農園日誌ー春の種蒔き

27.2.19(木曜日)曇り、時折小雨、最高温度9度、最低温度2度

イメージ 1
     女性スタッフの誕生日に寛子さんがケーキを作って皆でお祝い

ディズニーの漫画の世界のようなケーキだなと、一人のスタッフが・・・一瞬ほんわか
とした空気が流れるひと時。歳を明かさないために、ろうそくが一本!

農園では一本また一本とトンネルが剥がされて行く、例年の春の風物詩。
それでもまだまだ寒く、今日などは震え上がりながらの畝作り・種蒔きとなった。

イメージ 2畝作りを終えて竹へらで線を引き、その筋に沿って種を蒔く。昨日は赤蕪・中蕪・サラダ蕪・子葱
一本葱、今日は、みやま小蕪・長赤蕪・春大根・
青梗菜・小松菜・味美菜などの種を蒔く。

イメージ 3



種を蒔いたら、薄く土を被覆する。種の直径と
同じ厚さの土を掛けるのが理想。現実は・・?
微妙な土掛けの作業、種を蒔くにもその時季に
よって量が変わり、種類によっても異なる。
基本は密集栽培だが、分りやすく言えば丈や幅が
拡がるものは少なくとなる。何事も経験が必要な作業となり、この加減如何によって
見事に収量や出来が異なり、中には商品にならないものも出てくる。
これを体に覚えこませるのに、5年~7年以上は必要。自然循環農法・露地栽培の
難しさではある。女性スタッフはすでに7年以上を経過しており、流石に一日の長
が出ている。

イメージ 4水を遣り、織布をベタ掛けにして、風邪で飛ばないように
竹の支柱を立てる。
この段階ではビニールトンネルは掛けない。日曜日の雨待ちで、トンネルを掛ける
雨が降るとなれば俄然植え込みや種蒔き、その前に
堆肥振り、畝たてなどに
忙しくなる。
将に自然と共にの作業・・・
農人の自己都合など一切考慮できない。

近々、皆様全員にインタビューの形でご要望やご意見をお聞きします。
インタビュー用紙は3月初旬にお送りいたします。ご協力のほどお願い致します。

農園は一人農業を始めてから13年目を迎えている。
スタッフも仲間も増えて15人程度になっている。
野菜の他には漬物・二年前から始めた味噌などを(自然農のお米は注文方式)
農園でお任せメニューでお送りしている。

今年から、雑穀の生産を開始する。
美味しく安全な食の世界を考えるならば避けて通れないのが穀類であり、以前より
頭の片隅に雑穀の生産ということが引っかかっていた。
野菜とは異なり、特に自然農の穀類となると、どこにでもあるものではなく、その生産加工の困難さは見えていた。正しく手探りの世界となるではあろう。

もう一つは、「事業にはダイナミズムがあるぞ」と言われた。銀行員時代に知り合った住友信託の審査部長の一言。
「佐藤さんは確かに分析力・判断力・行動力は私には無いものをお持ちではある。
しかし、それだけでは事業の世界は乗り越えていけない。人智を尽くして考え実行したとしても必ずしも成功するとは言えない。そこには貴方のようにマーケティング力だけではなく、事業が一人歩きを始める時季を作り出し、それに乗せる事ですよ」

この世界は未だに見えてこない、と言うよりかは、自分自身がオーナーとしてやってこなかったことがその要因ではあるのだが・・

私なりに解釈しているのは、「ある程度まで立ち上げたら、一人の力では底が見えている。着実に事業を遂行するだけでは足らず、思い切って飛ぶことが重要であり、
多くの人達の様々な欲を一つの方向に導き、常にマンネリを抑える努力と発想力が
必要となる」ということではないかと・・・

一つの潰れかかったフェリー会社の再構築は彼と組むことにより一先ず達成したのだが、彼の言葉がいつも引っかかっていた。
60代中盤にかかっているのに無理をせずとも、ともう一人の私がつぶやくが、私は居なくなっても事業は残る、ともう一人の自分がけしかける。
それに彼の言葉を未だに体感していないのも心残りのようで・・・

イメージ 5去年、甲州とうもろこしの栽培は始めて行ったが、
ご覧のように歯抜け状態の実となった。

それでもこの体験は次に活かせると思うのだが。

今年の規模はこの50倍
以上となり、チャレンジ
してみる。



「市場創造」と言う言葉がある。
むかし、幼少期の頃、黍・粟・とうもろこし(甘い品種ではない)の粉を、麦粉と一緒に流し焼きにして食べた記憶が残っている。まだまだものが溢れていない時代のこと。
只、その香ばしい香りだけが記憶に残っている。
メキシコや中央アジアではとうもろこし(粉)が主食となっている。
日本では豊かになり過ぎて、これら素朴な穀類の美味しさを知らない。
さらには、立性植物は真っ直ぐに地中に根を張る。と言うことは、地中の深い処から
ミネラルなどの栄養価を集めている。

「もし、この素朴な栄養価の高い穀類たちが自然農でリーズナブルな価格で手に入るとしたら」と考えるのが市場創造の出発点となる。
未だに体感したことのない世界、それでも美味しさの想像はできる、
これが市場創造の世界である。いつかの機会にまた突っ込んだお話をしましょう・・・

最後に、住友信託の審査部長の話は、個人の行動にも参考にできるのではないか、つまりは、頭で考えているだけでなく、どんな小さなことでも良いから、先ずは
小さな行動をしてみるほうが、少なくとも新たな機会が訪れる可能性が出る。
周囲の人たちのことを気にするより、周りに合わせるだけでもなく、小さく飛んでみせることも時には必要なのでは・・・・