研修生後藤堅太郎の農園観察帳 その3

27.5.21(木曜日)快晴、最高温度24度、最低温度16度

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  一つの花枝に結実したばかりの小さな小さな実と花が付いているトマト

こんばんは。研修生の後藤です。
今回で3回目の投稿でしょうか。
1週間ほど前から「次回は後藤君な。」と言われていて何を書こうかと頭を捻りつつ、面白いネタをさがして畑の状況や皆の仕事を観察した数日間でした。毎日の畑仕事に加え、毎週欠かさずブログを更新し続ける佐藤さんには頭が下がります。継続は力ですね。有難うございます。

さて、先週のブログで佐藤さんも触れていましたが、就農を考えている男性が農園へ見学に来たことについて僕が感じたことを書いてみようと思います。少し長くなりますが、お付き合い頂ければ幸いです。

その男性は、
・僕と変わらないくらいの年齢。
・既にいくつかの農園での研修の経験があり有機農業・自然農法への関心からこちらへの見学を打診してきた。
といった事前の情報があり、どんな人なのだろうと楽しみにしていました。
いつものことですが農園への訪問客がある日は、やはりワクワクしてしまいます。
「どんな人が来るのだろう。どんな話しができるかな。」誰であれ、いつもの畑にちいさな刺激をもたらす来客の予定は有り難いものです。

まして、それが同じ志を持って「農」の世界で生きていこうとする同世代の人であれば尚更です。
どんな形の農業を目指しているのか。なぜ農業を選択したのか。将来どうなりたいのか。色々な話しを交えながら、同じ方向を向いて苦楽を共にできる新しい仲間が増えたなら…。そう期待しないほうが難しいでしょう。

しかしその期待は、先週のブログにもあった通りの結果に終わってしまいました。何とも言えないゴワゴワとした感情がやり場を無くして、目の前の仕事を邪魔する一日となりました。それでも彼のことや気持ちが全く分からないわけではありません。僕もきっと佐藤自然農園を初めて訪れた日は、畑の皆さんにいらぬ不安を抱かせ、心配事をひとつ増やしていたんだろうと思います。

農業の現実を知る機会や情報はあまりにも少ないです。まして自らが目指す農業のスタイルを実践している農園を探すことがどれほど困難なことか。書店や図書館に並ぶ、農業関連の本には「稼げる農業!」「脱サラ農業で年収1000万」「夢で終わらせない農業起業」などのけばけばしいタイトルが目を引き、肝心なことはほんの少しだけしか書いてありません。そこにあるのは農業で自分らしく、充実した毎日を生きる新規就農男性や、夫婦の姿。困難な時期もあったけれど、今はなんとか軌道に乗り今年からが勝負だという定年退職おじさんのこと。夢と希望、明るい未来が描写されていて、「自分もきっとできる!」そう感じることは自然な流れなのかもしれません。

佐藤さんは彼のときと同じように、野菜作りの命となる草木堆肥のこと。100種類を超える野菜のこと。露地栽培だからこそ生まれる感動的な野菜の味とそれに共感するたくさんの顧客のこと。将来的なビジョン。農業の厳しさと現実。佐藤さんの厳しい意見の中に本当の意味での優しさを感じた気がして、どの話しも僕にとってはワクワクする内容ばかりでした。

人それぞれで感じ方はもちろん違う。どんな人と出逢ってどんな縁が生まれるかも違う。波長が合うかどうか、これも大事。僕の場合はそれがピッタリと合っていたんだと思います。本当に「縁」というものは不思議な力です。今回の期待は外れてしまいましたが、「縁」はいつもそこにあって僕たちとどこかの誰かが出逢うきっかけはふとしたもの。これからも懲りずに期待し続けながら、僕のような人間が来たときの為にしっかりと優しさをもって話しができるように毎日を過ごしたいと思います。

お父さん、お母さん、畑の皆さんこれからもどうぞよろしくお願いします!


イメージ 2小さな苗木を定植し、ここまでに育つのに約一ヶ月。
この段階では添え木を打ち
芽掻きをしながら、二本立ちの枝に剪定していく。
ついでに除草作業も行い
きれいになったトマトの畝。
昨日今日と、大きなトマトの
木を育てるのに、重要な最初の樹勢を決める大切な作業を行う。
これから支柱を立てて、
横線となるテープを施す。

一つの野菜を育てるのに、様々な作業を行い、ようやく大きな美味しい実を付ける。
それは子供を育てるのとまったく同じこと。その手が懸かること夥しい。
野菜(子供)の性格を見定めながら、それぞれに個性の違う野菜を一人前に育てるには、それなりの覚悟と思いや忍耐が必要となる。勿論、経験と労力がかかる。

その労苦を知らずに育つ子供達もやがて大人になっていくが、親の気持ちが分るにはやはり親と同じ苦労をしなければ、つまりは子を持ってみなければ分らない。
親とは先達のことであり、その先達の労苦を見て育った子供ほど、大きく羽ばたくことになるだろう。
但し、そのためには己を空しくして先達の「言」を聞く姿勢が最も大切である。
それを見ずして大人になっていく子供達が多いことは残念でならない。

農園の研修生達(子供達)が大きく羽ばたく日を楽しみに今日も疲れた体に鞭を
打つ。

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研修生達が二番の畑の胡瓜の支柱立て作業を行っている合間に、トレビスの除草作業を行う。草に覆われていたが、その全容の姿を見せる。
サラダの貴婦人と称しているチコリの仲間。ほろ苦さがあり、サラダに少量加えると
抜群の存在感がある。

今日は後藤君の日誌の番であり、一週間、楽が出来た?研修生が書いた日誌を
時には読んで頂けると、農園の一齣が垣間見えるのではないでしょうか。