農園日誌ー4月に異常なほどの降雨

27.4.9(木曜日)曇り時折小雨、最高温度14度、最低温度7度

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                とうもろこしの定植(6番の畑)

初めて佐藤自然農園に管理機(畝立て機)が入る。
今までは、約7反の畑は全て鍬による畝立て作業を行っていた。
今回は、雑穀ということで、除草作業から畝立てまで行えるように管理機を導入。
管理機が入ると畝間が広がり、有効な畑面積がかなり減り、折角草木堆肥で行う
野菜収量も減ってしまう。若い農人達はなにやら楽しそう。

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鍬ばかり使わされていた
若い研修生達は、ようやく
これで他の農家並みになったと喜んでいるのかも・・
あくまでも雑穀だけです。
管理機を使ってもレイキ
作業などは必要となる。

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何しろ、初めての本格的な雑穀のため、どれだけ種を蒔けば良いのか検討もつかないため、約0.35反の面積で準備したとうもろこしの苗は終わってしまった。
急遽、この量だけ、今日種を蒔き足した。
庄内の田北さんところにも準備した苗があり、どうにか、総面積1.4反のとうもろこしの植え込みができそう。後は、恨めしいほど降り続く雨が一段落するのを待つのみとなった。
自然農の雑穀をやるぞ!と言ったものの、今から先行きに長い道のりが待っているような。野菜作りに加えて、小麦・とうもろこし・大豆などの雑穀栽培の大変さが見えてきた。

先日、由布市庄内の田北さんの田んぼ(とうもろこしなどのメイン圃場となる)に堆肥
振りに行ってきた。

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一見、長閑な田園風景が
拡がる。
二三週間前から断続的に
降り続く雨のため、堆肥を満載した軽トラが乗り込むと
下の写真のような有様

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ラクターに牽引されながら泥田の中の一寸ズリの堆肥撒きとなった。先行きが
不安。天気との闘いが待っているような。

(農業後継者の問題)

先日、3年越しの話し合いでむかし野菜の邑にパープルアスパラ栽培農家が加わった。彼は脱サラで農業を始め、農協への全面出荷を行っていた。セミナーの受講生として知り合った際、草木堆肥を使い、美味しいアスパラを生産して消費者直接販売の途を開きませんか、と問いかけ続けていた先。今週から初めて出荷を始めたのではあるが・・・

その下打ち合わせに赴いたところ、思わぬ壁にぶち当たってしまった。
農協では、と言うより、流通では、厳格な規格管理というシステムがあり、自動選別機を備え、5サイズに仕分けされる。
むかし野菜では規格サイズは無く、大小混ぜて当農園まで持ってきてくれないか?
200人のお客様へは、大きいものだけとか、小さいものだけという訳にも行かないのですよ。との打ち合わせを行っていたところ、そこの後継者(30代)から、「そんな面倒なことはできない」との声。
思わず、私から「農人は生産する野菜への愛情とそれを食べて頂いている個のお客様を意識した仕事をしなければならないよ」と言ってしまった。

市場(流通)では全ての評価基準が「規格サイズ」で等級が決まり、その等級ごとの
規格しか受け付けない仕組みが出来上がっている。
そのため、農協などに属している農業者は、出荷方法も「個」や「質」よりも、「規格サイズ」と「量」が全ての(生産から)出荷管理に慣らされており、この息子さんも「そんな面倒臭い手間をかけていたら、いつ仕事が終わるか分らない」と考えたのだろう。

後でその親御さんから聞いたのであるが、息子は、朝6時から夜の11時まで収穫選別作業を行っており、疲れているのですよ。と・・
その親御さんも、農協のアスパラ部会に属され、部会長をさせられている。
農協以外に出荷すると、部会から除名され、二度と農協のルートは使えないことになる。まさに死活問題となってしまう。
これが農協を含めた現在の農業の問題である。
画して、農家は味や栄養価などの質より、規格を重視され、草木堆肥など使って美味しくしても何ら意味の無いことになってしまう。

実は彼らが農協に属している生産野菜は、グリーンアスパラであり、パープルアスパラではない。そのため、親御さんも敢えてパープルアスパラを植え込んだのです。

その後、親御さんが息子さんを説得したのかわからないが、今週から出荷が始まった。あくまでも農協の制約を受けないパープルアスパラですが・・・?
農業者はしぶとくなければやっていけませんですね。

課題となるのは、後を継いで貰う農業後継者が親子の場合に問題が多いことです。
親の背中を見て育ったのであれば、父ちゃんの作った美味しい○○を作りたい、と
単純に考えられるのですが、今の時代はそうではなく、農業者自信が誇りを持てない仕組みに流通がなってしまっていることなのです。
つまりは、規格サイズ・量が農産物の全ての価値観となっているため、自ら誇りを持ち、自信を持って野菜を作ることが難しくなっていることであり、消費者の顔が見えないところで慣らされてしまった現在の農人の姿がそこに見えてしまう。

当農園の若い研修生達はこの現実が未だに実感できていない。このことは幸せなことなのでしょう。今回行ったお客様へのインタビューの回答を読んでいる研修生達には今の農人の悲哀は読めないでしょうね。
その回答には「むかし野菜のスタッフ達への応援のメッセージ」が多く見られた。
真に有難いことです。

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                 春、農園はお花畑となる。

菜の花に見えますか?これはツァーサイが一度も出荷することなく、莟立ちして
花と化したものです。長閑ですね。何故か悲しい・・・