農園日誌ーむかし野菜の意味!


27.2.26(木曜日)雨後曇り、最高温度9度、最低温度3度

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絹サヤエンドウの花一輪

豆類の蔓が伸びたそうにしている。これは早速にも手をしてやらねば、と皆で
除草作業を行う。
竹の葉や枝の付いたものを豆の手としてとりあえず横に刺してやらないと、豆は大きくなり難い。そのためには、先ずは除草を行う。拡がってからでは遅い。

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次の日は雨が予想されて
おり、一気に草取りを行う
今回は二列植えは止めて
豆が伸びやすいように
一列植えとした。
畝間が狭いため、収穫作業は大変なことになるぞ!
これもいつものこと。
土作りに最低三年かかる
ここは五年目の畑。
必然的に今ある畑を最有効に使うのが当農園流。
人間の不便など考慮外。

今日は何故、当農園及びグループがむかし野菜なのか。お客様は漠然として理解
して頂いておられるとは思う。

昨日、とある野菜農家が尋ねてきた。なんでも明日は熊本に行くそうだ。
彼は市販の有機肥料を使って永年有機野菜に取り組んできた。
最近になって、国の有機野菜の認証(有機JAS規程)を取らねば、流通や大手小売店から相手にされなくなったそうだ。彼は農協に加盟していない。
国の有機認証システムとその虚実を散々に批判していたのだが・・・
また、彼は言う。どうやら国も有機認証を持っている農家を支援するために、補助金
を出すようになったとのこと。但し、作物は一品種ないしは二品種までだそうだ。

今日は、由布市のハウス栽培農家を全員で訪問した。
彼曰く、葱・アスパラ・ニラ等々の栽培農家は、農協の部会と言うシステムに加盟している。というより、単一栽培農家には販路が無く(単一栽培農家とも限らないのだが)必然的に農協へ収めるようになる。
そこで全国で単一栽培農家の部会なるものに加盟させられ、農協以外には出荷できないという監視システムが出来上がる。これらの農家は農業で美味しい野菜を作り、自立しようとしてもそれが出来ないような仕組みとなっている。
そこで行われている農産物の価値基準は、全て規格サイズと見てくれとなっている。
美味しさとか品質は一切考慮されない。果たして消費者がそんなことを求めているのでしょうか・・・

もう賢明な皆さんはお気付きであろうが、このお二方の農家は、流通や農協、ひいては国の管理下に置かれないと生きてはいけないようになっている。
だからかもしれないが、国は単一作物の栽培のみ支援する。
おそらくかなり好意的に解釈しても、農産物の量のみを求めるのが現在の国の政策になっているのは間違いない。農業者の自立を唱えてはいるが、何も分っていないか、悪く考えると、一部の団体や大手企業にのみ力点を置いた政策であるとしか考えようがないことになる。
これが日本の農業現場の実態ですが、一体どれだけの消費者がこの仕組みに気がついておられるでしょうか?

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約一ヶ月で出荷可能になるキャベツ
10月末に種を蒔いたもの。

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いずれも
二番の畑
全て春キャベツである。

右の写真の左側は、11月末頃に種を蒔いたキャベツ類、右側は12月下旬に種を蒔いたもの

今年の冬は安定的に寒く、発育は中々に遅く、やきもきとさせられているし、国の
保護鳥であるひよ鳥の害に悩まされている。さらに怖いのは、莟立ちを迎えること。

どんな野菜でも旬(種蒔き・植え付け適期)があり、当農園はその前後一ヶ月に自然の摂理にやや逆らいながら、野菜を栽培している。

当農園やむかし野菜グループは農協や流通(その裏の国)に依存しない消費者への直接販売をテーマとしている。つまりは農業者の自立を目指している。
そのためには、お客様の支持が全てであり、お客様に飽きさせない、美味しいと評価をもらえる、栄養価の高い野菜作りを行う。
年間100品目を越える野菜を作り、野菜を絶やすことの無いように、最低でも20~
30種類の野菜を確保できるように努力していかねばならない。
露地栽培・低窒素栽培のため、自然とも格闘し続けねばならない。
当農園しか知らない研修生達は、他の多くの農家の悲哀をどのように感じたのだろうか?

むかしは田舎に行くと種類豊かなおいしそうな野菜畑がどこにも見られた。
それらを八百屋さんに収めたり、自家用にしたりと豊かな食生活があった。
大量流通の時代を迎え、全国農協による農産物の大量物流が促進されていくに連れて、グローバル化や農産物の内外価格差が言われ始め、農業保護を農業政策の柱とされるようになり、近代化・大規模化・効率化が推進され、国土からしても大規模化は難しい地域農業は田舎と共に衰退して行き、結果として、農業の自立は失われていった。
このようにして栄養価に溢れた美味しい野菜はマーケットから消えていった。

当農園は、むかし農法=自然循環農法と共に、消費者の真の声であろう美味しい野菜作りをグループのテーマとして掲げ、消費者に語り掛け、同じ価値観を持つ仲間作りや農業後継者作りに取り組んでいる。

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国の目指す方向性とは逆行するかもしれないが、同じ価値観を共有する方々の支持を得て、いつの日か、このささやかなグループの取り組みが、多くの人達の共感と支持を得られることを願う。将来ある子供達の未来が明るいことを祈る。

次回は、むかし野菜のもう一つの大きなテーマを語ってみたいと思う。