望の若者が農園を尋ねてきた。
草木堆肥や年間100アイテム以上の野菜生産や消費者と如何に向き合うか、あるいは、共通の価値観を持ち合うか、そのためには・・・などの話をし、
スナップエンドウや絹さやえんどうを生で食べさせた。
しっかりとその美味しさは理解したようであったが、研修の話になると、あくまでも自分は自分と言う姿勢に変わり、ハウツウのみ学びたいとの匂いがし始め、教を乞うというより、自我の強さのみが鼻につき始める。
少し怒り気味に簡単に独立できると思ってはいけない。そんなに農業を取り巻く環境は安易ではないなどと話し始めるや否や、急に「今日はここまでとし、帰ります」と
承まわれた。
悪い酒を飲みすぎ、軽い二日酔いに似た気持ちの悪さだけが残った。
これも又か?と思う。どこから来る自信なのか?根拠の無い自信、(これを過信とも言うが)有機農業を目指す現在の若者の特徴ではある。
自然から先達から学ぼうとする姿勢(自らを空しくして受け入れるといった謙虚さ)が微塵も感じられない。惜しいと言うより残念でならない。

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今年も10年来、三番の畑に息づいているカモミールの花達。

隣は薬味に使う小葱、
紫蘇と併せて毎年夏に
出荷している。

これのセットメニューは
女性スタッフ達の発案。
流石、皆、主婦ですね。



何の番組だったか?確か日本の職人だったか?世界のその道のプロ達を集めて
日本のこんなところが素晴らしいと、見せる番組の中での一齣。

トマトの大量流通センターでの選別の仕方を世界へ紹介していた。
トマトを選別する作業の中で、なんと24通りの等級分けをしていることが自慢のようだ。熟れて美味しそうに見えたトマトは弾かれ、加工品に回されるのだそうだ。
その責任者曰く、「このように等級を選別し品質の良い商品をお客様に提供している
」どうやら、いつの間にか見え形の等級が品質であると思い込まされているようだ。
それもお客様が支持しているといわんばかりのコメント付きであったように記憶している。
むかし野菜を愛しんで頂いている仲間達にはどのように映ったことでしょう。
「それならば、佐藤自然農園の野菜はみな、等級外で商品にもならない」のですが・・・どうしましょうか?

さらに、確かハウス栽培のトマトでしたが、甘さを徹底的に追及したトマト作りのようでした。そこでは技術の紹介のみで、土作りのことは一切紹介されなかったですが、
外国の方は「甘い!」の一言しか出てこなかったように思う。
それを見ていた高名なシェフが一言、「トマトは甘いだけではね!」
このシェフは名前は忘れましたが、料理をよく知っていらっしゃる。

当農園が栽培しているトマトの品種は瑞栄と言う品種で、先ずは酸味が、次に鼻に抜ける香りが、次に旨みが舌の奥に残る。そして最後に甘みが口に広がる。
これが本当のトマトの美味しさではないでしょうか?
この品種は生食も美味しいのですが、調理に使うと最高の旨みを出してくれます。

私が皆様に伝えたいことは、「市場流通やマスメディアで流される価値観に踊らされるのではなく、食べて美味しいと感じることを優先して頂きたい」ことと、「無垢な子供のように美味しい物は美味しいと素直に感じて、もっと自分の舌や価値観を信じて欲しい」ということです。
そのような価値観を持たれた賢明な消費者が増えない限りは、先の乳業経営の農家のような不幸が日夜繰り返されてしまい、みてくれが全ての等級ではなく、美味しく、栄養価の高い高品質の農産物を作ろうとする農家や若者達(後継者)は決して育たず、その労苦にも気が付かず、やがて真の農産物にめぐり合えないという実に悲しいことにもなるのが消費者の皆様であることをしっかりと認識して頂きたい。
それが私の願いです。