農園日誌ーむかし野菜の意味Ⅱ

27.3.5(木曜日)晴れ時折曇り、最高温度9度、最低温度3度

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                  草木堆肥(切り替えし後)

2.28堆肥作り、今日、3.5堆肥作りと剪定枝破砕作業を続けて行う。
春の植え付け・種蒔きシーズンを迎え、堆肥がすぐに底を突く。
堆肥作りには、先ず、剪定枝の破砕作業を行い、破砕屑や葉っぱを蓄積しておかねば、作れない。暇を見つけて刈り取ったり、草取りをした雑草も溜め込んでおかねばならない。

イメージ 2草を均一に敷き、
牛糞を被せ、
剪定屑や葉っぱを乗せる。
三層に重ねた草木原料を
ラクターで混ぜ合わせる
牛糞は発酵促進剤の
役割を果たす。
破砕作業及びこの堆肥作り
はかなりな重労働。
まさに若者が嫌う汚れ作業
汗まみれ埃まみれの作業
が続く。

イメージ 3それをタイヤショベルで高さ
1.5m以上に積み上げる。
かなりな量を作り、圧をかけ
ねば発酵は進まない。
木や葉っぱには測定不能
放線菌(黴)・微生物が棲み
実にバランスの良いミネラル
分が含まれている。
これが畑を耕してくれる。
積み上げた堆肥は1~2回
程度の切り替えしを行い、
約2ヶ月で堆肥となる。


むかし野菜と名づけたのは、日本の農人達が有史以来営々と続けてきたであろう
草木堆肥による自然循環農法を現在に蘇らせたことが第一の理由ではある。
畜糞主体の現在の有機野菜とも違うし、持ち込まない持ち出さないという理念の
自然農法とも違う。
それらと混同されないために「むかし野菜」と呼んでいる。

何故この草木堆肥が日本から消えてなくなったか・・
大変な労力と手間が懸かることが最大の要因ではあろうが、マーケットの変化も
その大きな要因だと思われる。
日本の有機JAS法には有機物なら何でも良いと、なっており、市場ではこの有機
JASの認定さえ受ければ有機野菜の称号を得られ、従って最も簡単に手に入る
畜糞肥料が有機野菜の代名詞にさえなっていったのではなかろうか。
有機堆肥と称しているが、実は堆肥ではなく窒素分の多い肥料なのです)
当然に、マーケットのお客様も有機野菜ならば安全安心だと思われるだろうし、
それなら、手間のかからない畜糞での有機栽培が99%以上になってきたのも
当たり前かもしれない。

自然農については、私もよく分らないのですが、様々な方法が取られている。
一つ言えることは、特に野菜作りでは同じ圃場を繰り返し使い、土中のミネラル分
を収奪し続けることになり、決定的にミネラル不足を起す。
そうなると栄養価の高い野菜とは言えなくなってしまう。
これがむかし野菜では、有機野菜や自然農野菜と一線を画す理由ではある。

イメージ 4高菜漬け
収穫した高菜を天日干し、塩で揉んで
漬け込む。その後、数回灰汁抜きを
行い、鼈甲色の高菜の古漬けとなる。

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純粋な発酵食品である味噌
自然農の大豆とお米、この両方、揃うことが
中々に難しい。この手作り味噌を初めて食べた
方は、かなり驚いたようだ。

薬品を使わない味噌などは市販されない流通の仕組みになっており、現在の流通している食品は化学調味料や保存剤・着色料・酸化防止剤人工甘味料ホルモン剤などなど、数えたら限りなく薬品漬けなのがよくわかる。
まさに化学薬品漬けの現在の食生活。

そんな中、むかし野菜のもう一つの意味というか、意義と言うか、「むかしの人は良いものを食べていたのだな」ということです。むかしは質素だけど素材感溢れる美味しく豊かな食生活があった。
現在の農産物はみてくれや外見及び規格が流通の価値基準となり、味や香り・旨み
や食感などの食物の本来の価値である美味しさは何ら評価されない。
餅には当然のように黴が来る。発酵食品は生きているから酸化しやすく、常に変化する。無添加の加工食品は、決して流通では取り扱えない。
そのことを一体どれだけの消費者が気にしているのだろうか?

むかし野菜ではかっての豊かな日本の食生活を現在に蘇らせたいという思いが強い。今回、自然農(除草剤・化学薬品排除と言う意味)の穀類生産に踏みきろうとしているのもその現われ。(自分達で生産しない限りは手に入らない、ということは皆様にもお届けできないということです)
米粉・小麦粉・大豆粉・とうもろこし粉などがあれば、様々な無添加のおやつもできる。小さい頃に食べたとうもろこし粉の入ったかりっとして舌にざらつく存在感のある流し焼きは今でも忘れられない。素材感溢れる質素で素朴で美味しいおやつであったし、漬物はと当然のようにいつも食卓にあり、味噌は手作りの味噌であった。

素材感・素朴さ・無添加・栄養価・美味しさ・懐かしい味、そして、その食生活そのものがおしゃれで、豊かなのではないか、と言うことが、むかし野菜のもう一つの大きなテーマとなっている。

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レタス系野菜の定植作業。

右端のややかっぷくの良い
男性が新たに加わった研修生
南次郎さんです。
筋肉質の痩せ型の体系に
なるには一年もすれば、
絶えられれば必ずなります。
今やベテランの粋の寛子さん
の実地指導です。
ここで骨を埋める覚悟で
きています。ご支援のほどを
よろしくお願い致します。

イメージ 7サニーレタスの畝。
(6番の畑)
最初はこんなに小さいのですが、二月もすると、
立派な姿に成長します。

春はキャベツ・ブロッコリー
レタス・春白菜などの旬を
迎えます。
アブラナ科野菜の適期と
なります。



いつも語ってはいるが、誤解しないで頂きたいことは、全国で一生懸命に頑張っておられる有機農業者の方々のことを批判しているのではなく、マーケットの価値基準に合わせて生産しているわけですから、消費者の評価基準が栄養価や美味しさに
振れて来れば、きっと草木主体の堆肥を作って頑張る農人達も増えてくると思います。皆さんも生活がかかっております・・・

我々の取組はそんなに簡単なことではありません。

草木堆肥施肥のみの農法は、以下の困難さはあります。

①低窒素であるために、草木堆肥を撒く量も野菜によって、季節によっても異なり、
  その扱いが難しいこと。
②その原料は全て農人が自ら集めたり破砕したりと労力の塊りであること。
③低成長であることは収量が少なく、しかも露地栽培であれば、成長が遅い分、 
  それだけ気候変動や虫害のリスクを受けやすく作柄は安定しないこと。
④生育管理が実にきめ細かく、野菜と語り合わねば大きく育ってはくれないこと。
⑤みてくれが悪く(最も理解いただいておられる方はその姿に愛おしさを感じて
  頂いておりますが)一般消費者には、従って飲食店には敬遠されること。

それでも頑張れるのはお客様の「美味しい」の一言があるからです。
私達は決して一部のセレブ層に喜んで頂くためにではなく、極く普通の消費者の
方々の喜ぶ声を聞きたいと願っております。
幸いに、未だ小さなお子さんを育てておられる若い奥さん達の支持が広がっており
スタッフ全員の励みになっており、日本も未だ捨てたものではないな、と実感して
おります。
いつしか、多くの消費者の支持が集まり、多くの生産者が自然循環農法を目指して
頂けることを願っております。