農園日誌ー地域の農業は!

26.10.17(金曜日)晴れ、最高温度23度、最低温度14度
 
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                   夕暮れ時の二番の畑
 
晩秋野菜となるセロリの畝の除草・芽掻き作業が終わり、上に伸び上がる準備が
できた。これは女性陣の仕事。
セロリは下部に付いた葉茎を掻き取ると、芯の部分が上に伸びる習性がある。
こうしてセロリは大きく育つ。左端は約一ヶ月程遅らせて植え込んだセロリ、これは
越冬用のもの。
左のグリーンの葉は、芽キャベツの畝。台風により煽られて瀕死の重傷となり、
抜け状態。土寄せをして何とか生き残ってくれると期待している(これは男の仕事)
右端は秋のいんげん豆、これも台風により吹き飛ばされ、向こう側の1/3は、根が抜けてしまっている。秋の端境期用にと思って植えたもの。
 
それでも、今回の大型台風がその程度の被害で済んでほっとしているところ。
常の頑張りが神様の微笑みと慈愛の意を示してくれたものと感謝している。
 
台風到来の前日、大分市坂ノ市のパン屋さんこと、フェルマータのお二人が
農園に訪れてくれた。ついでに、大分県臼杵市において、農業を心だし、その
緒についたばかりの青年も同行する。こちらは男性人3人でお迎えする。
台風襲来のため、午前中は被害を受けるピーマン系の収穫作業を手伝ってもらう
昼からは、フェルマータさん持参のハードパンに農園の野菜を焼き、昼食となる。
農園から送られてきたバジルの加工品やオリーブ油をつけて皆腹一杯にそれらを
ほうばる。農園とパン屋さんの俄かコラボとなった。
まさにピクニック気分、最も我が家ではこれが日常ではあるが・・・
 
その中で、互いの夢を語り合う楽しいひと時ではあった。
 
期せずして、フェルマータの藤木さんから提案あり、むかし野菜とパンとのコラボは
できないものか、と・・
すでに2年以上だったとは思うが、フェルマータさんとお客様としての付き合いがあり、こちらもいつか共に手を取り合っての何か試みはできないものかと思っていた
矢先のご提案。
パンはその地域の文化度を測るバロメーターであり、大分のようにただ柔らかい
ふわふわパンしか売れないと言うのはかなり低い民力度であり、味香り豊かな
ハードパンを作り、啓蒙してくれないかとは思っていた。
互いに、目指すところは同じでもあり、商品開発や売り方などを探ってみることで
一致した。聞くところによると、すでに県外へのパンの出荷をやっているとのこと。
 
むかし野菜のグループでも、小麦・とうもろこし・黍粟・大豆などの穀類、それも完全な自然農での生産を視野には入れている。(現在は試作中段階)
ここでもフェルマータとのコラボを考えてはいたが、野菜とパンのコラボとは?・・・
発想力や企画力が問われる作業となり、久しぶりに心が騒ぐ、面白いことになった。
 
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落ち茄子も終わり、撤去した畑のリニューアルが始まっている。草木堆肥を振り終わったところ。(四番の畑)
 
雨を待ち、蕪類の種を蒔く。
 
日が短くなり、毎日夕方頃
になると作業に追いまくられてその慌しいこと、慌しいこと、
夥しい。
体が三つ欲しい。今日も
日没サスペンデットとなる。
 
 
その同行青年であるが、フェルマータのもう一人の大阪弁の女性から、いつも
お説教を食らっているようだ。
(実はこの方、マーケティングを知っている。本人はそんなことは意に介していないようだが、当農園の若いスタッフに指導してもらいたいくらいに、マーケットや人の動きを良く分っていらっしゃる。これも今後楽しみになりそうだ)
 
実家から畑に赴いているそうだが、何しろ、寝るところはあり、ご飯も食べさせてもらっているとのこと、臼杵市から月間3万円の補助をもらっているそうだが、その話では、二年間、当てがわれた畑を作って、経験を積ませるそうだ。
その後、自分で臼杵市内に畑を見つけて独立に向けた農業を行うとのこと。
市から指導員がやってきて、それこそ、農協のマニュアルそっくりの農業を教えてくれるそうだ。
むかし野菜の農法では、土こそ命であり、土作りに多くの精力を費やす、ほぼむかし野菜の要件を満たすのに5年は要する。
どうやら、農協も含めて国や地方公共団体などのお役人は、野菜を単なる商品や食糧としてしか理解していないようだ。それでいて地域ブランド作りがどうのこうの
と、やっている。
ブランドとは品質そのものであり、単に有名であると言う意味ではない。
農産物は土作りが命であり、永年かかって土台作りを行ってきているというのに・・・
 
話は逸れたが、この青年の未来は決して明るくない。こんなことにも一人の農業を心出す青年を潰す役割を地公体は担っているのが腹立たしい。
もう一つにはぬるま湯に浸かっていては、農人とはなれない、そんなに甘くは無い
大阪弁の方にはどんどん説教をしてもらいたいものだ。
 
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新商品(野菜)の開発
 
茄子です。
白茄子は欧州のほうでは
一般的ですが、この細い
三色の茄子は、交配品種
ではあるが、この色合い
を残して食べられるように
開発されたものであるようだ。
茄子独特の灰汁は少なく
塩もみなどするとサラダでも食べられる
 
火を使わないで調理(火を使うと汚い色になってしまう)する方法を考えれば、
食卓を彩る茄子となる。今年までは、未だレストラン専用に生産してきたが、
来年からはもっと食べ方を考えて、個人顧客用に生産するつもりではある。
 
 
最近、国は農業の6次産業化若しくは農業の企業化に邁進している。
一次産業(生産)+二次産業(加工)+三次産業(サービス)=六次産業と言うそうだ。
これは、政府の、と言うより霞ヶ関官僚達と言い換えるべきかもしれないが、地域が農業などでようやく保たれている、と言うことをまったく考えていない現われでもある。
少し考えてみれば分る。
農業者若しくは地方公共団体も含めて、農産物を巨大流通システムの中に、
流す仕組み作りを行えるかどうか、と言うことを・・・
だからこそ、国は六次産業化=企業化=大企業にそれを担わせるという方向に
仕向けたいと考えているのではないか。
 
であれば、国は地域のこと、農家のこと、そこで生活する人達の事、ひいては、
都会の消費者のことを考えているのではなく、国の志向は大企業にしか向いておらず、アベノミクスそのものになってしまうことになる。
 
むかし野菜の邑グループを現在版の梁山泊に向かわせるには、多くの夢を持ち続けられる若者達がこの生産現場に赴いて欲しいし、業種は異なってもフェルマータ
さんのような異業種の方々も参加して欲しいし、それを支持してくれる消費者の方々に支えてもらいたいと、願うのは私の我侭であろうか・・・・